波 蒼佑、17歳のあの日からの物語

  • 集英社
4.24
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本棚登録 : 62
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087806526

作品紹介・あらすじ

あの日がすべてを奪っていった。家族も、初恋も、ふるさとも。絶望の真っただ中に放り出されて途方にくれる蒼佑の前に突然、見知らぬ青年が現れた。過去がなくなっても、未来は持てるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 日本人にはまだ生々しい出来事を小説化できたのはフランス人作者ならでは。
    原作を一部変更したという翻訳も秀逸。
    翻訳ものを読んでいるという感覚は全くなし。

    蒼佑だけではつらくなってしまうところを後半東京から来た瑛太を挟むことで最後に希望も見える作品になっている。

    被災地から離れた場所でテレビを通して見る画面には死者は映っていない。
    過酷な現実を淡々と描くことは、声高に被災地支援を叫ぶより説得力がある。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「過酷な現実を淡々と描く」
      海外へエキセントリックに伝わるのを避ける上では最上の選択。
      日本に居ると言うコトから、使命感を感じたのかなぁ、、...
      「過酷な現実を淡々と描く」
      海外へエキセントリックに伝わるのを避ける上では最上の選択。
      日本に居ると言うコトから、使命感を感じたのかなぁ、、、色々な人が書いてくださるのは、素敵なコトです。。。
      2013/06/20
  • 朝日新聞GLOBE12/16号に掲載されていた、シャネル日本法人社長が仏語で綴った東日本大震災をテーマにした小説の邦訳。読みたい。

  • 海外作者ということでしたが、特に登場人物の会話や描写に違和感はなかったです。その代わりに、震災直後の被害の様子や政府の対応についての話などは、他の作品と比べて、オブラートに包んでいる部分が少ないと感じました。蒼佑の記録の部分はリアルで、本当に読んで怖かったです。いかに自分が今まで日本のメディアを通して、フィルターをかけられた情報しか知らなかったのかを痛感しました。本当はもっと、生々しくて、大事な人を何人も失ってて、罪悪感を抱く人さえいる。震災後の生活は今までの「普通」ができなくて、これから先の未来が見えなくて…簡単に風化し得ないものだと思いました。

  • 311の津波の時、蒼佑は近くの女子高でチアガールとジャズオーケストラ部員として合同練習をしていた時だった。蒼佑は、その日17歳の誕生日で前日に付き合い始めたチアガール部の葵から誕生日プレゼントにCDをもらっていた。そんな青春真っ只中の蒼佑は、地震のあとの津波から高台へ避難する人波の中で、車いすの老人を手助けするうち津波に足元まで寄せられ、老人を背負っていた蒼佑を後ろから押していた葵の手をつかんでやれず、葵を目の前で津波にさらわれrてしまった。オーケストラの仲間3人で、高校の体育館に避難する蒼佑。家族の行方を捜し続ける1週間の記録が前半。

    後半は、東京から蒼佑家族を捜索に来た一度もあったことのない従兄・瑛太のモノローグ。東大を目指して厳しく育てられた瑛太だったが、受験に2度失敗し引きこもりになっていたところ、厳格な父親から気仙沼で親せきの安否を確認してくるよう言われハーレーダビットソンでやってきた。3月18日、高校の一人体育館にいる蒼佑を探しだしたところから始まる。

    田舎で海を愛する高校生の蒼佑と、都会で進学競争に敗れ引きこもってる瑛太。対照的な二人が、津波という最悪の状況の中から、それぞれの家族のつながりを意識し、自分の将来をしっかり見つめ直していく過程を描く。

    蒼佑の体験は、311当時の東北での日常であったのだと思うと改めて自分の無力さに打ちひしがれ、涙が出てきてしまう。この小説が書かれたのが地震の翌年の3月だと思うと、その情報収集力と構成力にちょっと驚く。でも、これは日本人ではなく日本に造詣の深いフランス人だからこそ書けたのかもしれない。
    いろいろ、深く感じさせるものが多かった。

  • 逗子図書館で再リク

    ちょっと時間がかかったが、やっと読み終えた。

    前半、やはり、生々しく震災の情景がえいえんに語られ、読み進めるのが辛かった。

    中盤から飛ばし読みになった。

  • 信頼できる司書さんが紹介して下さった、本当に読んで良かった本でした。日本人として、映像では全ての日本人が3.11を理解しても、1人1人の人間がどんな体験を乗り越えてきたかを知ることはできないのですね。この本はそれを届けてくれます。ルポして書いて下さった著者にも感謝です。

  • ガイジンだから、ではなく、日本に造詣が深く、思い入れも強い作者だからこその作品。蒼佑のように、すぐ書き留めることによって、下手な心象を通さず、生々しくこの悲劇が書きとめられた。読むと苦しくなるほどに。

  • シャネル日本法人代表取締役社長であるフランス人リシャール.コラス氏の著書。
    本当にフランス人が書いたのって驚きから始まり、でも読み進める内に日本人には、まだまだ生々しい事なのでこの内容は書けないだろうと思い至った。
    蒼佑君は瑛太さんと共に、これから強く生きていってくれるそんな気がします。それは被災された東北の皆さん、そして日本そのものの姿として、著者が描いたのではないかと思う。

  • シャネル日本法人社長の著者が、自分が40年かかわってきた日本で起きた大惨事に心を痛め、この悲劇を知ってほしい、人々の苦しみ、惨劇を風化させてはならないという一心で書いたという本書である。

    実際に、被災後数週間のうちに、石巻、気仙沼、南三陸、陸前高田の各地を訪れ、惨禍を目の当たりにし、被災者の生の声を聞いてきた著者の言葉は、おそらく想像するだけでは決してたどり着けないであろう被災地の本当の姿を、生々しく浮かび上がらせる。
    舞台を気仙沼ひとつにまとめたり、登場人物を絞るなどしてフィクションの体裁をとりながらも、そこに現れる人々の言葉や状況は、ほぼ事実のままだという。
    読みながら、報道で何度も目にした信じがたい自然の猛威をまざまざと思いだし、泣けてきて泣けてきて仕方がなかった。
    人間は自然の前にいかにちっぽけな存在なのであろうか。

    そんな絶望の中でも、何とか立ち上がり前へ進もうとする主人公の姿に実際の被災者の方々を重ね合わせ、生き抜いてほしい、希望を見出して進んでほしい、そう願わずにいられない。

  • 2013.2.2読了。

    読み進めるのがしんどかった。途方に暮れた。でも重松のロードムービーよりよっぽど響いた。リシャール・コラスへ大きな感謝を。

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