青春のジョーカー

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087754391

感想・レビュー・書評

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  • クラスでは下層グループに属す基哉。
    中学生の性と友情を描く青春小説。

    女子のスクールカーストに関する話はいくつか読んでいたものの、当然男子にもあるのは知りつつ、すっかり失念していました。
    いじめにまで至らなくても、目に浮かぶ様な嫌なシーンに出会うと、やはりモヤモヤとした気持ちになりました。

    生々しい中学生男子の性については、動物の話との対比もあってか、私にはすんなり入り込むことが出来ました。

    基哉の成長が眩しく頼もしい作品。
    良い出会いでした。

  • 青春時代の甘い恋愛がドラマや映画だけの幻想であることを
    とき に残酷に、ときに温かい筆致で描く。

    恋愛なんて無縁に思えるスクールカースト下層も僻む必要なんてない。ほかに生きるべき道はいくらでもある。

  • 写真を撮るとき、いつも真ん中にいる人と端っこの方にいる人って、なんとなく決まっている。もっと言えば、いつも撮る側で全然写っていない人も、最初から写真に写るという可能性さえない人もいる。学生時代のクラスのヒエラルキーはそういうところにも表れる気がする。
    教室の中で、目立たず同じ「におい」のする仲間と静かにひっそりと趣味の話で盛り上がる。そんな、写真には写らず教室の隅っこの方で固まっていた中三男子に、誰もが思い出したくないあの頃の自分を刺激される。彼が手に入れた「ジョーカー」は最強の切り札なのか、すぐにでも捨ててしまいたいハズレなのか。乱高下する毎日にドキドキが止まらない。面白かった、イタ面白い。

  • 帯に絶対の自信を持ってお薦めしますとあり購入。
    去年購入したけどいつか読もうと思って、今年最初の読了本。

    主人公は中高一貫校に通う中学三年生の男の子。自身がなく、いわゆるスクールカーストの最下層のグループに属し、カースト上位の子に不満を持ちつつも何も言えず、また同じグループの友人に対しても何も言えない。波風がたたないように日々を穏やかに過ごせるように彼は行動している。

    そんな彼はカースト上位のグループの女の子に人知れず恋心を抱いている。

    そんな中で、ある出来事をきっかけに彼の心や周りの人間関係に変化が起きていく……
    あらすじはザっとこんな感じでしょうか。

    タイトルの青春のジョーカーってどういうこと?って考えながら読み進めていき、答えがわかったときはなんて秀逸なタイトルなんだと感心。
    主人公の心や人間関係に変化をもたらしてくれたのも、この青春のジョーカーなんです。
    トランプにおけるジョーカーの役割が様々な通り、この青春のジョーカーも切り札にも、疎まれるものにもなる。

    主人公が様々な出会いや出来事を通して成長していくのですが、そのきっかけになった、女子大生は私にとっても魅力的だったな。

    読後感がとっても爽やかで、新年一発目にふさわしい物語でした。

  • スクールカースト最底辺のグループに
    所属している中学三年生の基哉。
    身長は180cmと高いが顔は中の下。
    唯一の友人、尚介・弦と話す内容は
    ゲームのことばかり。
    中学生の性と友情を描く青春小説。

    幸いにもスクールカーストというものを
    経験していないので「大変そうだなぁ…」
    「哀れだなぁ…」と思ってしまう…
    (特におにいちゃんの話が…)

  • 動物病院の息子で中三の基哉と、兄のサークルBBQで知り合った訳有女子大生との子猫を通した交流、最底辺グループから閉め出され上位グループに誘われての沖縄修学旅行、密かな恋より優先する立ち位置。性欲という存在を持て余す純真な幼心。性も歪む友情もひんやりと冷静で嫌悪感に傾かない。清潔な説得力。結末が爽やか。

  • 「恋」に興味を持ち、「性」に目覚め、友人は入れ替わる。
    中高時代は、私にとって、塗りつぶしたい過去だ。
    もちろん良いこともあったし、生涯の友人も得ることは出来たけれど、それでも。

    本書は主人公基哉と、その兄達己、イベサーの女性、双葉、クラスメートの咲と啓太との関わりで物語が進んでいく。
    達己はスクールカーストの下から下克上を求めた。
    しかしそれはうまくいったかどうか......。
    啓太は基哉の学年のリーダー格。
    基哉が最も会いたくない人物だった。
    会えば、イジられるから。

    「ジョーカー」とは何か。
    それは「性」そのものだ。
    大人になれば、「そんなもの」と一笑に付すことも、「確かにね」と共感することもできる。
    だが、膨らみ続ける想像に心かき乱される気持ちは、その時でなければわからない。

    本書は説教じみたことは言わない。
    悲しい終わり方ではないし(本当に良かった!)、すべてのピースが綺麗にはまったわけでもない。
    少しもやっとする、その余韻あるいは想像の余地を残すことで、あの頃の思い出を、読者に思い出させ、読者自身を主人公にさせるように、著者に仕向けられているのかもしれない。

  • 中学生がこんなにもセックスのことばかり考えているのに驚いた.スクールカーストやいじめはありがちだけど,ペットへの優しい接し方や愛情などが丁寧に書かれていて好感が持てた・

  • デビュー作でも描いていた性欲をテーマにしたジュブナイル小説。直接的に描かず様々なものを使い象徴的に描いているが、そのせいで多様な解釈ができるという良い面と主人公の心情変化に若干曖昧さがあったかなと思います。 とはいえ、好きな作品です。 また作者さんが得意とする疎外感の描き方は見事で、そこから生まれていく物語にどっぷりと入り込んでしまった作品です。

  • 青春のジョーカーというタイトルからこういう話なのかとびっくりして、びっくりしながらずっと読んでなるほどなと思った。本当に童貞かそうでないか、処女かかそうでないかって切札になる、それがスクールカーストがはっきりしてる場合はなおさら。
    いつからか、やったやってないの話になる。わたしの時代は中学生だった。その経験がある子の地位は確立されていて、孤立していてもそれは決してはぶられているわけではないこと、自ら選んで1人でいるんだあの人はになれること。
    そのスクールカーストをセックスをジョーカーと例えてうまく青春の一ページを描いてるのが面白い。
    ラスト、本当の友人を見つけることができてよかったなーってのと純粋なお兄ちゃんに幸あれ! って思えてよかった。動物との絡みや、AVに出た二葉とのこととか色々泣けた

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著者プロフィール

奥田 亜希子(おくだ あきこ)
1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒業。2013年『左目に映る星』(「アナザープラネット」を改題)で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』、『青春のジョーカー』など。

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