ペニー・レイン 東京バンドワゴン (東京バンドワゴン)

  • 集英社 (2023年4月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087754643

作品紹介・あらすじ

人が人を呼ぶ、この下町の温かさよ……!
銭湯、豆腐屋さん、花屋さん、和菓子屋さん、染め小物店……語られてこなかったご近所とそこに暮らす人々にスポットライトがあたる、下町ラブ&ピース小説。
堀田家の絆はますます深まる、大人気シリーズ第18弾!

堀田家の暮らす下町に〈日英テレビ〉のロケ隊がやってくる!? そして迎える、“大引っ越し大会”。そんな慌ただしい日々に飛び込んでくるのは、かつて閉店したお店の謎や、突然の放火疑惑、思いがけない人生の悩みに、大事な家族のメンバーとの別れ……。巡る時代を共にしてきたご近所の仲間たちと、改めて「LOVE」を分かち合う。

【著者略歴】
小路幸也 (しょうじ・ゆきや)
北海道生まれ。広告制作会社退社後、執筆活動へ。2002年、『空を見上げる古い歌を口ずさむ』で第29回メフィスト賞を受賞して作家デビュー。代表作「東京バンドワゴン」シリーズをはじめ、「旅者の歌」「札幌アンダーソング」「国道食堂」「花咲小路」シリーズなど著書多数。

感想・レビュー・書評

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  •  東京下町。昔ながらの人情豊かな町で、古書店東京バンドワゴンを営む堀田家の1年を描く。本作は冬から翌秋まで。シリーズ18作目。
              ◇
     立春といえどまだまだ寒い2月上旬。堀田家は忙しそうだ。理由は2つある。

     1つ目は大掛かりな引っ越しが迫っているということだ。

     春になればイギリスから藍子とマードックが帰国する。藤島ハウスにある2人の居室及びアトリエには現在、研人・花陽・芽莉依が住んでいる。そのため藍子たちの帰国前に部屋を空ける必要が出てきたことで研人たちの移る部屋を確保するべく、大シャッフルが行われることになったのだ。

     ちょうど建築中の新居が完成する増谷夫婦と会沢一家、かずみのいる老人施設に移る池沢百合枝が退去するので、居室の数は合う。
     ということで、堀田家では引っ越しが立て込んでいるというわけである。

    2つ目は、堀田家のある町内がTV番組で取り上げられるため、ロケ隊がやってくることになったことだ。
     しかもナビゲーターが町内の大スター我南人と女優の折原美世 ( 亜美の弟の妻で本名は佳奈 ) ということで、堀田家が控室 ( 楽屋?)として使われるのである。

     そんなある日、番組を製作する日英テレビの浦田麻理というディレクターが菓子折を持って挨拶に訪れたのだが……。 ( 第1話「冬 カフェの向こうに紅茶も出番」) ※全4話。

          * * * * *

     久しぶりに読む『東京バンドワゴン』シリーズですが、堀田家ゆかりの人間が増えすぎて、関係を整理するのに手間取りました。
     でも作品のテンポを思い出せば、そこは馴染んできたハッピーエンドのホームドラマです。楽しいひとときを過ごしました。

     今回はシリーズの大きな転機となる内容でした。

     まず、町内図が変わります。

     かつて町内の角地にあり、ギャンブル好きのマスターが借金で潰した純喫茶サザンクロス。一家離散となりますが、その当時は幼かったマスターの娘が跡地に店を再建することに。

     堀田家の隣のアートギャラリー。経営不振で廃業寸前のところを青が買い取りクリエイターズ・ヴィレッジとして修復再生することに。

     小料理屋「はる」の隣の空き家。長屋造りのためコウ・真奈美夫妻が買い取り一軒に改築。新生「はる」として再生することに。

     居住者も入れ替わります。

     まず、我南人と内縁関係にある大女優の池沢百合枝が、老人施設へ入所するため堀田家を去ります。
     また、元刑事の茅野が妻の郷里の岡山に転居するため町内を去ります。

     レギュラー格の大物2人の退場は、長年のファンとしてはショックでした。
    ( 施設入所や転居の理由については作品をお読みください。)
     
     その代わり、角地に建設予定の純喫茶には新店主となる浦田麻理が母と祖母を連れ埼玉から帰還しますし、増谷夫婦と会沢一家が完成した新居に入居します。
    ( 藤島ハウスには藍子とマードックが入居することになっていますが、これは予定どおりですね。)


