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Amazon.co.jp ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784087814705
作品紹介・あらすじ
その空白地帯を埋めんとする古今の探検家たちの旅を追い、やがて筆者も谷を踏破。もう一度訪れたいと仕事をやめて挑むが、想定外の出来事の連続に、最後の旅は必死の脱出行の様相を帯び始める。第8回開高健ノンフィクション賞受賞作!
感想・レビュー・書評
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チベット奥地に残る人類未踏の地、ツアンポー峡谷踏破を目指す著者。
この方は登山スキルと同じくらい文章構成力のある人(新聞社にお勤めだったよう)だな、と的外れな感想が出てくるくらい見事な構成の本です。
前半はツアンポー峡谷という日本人の7~8割は知らないであろう場所について、歴史的文化的背景が丁寧に描かれています。そのことにより、角幡さんのこの冒険に対する思いへの共感がしやすくなっています。
後半の2008年年末から2009年にかけての後半戦はいっきに読み進めてしまい、寝る前の読書には不向きです!笑
厳しくつらい冒険だったことが随所にうかがえるが、「わざわざ苦労してこんな地の果てのよう場所に来ても、楽しいことばど何ひとつないのだ。」という一文には笑ってしまった。「それ、あなた以外みんなわかってた…」と。
冒険の最中に発見したものについて「ひとりで旅をして、そこにそれを見つけた。(中略)あるのは、私はそこに行ったのだという事実だけであり、私にとって(中略)特別な場所になったということだけ」という文に「(一般的な)冒険」の意味がまとめられているように感じた。
ご本人は、リスクがあるからこそ冒険という行為の中には生きている意味を感じさせてくれる瞬間があると書かれています。一見向こう見ずな人なのか?と思わせますが、この冒険に出るまでに緻密な計画を立て、現地の人間と関係を築き、何より高い登山スキルを持っている、危険を少なくするように最大限努力できる人が最大限危険に近づくことで生を実感しようとする、この矛盾も面白いな、と思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チベットにある外国人が誰もできていない峡谷に単独で挑んだ話。
峡谷のそれまでの歴史がかなり詳しく説明された上で、作者の単独行の話が始まるのでかなり緊張感があった。また文章がかなりかっちりしていることもあり、緊迫感がすごく伝わった。
思った通りに事が進まず大変な状況になっていくんだけど、行き当たりばったりで現地に行っているのでふと振り返るとかなり無茶苦茶なことをしていたのだと感じた -
エベレストが世界最大の凸デコだとしたら、こちらは最大の凹ボコ…!!
百年間乾くことを知らないベシャベシャの大地は人どころか草木さえも拒み、長い間誰の目にも触れずにそこにあり続ける。
ロマン…!! -
なぜ冒険の旅に出るのか。角幡氏は自問する。こんな死ぬ思いをしにわざわざ旅に出るのか?
それは死ぬかもしれないという瞬間を体験することで、生きている意味を感じられるからと、角幡氏は書いている。生と死のギリギリの淵に立つことで生きている実感を得られるからと。
この漫然としたダラダラと続く日常に、死ぬかもしれないという体験はそうはない。
だから冒険に出る。厳しい自然環境に身を置き、生に挑む。そういう生き方に憧れを抱くのは、私もダラダラとした毎日を過ごしているからなのだろうか。 -
なぜ命をかけてまで冒険するのか。
冒険家は言う、死ぬような思いをしない冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。
ああこれは死ぬ。と思える瞬間は、確かに生きていて、生を、命があることを最も実感できるひととき。それを求めて冒険家は困難に挑むのか、と納得させられた本。
久々に読みながらドキドキし、命が脅かされてない自分の状況に感謝したくなりました。
いかに生きるか、困難な状況での判断をいかにするか(途中から目標が踏破ではなく生還に変わる)、選択についても考えるヒントを貰えたノンフィクション。面白かった! -
先日読んだ「極夜行」は本物の夜と太陽に逢う為のグリーンランド行の作品だったけど、更に遡っての著作を読みたくなりました。やはりこちらの方が凄く響いた!下見のあと本番としての2回目のチベット行きの紀行本だが迫真の描写と言い膨大な資料から引用した秘境に纏わる話題と言い興味深く読んだ。冒険家探検家の皆さんの心情はなかなか理解出来ないけど、本当の人生 本当の生き方を求めて止まないようですねぇ♪
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ツアンポー渓谷。チベット高原を横断しインドへ流れ込むツアンポー川(ヤル・ツアンポー、ツアンポーの方が「川」って意味なのだが)がヒマラヤ山脈東端で折れ曲がる屈曲部の渓谷。19世紀までは、そもそもツアンポー川の下流がどこにつながっているかも諸説あり、大滝伝説がある、ほとんど人跡未踏の地であった。「空白の5マイル」とは、1924年にツアンポー渓谷を踏破したフランク・キングドン=ウォードが探検できなった最後の秘境をさす。
