政と源

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087806854

感想・レビュー・書評

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  • 70代の幼馴染。源次郎は現役のつまみ簪職人。国政は元銀行員。2人は戦争、戦後に辛い経験を持つが腐れ縁とか言いながら互いを意識してきました。

    残り少ない髪の毛をいろんな色に染め自由に生きる奇特じじい・・の源次郎だが、なんだかんだと人に好かれ、堅実に生きてきたのにうまく人生が運ばない国政はちょっと僻みっぽく見ています。

    源次郎の元ヤンの若い弟子を客観的に見ていた国政も、次第に家族の様に関わっていくことになります。

    口コミで「有川浩さんの三匹のおっさんに似ている」というので手にしたが、最初から全然似てないなと気になりながら読み始めました。次第に別物と割り切れて、ようやく三浦しをんさんの世界に入っていけたように思います。人によって捉え方は色々なんだな~と、余計な感想を持ちました。つまみ簪の奥深さにも触れ、下町人情ある粋な本でした。

  • 七十歳を過ぎた老人二人の友情物語。
    荒川と隅田川に挟まれた町に住む幼馴染の二人、国政と源二郎。
    かたやお堅い元銀行員、かたやがらっぱちの簪職人と、生き方も性格も正反対の二人ながら、お互いの相手を思いやる優しい気持ちが何とも微笑ましい。
    二十年後に自分がどういう状況になっているかなど到底想像できないが、こんな関係の友人がいたらまだまだ人生は楽しいことだろう。

    源二郎の弟子の徹平やその彼女であるマミのキャラも魅力的で心地よい。
    老人が主人公の話なので、じじむさく暗い話かと思って読み始めたが、読後感が非常に爽やかだ。
    ところどころに飛び出すユーモアのある文章のセンスも抜群で、楽しく読める。
    三浦しをんの小説はやはり面白い。

  • 墨田区Y町に住むふたり合わせて146歳の幼馴染み、政と源。

    元銀行員の国政と、つまみ簪職人の源二郎。
    不器用な国政とガサツな源二郎、プラス、源二郎の弟子、徹平のバカだけどまっすぐな人柄が絶妙なバランスで。
    ひさびさの一気読み。読後感含め最高に気持ちよかった。

    連作短編となっていて一話完結なのもいいですね。
    個人的には、ぎっくり腰のところと、国政のハガキ攻撃がツボでした。

    老いも死もいつかは必ずやってくるもの。
    だからこそ、政と源のように心は若く元気でいられたら、それだけで幸せなんじゃないかと思わせてくれるいいお話でした。

  • 東京の水路に挟まれた地域で生まれ、暮らす幼なじみ二人の老後物語。
    性格が待ったく異なる元銀行員の国政とつまみ簪(かんざし)職人の源二郎。
    73歳から年越して74歳になる二人の掛け合いが面白いと同時に自分が73歳になった時、どんな暮らしをしているのだろうかと想像しながら読んだ。
    交友が少ない国政と知り合いが多い源二郎。
    私は前者になるだろうか。その時、源二郎のような幼なじみがいればよいがと国政を羨ましくも思う。

  • 最高!ジジイ最高!!BLじゃなくてGL!!!生涯かけて愛したのは実はお前だった、、的な。運命の女はいるけどどの相手よりもお前と過ごした時間が一番長い、、的な(違います本編は至極真っ当な爺友情ものです

  • 70代越えながらもまだまだ元気(ときどき腰痛)な元銀行員の政とつまみ簪職人の源のふたりの、波瀾万丈?なエピソードをつづった基本笑えてホロリともくる連作短編集。
    政は妻と別居中で、連絡も途絶えがちながら様子を知りたくてやきもきしている。源は手前勝手に毎日を生きて弟子を精いっぱい叱り飛ばしながら愛して育てていて、ただその心にはいつまでも亡くなった妻がいる。そんなそれぞれの境遇を背景に、長い間ともに生きているふたりの絆、情の深さを軽いやり取りの中から感じ取れます。

    軽く友情、というものではなく、もう絡み合った鎖のようなふたりの関係には尊さすら感じるくらいで、うらやましさばかりを感じます。これだけ信頼しあえる関係は、望んでもたらされるものではないですからね。終わりを感じ始めるこの年ごろ、けれど先をまだ信じ楽しみに今を生きれるということは、なかなかできません。

    結構めちゃくちゃなエピソードもありはしますが(でも源さん素敵…)そうなれればいいな。という願いを抱けた、ほっと息がつける暖かな短編集でした。

  • …いい年のジイ様2人のてんやわんやに、ニヤニヤしっぱなしの一冊でした。そして、政のモノローグが、悶絶しちゃうくらい恥ずかしいっ!ソファで、のたうちまわりながら読了。他人事でフィクションだとゆーのに、恥ずかしすぎていたたまれず、1作ごとに休憩を取らないと読み続けられないという…(笑)。しをんさん、さすがです!なんで女性なのに、こーゆー心情を見てきたよーに書けるかな。

    つまみ簪が気になって、調べてしまいました。見たことはあったけど、名前を初めて知ったぞ。染色からやるのかー、大きさ違いの正方形でできてるのかー、お、ワークショップ面白そう( ̄▽ ̄)、なんて。

    挿絵がまたこっぱずかしいんだよね(笑)。ジジイが無駄にカッコいい!でも同じ破天荒ジジイでも、例えば須藤真澄さんが描くとなると、作品自体の質感が変わるだろうから…これはこれで良いのだ。巻末のオマケページで、蚊帳をたぐる源さんに萌えたのはナイショってことで。

    それにしてもコレ、雑誌Cobaltに連載してたんですねー…。

  • 痛快で、人情味もある。
    あったかくて、時にじーんとくる物語。足して146歳の年齢を感じさせない、ハチャメチャエピソードもあれば、お年寄りならではのトラブルも。
    この年代の主人公で、このテンポの良さは、さすが。
    Y町という舞台も、徹平たち周りの人も、いい感じ。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-e2ac.html

  • 二人合わせて146歳の幼馴染、政と源。元銀行員で現在は一人で暮らしている、国政と、簪職人として働き、慕う弟子もいて、町内でも人気の源二郎。政は何かと意地を張り、源に嫉妬する。どこかうらやましがる。しょっちゅうケンカしている二人だけれど、人生の中でこんなにも仲良くできる、お互いを思いやれる友人を作ることができるだろうか。二人の関係がうらやましかった。

  • お爺さんコンビの話らしい、、、

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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