     さらに忘れてはいけないのが、人間以外のものの去就です。

     祐円さんの神社の物置に眠っていた刀剣が堀田家に引き取られてきます。その刀剣は江戸時代のもので書付があり、元の持ち主は堀田州次郎 (!) であるとわかります。

     そして天寿を全うして逝った飼い猫・ベンジャミンに代わって白い仔猫が堀田家にやってきます。
     飼い主が現れなければ堀田家で飼おうという話になり、名前をつける段になって、かんなが天啓を受けたように叫びました。「ルウってつける!」。

     州次郎とルウ。堀田家は、ますます安泰のようです。

  • 第18弾。安定のいいお話。東京バンドワゴンのご近所さん、銭湯、豆腐屋さん、花屋さん、和菓子屋さん、染小物店。変わらない風景、変わっていく風景。
    ベンジャミンの最期には、さすがに涙が出た。かんなちゃん鈴花ちゃんを含めた堀田ファミリーが受け入れている姿にも感動。

  • もう18作目 あっという間に読み終わってしまった。寂しい。というのは次作がまだだから...
    終盤 長年飼っている猫が天国へ、そして次の日に子猫が散歩中についてくる。名前を勘の鋭いかんなちゃんが るう と名付ける。
    その るう 東京バンドワゴン零 スピンオフ作品に登場する女の子。
    繋がるね〜拍手してしまいました。
    次の作品が待ち遠しい。

  • 遠い親戚のおばさんの様な気持ちで読んでいます。
    2011年に「東京バンドワゴン」に出会いました。
    それから出版されているシリーズを読み、毎年楽しみにしています。
    最初に読んだのは、花陽ちゃん、研人君が小学生だったと思います。
    下町で育ったので、なんとなく身近に感じて楽しんで読んできました。
    長く読んでいると、新しく登場した人は何か東京バンドワゴンに関係してくるんだろうなとはわかります。
    いつも大家族の堀田家ですが、昔はそう珍しくなかったんでしょうね。
    今は、なかなか見られませんが。
    勘一さんが元気なうちは、このシリーズ続くと思っています。100歳まで大丈夫かも?

  • 【収録作品】冬 カフェの向こうで紅茶も出番/春 恋の空き騒ぎ/夏 答えは風と本の中にある/秋 ペニー・レイン

    シリーズものとして、序盤での状況説明は親切。親切なんだけれども、シリーズ読者としては少々ウンザリ。なじみの登場人物が顔を出す度の説明も。親切なんだけれども。
    すでに知っていることが多すぎて、新たな事件が薄く感じられる。

    確かに、このシリーズに気持ちの良い読み心地以外は求めていないのだが、それにしても、才色兼備の人格者ばかりが集まり、とんとん拍子に成功していくので、正直浅い。いや、このシリーズにイヤミス要素は求めていないから、いいといえばいいのだけれども。安定感抜群で、それが持ち味といえばそうなのだけれども。ないものねだり、なんだろうなあ。

  • 2004年から毎年、単行本、文庫本が発行される『東京バンドワゴンシリーズ』

    『東京バンドワゴン』の文庫本は単行本発売の1年後。
    だが、これはかなり異例のことのようだ。
    というのも、通常、文庫化までは2~3年と言われている。
    そこには出版業界の事情がある。
    つまりは”出版にかかった費用の回収”ということで…
    それが『東京バンドワゴン』は翌年文庫化される。
    それだけ待ち望むファンが多いという証明か⁉

    そんな『東京バンドワゴン』も今年は第18弾!
    18年間続く人気シリーズということだ!

