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Amazon.co.jp ・本 (600ページ) / ISBN・EAN: 9784087754179
作品紹介・あらすじ
幕府に翻弄される庄屋、圧政に苦しむ百姓、身命を賭して民を守る名君。九州・久留米藩を舞台に、大庄屋の次男・庄十郎が医師を志す成長物語。名も無き人々への慈愛に満ちた渾身の長編小説。
みんなの感想まとめ
医師を志す若者の成長と、彼を取り巻く人々の生き様を描いた物語は、江戸時代中期の九州・久留米藩を舞台にしています。主人公の庄十郎は、病気を克服した後、母の死という悲劇に直面し、家を追われることになります...
感想・レビュー・書評
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江戸時代中期、久留米藩の大庄屋の次男坊として生まれた庄十郎
跡継ぎとなるおとなしい兄に比べ、好奇心旺盛で百姓に混ざって働き、大人の話を興味深く聞く庄十郎だったが、ある日疱瘡にかかってしまう…
病に打ち勝った庄十郎だったが、彼を看病をし疱瘡にかかってしまった母と荒使子ののぶはあっけなく死んでしまう…
そのことで兄に「母が死んだのはお前のせいだ」家を追われる
二度と帰って来ることはできないと、庄十郎はわずか14歳で自分の病を癒やしてくれた鎮水に弟子入りし、医師を目指す
それから一度も故郷を訪れることもなく、修業を重ねる庄十郎
『天に星、地に花、人に慈愛 』
『人』には百姓も含まれているはずなのに…
悪天候、害虫により作物を得られず餓死していく百姓…
こうした餓えと年貢などの圧政に百姓の怒りは一揆に向かっていく
鎮水の教えを守りやがて独立し、凌水先生となった庄十郎
常に百姓の生活を見つめ寄り添う凌水
やがて…
田植え、祭、雨乞い…
筑後平野に息づく人々の生活が浮かび上がってくる
登場人物には実在していた人物もおり、作品は涙なくしては読めなかった
「人間ちいうもんは、ここぞと思うときに、命ば懸けなきゃならんときがある。そのとき、世の中におったかおらんかで、そのあとの世の中ががらりと変わってしまう」
こんな影響力のあることは私にはできないけど、せめて今日1日誰かを笑顔にしたいな〜自分も笑顔でいるようにしたいな〜と思った
ずっと手元に置いておきたい作品詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公の庄十郎は大庄屋の次男坊としてうまれ、医師となった。医業を通して、農民はじめ人々の生活に寄り添い見つめた日々を描いた物語。
特に当時の世の中は理不尽で無情なことも多い。しかしその中で奮闘し、“生きる為に生きていく”人々は力強く、想いも強い。
物語では庄十郎の視点で立場の異なる様々な人の生き様を垣間見、胸を打たれた。
全体を通して心情描写は控えめな印象だけれど、それ故にか、事が起こり出来事が蓄積され、それぞれの人生となり、この国の歴史となっていく、そういう感覚を持った。 -
大庄屋の家に生まれた庄十郎は、才能あふれる若者。兄は跡継ぎに自らは医師に。庄十郎の研鑽も見事だが、兄の生き方もまた意味があったと思えた。
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天に星地に花を 帚木蓬生読了
久留米藩領、大庄屋である高松家の次男に生まれた庄十郎が主人公。幼い頃、彼は疱瘡にかかるが、懸命に看病してくれた母と使用人が代わりに亡くなってしまう。この悲劇を機に、後継ぎの実兄から「母を殺したのはお前だ」と家を追われ、自らの命を救ってくれた医師に弟子入りする。その後、彼は故郷に戻ることを許されないまま、飢饉や重税、一揆という過酷な運命に翻弄される筑後平野の百姓たちのために、生涯を捧げる医師へと成長していく、その先に訪れる運命とは。。特徴は二つ、捨て身で百姓を守った家老の書「天に星 地に花 人に慈愛」という言葉が作品の根底に常に流れている事。そして、筑後平野の美しい情景描写とともに、医師としての師弟愛、親子の情愛、そして理不尽な世の中に抗う人々のエネルギーを、涙なしには読めない筆致で綴られている事。圧倒的な情感にゆさぶれれる事間違いなし文句なしの5☆で~す。 -
