エンブリオ

  • 集英社 (2002年7月19日発売)
3.34
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Amazon.co.jp ・本 (488ページ) / ISBN・EAN: 9784087753134

作品紹介・あらすじ

九州の小さな海岸の町。不妊治療に実績をあげるサンビーチ病院で「神の手」と患者たちに慕われる人気産婦人科医の恐るべき企み。生殖医療の底知れぬ闇を浮かび上がらせる書き下ろし1000枚。

みんなの感想まとめ

生殖医療の暗い側面を描いたこの作品は、九州の小さな町にあるサンビーチ病院を舞台に、人気産婦人科医の驚くべき企みを中心に展開します。物語は、医療の進歩と倫理の狭間で揺れる人々の姿を描き出し、読者に深い考...

感想・レビュー・書評

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  • 産婦人科の先生の話で終わると思いきや……。
    金持ちというのか?おじさんの病気を治すために若い愛人を妊娠させ、その胎児を利用するみたいなのは受け入れられない。
    でも、ページをめくる手は止まりませんでした。

  • この小説、人が死ぬ必要あるのかなぁ。
    科学的知見とガジェットが素敵。そう考えると、とても近い未来を描くSFなのかも。

    ***
    「魚の群れって、小鳥の群れ と同じね。全体ではいろんな形になる」加代は水槽の上の方を見上げる。「でも唯一大きな違いは、音が全くしないこと。さっき先生を探すときも、叫ぶという行動を思いつかなかった。魚みたいにいろんな部屋を回ってみて、やっとここに辿りついたの」

    「疲れやすいでしょう?」岸川は訊く。易疲労感に対しては何も処置をしてやれないが、質問することでいくらかでも患者の負担は減らせた。一部始終を主治医に分かってもらっているという安心感が苦痛を和らげる。

  • 医学の小説だが結構衝撃的 産まれる前の赤ちゃんの臓器を培養して部品取りしたりする話

  • http://mediamarker.net/u/pyon/?asin=4087753867
    これの続編だという「インターセックス」についてを
    メディアマーカー・読了コメントRSSで興味を持つ。

  • 初めて読んだ著者でしたが、読みやすい。医大出身だけに医療用語や内容がとても詳しく引き込まれました。男性が妊娠したり、不妊治療の最先端の話。しかしながら裏ではひっそりと誰にも知られず人を殺していた主人公。どんどん読み進められる1冊です。近い将来、本当に男性が妊娠できれば世界の価値観が変わると思いました。

  • 医療の奥深い所に鋭いメスを入れながらも、
    素人でも読みやすい作品だった。

    内容紹介どおりの内容。。。
    九州の小さな海岸の町に
    贅沢な施設と高度な医療で知られるサンビーチ病院がある。
    不妊夫婦に福音をもたらし
    患者たちに「神の手」と慕われる院長は、
    産婦人科医の岸川卓也だったが、彼にはもう一つの顔があった。
    男性に本人に無断で妊娠させたり、
    人工子宮で中絶した胎児を育てたり、
    死産の胎児から臓器移植を目的で臓器を冷凍保存したり・・・。
    法律に触れてはいないが、
    人間としてタブーとされてきたことを
    研究と称して医療の裏側で行い、学会に発表していた。
    彼の妻や右腕として働く男性たちも彼を裏切る行為におよぶと
    服毒死させたり、事故にみせかけて、殺されていった。
    果たしてこの医者はどこまで神域をおかすのだろう・・・。

    エンブリオとは、
    ヒトの場合、受精してから8週までの生命体をいうそうだ。
    それ以降は「胎児」というが、それまではエンブリオ。
    「人工子宮で胎児を育てる」ではなく、
    「人工子宮でエンブリオを飼育する」といわれている。

    不妊で悩む夫婦や
    未婚で妊娠してしまい処置に困った女性たちにとって
    岸川は神様に近い存在なのだが・・・
    私は、どうももう一つ、好きになれない。
    やはりこの世に生を受けた以上、
    人間の力では触れてはいけない部分もあると思う。
    大自然の摂理とでもいうのか、人としての道徳というのか。
    神秘的なその領域は
    解明されていけば不治の病も直せてとても画期的なことなのだが・・・。

