不愉快なことには理由がある

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087806632

感想・レビュー・書評

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  • 2013年2月時点で、今年一番の本!

  • 双子の研究で音楽や数学やスポーツでは「遺伝的要素」が否定できないそうです。
    僕は能力の遺伝には否定的なんですが「遺伝的優位」が少しでもあると「環境的要因」で雪だるま式に拡大していくんですよね。
    子供は環境の中で自分に比較優位があると極めようとするので1位が総取りする現象が集団の中で発生するんやと思います。
    そういうところが能力の遺伝と勘違いされるんではないかと思います。
    今時の進学校では賢いほど運動もできるという総取り現象が起こってます。

    「スモールワールド」
    人間社会は複雑系なので様々な要素がそれぞれにフィードバックし合って初期値の小さな違いが大きな差となって現れます。
    自然に任せれば富は一極集中するようです。
    濫立の中から一部のIT企業だけが生き残ってきたことからもわかります。

    結局は
    保育所
    小学校
    中学校
    高校
    大学
    社会
    とより大きな集団に入るときにいかに最初に有利なポジションを取れるかが勝負になります。
    となると明らかに貧困家庭より一般家庭の方が有利となります。
    富裕家庭が必ずしも一般家庭より有利とは思わないですが余剰資金を教育に投資できる余裕を持てるかが分かれ目になると思います。

    そうすると教育無償化は一定の効果を持つのでしょうね。
    ただ結果を出した一部のエリートだけが奨学金を得れるとしたら機会の平等は得られないと思います。
    となると個人的には義務教育に潤沢に金をかけて高校以上は能力で選抜する制度にする方が良いのかなと思います。

    まあどんな制度でも歪みはあります。
    その歪みをいかにうまく捉えるか。
    また自分の長所をいかにアジャストしていくか。
    今からでもできることはたくさんあります。

  • 政治、経済、社会、人生と多岐に渡って簡単な背景と、著者の意見がスッキリ書かれていて読みやすい。
    一番気に入った点として、参考文献も各項ごとに書かれていて、次これ読みたいなと思わせてくれるところがいい。

    で、読みたい本(読んだことのある本もあるが、、、)は下記
    みんなの意見は案外正しい(ジェームズ・スロウィッキー)
    行きづまる民主主義(ジェームズMブキャナン他)
    かっこにっぽんじん(著者)
    日本の思想(丸山真男)
    などなど

    (目次)

    イントロダクション たったひとつの正しい主張ではなく、たくさんの風変わりな意見を

    プロローグ 世界の秘密はすべて解けてしまった
    なんでこんなことに気づかなかったのか?
    どれほど修行しても解脱できない
    大富豪はマサイ族よりちょっとだけ幸せ
    税金を払わないのには進化論的な理由がある
    コンピュータは心理学者
    不合理は合理的
    高校生のセックス相関図
    音楽家になれるかどうかは親を見ればわかる
    「私」という永遠の謎
    人類の歴史はたった30秒

    Part1 政治

    1不思議なデモクラシー
    私たちは「猿の惑星」に住んでいる
    私たちが請求されるデモクラシーのコスト
    君子はかんたんには豹変できない
    あなたは"ゴミ"になれますか?
    参議院は廃止したらどうだろう
    AKB48総選挙で「政治」を考える
    『ONE PIECE』とフランス革命
    2有権者はバカでもいいのか?
    有権者がバカでもデモクラシーは成立する?
    有権者が合理的でも、選挙結果はなぜか不合理
    『みんなの選択」が合理的だと社会は崩壊する?
    日本を救う政治家を選ぶ方法
    3カリスマとハシズム
    ハシズムとネオリベ
    「独裁者」はまた現われる
    小沢一郎はなぜエラそうなのか?
    「首相が変われば日本はよくなる」という幻想-
    「強いリーダー」はなぜいないのか?
    4不愉快な問題
    ”おまるカレー"問題
    原発と野生動物
    東京電力には値上げの「権利」がある
    議論するほど亀裂は深まる
    私たちのエゴが原発を止める
    尖閣問題は未来永劫つづいていく
    愛国はめんどくさい
    アイリス・チャンが死んだ日
    30年前は日本の「民度」もこんなもの

