クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国

  • 集英社 (2003年10月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (552ページ) / ISBN・EAN: 9784087753264

作品紹介・あらすじ

天正少年使節とは何だったのか? 信長・秀吉時代の日本が初めて相対したフェリペ二世らの世界帝国。その対決の中で翻弄された4少年の悲劇。世界史的枠組の中で日本の歴史を読み直す画期的情熱本! 第31回大佛次郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 分厚〜く読み応えある本!
    天正少年使節を取り巻く
    当時の日本の情勢&宗教感から
    戦国大名(宗麟 信長 秀吉...高山右近!)
    キリスト教会の内部事情まで
    ものすごくぎゅぎゅっとな1冊
    これを元に小説化そして
    大河ドラマ化してくれないかな〜
    多分一般的に持たれている
    戦国時代のイメージが
    がらっと変わって
    より面白くなると思う!

    表紙絵も表紙裏の世界地図も
    とても良い!

  •  おもしろい。なんでキリスト教が急に広まったのかやっとわかった。戦国時代のキリシタン大名や宣教師について詳しく述べているので読むのにとても時間がかかるけど面白い。

  • 戦国時代末期から江戸時代初期のキリスト教を巡る日本の状況、ヨーロッパの状況を、学者らしく膨大な資料の中から事実のみ拾い上げています。
    4人の少年の話はむしろおまけっぽいですね。
    ヨーロッパ美術史を専攻した方なので、キリスト教寄りの立場が多いですけど、その辺を割り引いても良書だと思います。

  • 圧倒的。
    ハードカバーで500ページを超すこの大書を読み終えたときは、爽快感と寂寥感がないまじった感動に包まれました。

    戦国時代の日本と世界が交錯する様子を、天正少年使節の4人の少年(クアトロ・ラガッツィ)の人物や彼らを取り巻く環境を中心に、膨大な資料を元に、浮かび上がらせています。

    信長、秀吉、家康らのときの有力者たちが、新たに日本にもたらされた宗教とどう対峙したのか、また逆に、それをもたらした布教者たちは彼ら有力者や庶民とどう向き合ったのかを描くことで、彼ら一人一人の人間像が語られているようです。

    本書は歴史書だと言って差し支えないと思いますが、それらのそれぞれに魅力的な人物たちのお陰で、大作ながら小説のように、どんどんと読み進めることができました。

    4人の少年たちや日本のキリシタンの運命はある意味では残酷であっただろうとは思いますし、彼らに対して胸の痛い思いがしますが、一方で、最終章を読むと、彼・彼女たち本人は自分たちの運命を恨んでなどはいなかったのでは、むしろ彼らは平静のなかに死を遂げていったのではという思いも残りました。

    紛れもない傑作です。

  • 夏休みの課題図書として選んでみたけどボリュームが大きくて返却期限を1日過ぎでの読了。日本の戦国時代とヨーロッパの大航海時代を、宣教師達の活動と、その宣教師達からキリシタンやラテン語の教育を受けた日本の少年達がスペイン国王やローマ法王に謁見しに行く壮大な航海(リスボンまで2年半!)で結びつける超大作。読み応えタップリ。少年達のヨーロッパへの冒険は成功をおさめるが、帰国後は徳川幕府のキリシタン迫害による暗黒の時代に突入。読み終わった後味がドンヨリする。

  • 中世の歴史に興味がある方にオススメです。16世紀終わりに12歳から14歳の4人若者が、8年以上の歳月をかけ日本~ローマそしてローマ~日本という奇跡のような旅をした少年使節団のドラマを軸に、スペインの世界支配という世界史のうねりに巻き込まれた日本人が体験した西洋との衝突を、権力者から一般庶民に至る、それぞれの人生を通して多面的に語る壮大なドキュメンタリードラマです。
    室町時代から江戸時代にかけての本は、国内の争乱についてばかり語ることが多いですが、世界史の視点で語る日本の中世の姿(外国人の視点など)は、現代の我々が中世について掴みあぐねるイメージを鮮明に映し出してくれます。本書に登場する、権力者、宣教師、一般庶民などそれぞれの立場の人たちの生き様は、まさに百花撩乱!
    人間ドラマの宝庫です。主人公である少年使節団の四人のドラマは勿論ですが、キリシタン大名で有名な高山右近の生き様、彼の残した言葉などは、四百年以上経った今でも輝きに満ちており、感動に胸震が震えます。
    かなりの力作なため、ページ数も多いですが非常に質の高いドキュメンタリーであり、後世に残したい一冊であります。