著者は早大探検部OB。空白の5マイルとは言っても、1990年代にはあらかた探検されて、大滝伝説もほぼ決着がついていた。また秘境と言っても、元々けっこう近所にまで人が住んでいる。それでもわずかに残された秘境に挑む。いわば遅れてきた探険家であるが故に、「何でそこまでするの?」という問いが否応なく浮かび上がる。装備が不十分だったり、中国政府の許可がなかったり、結構ムチャな単独行。そのムチャに、臨場感というか読み応えがある。個人的にこういうのには弱い。しかし、生きて帰れて本当に良かったですね。
1993年の日本人カヌーイスト遭難の挿話など、ツアンポー渓谷探検史も。 -
死ぬような思いをしなかった冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。
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「冒険」とはなんだろう?!同じ挑戦はできないだろうし、したいとも思わない。
ただし、世界にはこんな場所もあるんだとか、人の価値観や人生観にこれほどまでにギャップがあるんだと、まざまざと思い知らされる作品だった。武井さんの話然り、角幡さんの体験にも驚くばかりだ。 -
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非常に読み応えのある作品。初めてこの著者の作品を読んだが他も読みたいと思います。
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「探検」、「冒険」といった言葉にはワクワクさせられる。
登山とかには興味ないけど。
『朝のインパラ』に続いて、開高健ノンフィクション賞を受賞した作品。
探検史やインタビューもあり、こっちの方がノンフィクション的。 -
単独行に拘り、未踏の地を選んで冒険する著者の姿勢に脱帽する。人類未踏の地という事は、それだけの理由があり、生死がかかる状態に成らざるを得ない状況に直面しつつも、それを淡々と述べているため、ひょっとしたら自分にもできるのではないかという間違った感情を持ってしまいがちである。そのような間違いが生死を決めるのだろう。
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開高健ノンフィクション賞受賞作は外さない。内容は一言で、著者の思い入れ。でも実際に体験したものにしか書けない。
冒頭は探検家だったが、最後には冒険家に。
最も心を揺さぶられたのは、カヌーで激流に流された同僚を救助に向かう武井の動画シーン。
「よしっ、と覚悟を決めたかのように、・・・」本能的、直観的な判断に大きな感動を覚え、そこに武井氏の勇気と偉大な人格を見た… -
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チベット最奥にして世界最大級と言われる峡谷の冒険記。ただ、令和の世にあってもツアンポー峡谷の知名度は著しく低く、他の冒険家がこぞって侵入してるわけではなく、未だGoogleEarthでボンヤリと見るしかできない秘境である。著者はこの冒険でピオレドールや植村直己冒険賞を獲ったわけでもないので読後感のカタルシスも無い。更に正直なところ装備や工程見積もりは甘い印象の著者からはプロフェッショナルな要素は感じづらい。それでも著者はツアンポー峡谷に何年も執着し続け命がけの冒険を繰り広げた。
本書は大自然讃歌の爽やか冒険譚ではない。冒険家はなぜ想像を絶する危険な場所に惹かれてしまうのか、その心理の理由を見出そうとした本だ。著者より先にツアンポー峡谷に挑み亡くなったカヌーイスト武井義隆を追うようにして、著者もどんどんツアンポー峡谷以外のものが見えなくなる…まるで魔物に徐々に取り憑かれてゆく様に。名だたる有名冒険家が決して書かない冒険の麻薬的危うさを体感できる傑作ノンフィクション。 -
うーん、どう考えても無謀であるという思いが先に立つ。エピローグに冒険と人生の意義のようなことが詳しく書かれているが自分とは別世界でなかなか共感はできない。現にツアンポー行では2回ともほぼ死にかかっている。死んでしまってはこのような本も残せないではないか。
末尾の参考図書の多さには驚かされる。
構成や冒険の描写や心理描写のリアリティは素晴らしい。あえて言えば大峡谷そのもののイメージがそもそもないので頭に浮かぶ視覚的なイメージが本物とはかけ離れてるんだろうなとは思った。 -
高野秀行さんとの対談本で興味を持って手にとった。
旅に出るまでの導入とツァンポー峡谷と探検の歴史がしっかりと書かれているが、人によっては本筋の捕捉が長いと感じるかも。自分は著者の冒険に深みを与えてると思った。
川や崖、岩場などの自然の描写がふんだんに出てくるが、登山や沢登りの経験のない私には風景のイメージが少し難しい。また、村や地点の位置関係もほとんど理解できなかった。(ただ、理解できないから面白くないというものでもない。)
特に二回目の旅はその内容と筆致もあいまって、緊迫感がありとても読み応えがあった。 -
■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001102665
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17.9.17
熱中時代 山本寛斎 著者の本を推奨 ”しんどい”ときに読みたい本
栄養剤ビタミンですね
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