パパはマイナス50点 介護うつを越えて夫、大島渚を支えた10年

  • 集英社 (2005年9月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784087813340

作品紹介・あらすじ

女優の代役はいても妻に代役はいない。
突然夫が倒れて、経済的にも精神的にも苦境に立たされたとき、人は何が出来るのか。完璧な介護を自分に課して、「介護ウツ」に陥った著者が、立ち直るまでの心理と、実践的行動を率直に綴る。

みんなの感想まとめ

突然の夫の病に直面し、経済的・精神的な苦境に立たされた著者の体験を通じて、愛と支え合いの重要性が描かれています。完璧な介護を求めるあまり「介護ウツ」に陥った著者は、孤独感や周囲からの批判に苦しみながら...

感想・レビュー・書評

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  • 最近、どうしても目に入ってきてしまう「介護うつ」という言葉。
    この本にも、「介護うつを越えて 夫、大島渚を支えた10年」という副題が付いています。
    著者は、映画監督大島渚氏の夫人で、女優の小山明子さん。
    1996年、大島監督が旅行先のロンドンで、脳出血で倒れます。
    映画「ご法度」のクランクインを翌年に控えていた監督には後遺症が残り、再起不能と思われました。
    高額の医療費、監督降板の違約金、またマスコミの執拗な取材を受けて、小山さんは精神的に追いつめられ、冷静な思考力を失っていきます。

    「我が家はもう破滅です」

    意識を取り戻した監督は、映画を撮るために必死に回復しようとしていました。
    その介護を完璧にしようとするあまり、小山さんは自分を追いつめていってしまいます。
    数ヶ月後に出演予定であった舞台の仕事。時間的にも、精神的にも到底出演は無理と、断わったことが、ますます彼女を不安に陥れます。

     長年、女優として生きてきた心の拠り所をなくしてしまったために、ますます自己嫌悪にとらわれるようになっていったのである。

     「妻失格。主婦失格。子供たちだって半分以上はお義母さんに育ててもらったようなものだから、母親も失格。そして女優としても失格……。やっぱり私は、生きている価値のないダメな人間なんだわ」

    「夫の介護をしなければ」、でもできない。
    その苦しみから強い自殺願望にもとらわれ、何度も入院を繰り返します。

    うつになった理由を、いまは冷静に分析することができます。

     障害を抱えた夫と二四時間向き合い、気の休まる間もなく、とにかく頑張って、頑張って頑張り過ぎた結果、入院する羽目に陥ったのである。にもかかわらず、一刻も早く退院して、また頑張ることしか考えていない。その考え方を変えない限り、いくら体が元気を取り戻したところで、また同じ過ちを繰り返すことになる……。

    典型的な「介護うつ」の当事者の追いつめられ方を、非常に赤裸々に描き出した内容です。
    読みながら、息苦しくなる思いを何度も味わいました。
    この本の救いは、小山さんが、いまは介護うつから脱出し、大島監督とともに充実した老後を送っていらっしゃることを確認できることです。
    「共倒れしない介護の秘訣」と題した七項目は、これから同じ境遇になったときに非常に参考になるでしょう。

    その一 まず自分の時間を持つ
    その二 一日一日を楽しむ
    その三 イベントで家族の絆を深める
    その四 つらいときこそユーモアで乗り切る
    その五 「ありがとう」のひと言は大きい
    その六 介護される人の気持ちを尊重する
    その七 一人で抱え込まない

  • 夫、大島渚が突然倒れて闘病生活に。
    最初は映画制作を公表したばかりの時期ということもあり、騒ぎになることを恐れて、妻なのに駆けつけることが出来ず、公然と出入りできない寂しさ。
    身体に気をつけてあげることが出来なかった、今も役に立たないと自分を責めて、うつ状態になり、死まで考える状態に。
    家族が心配して入院、それも閉鎖病棟に。
    退院後も自分は病気ではないと感じていて、薬も飲まないでいたとか。
    しだいに事実を受け入れ、友達も出来て、対応できるようになっていくが‥
    夫が話を聞いてくれる人で何より大事な存在だったため、近所に友達が少ないのも孤独になった原因だったとは。
    悪意のある散らしが郵便受けに投げ込まれたり。
    夫が大変なときに妻がしかkりしないとはもってのほかという批判もされる。
    昔はそういう教育だったんでしょう。

    ちょっとした介助にもいつも「ありがとう」と口に出してくれる夫だったとはいいですねえ。
    収入のない若い監督の夫を支え、映画作りの費用まで稼ぎ出していた妻ですからね。
    妻はいつも女性として何よりも欲しい「評価」と「信頼」をしてくれたと夫が書いていたとは。
    妻の方も、支えて育てて貰った気持ちが強いというのは何より。
    三度目の入院で、もう歩けるようにはならないだろうと言われた大島がさすがに荒れる。
    しかし20歩、自分で歩けるようになったとは。
    荒れているときもユーモアで「昨日のパパは百点満点だったけど今日はマイナス五十点よ」などと言って笑わせ、怒りを静めるとか。
    自分の健康のために水泳教室に週に一度は通うようにしたが、出かけるときには長年勤めてくれた家政婦さんに夫をほうっておくなんてと言われるそうだが気にしない。
    季節の花を生けて、車椅子で家族旅行にも行き、おじいちゃんは凄いのよと孫にも教え、身体が不自由になったことは夫の尊厳を損なう物ではないと考える。
    後半の明るさはビックリするぐらい。

  • ドラマ「大島渚の帰る家~妻・小山明子との53年~」を見ました。鬼才の映画監督と女優の夫婦。伊丹十三と宮本信子しかり、依存を越えて互いに崇拝にしあった不思議な関係。苦労と愛情が感じられるいいドラマだった。

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