政と源

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087806854

作品紹介・あらすじ

簪職人の源二郎と元銀行員の国政は、ふたり合わせて146歳の幼なじみ。ふたりを中心にまき起こる、人情味豊かで心温まる事件の数々。下町を舞台に繰り広げられる人情物語。三浦しをん、新境地!

感想・レビュー・書評

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  • 『墨のゆらめき』の2人がとてもよくて
    しをんさんの紡ぎ出す名コンビを
    他にも読みたい!と
    こちらを手に取りました


    国政と源次郎の合計146歳コンビです


    粋なおじいさんたちがいろんな問題を解決!!
    みたいな物語を勝手に想像していたら、
    全然違った。笑


    思ってた以上に哀愁漂う序盤。
    国政が割と悩めるおじいさんなのです。

    長く寄り添ってきた妻が出ていき
    子どもたちからも音沙汰なく、
    仕事もリタイアして
    何も残ってない自分。


    幼なじみの源次郎は
    若い頃こそ馬鹿にしてたのに
    つまみ簪という一生の仕事を手にし
    先立たれはしたものの最愛の妻と
    今は若い弟子もいて
    なんだか充実して見える。


    勝手に想像してた私がいけないんですが
    なんとまあ、うじうじしたおじいさんなんだ!
    って感じでした笑


    でも源次郎の破茶滅茶さや
    (源次郎はかっこいい!!!)
    弟子の徹平とマミとのやりとりなど
    何度もニヤニヤさせてくるんですよ
    うまいよなー
    そして結局丸め込まれる私。笑



    国政もカッコつけずに
    いろんなこと話せばいいのにーー!
    でもハガキはとてもよかった(^^)


    自分の老後も考えました。
    70代になってどうなってるかなー。
    家族と色々あったとしても
    あんな友人が近くにいることが
    とても羨ましいー。
    自分のために楽しく生きるおばあちゃんでいたいものです


    想像とは違っても
    なかなかいい読了感でした(^^)
    さすがしをんさん!

    • shintak5555さん
      全く視界に入ってなかった作品です!
      レビューあげて下さりありがとうございます!
      いつか読みます。絶対にww
      全く視界に入ってなかった作品です!
      レビューあげて下さりありがとうございます!
      いつか読みます。絶対にww
      2024/02/06
    • どんぐりさん
      シンタロウさん

      コメントありがとうございます!

      絶対に笑

      レビュー楽しみにしてます(^^)
      シンタロウさん

      コメントありがとうございます!

      絶対に笑

      レビュー楽しみにしてます(^^)
      2024/02/06
  • 七十三歳同士の幼なじみの国政と源二郎コンビ。読んでいる間、ニヤニヤが止まりませんでした。いや、何度も吹き出しました。
    堅物な国政と破天荒な源二郎。全くタイプの違う二人なのに、なぜか気が合っている。本人も言っているけど、幼なじみでなければ友達にはなっていなかったであろう二人。
    「幼なじみ無線」で相手が困っていればビビッと感じて助けに行っちゃったり、見栄を張って嘘をついてもすぐにバレちゃったり。
    早くに奥さんを亡くした源二郎と、奥さんに愛想を尽かされ出ていかれた国政。源二郎の弟子の徹平と恋人のマミ。若い二人の世話を焼きながら(焼かれながら?)の江戸っ子な日常が読んでいてとても心地良かったです。
    国政と奥さんのくだりはちょっと切なくなってしまうとこもろあったけど、そんな時でも国政の心の声が面白くて面白くて、この心の声をしまっておかないで表に出していれば家庭が少しは明るくなったのかなぁなんて思ったりします。でも、そうできないのが国政なんだよね。仕方がない。だけど、奥さんに送るハガキ作戦でちょっと奥さんも国政のユーモアに気付けたようでよかった。
    ホントに笑えた!「こんこんちきめ!」がしばらく口癖になりそうです笑

  • おもしろかった!!

    つまみ簪職人の源二郎、元銀行員の国政
    東京の下町で暮らす2人は性格も生活も全く違うけど
    仲のいい幼なじみ。
    この2人の周りで起こるいろんなできごとを描いた
    男の友情物語!

    もうね、第一章の「政と源」の大立ち回りで心を掴まれた~!笑った~!スカッとした~!

    でもって、二章、三章と読み進めるうちに2人の人生や思いや友情がわかってきてじんわりきてしまった。

    いいな~こんなジジ友の友情!