    Part2 経済
    5グローバル市場と国民国家
    決断できない世界
    国家はもはや市場を制御することができない
    国民が国家を搾取している
    グローバリズムによって人類は幸福になり、ウォール街は占拠された
    "富"は不正がなくても集中する
    6日本経済の「不都合な真実」
    ハルマゲドンがやってきたら
    "劣等人種"と"劣等産業"
    コンプガチャが許されるのは国家だけ
    世の中を幸福にする「不都合な真実」
    7愚者の楽園
    年金消滅は「素人社会」の宿命
    「生活保護」をめぐるやっかいな問題
    「生活保護で貧困はなくならない」と賢者はいった
    消費税率30%の未来
    ベーシックインカムは「愚者の楽園」

    Part3 社会
    8特別な日本、普通な日本
    日本の若者はほんとうにリスクをとらないのか?
    日本人はどんなふうに「特別」なのか?
    "無責任社会"は無限貴任から生まれた
    東電の社員は原発事故に責任を負うべきなのか?
    9日本人の「混乱」
    日本は大家族制に戻っていく?
    「家族の絆」を取り戻すもっとも簡単な方法
    日本人は日本語に混乱している
    江戸時代の暮らしが知りたければインドのスラムに行けばいい-
    上を見れば限りはあるけれど、下を見れば切りがない
    日本はスピリチュアル社会になっていく?
    10いじめの進化論
    いじめ自殺はなぜ公立中学で起こるのか?
    正義の本質は娯楽である
    公務員という「安全な生賢」
    学校はいじめを前提に成立している

    Part4 人生
    11彼と彼女の微妙な問題
    お金はなぜ"汚い"のか
    男と女はなぜわかりあえないのか?
    あなたの隣にいるエイリアン
    彼が彼女を許せなかった過ち
    彼女が宇宙人になったら
    12日常に温れる「魔法」
    「48」というマジックナンバー
    俺たちのカワシマを守れー.
    セロトニンで出世する方法
    "モテキ"はなぜやってくるのか?
    13知りたくなかった?
    人生の真実
    宝くじは「愚か者に課せられた税金」
    ダイエットに成功すると仕事に失敗する?
    恋人が死ぬより長時間通勤の方が不幸?


    エピローグ 進化論的リバタリアニズムのために
    教育をめぐる不都合な真実
    原理的に解決不能な問題を「解決」する
    (1)市場を利用する
    (2)進化論的に制度を最適化する
    (3)価値観を多様化する
    おせっかいな自由主義

    あとがき

  • 様々なジャンルについて、普通とは違った視点から解説している本。
    バックデータのない持論も混ざっている?とは思うが、どれも自分とは違う考え(または考えたことがない)で面白かった。

  • 読むのに時間がかかったのは、自分に今までなかった考え方だったからだと思う。
    新しい考え方を知れた。

  • バカ〜の本の前段で出された本。
    こっちのほうが、勢いで書いてるような粗さがあるけれど、よく勉強している著者だとつくづく思う。
    世間の一般常識と言われているものを信じて疑わない人に読んでほしい。
    ただすべては正しい考えではなく、あくまでも独断と偏見で世間一般と異なった視点で書かれている本とご理解ください。

  • 著者は、「読後感に『笑ゥせぇるすまん』を思い出す」としばしば揶揄されるそうで、そのことから表紙が喪黒福造氏になったそう。 

    本書では特に(さらに?)、いじめ自殺、領土問題、生活保護や社会保証問題など、これからも我々の前に手を変え品を変え再現されるであろう、根本的解決が不能な問題を中心に扱われています。

