徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087807936

作品紹介・あらすじ

サンフレッチェ広島を立ち上げ、広島の森保一、川崎Fの風間八宏をはじめ、Jリーグ監督を幾人も育てた今西和男。『オシムの言葉』の木村元彦が、本人、選手、関係者への取材を通して、その実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • これはJリーグ好きだという人に読んで欲しい本。
    サンフレッチェ広島の前身であるマツダの時代からチームを育ててきた人である今西和男について描かれた本。
    この本で主として書かれているのは今西和男の活躍と、今西和男が育ててきた人間がいかに今のJリーグにたくさんいるのかということである。そして、この本を書くきっかけとなったFC岐阜での経営についてである。
    今西和男がいなければ今のJリーグの地方クラブのあり方は大きく違っていただろう。また、今西和男がサンフレッチェ広島でユースチームを作り育てる重要性を説いていなければ今のJリーグのユースチームも違っていただろう。

  • 木村元彦さんの取材力。
    今西さんの「最後」を知り、怒りが込み上げできた。
    “加害者”である当事者たちが、のうのうと生きていると思うと腹立たしい。
    こういった事実があったことを心に留め、忘れないでいたい。
    今西さんはご高齢だけど、どうか、誇り高くいてほしいと切に願う。

  • 数少ないファン作家の一人、木村さんの一冊。今回もメジャーではない切り口からサッカー界と社会を調べ、見せてくれた。いきなり日本代表森保監督とのストーリーから始まる。そして、サンフレッチェ広島の青山などの話につながる。しかも、出版されたのは2011年だから、当然森保さんが代表監督になるずっと前に。そう。本当にすごい人達を育てた人が、サンフレッチェにいたらしい。そんな人のお話。
    こんなことが書かれている。
    ・マツダの社員としてどんな風に人を育ててきたか、
    ・地域のために存在するのがクラブであると定義し、いかに実践してきたか、
    ・トリニータやFC岐阜などをいかに立ち上げてきたか
    ・その中で、どれだけの人たちから、尊敬され愛されたか(尊敬し、愛したか)
    ・Jリーグの発展進化の中で、どんな風に不利な扱いを受けたか(Jがどうねじまがっていたか?)

    その他に印象深かったのは風間八宏さんとの話。
    ドイツリーグで活躍していた風間さんが日本に戻ってくるときに選んだのがj2にいたサンフレッチェ。なんでかって今西さんが風間八宏を本当にほしがったから。そしてプロとして大切にしたいことを伝えたから。つまり、このクラブをどうするために、風間さんになにをしてほしいかを明確に伝えたから。
    そして風間さんは、ミスが起こると「どんまい」と言って終わらせていたサンフレッチェにおいて、「おまえそんなプレーもできねえのか。他に選手いねえのか」とミスをミスとはっきりする。そうやってプロとしての意識を高めていった。
    そう。プロ。

    この一冊は、サッカーが好きな人、教育や人事に関わる人、プロスポーツに関わる人、そんな人達にぜひ読んでもらいたい。

  • 実はBリーグのファン必読の本。大河氏についてはこういう評価もあるということで。一部のJリーグファンがチェアマン就任に冷淡な反応を示した理由がわかる。
    彼が本書に書かれているような悪行を関知していないというのであれば、部下の茶坊主が好き放題に振る舞っても気づかない無能ということなのだし。

  • わからない。本当にわからない。
    なぜにリーグ側は今西さんをこんなに排除しようとしたのか。
    好きなJリーグの上部でこんなことが行われている、とはショックだった。
    しかも、ウチの社長が暴言吐いてるし。
    ちょっと彼を見る目が変ったわ。

  • 今や私の生活にJリーグは欠かせないものとなり、ついにカテゴリを追加する日がやってきた!
    これからもたくさん読むぞ。

  • マツダ〜サンフレッチェ広島を築き上げた今西さんの姿を様々な面から描いた内容。
    ただ,それ以上にFC岐阜でのクラブライセンス制度に関する事件が本書の核心で,胸が詰まる。
    サッカーファンはもちろん,スタート時点からこの制度を採用しているBリーグ観戦者にも一読をおすすめする。制度を導入した人物とそのやり方(の一側面)も描かれており,とてもエキサイティング。

  • 著者のJリーグ三部作の最終作。
    これまでの問題取り上げ型ではなく、ドキュメンタリーっぽくなっている。
    少しJリーグの問題も取り上げている。

  •  サンフレッチェ広島を経て、名コーチ・監督として数々の人材を輩出してきた今西和男氏の半生を描いた本。後半は、役人気質と化したJリーグと県の陰謀によって捨て駒にされ、チームから追い出されていく異常な事件の一片が書かれている。
     特に後半は、あまりにも衝撃的な内容であり、これが真実であればJリーグの理念を覆すような汚点となる事件が、いまだに世間には十分に知られていないことになる。

     純粋にサッカーを愛し、縁もゆかりもない岐阜のチームに貢献しようと孤軍奮闘した今西氏と、追放劇の陰謀に関わったJリーグ事務局、元チェアマン、岐阜県に対して、この事実を知ったサッカーファンや今の岐阜県民はどう思うのだろうか。
     読み終わって、憤りとやるせなさで胸がいっぱいになった本。

  • 育成した選手、監督、コーチを
    挙げだしたらきりが無い。

    その中には元日本代表監督やJリーグ優勝経験者ら実力者ぞろいだ。
    彼らは口々に「今の自分があるのは
    今西さんのおかげ」という。

    己を信じさせ
    才能を開花させていく。
    誰かの為ではなく自分で自分を見つけさせていく手助けをしている。

    日本で初めてのGM職を切り拓いたのも今西氏だ。

    それ故にFC岐阜の件はとても残念だ。

    日本的というと語弊があるが
    一サラリーマンが役職、職位を持つことにより
    それを振りかざしたくなる。
    今回で言えばそれはJリーグライセンス。

    私がお上でそれをお前らは従えばいいと。

    そういう組織に岐阜のような地方都市では官庁が盲目的に従わざるおえない。

    その怖さがでていた。

    大垣と岐阜の経済圏での意地の張り合い

    それらを乗り越えようとしている今西さんへの
    あの仕打ちはあまりではないか。

    徳は狐ならず
    「徳のある人は孤立する事なく周りに助けてくれる人がいる」

    この言葉がしっかりと実証されることを願う。

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著者プロフィール

1962年愛知県生まれ。中央大学卒。ノンフィクションライター。東欧やアジアの民族問題を中心に取材、執筆活動を続ける。おもな著書に『オシムの言葉』(集英社文庫)、『蹴る群れ』(集英社文庫)、『無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代』(ころから)、共著に『さらば、ヘイト本!』(ころから)など。

「2019年 『13坪の本屋の奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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