The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜

著者 :
制作 : 荒木 飛呂彦 
  • 集英社
3.80
  • (309)
  • (363)
  • (454)
  • (35)
  • (6)
本棚登録 : 2450
レビュー : 356
  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087804768

作品紹介・あらすじ

「ジョジョの奇妙な冒険」20周年記念。乙一×JOJO、第4部杜王町を舞台に、渾身の小説化。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 漫画のノベライズを書くことが
    夢だった乙一。


    五年間を費やした力作は
    ひとときも飽きさせない
    素晴らしい作品に仕上がってます。




    しかしなんて
    悲しい話なんだろ…。

    漫画のジョジョは未読だけど、
    これほどエモーショナルに胸を突き刺す
    ダークファンタジーは
    近年記憶にないし、

    読後の余韻から抜け出せずに困るほどでした(>_<)



    東北の田舎町で起こった、
    密室の中で
    交通事故で亡くなった
    女性の怪死事件。


    この謎を追う、
    「スタンド」という様々な能力を使う
    不思議な少年たちと


    「The Book」という
    スタンドを使う
    謎の魔少年との戦いを描いています。




    自分が惹かれたのは
    そのダークで不思議な世界観と
    乙一だからこそできた
    胸に響く名言の数々。



    高い鉄塔の上で生活する鉄塔男。

    ビルの隙間で生活する
    悲しき女。


    血まみれで歩く猫。


    紙状にめくれる
    クラスメートの顔。


    潜水艦が浮上するように
    手の平から現れる
    革表紙の本。



    などなど
    映像喚起力の高い
    心躍る描写の数々と、

    物語が持つ
    「引き」の力に
    一度読みだしたが最後、
    ページをめくる指が止まらなくなります(笑)



    ある意味、
    『悲しき異端者の苦悩』や

    『社会の枠から
    見捨てられた者たち』
    を描いた
    ダークヒーローものと呼べる今作。


    だからこそ
    いつまでも忘れがたく
    胸に残るのかな。




    一本の長い文字列が
    心を絡め捕り、
    はるか遠くへと連れて行ってくれる、
    優れた「物語」だけが持つ
    その圧倒的な力に
    触れてみてください。


    お互いの駆け引きの妙に唸らされる
    終盤のスタンド対決は
    読み応えアリ!





    『遠くへ!遠くへ行くんだ!
    運命も追ってこない遠くへ!』



    胸に残って離れない
    最後の言葉で
    救われた読者も多かったんじゃないかな。


    あっ、ページを開くと
    キャラたちが飛び出す仕掛けの
    凝った装丁も
    カッコ良いのです♪

  • JOJO4部をノベライズした作品。なにこの完璧な作品。ノベライズした作品を読むのはこの作品が初めてだが、これ以上に原作の雰囲気を壊さないで、面白いオリジナルのストーリーがある作品はないのではないだろうか。
    前半は小説オリジナルのキャラクターを中心に話が進み、中盤あたりから登場する仗助や億泰たちの原作のキャラクターが交錯していくさまは読んでいて胸が熱くなってくる。原作の限られた設定の中で、非の打ちどころのない作品を書き上げた作者の腕と原作に対する愛に、心から拍手を送りたい。

  • ジョジョの奇妙な冒険・第四部の小説版「The Book-jojo's bizarre adventure 4th another day」を少し前に読みました。
    作者は人気作家の乙一です。
    今回はその感想とか。

    ジョジョはどれも好きなんですが、私は特に第三部と第四部が好きなんですよ。
    世間で特に人気なのは第三部と第五部みたいで、その辺はゲーム化されたり話題に上ることが多いんですが、第四部は比較的言及されないんですよね。
    主人公の仗助より、康一の方が感情移入しやすかったり、前章の第三部と比べて舞台設定が地味だったり、スピード感よりじっくり読ませる感じなっていたからでしょうか、地味な印象があった気がします。
    確かに人気の高い第三部、第五部に比べて、花が無い印象も無いでもないです。
    ただ、舞台が日本の新興都市で、日常に発生するズレがリアルに感じられる点など、「奇妙な」という点では第四部が一番強烈な気がしますね。
    その日常的なリアルさが、冒険という感じが薄い原因な気もしますが。