    「東京バンドワゴン」は東京の下町にある古書店。
    そこに持ち込まれる謎を堀田家の人々が
    人情味あふれる方法で解決する。

    「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ」
    昭和のホームドラマへのオマージュが根底に流れるこの小説。
    そのタイトルはずっとビートルズの曲名。
    今年は『ペニー・レイン』

    著者の小路幸也さんによると
     <レイン>となると日本人はどうしても<雨>を思ってしまうのですが、
    原曲の題名は<Penny Lane>
    つまり無理やり日本語にすると<銅貨通り>で町の<通り>の名前なんですね。
    ならば<ペニー・レーン>と表記したくなりますが、
    日本での正式な曲名表記が<ペニーレイン>なのですよ。
     今回はそのタイトル通り、
    <東京バンドワゴン>と堀田家がある下町の<通り>を主役にした物語になりました。
     読者の方はご存じの通り、堀田家周辺ではこの春に多くの引っ越しを控えています。
    ならばビートルズも歌う<懐かしいあの通り>という<ペニー・レイン>に乗せて、
    堀田家がある<通り>のご近所さんたちのことをきちんと書いてみようと思いました。
    今までも物語の中で、
    ご近所に多く存在するお店のことはちょこちょこと書いていましたが、
    メインにすることはありませんでした。
    (引用:集英社「東京バンドワゴン」シリーズ)

    読み終えると、また来年堀田家の人々と出会うことが待ち遠しくなる『東京バンドワゴンシリーズ』
    今から楽しみだ。

  • <羅>
     巻頭にある「登場人物相関図」に度肝を抜かれる。これは思うにバンドワゴン初心者の為にあるのだろうけど,僕らの様にのっけの巻からずっと読んで来ている者にも十分貴重で役に立つ。そしてズバリ言ってしまうと,これがあっても、初心者には何がなんだかわけが分からないだろう。笑う。ではどうする。初心者は何度も読め!わはは。あ,すまぬ。早くも高言だった。

     もうとっくに亡くなっている現店主勘一の嫁(名前覚えてない 調べるのも面倒)が 東京バンドワゴンという名前の由来や 家族全員の紹介やらをすませて,その日の朝ごはんをみんなで食べるところまでに優に40ページ近くを毎巻消費する。よく毎年この部分書くよなぁと感心する。が,一方で毎巻同じような事を書けばなかば自動的に40ページも進むんだとしたら そりゃあまあ17年でも続くはなぁ,とまたも天邪鬼的りょうけんは思ってしまうのだった。すまぬ。

     各場面の登場人物がとにかく多いので,いちいち全員の挙動を書き表わさないと行けない。全部件の亡くなったおばあさんが語るのだが,でも 天の声/神の声ではないので色々気づかう事もある。まあ 言うたらめんどくさい,と云う事なのだ。ここでも、まあ良く飽きずに書いているなぁ,小路君。

    段々と哲学的領域の落ちで巻が締めくくられる展開になって来ている。別に悪くはない。力の続く限りシリーズを存命させてくれたまえ、ジョージくん。

  • 今回も様々な出会いもあり別れがありました。あまりにも話が出来過ぎ?な面もありますが、それがこのシリーズの醍醐味なのかもしれません。今後の東京バンドワゴンも益々楽しみです。

  • 出会いと別れ。
    そして青のようなマルチな人にもコンプレックスがあったんですね…。自分が何も成していないと感じてしまうことしょっちゅうあるけど小さな幸せな思いを、喜びを感じる生きる力で前に進んでいけるかなと思った。

  • 東京バンドワゴン第18弾。
    このシリーズに関しては、マンネリOKのおおらかな気持ちで読んでます。
    サザエさん的な、変わらないものの良さがあると思っているので。
    まあ、それにしては美男美女ばかりで(笑)現実離れしてますけどね。

    池沢さんと茅野さんがこの下町から去っていき、また新たな常連さんが増えそうな予感がします。
    青の葛藤が心に残りました。
    器用にいろいろ人並み以上にこなしてきたけど、ふと振り返ると才能あふれる家族の中で自分だけ何も残せていない。
    その焦りは共感できるものがありました。
    だから、一歩踏み出そうとしている青の今後が楽しみです。

  • 東京バンドワゴンの第18弾。
    今年もまたお会い出来ました。
    子供達の成長は目覚ましいものがありますが、それを見守る勘一さんや我南人さんも健在です。
    色々な別れもあるけれど、益々家族の輪が広がって、一層の賑わい。
    さて、青の活躍が次回には楽しめますかね。

  • どう生きるかは、自由なのです。誰と比べるものでも、比べられるものでもありません。
    喜びや嬉しさを感じるその力で、前に進んでいけばいいのですよ。
    サチさんの言葉が心に染みる。

  • 相変わらずにぎやかな堀田家。
    藍子さんとマードックさん夫婦がイギリスから帰国して、ますますにぎやかに。これだけ大勢いたら揉め事もありそうなのにいたって平和。