    ラストは「あ~よかった!!」で終わるのもよかった~

    読み終わった後になんだかすっきりした気持ちになれる本です。

  •  ああーさすが、しをんさん!!面白かったですー。笑ってはいけない場面の究極場所、病院でこの作品を読んでしまったものだから、笑いをこらえるのに、本当に本当に苦労しました。ある意味、そっちの方が地獄でした・・・

     政こと、国政のツッコミの見事なこと。しをんさんのエッセイそのものの、スタイリッシュなツッコミっぷり。見事見事。
     馬鹿キャラの徹平が自分の父親のことを紹介するに当たって、「自分の父親はイチブジョージョー企業に勤めてるんっす」と言った際に、徹平がいうと、どこかから水漏れしている企業に勤めているような感じがする・・・と政が心でつぶやくところ。もう、笑えて笑えて・・・今思い出しても笑えてきます。病院で読むんじゃなかった・・・

     老いても、国政と源二郎のようでありたい、と切実に思いました。老いて、そして、自分が終わっても、それでも続いていくものがあるんだなあ、と、その尊さを、政のかっこいいツッコミと、源のハチャメチャに教えられました。

     円陣闇丸さんのイラストも綺麗だし、おススメの作品です。

    • puccinさん
      はじめまして。
      とてもあたたかい感想に読みたい本にまた出会えそうです。フォローいただきました♪よろしくお願いします。
      はじめまして。
      とてもあたたかい感想に読みたい本にまた出会えそうです。フォローいただきました♪よろしくお願いします。
      2013/10/24
  • 幼馴染の老人二人を描く、しをん流男の友情と人生もの?
    面白かったです。

    政こと有田国政は、73歳。
    元銀行員だが退職した今はやることもなく、妻は娘のところに行ったきり戻らずに3年。
    源こと堀源二郎とは幼馴染で、生まれ育った墨田区に住んでいるので、何かと行き来しながら暮らしている。
    源はつまみ簪(かんざし)職人で、早くに妻をなくしてやはり独り身だが仕事は現役、若い弟子もいて、にぎやかな生活。

    堅物な政は、見た目は端正で白髪がふさふさしているが、気ままな性格でも明るい源に呆れたり、うらやんだり。
    政の視点から描かれるため、内心のひがみっぽさが何とも情けない。
    妻の清子がなぜ出て行ったのか理解できず、自分はちゃんと働いて一家を支えてきたと自負している。とはいえ、仕事仕事で家にはあまりおらず、妻に何もかもまかせっきりだったということ。

    源の弟子徹平は元ヤンで、昔の仲間に絡まれていると知り、政と源は解決に乗り出す。
    そういう事件が続く話というわけではないのですが、そういったことがありながら、政が人生を省み、少し心がほぐれていくという展開。
    ついに思い立って娘夫婦の元にいる妻を訪ねると、気まずい会話になってしまうのでしたが‥
    妻の立場から言われてみると、そりゃ~‥

    徹平の彼女で美容師のマミちゃんも感じがよく、親に反対されている二人の結婚の世話をしようと、だんだん熱くなる政と源。
    政は徹平に自信を持たせなければと、オリジナルの簪を作ってみろと提案する。
    内心はグダグダ、とっつきは良くないようでも、政にも良い所があるじゃありませんか。
    妻にはがきを書き続けるとは、彼なりの努力が微笑ましい。

    政のような古いタイプの昭和の男は、若い女性には理解しにくい存在ですよね。
    ある意味、不器用だけどかわいげのある人間として描いてあるのは、しをんさんの優しさかな。
    挿絵が二人とも妙にハンサムなので、う~ん、お似合いの名コンビってことなのか?!

  • 荒川と隅田川に挟まれ三角州のようになった墨田区Y町
    江戸時代には大小の運河が町中に張り巡らされ、小船で水路を行き来したという

    その風習も今は観光客向けの貸しボート屋か、川沿いの問屋に商品を卸す職人ぐらいになってしまったらしいが、この小説の二人の主人公のうちの一人、堀源二郎がつまみ簪職人のため、物語の折々に小船での移動風景が描かれており、とても興味深かった

    さらに、源二郎のつまみ簪作りの仕事風景にも魅せられた
    ネットでつまみ簪の画像を検索もした
    至る所に、江戸情緒があふれていた

    まるで正反対の幼馴染コンビ、源二郎と国政、合わせて146歳の老人コンビ
    戦争体験や愛する伴侶との出会いと別離、家族のために必死で働いてきたことなど、様々な思い出を経て現在に至るのだが、二人の現在の生活の満足度には大きな隔たりがあるようだ

    それは、破天荒な源と四角四面で融通が利かない政という二人の性格の違いによるものなのか

    わが夫を見ても、この年代の男性は不器用で自分の気持ちを素直に表現することが苦手、政のような性格がほとんどではないか
    妻や娘から総スカンを食らう政があまりに気の毒で哀れにさえ思えた 

    口は悪いが、小気味良い二人の会話は愉快だ
    年をとっても、こんなに言いたいことが言い合えて、自分のことを分かってくれている友人がいるということは何と素晴らしいことか、ただただ羨ましい

    一つ気になったのは少女漫画のような挿絵
    東京の下町風情が漂ういい雰囲気なのに、あの挿絵でぶち壊し、興ざめしてしまった 読者に想像の自由を与えてほしい 





  • 元銀行マンの有田国政とつまみ職人の堀源二郎は共に73歳で、墨田区に住む幼なじみ。日常の出来事が政の目線で語られている。

    政の妻は数年前に長女の家に行ったきり帰って来ず、一人暮らしを強いられている。源はずいぶん前に妻を失くしたが、未だ現役の職人で元ヤンの弟子・徹平もいて、なかなかにぎやかに暮らしている。