天に星、地に花、人に慈愛
家老 稲次因幡正誠の座敷の掛け軸に書かれていた言葉。
漆黒の天に星を見、暗黒の地に花を見出し、漆黒の人の世にわずかなりとも慈愛を施す。それが医師の仕事である高松庄十郎は思う。
自分が疱瘡に罹り、それに母が感染し、その母が亡くなる。母が死んだのはお前のせいだ、親不孝者と兄に責められる。父は何も言わないけれど、埋めようのない溝ができたと思った庄十郎は自分の疱瘡を治してくれた鎮水先生の元に行き、医師の道を志す。その際、兄に金輪際この家には帰ってくるなと言われる。
弟子を取らないと言う鎮水先生に、「先生から追い返されたら、もう二度と家にはもう二度と戻れない」と庄十郎は訴える。そこまでの決意をしてきた庄十郎を鎮水先生は受け容れる。このとき庄十郎14歳。
そんな庄十郎のそれからの人生と、公儀から下った年貢の増徴と夫役に対する百姓一揆とを背景に織り込みながら物語は進む。
庄十郎がまだ父の元にいるときにも年貢の取り立てのことで一揆が起こりそうになった。それを鎮めたのが家老 稲次因幡正誠。1人の犠牲者も出さなかった。
しかし、庄十郎が大人になってから一揆が起こりそうになった時には、稲次因幡正誠のような家老はいなかった。いたのはただ贅沢にふける愚かな領主。そこに一揆が起こり、それをなんとか鎮めたけれども、その責を庄屋や百姓に転嫁し、そのうちの数十名を処刑する。
その理不尽を我慢などできようか。しかし、我慢するしかないとしたら。
その後に残されたものに何か良きものを見出していくしかないのかも。それは苦しみを伴うけれども。
「お上の気に入らんことでも、人間は正しいことをせねばならない」
その正しいことをした結果、理不尽を被ったとしても、人はそれでも生きていかなくてはいけない。
天に星、地に花、人に慈愛を見出しながら。
後半は読みながら涙があふれてきました。 -
必読の一冊
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医師となった大庄屋の次男の人生を軸に、ばか殿の圧政、農民の暮らしや困窮や怒り、有能な家老、大庄屋、庄屋の姿を描く。久留米藩有馬家領において。慈愛に満ちたまなざし。
描写は凄惨、出産シーンは目に浮かぶよう。
読み応えあり。 -
久しぶりに胸にぐっとくる小説を読んだ。
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久留米有馬家御領を舞台に、井上村大庄屋高松家の次男・庄十郎の生涯を主軸に、圧制に苦しむ領民、百姓と庄屋、大庄屋との確執、かつて一揆を捨て身で食い止めた御家老・稲次因幡の生き方などを、農村の自然溢れる描写と、どこまでも逞しい百姓たちの生き様とともに描く歴史小説。
久留米の土地柄や歴史に疎く、前半はなかなか進まなかったけれど、庄十郎が医師を志し、名医・鎮水の弟子となったあたりからはグイグイ引き込まれて読んだ。
一部表題にもなっている「天に星、地に花、人に慈愛」という家老・稲次が掲げた掛け軸の言葉が作品全体を優しく包む。
遊興の限りを尽くし、領民にその犠牲を強いるばかりの為政者。それを体を張ってでも諫めることのできない側近達。二度目の一揆騒動で不幸だったのは、家中に稲次のようなものがいなかったことだという言葉が胸に沁みる。国を治める者の度量というものをしみじみと思う。
「人間は、お上が気に入らんでも、正かこつなら、せにゃならんこつがある」
一揆の責めにあい多くのものが断罪されたとき、庄十郎がみよに言った言葉が深く胸に刺さる。
昔のことを描きながら全く古びず、今に十分通じる人の在り方というものを深く描いた素晴らしい作品でした。 -
2019.8 筆致力のある本でした。