    小説の出来はすごく良いと思いました。
    仗助などおなじみの第四部のキャラが、皆生き生き動いているし、コミックのノベライズによくあるような原作と比較した違和感は特に感じませんでした。
    この小説のオリジナルキャラ、蓮見琢馬に関しても舞台の杜王町に実際にいそうな感じで、存在感ありましたよ。
    ちなみに杜王町の舞台のS市は、原作者、荒木飛呂彦氏の故郷、仙台市がモチーフです。
    今はジョジョファンの聖地となっており、漫画に登場した舞台が仙台にあったりもするんですよ。
    自分も以前、暮らしていた時期があったんで、その辺親近感わきます。

    で、装丁もいいですねー。
    琢馬のスタンド「The Book」をモチーフにしたデザインになってます。
    開くとキャラが飛び出してくる仕掛けも気に入りました。

    注:以下ややネタバレ含みます。
    また、ジョジョを知らない人には不親切な内容かもですがご容赦ください



    この小説は一言でいうと琢馬の物語ですね。
    本作での敵対者ながら、非常に弱弱しくて繊細、でも何か強いものを秘めている、そういったキャラです。
    スタンド使いとして強力なわけでは無いですが、彼は人間的に強いんですよね。
    ジョジョ的な強さって、スタンド自体の強さ以上に人間としての強さが大きい作品だと思いますし。
    彼のスタンドThe bookは能力は地味で非力ながら、心の強さで仗助や億泰と渡り合うってのがね。
    こういう部分が第四部的なキャラって感じがします。
    作品を通して、琢馬に感情移入してますし、かといって彼のしたことは許されるべきことではない。
    そういった感情もあって、仗助、億泰と琢馬の戦いはハラハラしながら読みました。
    でも、この作品の最大の悪って大神だなって思ったり。
    第四部のラスボスの吉良みたいな超越した悪ではないんですが、この作品で最も憎むべき存在でしょうね。
    その辺も含めて、琢馬の敵対者としての魅力が際立っているのかもですが。
    そこを踏まえてのラストは、切ないながらいいですね。
    また杜王町で彼らの生活が続いていくんだな、って思える部分も好きです。

    それと、全体にジョジョファンにはうれしい仕掛けが多いですね。
    四部に出たキャラが(鉄塔の男とか)杜王町の、都市伝説になってたり。
    露伴や由花子も物語にそれほど関わらないながら出てきますし、トニオもほんの少しですが出てますね。
    ジョジョのキャラはすごく、生きている感が強いんですよね。
    こういったチョイ役での出演でも、物語の外で生きてるんだなーって思えます。
    それだけ生きたキャラを荒木先生が描いてきたってことなんでしょうね。
    よくジョジョは人間賛歌と表現されますが、それも納得です。

    作者の乙一氏は、ジョジョの大ファンだそうで、四部の小説をボツ原稿含めて5年で2000枚書いたそうです。
    本作はさすがの出来だと思います。
    好きでなくては、ここまで書けないと思う。
    勿論好きなだけでも書けないと思いますが。

    自分が昔読んだ、文章入門的な作品で、20代で成功した作家はいないと書かれていたような時代に、乙一氏は頭角を現していったんですよね。
    自分も、そういった道に進みたいって考えていたこともあり、この作家の動向は嫌でも目に付きました。
    平野、綿矢、金原氏など、その後も若い年齢で文学賞を手にして話題になった作家はいましたが、乙一ほど気にはなりませんでした。
    多分何故かと考えると、乙一の作品が自分の嗜好の方向性に近いものだったからじゃないかと思います。
    ライトと文学の境界的な立ち位置だとか、ホラー的なアプローチだとか。
    若いながら文学賞を取るって人は実は結構いるんですよ。
    でも、それから安定して評価を得ていく作家というのは少ないんです。
    乙一はそれを行って、かつ自分の好きなジョジョでこういったクオリティの作品を書いてしまう。
    正直、この小説は大変楽しんだんですが、嫉妬しましたよ。
    自分がいかに何も成せてこなかったことや、今の自分への自責とか、ゴチャゴチャになった感じになりました。
    自分が仮にその道を目指して、果たして成功出来たかわかりませんが、やはり覚悟が足りなかった。
    今は生きていくのに精一杯で、とても夢とかそういうものを持ち続けられる気がしません。

    小説はすごく楽しめました。
    そのことも含め、読後の感情は忘れることが出来ないものになるでしょう。
    そういった部分があって、ブログにこの記事をUPするのをずっとためらってました。
    結構前から書き進めていて、全く書き終わらないので、大幅に削ってUPすることに決めました。
    今、自分のブログを感情を吐露する場にはしたくないと思ったので。
    最後、作品と全く関係無くなってしまい申し訳ないです。


    2008年3月10日記

  • 漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のサイドストーリーを描いた小説。第4部のその後という位置付けで、第4部の登場人物が多く登場します。物語の中心に居るのは新しい人物達。作中の挿絵は荒木飛呂彦画。

