ルール

  • 集英社 (2002年4月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784087753066

作品紹介・あらすじ

終戦間近のフィリピン戦線。鳴神中尉がそこで見た“地獄"とは? 小隊は任務を遂行して生還することができるのか? ギリギリの極限状態で試される人間性を鋭く描く、衝撃の書き下ろし問題作!

感想・レビュー・書評

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  • 『ワイルドソウル』とか『カディスの赤い星』とかああいう分野の
    極限状態におけるサバイバルな男の生き様が主題の作品
    舞台は終戦間近の在フィリピン日本軍における闘争で
    その部分は力作の出来栄えだが
    娯楽小説としてのミステリな仕上げがいまひとつ浮き上がってしまっている
    敗軍の悲劇と極限下におけるおとこのいきざまが上手く噛み合っていない残念な作品

  • 第二次世界大戦中、フィリピンで米軍に追われ、ジャングルの中を彷徨う日本軍の兵士達。その最大の敵は、飢餓だった。米軍に勝たなければ、飢えは充たされない。だが飢えを充たさなければ、米軍には勝てない──。

    凄絶、その一言に尽きる。飢えを凌ぐために、自分の血を吸う蛭ですら喰う男たち。餓えは常識や道徳や規範など容易く越える。彼らの捕虜となった米軍兵士の“普通”の感覚が異質にしか思えないほどだった。
    日本軍の兵士の多くは誇りや忠誠のために自決したという。けれども、誇りを取るか、生命の純粋な欲求を取るか、その境目はあまりにも脆い。
    その飢餓という凄惨な状況下で、あるひとつのルールを守り抜くことは愚かか、それとも誇りか。どちらが彼らの選ぶべき道だったのか、その答えはたぶん、永遠に出ない。

  • 終戦間際のフィリピン戦線。物資を輸送する任務を受けた鳴神中尉は、部下を死なせずに任務を全うすることを自らに課す。
    しかし彼の前に現れた敵は、アメリカ軍でもゲリラたちでもなく・・・。

    極限状態におけるルールの存在とは、一体何を意味するのか。
    〈それ〉を行わず、部下を死なせない事を心のよりどころに、限界を超える状況を耐える鳴神。
    鳴神と八木沢を生かすため、〈それ〉を行う姫川。
    どちらが正しい道だったのか。
    それを判断できる人はいるのだろうか。
    人として正しい道をたどる、という事が、こんなにも困難を伴うものだとは・・・。
    事実、こういった人は、当時多くいたことでしょう。
    私たちが平和を謳歌することができるのは、おぞましく耐えがたいものを目の当たりにした人たちが礎となったから。
    今を生きる私にできるのは、その事実を受け止める事だけ。
    でも忘れずにいるということは、一つの力になると思うのです。
    今の時代を薄っぺらく感じる人がいたら、ぜひこの作品の中に描かれた苦悩を読んでみてほしい。
    生きるってどういうことか、考えるヒントがあると思うから。

    ラスト間近、小指が切り取られた手のひらで、鳴神が八木沢の鼓動を確かめ続けるシーン。
    気がつかないまま読み進めてしまったのだけれど、少し先になって急にあることに気がついて号泣。
    自らのルールを守り切って、彼が最後に辿りついたもの。
    それが、〈平穏〉であってほしいと願います。

  •  あの異常すぎる状況下でも、鳴神中尉の部下を大切に思う気持ちは最後までぶれませんでした。でも姫山軍曹の忠誠心が変わらないことが不思議に感じました。もちろん、上下関係も最後まで崩れることはなく、この二人に従う八木沢一等兵はどれだけ心強いだろうと思っていたら、この結末。
    とてもやり切れないです。
    「私は死神ではなかった」という中尉の言葉が心に突き刺さりました。
     最後まで本を握りしめるように読んでいましたよ。ハードカバーなので痛かった……でも痛いと思ったら申し訳ないと思わせる内容でした。

     戦争小説を出版し続けている古処さん。この作品は特に難しい題材に挑まれたんだと思いました。一般受けはしないだろう‘戦争’をここまで固執して書かれる理由はなんでしょうか。
    でも、古処さんにはこれからもずっとこの題材に挑み続けて欲しいです。

  • 漢古処が大好きなんですけど。
    第二次世界大戦小説では、ピカイチだと思っております。
    フィクションでしかありえないのに「、臨場感があるというか…戦争の現場の哀しさが溢れていて、毎度泣かされているんですけど。

    これも、戦争(の現場)にルールはない、ただ殺し合うとか、敵に恐怖するとか、生の感情が行き交うのみなのだと思い知らされます。
    統治者から見れば、戦争も外交手段の一つなのかもしれませんけど、最前線の現場はそんなものじゃないということですよね。

    逃げたって良いと思う。生きていた方が良い。殺し合うよりはずっと良い。

  • 戦争モノです。
    内容としては悲惨なのですが、それを強調するような描き方ではなく、淡々とした印象で、読むのが苦痛という感じはありません。
    読後にタイトルはこれしかないな、と思わせるような作品です。

