最後の冒険家

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  • 集英社
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レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087814101

感想・レビュー・書評

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  • 登山、ポールトゥポールなど様々な冒険に挑戦する石川直樹さんが綴る、神田道夫さん。熱気球での太平洋横断に挑戦し消息を絶った冒険家と過ごした4年間。

  • 冒険家・神田道夫の熱気球による長距離飛行の記録。
    神田氏は熱気球で太平洋横断を試みます。単独で空を飛ぶっていうことだけでも大変なのに、乗り物は熱気球です!飛行機さえ苦手な私は、それだけでも大変なことだと思います。
    熱気球の調整など挑戦に至るまでがまた大変ですが、神田氏は熱意と根性で全てを乗り切っていきます。3度目の挑戦時に行方不明になってしまうのですが…。

  • この本は2008年に気球による単独飛行で太平洋横断に挑戦し行方不明となった冒険家神田道夫について書かれたエッセイである。筆者は冒険家・写真家である石川直樹。彼自身も2004年に神田とともに太平洋横断に挑戦して失敗している。本書は、そんな筆者の視点で、神田との出会いから、神田の最期の挑戦、それ以降について書かれており、また、インタビューを通して、神田の過去の冒険についても触れている。
    しかし、本書はいわゆる冒険記とは違うのかもしれない。神田という冒険家が、どのように仲間や家族、石川氏本人と接し、極限の状況でどんな言葉を発し、どんな行動をしたのか。壮絶な冒険を描きながらも、視線は常に神田道夫という人間に向けられている。

    神田道夫という人間を「いわゆる」という言葉でまとめることは難しいが、神田道夫に対する尊敬はあっても、憧れを感じる事はなかった。冒険とは限りなくリスクを減らしてもなお、命の危険があるから冒険なのだと、石川は言う。もしかしたら冒険家というのは、危険な状況下でこそ(しか)生の実感を得られる種類の人間なのかもしれない。神田の決断力/行動力/努力には学びたいところが多いにあるが、自ら命の危険を冒すというのは理解しがたい。

    最も印象的だった、神田道夫が行方不明になる直前の最期の言葉。

    「雨が降っています。アメリカの領海に入った。これから上昇し、飛べるところまで行く」

  • 世界7大陸最高峰登頂の最少年記録を塗り替えた石川直樹さんが、熱気球にも挑戦。
    地上の冒険と同じように空の冒険も命がけ、ジャンボ機が飛ぶ高度で熱気球を飛ばす冒険家、神田道夫さんのパートナーとして、太平洋横断に挑戦し失敗した場面から始まるこの本は、最後まで読みごたえあります。

    生死を共にした神田さんの空の冒険をつづったノンフィクション!
    ぶれずに自分の生き方を貫き、不器用ながら全力で生き続けた究極のアマチュア冒険家、神田道夫さんは2000年度の植村直己冒険賞の受賞者。

    そしてこの本は第6回開高健ノンフィクション賞受賞作。

  • 風船オジサンの無謀な冒険だけど、好きだ。

  • 神田道夫。ほぼ手作り一人乗り気球で、太平洋を横断中消える・・・・・。

    著者は太平洋横断の最初の冒険に同行して、やっぱり嵐の太平洋に不時着。このときは運よく救助されるが、九死に一生を得る。神田はこの経験にもかかわらず、またもチャレンジ。著者は危険を察知してというか、運だけに身を任せるような計画に、2回目は同行を断った。冒険ではなく、自殺・・としか考えられなかった。

    なぜ神田はチャレンジしようとしたのか・・・そこには、チャレンジすることでしか自分を表現できない、哀しい性を見てしまう。

  • これ一冊で大空に高く舞い上がります。気球でこんな大冒険があったんだ。第六回開高健ノンフィクション。

  • 熱気球でいくつもの記録をうち立てた神田道夫の評伝

    彼の旅に同行したことのある著者の目から見た、神田像は、一途とも、ただの頑固者とも言える。何かに追い立てられるように太平洋横断の夢を追った神田。一人熱気球の中で何を思ったんだろうな
    地図から空白がなくなったこの時代、いわゆる昔のような「冒険家」はもういない、という言葉が感慨深い

  • 熱気球に取り憑かれた男、と言ってもいいのかも知れない。普段は町役場の学校給食センター長が本職ながら、熱気球での富士山越えを果たしたのち、神田道夫氏は人生の軸足を熱気球の記録更新に挑むアマチュア冒険家へと移し替える。日本における熱気球飛行の先駆者・市吉氏や、会社勤務の傍ら精力的なフライトに挑む竹澤氏と組んで次々と新たな記録に挑む神田氏は、ついに自作気球での太平洋横断を決心する。パートナーに選ばれ、共に死線を彷徨った石川氏の臨場感に富む記述はどこか少し歪だが身体感覚に忠実な“手作り”の趣に好感が持てる。ただ、読後感は多くの冒険譚がもたらしてくれるような爽やかさとはほど遠い。二度目の太平洋横断への挑戦に向けてただひたすら盲進し、周囲の助言にも耳を貸さず、素人目にも無謀としか言いようのないプランをごり押しした挙げ句、結局パートナーを見つけられないままたった一人で空へと昇っていく神田氏を、周囲は鼻白みつつ見送る。誰よりも生を謳歌しているかに見える冒険家の多くが必然的に死出の旅へと招き寄せられる皮肉を、自らも冒険家と呼ばれる石川氏はラスト数行の哀切な呼びかけに込める。未だ、返事はない。

  • イトイさんのサイトをほぼ毎日読んでいる。
    イトイさんの読んだ本をここで挙げることも少なくない。
    この本だってそう。
    そう考えたら、自分がある本を読もうとするきっかけなんてほんの数パターンに分けられる。
    「〇〇のきっかけがなければ絶対にこの本は読まなかった。」
    ということは実はあんまりなくて。
    絶対に読まなかったと思う本は、読んだところで大きく響かない。
    「興味ないことはないけど、買ったところでなかなか読まなくなるんじゃないか。」
    ぐらいの出合いが、出合いを少しずつ広げてくれる気がする。

    ものすごく脱線しているけど、
    内容についてレビューを書くつもりはない。
    ただ、絶対多数の人にとって知識がない世界だろう。
    でも、わからないなりに、そういう世界があるとわかることだって、
    実は大きな収穫だったりする。
    何より、そうした遭遇を「出合い」と思えるようになる。

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著者プロフィール

1977年生まれ。写真家。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。「NEW DIMENSION」(赤々舎)、「POLAR」(リトルモア)で、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞を受賞。「CORONA」(青土社)で、土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した「最後の冒険家」(集英社)ほか多数。最新刊に、エッセイ「極北へ」(毎日新聞出版)、写真集「Ama Dablam」(SLANT)、「この星の光の地図を写す」(リトルモア)など。東京都在住。

「2019年 『靴のおはなし2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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