    著者の作品に共通していえることだと思われますが、議論におけるインセンティブを明確にして、多様性を肯定する手法は流石と思います。

    本書では、根本的解決が不能だからこそ現れる、議論に潜んだ権威との軋轢や身勝手なフリーライドなどのノイズを、上手く掬って見せてくれたと感じました。

  • ・人生の大半はシミュレーションに使う(こころという装置が発動)
    ・遺伝の影響の大きさは、一卵性VS二卵性双生児の実験で検証済み
    ・人類は「30秒換算程度」というタイムスケールを感じられないから進化論が理解できない
    ・多くの素人の予想は一人のプロの予想より正しい
    ・選挙区民はバカでも大丈夫だが、バカが正規分布している必要がある(民度の偏りが問題)
    ・ハミング音を変えない人がリーダー
    ・領土問題は国内では利害関係が完全一致するから絶対に解決しない
    ・財政破綻は若者にはプラス(まだ働ける)、老人にはマイナス、だから対立する
    ・失業率を減らすためには「経営者が労働者を簡単に解雇できる」ようにすればよい
    ・私立高校でいじめがないのは、退学リスクがあるから
    ・異なる生殖戦略をもつ男女の利害関係は、そもそも一致するはずがない
    ・行動遺伝学では知能の7~8割は遺伝で決まる

  • これも、タイトルと装丁と内容が合っていないほんです。いい方に裏切られた形ですが。

    なぜ、人間には細やかな心遣いがあるか?その方が恋愛関係に落ちやすく、結果自分の遺伝子が残せるから。

    日本人の権威嫌いは筋金入り。

    日本に民主主義は根付いていない、というがアメリカ人のほとんどは自州選出の議員の名を答えられない。

    縄張りを守ろうとするのは本能。日本が尖閣諸島を、守ろうとするのと同様、中国も守ろうとするのだから結論など出ない。

    などなど。

    内容は根拠に基づき新しい見方、分析に満ちていてすごくうなづけます。

    …で、装丁がなぜに喪黒?

  • 出版されれば必ず買う。僕にとって著者はそういう対象である。滅多やたらに出版するのではなく、寡作家だが質の良い経済・社会分析を的確に分析した著作が多いので、大変評価している。著者はもっと評価されて良い。

    彼が、投資に関する本を書いて以来のファンである。この『不愉快なことには理由がある』と『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』は是非読んでもらいたいと思う。自己を充実させて生きるための、何らかのヒントを得れると思う。少なくとも僕はそうだ。

    最近、経済心理学という名前で心理学と経済行動をマッチさせた学問が、多くの関心を惹きつけている(かくいう筆者もその一人だが)のだが、橘氏は、その最先端ともいうべき経済心理学をはるかに超えて、進化論に目を向ける。そして氏が分析する社会・経済は手術で使用するメスより深く切り込んでいく。読んでいて背筋が寒くなる思いすらする。

    ただ、それだけではなく氏は処方箋を提示してくれているから、まだ救いがある。その処方箋をどう受け止めるかは読者の自由だ。

    橘氏が前回からの主張をさらに一歩進め、「多様性」というキーワードを軸にこの本を書いたという印象を受けた。

    私的なことで大変恐縮だが、僕は西川潤という先生に付いて、学部のゼミ及び大学院で経済学説史というものを学んだ。大学院を修了して以来生きていくうえで西川先生から学んだことは、知らぬ間に骨となり血となっている。その先生から学んだことで、僕が生きていく指針にしているのは「多様性を認めること」「どんなに現状が悲惨だとしても、楽観的に生きる事」の二つである。

    橘氏の主張は、私の師である西川先生とオーバーラップする部分が多いと感じる。両者ともその著作で冷徹に現状の社会を分析する一方で、どこか未来に悲観することのない処方箋を提示している。その前提は「多様性を認めない社会は社会ではない」という明確な主張である。

    とまあ偉そうに書いてみましたが、何か得る事が多い著作だと思います。氏には引き続き、質の高い著作を期待したい。

著者プロフィール

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』 (以上ダイヤモンド社)など多数。『言ってはいけない ~残酷すぎる真実』(新潮新書)が50万部超のベストセラーに。

「2019年 『1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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