    幸いにしてこの手の悩みもないアナログ人間の私には、
    岸川の行っている医療は受け付け難い。
    健康体で医者の世話にならずにすんで本当に良かったと思う。
    健康に産んでくれた親に感謝したい気分だった。

  • 高校の図書館の新着コーナーにあったので読んでみた本。
    男性妊娠を試みる同人誌かよっていう内容だった。
    受精卵を男性の体内に入れて出産に至るかっていう感じだったかな?
    幻想小説、奇怪小説とかのたぐいではなくて、普通にまじめに?現代小説だったよ。

  • 読みおわったトコでは、え!これで終わり?と思って私が盛大に読み飛ばしたかと思ったけど、そうではなく、他にもそう思った、という方の感想を見て少し安心。続編があるらしいので、ぜひとも読んで見なければ。

    主人公の医師は善人か悪人か。
    この医師は患者のために精一杯できることをしてるし、医学の進歩にも多分貢献しているのでしょう。
    その一方でエンブリオをパーツとして扱い、患者のために使う。
    自分の中で倫理観というものがよくわからなくなりました。
    あ、でも、奥さんを含め、邪魔になった人間を次々と排除するのは明らかにダメでしょ。

    あと本筋にはあんまり関係ないけど、子供が欲しいけど、なかなか出来なくて不妊治療をしている人の気持ちが少しわかりました。

  • 2014.10.31

  • 結構面白いけど、何かものたりない。

    中絶した胎児を培養して臓器にしたり、男性に胎児を着床させたりする医療系の話で、もう一つのテーマは…

    不妊と中絶と胎児の生命を扱ってて、結構面白いですが、ちょっと長いのと、もう一つのテーマがあっさりしすぎかな。

    読んで損するってほどではないけど、メチャメチャおすすめするほどではないです。

    医療系の話が好きな人にオススメです。

  • 日本では毎年出生数を上回る人工妊娠中絶がおこなわれているといわれ、一方で子供がほしくてもできない夫婦が高額かつ過酷な不妊治療で疲弊しています。養子が定着しない日本では、両者をつなぐ方法は胎児の”再利用”、だけなのかもしれない。

  • 読んでいて顔が歪んでしまうけど。
     
    女の人って、そんなに単純じゃないですよ…。

  • そこで終わり!?みたいな尻切れトンボ感半端ない。
    ここから先が気になるのに,そんな所でやめないでよ,って感じ。

    とか言いながら,別シリーズもあるから,そっちも読んでみようかと思う。

  • いろんな意味でかなり重い作品です
    私が医療系の作品を読むようになったのは海堂尊さんの『チーム・バチスタの栄光がきっかけなのですが、帚木さんの作品は海堂さんの作品とは全く世界感です
    海堂尊さんの『ジーン・ワルツ』と根本のテーマは同じはずのこの作品ですが、ここまで違うとは…(^-^;

  • 九州の小さな海岸の町。
    贅沢な施設と高度な医療で知られるサンビーチ病院。
    不妊夫婦に福音をもたらし患者たちに「神の手」と慕われる院長の産婦人科医、岸川卓也のもう一つの顔。
    男性の妊娠、人工子宮、胎児からの臓器移植…。
    生殖医療の無法地帯に君臨する医師の狂気の華がひらくとき。
    生命の尊厳と人間の未来を揺るがす書き下ろし長編小説。