    そんななか青は悩んでたんですね。才能ある男性陣の中で劣等感を抱き続けて。
    でも一歩を踏み出し、事業を始める決意をする青。
    次作が楽しみ。

  •  わーい藍ちゃんたちが帰ってきた。やはり藍ちゃんがいると安定する感じ。もちろん誰が欠けても変な気分にはなるだろうけれど。
     もともとイギリス関連は多く出てくるが今回はスコーンのお店もご近所に。近年スコーンが再ブームらしいけどトレンドもおさえているのかな。
     そして『隠れの子』に出てくるあの人とあの子のお名前が!
     また、これまであまり気にしたことがなかったのだけど、今回ペニー・レインの歌はどう関係するのだろう、と歌詞を検索してみたら、街の風景や人々を思い出している歌で、関係はないけど(消防士さんは登場しますね)不思議と堀田家の前の小道やご近所さんの賑わいと重なるようでしみじみした。

  • 東京バンドワゴンシリーズ 第14弾

    冬 カフェの向こうで紅茶も出番
    春 恋の空き騒ぎ
    夏 答えは風と本の中にある
    秋 ペニー・レイン

    お隣の新築工事が終わり、藤島ハウス含め、大引越し。
    藍子とマードック夫婦の帰国、池沢がかずみちゃんのホームへと移ったり、町の古い住人がエピソードを携えて戻ってきたり、はたまた元刑事・茅野が岡山に終の棲家を決めたりと、目まぐるしい。

    そして猫のベンジャミンの逝去。

    まだまだ続きそう。

  • 人の移動がたくさんあって、中継ぎのような感じの1冊でした。次作に向けたお楽しみがたくさんですね。
    18作目。もう一回シリーズを読み返したい気持ちもありつつ、年々ハードルが上がります。
    2023/7/12読了

  • 東京バンドワゴンシリーズ。もう18作目にあたるらしい。

    去っていく人もいれば、新しく縁が繋がる人もいて、戻ってくる人もいる。
    息の長いシリーズだからこそのキャラクターの成長や出入りが描かれていて、長く続いているなあ、としみじみ思う。

    全体的に都合がよく進むところがあるので、話がうまくまとまりすぎるきらいはあるのだけれど、そういうところもこのシリーズの場合は安心して読めるので、まあいいか、という気持ちになる。

    本作では、普段あまり存在感を示さない紺の葛藤や決意が描かれていて、ちょっと他の巻とは異なった印象を残す一冊だった。

  • 今回も色んな巡り合わせがあって、去る人もいて、賑やかな堀田家でした。大所帯だけに人の繋がりもあちこちに広がっていくんだろうけど、それにしても色んな事が起こるなぁ。最後、青の決断が素敵で次もまたとても楽しみになりました。

  • 東京バンドワゴン、来たー!って、楽しみにゆっくり読んでたのに、ついに読み終わってしまった…悲しい。

    今回は「青クン、頑張れよ!」ってことで、これからがますます楽しみな堀田家です。

    あーあ、サチさんみたいな方が、私の側にも居てくれたらいいのになぁ〜〜、と思った今回は、ちょっと心が弱りめか?

    いや、現実的にホントに側に居て欲しいのは、ふじしまんなんだけどね!www

  • 毎年4月末の発売が待ち遠しい。
    このところ、ベテランメンバーが一人抜けて新人メンバーが入るようなイメージがある。
    今回もその通りで、私の好きなメンバーが離れることに。そして新たに加わるような予感の方も。

    青がこんなにもコンプレックスを抱えていたとは全く気づいていなかった。
    誰にも言えず苦しかっただろうな。
    自分の進むべき道を見つけた青が次からどのように成長していくのか楽しみです。

    最後のサチさんの語りにとても励まされました。

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著者プロフィール

一九六一年旭川市生まれ。札幌の広告制作会社に14年勤務。退社後執筆活動へ。
二〇〇三年『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』(講談社)でデビュー。著書に『HEARTBEAT』(東京創元社)、『東京公園』(新潮社)、『東京バンドワゴン』シリーズ(集英社)など。ほかに『うたうひと』(祥伝社)、『空へ向かう花』(講談社)、『brother sun 早坂家のこと』(徳間書店)などがある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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