  • 勝利≠飢餓。

  • 太平洋戦争の、一番深く、悲惨な部分を見るような作品。
    読むのに勇気が必要だが、読んでよかったと思う。
    これを読んだら、いかに戦争が残酷なものかがわかる。
    人間から尊厳を奪い、人であることのルールすら、奪う。
    深くエグい部分が胸に突き刺さる。

  • 2010 5/16読了。つくば市立中央図書館で借りて読んだ。
    友達がずっと好きだと言っていた小説。
    5年前から読もうと思っていて、やっと読んだ。

  • 戦争モノのミステリー。 最後のインパクトが薄い気がするが途中の描写や心の葛藤が凄すぎるので最後が霞むような感じかも知れない。

  • 三十代(当時)の戦後生まれが書いた戦争小説です。
    真骨頂だと思った。
    悲惨、という一言では表せない
    尊厳や価値を奪われた、
    当時の一兵士の生き様が描かれている。
    奥の奥まで抉られる作品です。
    テレビで流れる、
    アイドルやら話題の俳優やらを使った、
    「小奇麗な」戦争ドラマしか見たことが無い人は、
    一度読んで見た方がいい。

  • 人が人であるために、最低限必要なルール《線引》とは…

    戦争小説を、この一冊に出会うまで読もうと思ったことはありませんでした。
    この一冊に出会えた事は、わたくしの人生で最も幸運な事の一つに入ると思う。
    極限状態に陥った人間が、越えてはいけない一線。しかし超えなければならなかった現実。
    それら全てが終わりを告げたとき、本当に超えてはいけないルールを侵したのは一体誰だったのかと深く考えさせられます。
    心が痛くなり、それでも出会いを感謝できる、大切な一冊。

  • 生き物は食わなければ生きていけない。
    人間は食うだけじゃ生きていけない。
    ここまでさせて手に入れたかったものは一体なんだって言うんだろう。
    ここまでさせた現実が上の人たちには見えていたんだろうか。

  • 終戦間近のフィリピン戦線。鳴神中尉率いる小隊の敵は、アメリカ兵でもゲリラでもなく、「飢え」だった…。メフィスト賞を受賞して注目を浴びた著者が書き下ろす、「若い世代のための若い世代による」新しい戦記文学の登場

  • 終戦間近のフィリピン戦線。鳴神中尉率いる小隊の敵は、アメリカ兵でもゲリラでもなく、
    「飢え」だった…。
    メフィスト賞を受賞して注目を浴びた著者が書き下ろす、「若い世代のための若い世代による」
    新しい戦記文学の登場。

  • 終戦間近のフィリピン。敗戦が目に見え、仲間や部下が死んでいき、飢えながら、それでも軍という組織の中でジャングルを進んでいく。極限状態の生と死の狭間で、『人』として生きる為のルールは問われるのだろうか。
    近代戦争作品はほとんど読んだことがなかったのですが、圧倒的な衝撃を受けました。1970年生まれという若い戦後生まれの作者がこのような作品を書けることにも驚きです。戦争の狂気と凄惨さの前にルールは必要なのか、そしてそれを越えてしまった者は、それは人なのか…。最後の八木沢の強く、悲痛な叫びが胸を突きます。
    戦争物だからと言わず、ぜひ手にとって欲しい本。

  • 古処先生の戦争小説です。もうとにかく痛くて切なくて救いもないのに読むのが止められなかったお話です。戦争を繰り返さないためにも、読むべき本じゃないかと思います。

  • ………大泣きした。
    言葉が出ない。

    凄く重い。重いけど、読んで欲しい。

    戦争なんて良くないよ。
    大切な人の為に、誰かの大切な人を殺すんだから。

    戦争とは人としての尊厳のルールを破る事。

    悲しい?苦しい?恐怖?焦躁?
    どんな言葉でも表現し切れない程の感情が
    この本には詰まってる。

    衝撃でした。
    死ぬよりも残酷な現実。
    その中でも尊厳を守った人。
    人のルールを破ってでも貫き通した人。
    引き止める事の出来ない感情。
    涙が溢れて止まりません。

  • 前面銀箔が美しい。下方に小さくタイトルが載っているが、書店に並んでいる時は帯で隠れている。
    内容は戦争物。
    飢えるということについて。好き嫌いの多い自分には、ごめんなさいと思わざるをえない。

  • 装丁が良い。中身も良い。読後には考え込んでしまう。余裕のあるときに読みたい本。でないと一日など軽く経ってしまうから。このタイトルも秀逸。「ルール」とは何による何のためのどういったものなのか。私は何度も考える。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。2000年4月『UNKNOWN』でメフィスト賞でデビュー。2010年、第3回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞。17年『いくさの底』で第71回「毎日出版文化賞」、翌年同作で第71回「日本推理作家協会賞(長編部門)」を受賞。著書に『ルール』『七月七日』『中尉』『生き残り』などがある。

「2020年 『いくさの底』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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