母 ―オモニ―

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 494
感想 : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087814446

作品紹介・あらすじ

お前とふたりだけの話ばしたかったとたい-。ある日、わたしに届いた母の声のテープが、日本全体が貧しく、家族同士の体温が熱かったあの時代の記憶を呼び覚ます-。『悩む力』から二年ぶり、著者初の自伝的小説。

感想・レビュー・書評

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  • 姜尚中本人と言うよりは、タイトル通りその母の人生が綴られ、その中に姜尚中のルーツや在日の苦悩が垣間見える。作者の著書である心とは異なるアプローチによって自らを模索するような、姜尚中あるいは在日特有の感受性が浮き出ているように感じる。

    読んでいてどうしても、孫正義の育ちと混乱してしまうシーンがある。それほど、戦後の在日のおかれた環境が似通ったものだったという事だろう。

    国を持たない人たちのある種の強さは、自らの立場が常に揺らぐ中において、同族の人間関係や、お金や教養といったものを普通以上に大切にするからかも知れない。

  • より多くの人に読まれるべき本だと思う。

    在日一世の日常の記憶(歴史)は、
    それを取り囲む環境から、容易に語られなかったことが多い。

    だから、彼らの辿ってきた足跡は、
    過酷だったにもかかわらず、
    脆く消えてしまいかねないのではないか。

    母を中心とした著者の家族の営みが細やかに書き込まれ、
    そのひとつひとつ、些細な出来事の中にこそ、渦巻く葛藤が浮き上がる。

  •  帯には「自伝的小説」とあったが,おそらくほとんどのことは事実なんだと思う。自らのオモニをめぐる人々の生き方を中心に書かれた自伝的小説。
     文字を書けず,読めもしなかったオモニの言葉には,生きて体験してきたからこその内容が含まれていて,一言一言が重く感じる。

    母。それは、いつの時代にも子供たちの心を虜にせずにはおかない。幼少の頃,子供以外の何者でもなかったすべての者にとって,母は絶対的な存在だったはずだ。たとえそれが,激しい愛憎をともなっていたとしても。

    と「プロローグ」の冒頭にある。まさに,だからこそ,姜尚中は「母(オモニ)」を公にする価値があると判断したのだろう。「母」というのは,だれにも通じる話題。そして,共に考えることのできる話題なのだ。
     戦争中の日本に生きて,朝鮮戦争でふるさとが分断され,日本では差別的な待遇を受けながらも生きてきた在日の人たち。そのまっただ中を生きてきた「オモニ」の姿は,とても強くて,優しくて…。

     姜尚中氏の文章は,とてもきれいな日本語だ。わたしなど,使ったこともない言葉で表現している。もっともっと言葉の勉強もしたいなと思わせてくれる本でもあった。

     最後のオモニからのテープは,よかった。

  • 4

  • 言葉にできない感情が沸々とわいてくるような話だった。考えさせられる事多し。

  • 大正生まれで、激動の歴史に翻弄されながらも、立派に生きた我が母と重なった。ありがとう。

  • 実体験の重さ
    その上にある優しさ・・・
    母ってねえ

  • 韓国のお母さんってこんなにいい人なの?と感動しました。
    母をお願いを読んだ後だから、なおさら思うのかも。

  • 戦前に釜山の近くののどかな町を離れ、異国日本へ、そして熊本に渡った女性の一代記であるとともに、終戦直後の貧しい日本、そして朝鮮人差別などを生々しく描いています。著者が母からは「テツオ」と呼ばれ、友人からも永野と呼ばれ、在日としての出自を思い出すことさえ、厭うていたが、韓国を訪問し、叔父に会ったのち、「姜尚中」と名乗る変化は感動的な部分です。今から僅か60年ほど前の在日の悲惨な生活に心が痛みます。

  • 母の貧しくても、辛くても、助け合って生きていく強さ、強い愛情を感じる。

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著者プロフィール

1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学大学院教授、聖学院大学学長などを歴任。東京大学名誉教授。専攻は、政治学・政治思想史。主な著書に、『マックス・ウェーバーと近代』、『オリエンタリズムの彼方へ』、『母 -オモニ-』、『漱石のことば』ほか。

「2018年 『ナショナリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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