- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087813586
感想・レビュー・書評
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新潮社の全集版『予告された殺人の記録』の訳者解説に紹介されていたので読んでみた。三重に胸糞悪い本です。
1. 直接に知っていても知らなくても、意識的な他意があってもなくても、当事者以外の人間はみんな自分に都合のいい勝手なことをいうものだとつくづく思い知らされる
2. ガルシア=マルケスが非常に利己的で思いやりのない振る舞いをしたことがわかる
3. 作者の未整理な執筆動機、処女性を重んじる価値観の変遷に対する考察の浅さ(調べて書いている様子が見られない)、過度に情緒的なスタイル、自分語りがとにかく読む気を削ぐ
あんなにひどい目に逢ったのに、アンヘラのモデルになった女性が自分を失わず、身近な人たちに敬われ愛されていたと知れたことだけが救い。一番高齢なときの写真が一番美しい人だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
車谷長吉は近親の恥を予断と悪意をこめて書きまくって恬然と恥じるところなく、結果優れた私小説をあまた生み出したが、大体作家という人物と親しくなれば自分の私生活を暴かれるのは避けられぬことと思っといた方がいい。本書はガブリエル・ガルシア=マルケスが『予告された殺人の記録』のモデルとした従姉妹マルガリータ・チーカの人物像を関係者の証言から再現しようとするもので、そのプロセスはそれなりにサンスペンスフルだが、著者・藤原章生の「自分語り」が頻々と挿入されるのが興醒めでしようがない。ドキュメンタリーには見出した事実を淡々と綴っていけば自ずと説得的なものとなるという優れた文法があるのに、この著者はその辺りがよく分かっていない。よほど目立ちたがりなのか。とりあえず自分はそうした余計な部分は全部飛ばして読んだが、別にそれで悉皆痛痒がなかった。同じ著者による『絵はがきにされた少年』や『資本主義の「終わりのはじまり」』にも関心あったがすっかり読む気を失くした。因みに本書は絶版でオンライン古書店から購入したのだが売値は1円だった。読んで不愉快になったのはどうやら自分ひとりではないらしい。
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毎日新聞の記者であり南米に特派員経験を持つ著者が、『予告された殺人の記録』のモデルにされた実際の関係者に迫ったルポルタージュ。
著者が、ターゲットに絞ったのは、処女ではないという理由で出戻った元新婦のアンヘラ・ビカリオのモデルになったマルガリータ・チーカ。
身辺で重大な事件が起こったこと、引越しをして静かに暮らしていたところに親戚筋のノーベル賞作家ガルシア=マルケスが、事件を題材にした本を出版された。
著者は、マルガリータには生涯二度の悲劇が襲い掛かったという。
著者は事件の関係者に取材をしてゆくが、当のマルガリータは取材を拒否したまま逝去し、ガルシア=マルケスにも拒否されている。