- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087753561
感想・レビュー・書評
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中学生のときに読んだ一冊。
こんなに厚いミステリーの本を読んだのは初めてでした。途中でどんでん返しがあって、夢中で読んだのを覚えてます。
読み応えがあって、中学生だけど楽しんで読めたぞって優越感に浸った印象的な本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今邑彩の作品は、ホラー&サスペンス調でハラハラしながら読めるけど読後は鬱になるわけでもなくむしろスッキリする点が好き。
特に短編は良くまとまっていてテンポもよい。
彼女の長編を読んだのはこの本が初めてだけどその特徴は健在で安心した。
ラストはかなり泣ける。
兄弟愛・家族の血縁というありふれたテーマでも登場人物のキャラクターが丁寧に描かれてるので飽きずに読める。
特に優太の幼なじみの女の子は同人誌書いたりファンサイトを作っていたりで妙にリアル…。「イマドキの中学生」を書くのがうまい。 -
2010/12/14 読了
性格は遺伝子で作られるのか、環境で作られるのか、難しい問題ですね。
私には妹がいますが、同じ環境で育った割には性格は正反対です…。 -
子供を助けようとして線路に飛び降りたが代わりに命を落としてしまった父と、画家として才能を発揮する母。そんな両親の間に生まれた兄・桐人と弟・優太。容姿端麗で何でも器用にこなす優秀な兄に、チビでニキビ面で何をやってもダメな優太は劣等感を抱いていた。こんなに似ても似つかない自分達は本当に兄弟なのか?そんな疑問を日々抱きながら生活していた優太はある日、小さい頃からずっと大切にしてきたクマのぬいぐるみの腹に不自然な縫い跡を見つける。開けてみると、中からはなんと自分が本当の父親だと名乗る男からの手紙が入っていた。
一言でいえば、”犯罪者の血というのは存在するのか?”という問題と、そんな秘密をかかえてしまった家族や兄弟の絆について書かれた作品である。桐人の物事の考え方が0か1か両極端すぎてなんで突然そんな行動に!?というのは確かにあったが、でもこれがイコール犯罪者の血のせいだとは思わないなぁ。単に性格の問題だろう。自分もそういうところがあるので、なかなか他人事には思えず。桐人の自殺を止めるシーンがこの作品の山場であるが、何ページにもわたる優太の説得は、私には珍しく素直に感動してしまった。いつもならこういうの、「嘘くさい~」と思ってしまうことも多いのだけど。あらすじに”ホラーミステリー”とあり、また、表紙もなんだか怖い感じがするが、意外にも結末はハッピーエンドで読後感もさわやか。いい話だった。 -
沙羅は
かつて1年間一緒に暮らした
その男のことが好きだった
その男は
沙羅の家族
父と母と姉を殺した男
そして沙羅は
その男の妻が産んだ男の子を
我が子として育てた
彼を息子として育てること
彼の生きている姿を描くこと
そして最後の時に一緒にいてあげること
そのことで
自分の嫉妬により
家族が殺されたと感じる責任から
逃れようとしていたのかもしれない
子どもを殺されたら
親は犯人を許すことは出来ない
親を殺された子どもは
許せないことよりも途方に暮れる
親子はひとつだとしても
親と子は同じではない
家族の物語だけど
不自然な死が多く
その死の理由を読んでいるような気がした -
●あらすじ●
三年前、不慮の事故で父を失った日向家。顔のない少年の絵を描く画家の母・沙羅と、兄弟二人の三人家族。
兄・桐人は中学三年生で、成績優秀、スポーツ万能、背が高くて男前。中学ではファン倶楽部まで設立されてしまうほどの超有名人。一方の弟・優太は、桐人と血を分けた兄弟とは思えないと評されるほど冴えない男の子で、成績も悪いし、スポーツもダメ、チビでニキビだらけの中学二年生。
ある日優太は、幼いころから大切にしていたクマのぬいぐるみ"ユータン"のお腹の中に、手紙が仕込まれているのに気付く。それは亡き父から自分に宛てた謎のメッセージだった。その意味を知るために、母には内緒で動き始めた優太は、ひとりで岡山まで赴き思いもかけない事実を知る。
自分は事故で死んだ父の子ではないのか!?強くショックを受ける優太に手を差し伸べてくれたのは、兄の桐人だった。「お前はなにがあっても僕の弟だ。この家に必ず帰って来い」と。
しかし優太の出生を調べていくうちに、過去の残虐な一家皆殺し事件の真相を知ることになり、今度は桐人がこの事実に苦しめられることになる。優太は絶望する兄を助けようとするけれど…。 -
優秀な兄と出来の悪い弟・・・
一見よくある兄弟のいつもの生活が
ぬいぐるみの中から出てきた手紙で一変する
読み続けていくうちに
こちらの心の中を掻き回すようなスリリングな作品。
良い歯車はいつも
良い方向へと向かっていくのだか゛
良い歯車とはいったい
誰が決めるんだろう?
そんな事を少し思い、
神様はきっと
誰の心の中にも住んでいて
自分を本当に出し切った時に初めて少し背中を押してくれる存在なんだろう
なんてとこに共感を得ながら
ドキドキで読み更けました。
是非読んでね -
本筋は出生の謎をたどるミステリ、なのだけれど、それよりもこれは兄弟愛の物語、という気がする。ラストには感涙。
「人はどうして犯罪者になるか」というのもテーマのひとつ。素質なんだとか環境なんだとかいろんな考えが出てくるんだけど、「自分には犯罪者の素質がある」というので苦しむ少年の感情が痛々しい。だからこそ、そこで「家族の支え」てのがものすごく感動路線に誘導するんだよなあ。
このタイトルも良いなあ。作中に同名の絵画が出てくるんだけど、これもイメージするとなんだかぞくりと来る雰囲気。 -
図書館で借りた。
顔のない少年を絵の中に必ず登場させる画家を母に持つ兄弟とその周辺の話。キリスト教に関係する名前が所々に使われていて、それが物語の中でしっかり使われていた。
あとがきにいい事が書いてあった。以下抜粋。
「あなたが手にする「ノンフィクション」が、実のところ、ほんの一つまみの「事実」を虚構で練り上げた「作り話」でないことを祈っています。」 -
とても感動しました。
『重力ピエロ』を思い出すような内容でしたが、断然こちらの方がおもしろいです。