    源はがさつで言葉も荒くいい加減なところもあるが、弟子や友人に対する思いやりにあふれ、自分らしく生きているように見えて、政にはうらやましく若干の嫉妬も感じてしまう。

    政は親の期待に応えるべく、大学を出て銀行に就職し、見合い結婚をして定年まで勤めた。家族のためにと働いてきたのに、妻には理由もわからないまま愛想を尽かされ、2人の娘たちも妻の方に加勢しており、いいところなしだ。
    会話のたび、周りの言葉に対して心の中でいちいち毒づく。ひがみっぽくて、欲しいものを欲しいと素直になれず、いつまでもいじいじしてしまう。


    第2話では、本当は孫の七五三の祝いに源のつまみ簪を送ってやりたいと思いながらも、なんだか源を頼りにするのが癪であたりさわりのない商品券を贈ったり、

    第5話では、源の一言からいよいよ重い腰をあげ妻を迎えに行くが、妻や長女の態度が自分に対してあまりに思いやりがなさすぎると憤慨した上に爆発し、却って総攻撃を受けて撃沈しヤケ酒を飲んだり。

    やるせないなあ・・・。

    政の独白には、こう言われたらこう思ってしまうなあと苦笑しながら読むんだけれど、第5話の家族のやり取りは笑えなくなってくる。相手の心がまっすぐに離れていくのにも気づかずに、相手の悪いところを責めてしまう。心の中でつい呟く言葉も、活字にするとかなりきつい。耳にする人はうんざりすることでしょうね。

    相手にしてもらうことばかりを考えているうちは気づかなかないことも多い。見返りを求めずはがきに日常や心境をつづり送る行為を通して、「こうあるべき」と縛られ不自由になっていた気持ちが穏やかになっていく様子にほっとする。

    心が弱っているとき、ひとりぼっちだと思い込んでしまうと辛く、嫉妬や僻みといった気持ちに振り回されて、ますます自分らしさを保つのが辛くなっていくもの。
    元気なとき、うまくいっているときには気にならないことも、ささくれた心にいちいち入り込んで、傷にしみるような痛みを伴う。

    それでも、「がまくんとかえるくん」のように政には源がいて、やっぱり幸せなのがいい。
    しおんさんは人を見捨てることは決してせずに、気づくことで人が変わっていく姿をちゃんと描いてくれる。

    気づかないと決め込んで諦めたくなるようなことがあっても、
    うまくいかない自分に嫌気がさしても、
    なんだかうまくいっている人を妬んでしまって却って苦しさが増すようなことがあっても

    「大丈夫。みんな同じ。支えられ支えているんだよ」

    と言ってくれているような気がして、少しばかり指先が温まったのを感じて、本を閉じた。

  • 東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
    「BOOKデータベース」より

    紹介文のようにものすごいハチャメチャな出来事があったわけではないように思う.それよりも政さんの感情の描写がああ、年とったらこうなるのかなぁ、世のおぢさま(おぢいさま?)方はこんなことを思っているのかなぁという感想をもった.
    頑なだった政さんが丸くなって・・・最後でほろりときた.人と人のつながりっていろいろあるなぁと思ったし、分かり合う努力はするべきなんだなぁと思った.心が温かくなる話だった.

  • 東京都墨田区Y町。
    この町で生まれ育って73年、幼馴染みの2人はいまでもにお互いを「政」「源」と呼びあい、憎まれ口を叩き合っています。
    堅物で生真面目、若いころは銀行員として勤めあげたものの、妻にも娘にも愛想をつかされて今では独り暮らしの身となっている国政。
    幼い頃から型にはまらずやんちゃで豪快、しかし一流つまみ簪職人として繊細な作品を創りだす一面ももつ源二郎。
    性格も生き方も正反対、だけれども切っても切れない縁で結ばれた2人なのです。

    物語は国政の視点から進んでいくのですが、彼の堅物さにハラハラしてしまいます。
    娘夫婦のところに家出してしまった妻に、素直に帰って来いと言えなかったり、孫娘にトンチンカンなお土産を用意してしまったり。
    「ああもう、そうじゃないよっ」とやきもきしてしまいます。
    相手に伝えたい気持ちをすんなり伝えられない、喜んでもらいたいと思ってしていることが空回り…。
    昭和の男性の頑固さや不器用さが、愛らしくもあり、切なくもあり。

    主人公が素敵なじいさん2人組なので、随所に彼らが身体の衰えを感じている場面が出てくるのですが、これが何とも自然でびっくりします。
    じいさんの目から若者がどんな風に見えているか、という描写も。
    しをんちゃん、じいさん体験でもしたんじゃ…と思ってしまいましたw

  • 江戸っ子じいじ二人組の日常とちょっとした冒険。
    時に切なく、時に心温まる物語で、たまにはこういうのも読んでこころの栄養を取らないとね、と思えた。
    妻に先立たれ、天涯孤独だけど、弟子にも近所の人にも愛されている簪職人の源。家族はいれど、妻は出ていき娘夫婦と暮らし、七五三にも呼ばれない仕事一筋だった政。腐れ縁の幼なじみ。
    続編があったらいいのにな。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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