    中々面白い作品でした。ジョジョ好きなら読んで損はないでしょう。小説なので、新しく登場するスタンドもそれに沿った風変わりなものだったりします。シーンと時間が章ごとにめまぐるしく変わる構成で(最近こういうの多い気がする)、読んでると焦らされ感満点ですが、これって読者を引き込む効果が結構あるのかもしれませんね。

    「遠くへ、遠くへ行くんだ!運命も追ってこない遠くへ!」

  • うーん、面白かった!
    わたしは原作の”ジョジョ”を読んでないけど楽しめたし、原作を読んでみたくなりました。
    この人このお話がかなり好きなんだろうな、と思った。
    世界観を大事に大事に守りながら、温めて、緻密に作り込んでる気がする。

  •  ジョジョが好きな私としては乙一が書くとどのようになるのか、ということに非常に興味を持った。

     スタンドの能力がすごく独創的でありながらも、原作に忠実な頭脳戦、偶然を好機に引きこんでいく登場人物たちの運の強さ、それらが見事に再現されていた。

     

  • ジョジョ第4部の設定に基づいているが、乙一らしさがいい意味で出ている。
    少し前に読んだ「恥知らずのパープルヘイズ」はイタリアを舞台にスピード感・躍動感にあふれたエンターテインメント、本作は杜王町という、比較的狭いコミュニティで起こった事件を描いたサスペンス、と感じた。
    原作第4部のドロドロした不気味さが良く出ており、原作ファンの期待を裏切らず、おなじみのスタンド使い達も登場する。

    本作では、ナレーションとしての語り手の他に、所々に広瀬康一が語るチャプターが挿入される。原作で登場した人物などの描写はもっぱら康一視点となっている。康一のキャラクターからもこの演出は良いと思った。

    本当に一点だけ残念だった点は、康一視点で展開している場面で、「コミックスを読むと~」、「漫画連載当時、ファンのあいだで~」などの記述。
    なぜこのような表現をしたのか理解に苦しむ。登場人物はあくまで作品の中に存在している人物であって、このような表現では、読者と同じ物語の外側から見ることになってしまうからだ。(一般的には、漫画でもそういう情報はコマの外に記載されていることがほとんどであると思う。)
    その一点を除けば、荒木氏の絵がイメージできるくらい、雰囲気を持っている作品。
    ちなみに、これを読んで、億泰は前からいい味のあるキャラクターだと思ってはいたが、自分の中で断然評価が上がった。

  • ジョジョファンにとって、荒木先生以外の人が書いたもので満足できるのかが不安ではあると思う。
    しかし、乙一さんの書いたこの作品は満足出来るものだと私は認める。

    文章力があってわかりやすいだけでなく、ジョジョを隅々まで研究(調査)してあり、ジョジョの読者であれば『ニヤリ』となる部分が多分に盛り込まれている。
    また、原作では回収しきれなかったフラグ(荒木先生にとってはフラグではないかも)を触った事も好奇心をすごくくすぐられた。

    そして個人的に1番嬉しかったのは、小説の登場人物のスタンド『The Book』を模しているという点が、自分もスタンド使いになっているという感情が生まれた。
    これほど嬉しい事はない。

    【黒い琥珀の記憶(メモリー・オブ・ジェット)】
    【The Book】

  • 文章ならではのジョジョの世界観。原作を損なう事ない表現が秀逸。映像を思い浮かべながら読むのも楽しかったし、コミック化したのを読んでみたいとも思った。

  • 歴代ジョジョでいちばん好きな四部のノベライズを大好きな乙一さんが書いてくれた奇跡の一冊。胸熱。杜王町と乙一さんの親和性の高さよ。。

全356件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

乙一(おついち)
1978年福岡県生まれ。山白朝子(やましろ あさこ)、中田永一(なかた えいいち)の別名義で執筆する小説や、安達寛高(あだち ひろたか)という本名名義で脚本を記すこともある。
1996年に『夏と花火と私の死体』で、第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞してデビュー。
2003年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞受賞。2012年、『くちびるに歌を』(中田永一名義)で第61回小学館児童出版文化賞。
代表作として、映画化もされた本屋大賞ノミネート作『くちびるに歌を』のほか、『暗いところで待ち合わせ』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『失はれる物語』などがある。作品の多くが漫画化、映画化された。

乙一の作品

The Book 〜jojo's bizarre adventure 4th another day〜を本棚に登録しているひと

ツイートする