政と源

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087806854

感想・レビュー・書評

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  • 一気に読んでしまいましたー。国政の夫婦仲が気になりすぎて止まらなかった…。

    日々の夫の不満を溜め込んでいった清子の様子は、「スッキリ!」とかそーゆーニュース番組でみるようによくあることで、娘たちの冷ややかな態度も国政の今までの言動からなんだよなーとか思います。
    でも、徹平やマミちゃんからはすごく慕われているし、国政はいい人。清子のことも大切に思っている。それなのにいつの間にかボタンを掛け違えていったように気持ちがすれ違い、別居になったってとこ。これもなんだかよくわかるなあ…自分もそういうとこあるかも(感謝をつたえるとか、気持ちを伝えるってすっごく勇気いるよね)
    その距離を埋めるのはまだまだ努力が必要かもしれないけど、毎日届くハガキは嬉しかっただろーなー。
    そんな中、やっと来てくれた清子がすぐ帰っていくシーンは泣いてしまいました…。
    年を重ねて、妻を美しいと思ってくれる旦那さん…いいなあ。
    自分もそう思われたいなあ。

    そんな国政のいつもそばにいてくれる源二郎。
    なんでも言える友情っていいなあ。
    合間に入る挿絵も楽しい気持ちになりました。

    • honno-遊民さん
      有川浩の「三匹のおっさん」を想定して読んだが、これはこれ、また違った楽しい作品。少年時からずっと続く友情、下町の人情、これからも大切にしたい...
      有川浩の「三匹のおっさん」を想定して読んだが、これはこれ、また違った楽しい作品。少年時からずっと続く友情、下町の人情、これからも大切にしたいもの。
      2014/01/15
  • 元銀行員の国政とつまみ簪職人の源二郎、徹平、マミ。

    しをんちゃんはおっさんなのかと思うくらいの国政の面倒くさい思考が本物っぽくてちょっと鼻につくくらい。
    ラストへ向けての力みのない日々の行いも国政さんぽくて凄くいい。

    楽しかったなー。
    唐津くんちで鯛の写真ばっかり撮ってきた自分はマミちゃんの指輪が欲しくて堪らない。

    それから、イラストの源二郎がカッコいい。
    お名前を見たら、円陣闇丸さんって書いてある。
    BLは未体験だし、いろんなジャンルがあるようでどれを選ぶべきなのかわからないけれど、おじさんが好きなのかもっつーのがわかった。

  • 変わってしまったことも、うまくいかないこともあるけれど、変わらない関係がある。

    待望の新作。今回は、二人合わせて146歳のおじいさんたちのお話とのことで、予想外の設定にわくわくした。元銀行員で堅実な生き方をしてきた国政とつまみ簪職人の源二郎。ともに73歳の幼馴染二人が、拗ねて喧嘩したり、バカップルに振り回されたりと、テンポよく進む展開に大変楽しく読めた。そんな日常もありつつ、老後の寂しさや不安が感じられ、私は将来どうなっているだろうかと考えることもあった。
    不安や後悔、寂しさはあれど、変わらない人とのつながりの温かさを作品から教えてもらったので、今の自分と周囲とのつながりを大切にしたいと思う。

  • 七十歳を超えた幼馴染の老人二人。それにつまみ簪職人の源二郎の弟子とその恋人が中心となって織りなす物語。

    老人が主人公なのに(と言ったら語弊があるかもしれませんが……)、かっこいいです。
    元銀行員で、まじめで堅実、けれど仕事人間で家庭を顧みなかったツケが回ったのか、七十になるなり妻は娘夫婦の元へと家出。妻からも娘たちからも疎外されてひねくれてしまっているのだけれど、その僻みや悩みや寂しさなどが人間臭くて魅力的。
    一方の源二郎は、いい加減でだらしのないところがあるのだけど、仕事に集中しているときは脇目も振らずに集中しきるところなど、かっこよくて魅力的です。

    現実離れしたような内容でもあるのですが、三浦さんが書くからこそなのか、突拍子もないことが起こってもしらけることなく、むしろそれがとても面白くて、一気に読んでしまいました。

  • たぶんあと20年経ってこれを読んだらまた別の感想を抱くのだろうな、と。
    それまでずっと大事に本棚に並べておかないと。
    こんな時代だからこそしをんさんはこれを書いてくれたのかもしれないですね。