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江戸時代の筑後川沿岸の農村の、苦しい農民たちの生活を見ながら育つ大庄屋の次男が主人公。さすがの筆者、重厚で一気に読みきった。登場人物の一部は史実上の人物であったことはあとがきに記されていたが、謙虚に自分の精一杯の奉仕をして生きる人々の生き様は、時代を超えて胸に迫った。
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本著者が好きで手に取ってみる。時代小説、庄屋の次男が疱瘡を助けてくれた医者に弟子入りし、医者になる。飢饉や大名の年貢増加等、困難な時代を医者、農民目線で時代が描かれる。
本著者は好きなのだが、最初は読みづらかったなぁ。農民の怒りがたまり、一揆を起こそうと集結、それを主人公の子ども目線で見ていくのはしりのところは、読みづらかったが、本著者なら面白い展開になると頑張って読む。主人公が村を出て医者に弟子入りするところからは楽しく読めた。
まさにこの時代の人間の一生を描いたもので、読み応えがあるし、後半になってくると、読みづらかった前半のところの意味もしっかりしてきてなる程なと思う。読み終えた後は満足感。
歯、母、ははは(笑) -
久しぶりに著者の作品を堪能。大庄屋という存在を知らなかった私は、その学識の高さに驚きです。
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領主の圧政に苦しみ農民が蜂起するなかで、庄屋や領主の家来、今でいえば中間管理職のような立場であるが、そのような態度をとるべきなのか。地味テーマだが心に沁みた。
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読後感さわやか
しかし、あまりに女性の影がなさすぎ。色気ゼロ -
とても良かったです。タイトルの「天に星 地に花」に続くのは「人に慈愛」。読み終えて、改めて深い言葉だと感じます。この言葉が、庄十郎の人生を変えるきっかけになったのでしょう。年貢の増徴に憤り、一揆を起こそうと立ち上がる百姓たち。それをたった一人で、自らの命を賭して食い止めた稲次様。「人間ちいうもんは、ここぞと思うときに、命ば懸けなきゃならんときがある」
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舞台は江戸時代18世紀の久留米藩.主人公は疱瘡を生き延びたことを機に医師を志した大庄屋の次男庄十郎.飢饉,一揆その後の打ち首などの事件を含め百姓,庄屋,武士の生活を描く.じわ〜っと笑えてじわ〜っと泣ける.,
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ボリュームはあるが、読みごたえもあった。
藩主の横暴に耐え兼ね、立ち上がる百姓たちと、それを見つめる主人公が丁寧に描かれ、情景が目に浮かぶ。
庄十郎が医師を目指すあたりから、ぐっと入り込む。
生と死に向き合いながら、なんとかしようと奮闘する、庄十郎たちに胸打たれ、何度か涙。 -
594頁の大作
さぁ どのくらいかかるものやら
と 思うのも ほんの最初だけ
中程を 過ぎると
だんだん あと もうちょっとで
終わりに近づいていくなぁ
あぁ
なんだか 切ないなぁ
もう ちょっと この至福の時が
続いて欲しいなぁ
と 帚木 蓬生さんの作品を
読むたびに 思ってしまうことです
もちろん この一冊も
その類です
舞台は江戸期の九州 いや 肥後藩の
出来事ではあるのですが
そこに描かれている人間の様子は
そのまんま
今の時代に生きている
私たちの暮らしの中に
どれほど
投影されていることでしょう
読み終わったあと
あぁ いい作品を読んだなぁ
という
静かな余韻に浸ることができます
著者プロフィール
帚木蓬生の作品
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