青春のジョーカー

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 323
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087754391

感想・レビュー・書評

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  • スクールカーストというものを幸いにも経験していないので他人事として怖いなー酷いなーと対岸を眺めるしかできないのですが、それにしても性にまつわることがジョーカーになったりするほど重要視される世界があるんだ?と驚愕。
    まあ、あるんだろう。
    性が劣等感や優越感と強く結びついて差別化に作用するような世界が。
    そこに住んだ経験のある人にはとてもリアルな物語なんだろう。

  • 奥田 亜希子さん 初読み
    とても良かったです。

    主人公は島田基哉(しまだ もとや)中学三年生。15歳。
    スクールカーストと性に縛り付けられながら、狭い空間の中で絶えず、悩み、もがき、あえぐ中学生男子の様子がリアルに描かれていました。

    冷静に考えれば、自分が思う程、他人は自分に興味を持っていないのに、中学生の頃の自意識過剰、また自信のない自分自身に心がざわめき、周りの目を意識してちぐはぐな行動をしたり、負のスパイラルに陥ったり。
    基哉の感情の揺れがひしひし伝わって来ました。

    親や兄、自分の容姿を分析したり、大好きなクラスの女子、咲(さき)への思春期ならではの妄想をしたり、ドキドキしたりヒリヒリしたりほっこりしたり青春の甘酸っぱさを随所に感じ、自分の中学生時代を懐かしみながら読みました。

    タイトルに使われている「ジョーカー」が所々スパイスになっていて良かったです。
    数年後に基哉と咲が再会しそこから発展して行きますように。

  • なかなか面白かった!途中でめっちゃしんどかったけど・・・なんか、わかるわーってのが多かったな。でも、こういうのってほんまちょっとしたことで立場や関係はすぐ変わるし、自分は恵まれてたな・・・いつどうなってたかやでほんま。
    今でもそれはそうやし。ちゃんと気をつけて生きていかなあかんな。

  • 「セックスは、ジョーカーだ。」という文にこの本の全てがまとめられていると思った。

    私も学生時代に感じたことのある、普通の笑い声とは違う嘲り声や嘲り空気のようなものと、学生の未熟さからくるの残酷さが的確に描かれており、学生を経た今の年齢で読んだからこそ、共感できる部分が多かった。

  • 学校でもママ友でも会社でも順位付けってあるものなのか。そりゃ、下位よりも上位がいいけどなぁ。

  • スクールカースト最底辺のグループに属する中学3年生。大学デビューを果たした兄から、サークルのBBQに誘われ、彼女との交流が始まる。獣医の家庭に育ち、犬猫と暮らす彼、ある日、彼女は衰弱した猫を助ける。猫を通して、距離が縮まり、ある感情が芽生え。格闘する日々。淡い片思い、抑えられない感情。修学旅行。ひと夏の経験が少年を成長させる。

  • 中三、思春期の少年の話。ジョーカーとはセックスのこと。なるほど。問題提起されたスクールカースト、性欲と性交、自慰に対してのしっかりした答えは示されず、なんとなくほんわかしたラストを迎える。周囲の大人がみないい人なのは都合良すぎ、リアルはもっとエグい。

  • 思春期真っ只中の中学生の成長話かな。
    青春のジョーカー?何かと思ったら、そういうことね。
    ちょっと大袈裟に思わないでもないが、わかる。

    終わりかたは、爽やかで良かった。

  • 途中読んでいてつらくなったけど、凄くいい終わり方で心が晴れやかになった。そして自分の子どもがどうか幸せになってほしいと心から願う。奥田亜希子は男女を問わず思春期や大学生の心の葛藤を描くのが上手いと思う。

  • 主人公は思春期真っただ中の男子中学生。
    家族の仲も良く、私立の中高一貫校に通う彼は
    世の中的には多分恵まれている方なのだろう。
    それでもスクールカーストや性の悩みで、心の中は大荒れだ。
    どうか荒れ狂う思春期の波に飲み込まれませんようにとハラハラしながら読みました。
    小さな動物の命を慈しむことのできる子は
    きっと大丈夫。
    小中高生のスクールカーストなんて、大人になれば
    あっという間に一発逆転だ。
    自分の核となる自分の言葉を獲得し始めた主人公の成長が、眩しくうれしく感じました。

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著者プロフィール

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』『魔法がとけたあとも』がある。

「2021年 『求めよ、さらば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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