  • 合わせて140超の幼馴染じじい二人の、人情物語。
    先日読んだ「三匹のおっさん」よりも更にじじい化が進み、
    同じ路線かと思ったけど、もっとしんみり感が漂う。

    破天荒に見える源二郎がふと見せる表情や
    妻子に別居されて独居老人になった国政が
    やるせなく人生を振り返り、若い弟子に恵まれた幼馴染に
    僻みの気持ちも持つ姿にも、時々ほろり。

    そりが合わないといいつつ、源二郎は看取ってやりたいと思う国政と、
    何かあっただろうと察してやってくる源二郎の、
    根底の見えない絆が羨ましい。

    「来年も桜を見られるのか、俺たちは」「さあなあ」
    「来年も再来年も咲く、(俺たちが見られなくても)それでいいじゃないか」

    年を重ねたら、こんな心境になれるんだろうか。

    それにしても時々いきなり笑わされる。
    「ふによ!」には夜中に吹いた。

  • 元銀行員の政こと国政と、いまだ現役の簪職人の源こと源次郎は、墨田区の荒川と隅田川に挟まれた町に住む幼馴染の“爺い”たち。全く性格の違う二人ながら遠慮のないやり取りの中から見えてくる優しさが楽しいです。.



    堅い仕事を定年まで勤め終え、悠々自適のはずの政なのに、今でも職人として仕事を持ち、弟子と丁々発止のやり取りをしている源が羨ましくてたまらない…。
    仕事人間で家族との時間も持たずにきたらしく、妻はある日、娘夫婦のところに出て行き、今は一人暮らしというのも、さびしいだろうな、と思ったり、妻から見ればそれだけの夫だったのでは、と言いたくもなったり。

    源は少しだけ残った髪を赤にしてみたり、緑にしてみたりとなんとも破天荒で、町を歩いているとあちこちで声をかけられる人気者。

    源の弟子の撤平がね、実にいいんですよ。
    師匠を尊敬し、せっせと修行に励みつつ、年上の恋人・マミさんを大事にし、また、簪だけではなく、今風のアクセサリーにも応用を効かせる、なんて“爺い”から見たら理想の若者なんだろうな。
    彼の作った鯛の指輪が婚約指輪となったのだけど、マミさんがとても喜んでいるのが可愛いし、その気持ちがまたよくわかる。いいよね、私だってこんな指輪をもらったらどんなに嬉しいだろう、って思うもの。

    水路を舟で行き来する日常生活や職人としての源の働きぶりなども、とても面白かった。
    男二人がずっと友だちでいる、というお話そのものが嬉しかったし。


    ただ・・・
    政の奥さんの話は、奥行が足りなかったんじゃないかなぁ。
    それはそうなんだろうけど・・・と思いつつ、あんまりにも奥さんが意地悪に見えてしまうのが切なかったし、そのあとの展開もちょいと苦しいような。
    大事なモチーフだと思うからもうちょい丁寧に描かれてほしいだけど…と、すみません、エラそうですが。

  • まさかの高齢男子の友情ものでした。でも楽しく読めました。挿絵もいい!続いてほしい作品です。

  • バリバリ働いていた国政は、70歳になって妻子に捨てられ(?)寂しい一人暮らし…。
    一方、早くに妻を亡くした源二郎も、天涯孤独のはずなのですが若い弟子やらご近所さんに声かけられ、慕われています。

    そんな二人ですが、お互い僻んだり怒ったりしながらも腐れ縁でいい関係です。

    ダンディな政さん(綺麗な白髪!)と粋な源さん(ハゲていても、耳の上の髪はカラフル!?)。
    かっこいいじいちゃん達です

    挿絵の二人、若い頃もめちゃめちゃかっこいい!
    まほろ駅前~の二人を思い出します。

  • 2人合わせて146歳、幼馴染のお爺さんコンビ。
    両人のキャラがもうこれ以上ないでしょ、ってくらいピッタリ!
    下町というだけでなく小舟で行き来する様がまた風情があって良いなぁ。
    なんだか不器用で破天荒で、あったかくて力強くて、リアルで・・・
    最後のほうはもう、笑いながら泣きながら読んだ。
    1つだけ気になる点があるとすれば・・・晩年になって奥さんが両方いないからこんなにも仲が良いのか?だとすれば、少々複雑でもある・・・でも、楽しいからいっか!

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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