  • ものすごくよかった!!!
    メチャメチャ調べて、メチャメチャ詳細に書かれているので、
    頭に全てをおさめるのに時間はかかるけれど、
    すごく上手に整理されているので、
    わかりにくいということは全くなかった。
    ノートにまとめながら読もうかと思ったけど、
    全部大事だからまとまらないなーと思い、諦めた(^^;;
    時々ポロッと出てくる著者の感想や本音みたいなのが、思わずクスッと笑ってしまう感じでおもしろかったw
    カトリックの伝来から、浸透と迫害の経緯が時系列でとてもよくわかったので、学生時代の歴史を勉強していた頃に読めたらよかったのになぁと思った。
    カトリックと四人の少年たちが華々しい時代を経てきただけに、、、最後の寂寥感たるや。。。(T ^ T)

  •     -2023.07.16読了

    長大なる見事な語り世界

  • ☆大陸への時代

  • 天正遣欧少年使節について、何も知らなかったと思い知らされた。これを著するためにどれほどの資料を集め、比較検討したのか。それを読める幸せ。ありがとう!

  • 長かったぁ~・・・けど、戦国時代の捉え方が変わった。
    四人の少年使節の顛末は壮絶。
    それ以上に、スペイン・ポルトガル・イタリアの
    宣教師による布教。
    そして信長の野望と、光秀の決行、家康の構え。
    天下統一へと動いた戦国時代の日本人キリシタン。

    ルターの宗教革命によりプロテスタントが増え
    カトリックは一層の布教活動を行う必要があった。
    「世界経済と世界布教というふたつの大きな波が
    十六世紀の戦国時代の日本に怒涛のように押し寄せた」とある。
    この本は2003年の出版だが、
    同年、千々石ミゲルの墓が発見されている。
    また2017年には、ロザリオとみられるガラス球が見つかり、ミゲルは棄教していなかったのではないか、
    と報道された。
    ザビエルが鹿児島に上陸してから、第一次鎖国令を幕府が出すまでの八十余年、「日本はまさにキリスト教の世紀」を
    迎えていたのである、
    というエピローグに、改めて感動した。

    帰国後の千々石ミゲルの人生を描いた小説『マルガリータ』(村木嵐)を読んでみようかな。

  • 分厚い本だ。それだけに読み応えがあった。前半の光栄と高揚感。それが後半になって挫折と迫害となって襲いかかってくる。いつも、青年は時代の波に翻弄されるのだろうか?

  • 織田信長の時代、4人の少年たちがキリスト教の布教活動の一環として、日本からヨーロッパへ旅立った。日本に帰国するまでにおよそ8年かかり、時代は豊臣秀吉、徳川家康へと変わっていく。

    歴史的資料を元に時代背景を丁寧に説明する出だしと思っていたら、その調子で最後までいく内容。4人の少年たちの報われない結末がよく理解出来たが、物語を期待していた。

  • 『クアトロ・ラガッツイ』スペイン語で『四人の少年』
    ジャニーズ系四人のヨーロッパ旅行記…ではありません。
    この四人について書かれているのは、うーん、3割以下かな。

    出口治明さんのお薦めだから図書館に予約。
    いよいよ二番になり、「もうすぐ♪」と思ったところ、なんとそれから、わずか一日で受取可に。
    「前の人早っ!」と思ったけど、実物見て納得。

