母 ―オモニ―

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  • 集英社
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感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087814446

感想・レビュー・書評

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  • 韓国のお母さんってこんなにいい人なの?と感動しました。
    母をお願いを読んだ後だから、なおさら思うのかも。

  • ちょっとイメージと違った感があるんだけど、読んでみるとやっぱりーな感じでした。母への追悼もこめて思いを書き上げたんでしょうね

  • 戦中、戦後すごい時代を生きてきたんだから強い。

  • オモニの優しいことばが、まるで子守唄のように温かな世界を紡ぎ出す。
    政治学者姜尚中氏初の自伝的小説。
    姜氏の、母に対する愛情の深さが言葉の端々に顕れている。

    「母。それは、いつの時代も子供たちの心を虜にせずにはおかない。幼少の頃、子供以外の何者でもなかったすべてのものにとって、母は絶対的な存在だったはずだ。たとえそれが、激しい愛憎をともなっていたとしても。」
    冒頭のこの言葉がずっと心の中に残る。

  • NHKのプレミアムドラマで見て興味を持ち、
    借りてみた。

    それまでの私といえば、「カンサンジュン」=「姜尚中」とやっとつながったばかり。
    いい声の人、頭いい学者さん、くらいのレベルの認知度しかなかった。

    戦時中に在日韓国人の両親から生まれた、テツオ。
    その彼から見た、母(オモニ)の姿。

    母は優しく強く、愛すべき存在であるが、
    在日であることを隠していたかった時期もあったため、
    その強烈な個性を疎んじていた部分もある。

    その愛憎は、私たちにだってあるのだから、
    まして出自で差別を受けていた人にとって、
    複雑な心情であろう。

    戦後、日本人として誇りを保つためには、隣人をおとしめるしかなかったのだろうか。
    豊かになった今現在でも、それを続ける意味はあるのだろうか。

    身近な九州弁で綴られる、想像以上の貧困と差別は、
    とても今のあのスタイリッシュな姜尚中さんとつながらない。

    家族みんな和名で暮らしていたところで、あえて韓国名に変えた心情を、
    もう少し知りたい。

  • 年代的に通じる部分があり、また熊本には2年間住んでいたので懐かしさもあった。もちろん立場が違うので、知らなかったり見逃してた点にも気づかされる。まぁ、母の記録の小説化となるのだろうが、内容としては中途半端。一世の記録か、小説として母をモデルとした一代記か明確にすべきだっただろう。だから、場面で感傷的になったり、ぼかしたり突き放した推測のみだったりする。現在でも重要なテーマだけに、物足りなさがあった。

  • 戦時中の女性の強い生き方というのでしょうか。作者は日本で生まれた方だったのですね。
    お母さんの愛が伝わってくる内容でした。

  • 姜尚中が母について書いた半自叙伝。半分は母の伝記だが、後半は本人の半自伝とも重なる。

    母がなくなるところから始まり、日本に来て苦労した話、漢民族としてのアイデンティティーなどが描かれる。この本は多分現実よりもずっとやわらかく苦労を描いているんだろう。苦労をした人ほどやさしくなれるといった言葉を思い出した。

    今でこそ韓国は近い隣の国だが、人の心に刻まれた複雑な歴史があるということ。悪いと拒むのではなく、順応するということ。オモニの熊本弁がとても優しく聞こえる。

  • お母さんを中心とした、姜尚中の自伝みたいだった。異質の文化を持つおかあさんの元で育つと、いろいろなやんで、姜尚中みたいな思慮深い人に育つのだろうか

  • 韓国に生まれ、熊本を故郷としたオモニの半生を、息子テツオが綴った小説。戦前の日本に出稼ぎに来た父のもとに嫁ぎ、あっという間に戦争に突入、そして敗戦を迎える。祖国は解放されるも、南北対立の混乱にのまれていく。文字の読み書きもできないオモニが、昭和の時代を体ひとつで生き抜いた証が刻まれている。
    日本で生まれた息子である作者の葛藤は大きい。両親の祖国を訪れたのちに、テツオからサンジュンへと名前をあらためる。

    私が目をそらしていた日本、昭和がここにある。

著者プロフィール

1950年熊本県生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。主な著書に『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ―近代文化批判』(以上岩波現代文庫)『ナショナリズム』(岩波書店)『東北アジア共同の家をめざして』(平凡社)『増補版 日朝関係の克服』『姜尚中の政治学入門』『漱石のことば』(以上集英社新書)『在日』(集英社文庫)『愛国の作法』(朝日新書)など。

「2017年 『Doing History』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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