    帚木さんの医療サスペンス。
    これはラストもすき
    医療ものだけど、あんまり手術描写は多くないのでそういうのが苦手な方でも大丈夫だと思います。

  • 詠み進めるにつれて、自分の中の倫理観が崩壊していった。最初は命を弄んでいると覚えた嫌悪感が、だんだん麻痺していくこわさ。

  • エンブリオ=受精から2週間以上、そして9週間以内の胎児。

    本書ではこのエンブリオを題材とした先進医療を題材としている。

    例えば子供の心臓疾患の治療のために、エンブリオである弟の心臓を取り出して移植するといったもの。

    当然弟は心臓を失って死ぬわけで倫理的には大いに問題がある。

    しかし主人公の病院ではエンブリオの人権は「ない」ものとすることでこうした医療を可能としている。こんな医療をしているが、多少の名誉欲はあるものの、最新医療研究への探求心と、患者を幸せにしたいという、まっとうなモチベーションを持ち、一概に悪人と断ずることはできない。


    ある意味では常に倫理の問題と直面せざるを得ない最新医療のあり様を率直に描いているのだと言える。

  •  患者達、特に不妊に悩む夫婦からとても信頼され慕われるサンビーチ病院の院長・岸川卓也。それは他の病院とは格段に違う実績に伴うものだったのだが、実はこのサンビーチ病院には裏の顔があり、院長が秘密裏にすすめる実験や処置が数多く存在した。

     以前に読んだ「臓器農場」と同じく、倫理が問題となる作品である。人工授精はもちろんのこと、中絶した胎児の臓器を保存・培養・活用してすでに生まれている兄弟の治療にあてたり、亡くなった女性から卵子を採取し、人工授精させて違う女性に着床させたり、男性の身体や人工子宮を使って妊娠を継続させたりなど、岸川やそのチームは、命を操作するというある意味”神の領域”とも呼べる場所にもどんどん進出していき、なんとかして命を生み出せないか、本来廃棄する堕胎した胎児を病気の治療に有効活用できないかと研究をすすめていく。これがお金目的ならば賛成できないとはっきり言えてしまうのかもしれないが、そうではなく、この岸川、まず患者ありきの姿勢をくずさない。この岸川の研究の成果によって、サンビーチ病院に訪れる患者は涙を流してまで喜ぶ患者が大多数である。そこまでして子供が欲しいのかと他の病院では非難されて処置を拒否されてしまうことや、産科学会ではタブーとされていることも、岸川は説明して患者が望めばそれを行う。読めば読む程、なにが正しくて何が正しくないのか、いいことなのか悪いことなのか、自分の倫理観がわからなくなってくる。・・・ただしそれは前半のみかな~。後半、この秘密を漏らそうとする人間をどんどん始末していく岸川。あっさり女にファーム(研究場所)見せたのはどう考えても自分の落ち度なのに。あと、患者に説明せずに嘘をついて実験することも増えてくる。最後は「え、勝ち逃げ!?」と思ったけれど、どうやら続編があるよう。これは早急に借りてこなければ。

      日本は(アメリカとは)逆だ。
      不妊治療にはあれこれケチをつけるくせに、
      中絶には度はずれて寛大なんだ。

    確かになぁ。


      岸川はそうした記事を読むたびに怒りにかられる。
      いたいけなわが子に虐待を加える大人たちは、
      あまりにも簡単に子供を手に入れ過ぎたのではないか。
      道端に転がる石のように、いつでも得られるものと、
      傲慢に考えているのではないか。
      そういう親には、初めから赤ん坊を与えず、
      わが子の存在のかけがえのない尊さを味あわせてやりたい。

    虐待のニュースを見ると、自分もよく思うことである。あと、少子化と騒いで生まれた子供に関しては子ども手当てやら乳幼児医療やら援助を次々と考えるのに、不妊治療に対していまだほとんど保険がきかず常に経済的負担が大きいとか、あれもわけがわからない。そんな夫婦の立場からすれば、岸川の行いが神様のように思えてしまうのも致し方ないだろう。

  • これは…まさに「生命倫理」への挑戦。
    終盤の主人公の行為は別にして、主人公の行っている医療行為について是とするのか非とするのか、医師としての帚木氏の考えを知りたいと思った。

    「インターセックス」の前にこっちを読んだほうがいいとのアドバイスをたくさん見かけたので。次は「インターセックス」読みます。

  • 07.3.9

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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