    厚さ3.5センチ。重さ900グラム。しかも二段!
    前の人、二週間で読めないと思って諦めたんだ!
    でも私、読み始めたら「こんなに面白いのが550ページもあるなんて!」と楽しくなってきました。

    裏表紙の肖像画。左上から横に順に
    フェリペ二世
    フランチェスコ・デ・メディチ
    織田信長
    グレゴリウス十三世
    ヴァリニャーノ
    豊臣秀吉
    シクストゥス五世

    そのほとんどに、四人の少年は会っているのです。
    ローマ法王が二人いるのは、間にコンクラーベがあったから。
    この顔ぶれ、歴史ファンには、たまりません。
    胸がキュンとします。

    この本ではキリシタンがすごく素敵に描かれています。
    まずイタリア人ヴァリニャーノ〈若いときに殺傷事件おこしているけど〉かっこよすぎ。
    関西のキリシタン大名。
    そして四人の中でもジュリアン。彼は補欠だったのに、後に一番ひどい殉教となるのです。

    もし私がこの時代にいたら、間違いなくキリシタンになっていると思います。
    そして殉教したキリシタンたち、もし今の時代に生きていたらどうだろう。
    きっと多くがキリシタンにならないのではないか?と。

    だから、もしも、イエスキリストがただの人だったら。
    天国も復活もないとしたら。
    イエスの罪は重いと思いました。

    こんなにキリシタンを素敵に描いた若桑みどりさんはキリシタンではないのです。
    でも子どものころキリスト教の学校に行っていたとあり調べました。
    玉川学園でした。
    そして余談ですが、彼女は途中で都立駒場高校に編入しているのです。
    すごいびっくり!なんでかというと、それを知った翌日、私は都立駒場出身の旧友と久しぶりに会う予定があったから。
    その後、彼女と頻繁にメールをしている状態なのです。
    こういう偶然はとても嬉しい。

    そして私は若桑みどりさんがとても好きになってしまったけど、彼女はこの本がでた四年後に亡くなっています。
    いろいろ悲しいです。

  • 歴史的資料の正しい読み方がここにはある。
    歴史的人物をありのままに描写し、個人的な批評は挟まない。
    また当時の、古代ローマ以来のキリスト教徒の迫害と彼らの信仰のすごさも同時に伝わる労作。
    事実は小説より奇なり、圧倒的なボリュームで迫ってきますが、とても読みやすい文章です。
    私にとっては、久々のヒット作でした。

  • キリスト教から見た日本という視点が面白い。

  • ★国内外の多くの史料、文献に目を通していて感心する。著者のヴァリニャーノ、高山右近、織田信長びいきにもむしろ好感が持てる。26聖人殉教のシーンは涙なくしては読めない。ただ長い。

  • ほんなび-出口治明

  • (要チラ見!)/文庫

  • 日本史の軸におかれる天正少年使節団を世界史的視点から捉え直したもの。為政者が考えた宗教(鎮護国家)、4人のその後、活版印刷の伝来、ヨーロッパでの受け止め方等勉強になる点が多い一冊。

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著者プロフィール

若桑みどり (わかくわ・みどり):1935-2007年。東京藝術大学美術学部芸術学専攻科卒業。1961-63年、イタリア政府給費留学生としてローマ大学に留学。専門は西洋美術史、表象文化論、ジェンダー文化論。千葉大学名誉教授。『全集 美術のなかの裸婦 寓意と象徴の女性像』を中心とした業績でサントリー学芸賞、『薔薇のイコノロジー』で芸術選奨文部大臣賞、イタリア共和国カヴァリエレ賞、天正遣欧少年使節を描いた『クアトロ・ラガッツィ』で大佛次郎賞。著書に『戦争がつくる女性像』『イメージを読む』『象徴としての女性像』『お姫様とジェンダー』『イメージの歴史』『聖母像の到来』ほか多数。

「2022年 『絵画を読む イコノロジー入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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