アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

  • 集英社 (2012年9月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (408ページ) / ISBN・EAN: 9784087815061

作品紹介・あらすじ

地図なき世界と戦い帰らなかった人々を追う
極地探検史上最大の謎、129人全員が行方を絶ったフランクリン探検隊。北西航路発見を果たせず全滅したとされるが、アグルーカと呼ばれる生き残りがいた? 人間の生と死をめぐる力強い物語!

みんなの感想まとめ

生と死が交錯する極寒の冒険が描かれた作品で、フランクリン探検隊の悲劇的な歴史を追いながら、著者自身が北極圏を旅する様子が生き生きと描かれています。129人の隊員が全滅したこの探検の謎に迫るため、著者は...

感想・レビュー・書評

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  • 夏に読めば良かった。

    長野の秋は寒い。北アルプスも白くなりました。
    ストーブの前から離れたくありません。すでに。


    角幡唯介氏と荻田泰永氏がタッグを組み、今から約180年前にジョン・フランクリンという男が率いた探検隊の足跡を辿る為、2011年に103日間かけて約1600キロを徒歩で北極圏を旅したお話。

    いやいや、探検家とか冒険家って何?

    人?

    同じ人間とは思えない…。


    でもね、とっても面白かった。途中何度か吹き出した笑

    口唇ヘルペスにボラギノールって笑

    もうね、ありえない事の連続。
    そりゃそうだよね、イヌイットでさえ行かないところを歩いて旅するのだから。

    こんなすごい冒険話をストーブの前でぬくぬくしながら読めるなんて幸せ。

    マイナス30℃の氷の世界。

    是非ご一読!

  • 北西航路を開拓することに全力を注いでいた19世紀の英国、フランクリン船長率いる探検隊が北極で失踪します。
    彼らに何があってどこへ消えたのか、今でも謎のままなのです。
    著者と同伴者による実際の探索・探検、文献等による検証・研究によって構成されています。
    後者の検証・研究も大変興味深いのですが、前者の探索・探検があまりにも壮絶なためにそちらを読んでいる間は気が抜けませんでした。
    イヌイットに伝わる“アグルーカ”と呼ばれる人物をヒントに真相に迫ります。
    手に汗握る内容ですがとても読みやすく、心から楽しめた冒険譚です。

  • なんとも壮絶な北極行の記録。「空白の五マイル」とはまた違った、極地という極寒の地での苦闘に圧倒される。

    今回は単独行ではなく「北極冒険家」の友人と二人で、北西航路開拓に挑んだが129人の隊員が全滅するという悲惨な結果に終わったフランクリン隊の足跡をたどる冒険である。この探検隊については、どういう経緯で全員死亡という終末を迎えたのか、よくわかっていないそうだ。著者はフランクリン隊がとったであろうルートをたどり、食料やテントなど装備一式を橇に積み自力でそれを引きながら、六十日かけて極地を徒歩で行く。

    いやもうその旅のとんでもないことには恐れ入る。言うまでもない寒さ、北極熊の脅威、行く手を阻む乱氷帯、凍傷の恐怖、ヘルペスの悪化(これがえげつない!)などなど、読んでいるだけで苦しくなってくる。何でそこまでして、と思いつつ、命をかけた冒険にはやはりとてつもない魅力がある。一気に読み終えた。

    著者も書いているが、こういう冒険では生と死がぎりぎりのところでせめぎ合っていて、そこで得る「生の実感」には半端ではないリアルなものがあるのだろう。また、自分の肉体のみで自然そのものと対峙し、自然の中に入り込んでいるという感覚は他の体験では得られないものなのだろう。そういうものの引力にとらえられた人たちが、冒険を追求していくことになるのだろう。

    それにしても、何でそこまでして…。何によらず「強度」を求めていく生き方は、自分にはよくわからない。遠巻きに見るぶんには、おそろしく魅力的ではある。著者のちょっとマッチョな感じが気にならないでもないが、これまでの本と同じくぐいぐい読ませる面白さがあった。

  • 新聞の書評で本書を見つけ、開高健ノンフィクション賞を受賞した時から気になっていた著者でもあり、読んでみた。

    19世紀半ばに、ジョン・フランクリン率いる北西航路探検隊129名全員が亡くなった航路を辿ることで、彼らの見たものを自分の目で確かめようと、著者と極地探検家の荻田泰永の二人で挑んだ北極冒険譚。

    彼らの旅の行程をなぞりつつ、途中途中にフランクリン探検隊の謎にまつわるエピソードが差し挟まれていくという構成で、語りもうまく、そのあたりなかなかニクイ。
    かなり厳しい旅であったことは想像に難くないのだが、思いのほか淡々とした印象を持ったのは私だけだろうか?
    ただその中でも、麝香牛を殺して食べるシーンは心に刺さった。著者も最終章で「生きることに対する罪悪感」と振り返っているが、自分の命を守るためにほかの命を奪うという生命の本質のようなものを突き付けられた気がして、ちょっと動揺してしまった。
    「残酷」と言ってしまえばそれまでかもしれないが、きっとそれが命の持つ本来の姿なのだろう。私たちは普段見て見ぬふりをしているだけなのだ。

    もともとノンフィクション好きだし、このような冒険譚も大好きなのだが、常々思うのは、なんだってこの人たちはわざわざこんなところまで行って、肉体と精神の極限の只中に飛び込むのか、何を好きこのんでマイナス40度だの、断崖絶壁だの(本作にはないけど)、明日の命の保証のないことをするのか、全然理解できない!私なんか大金積まれて頼まれたって絶対嫌だ!!誰も頼まないだろうけど。
    まあ、でも、著者やそのほかの著名な冒険家が言うように、題目は何であれ、冒険そのものが目的で、それ自体に価値があると思える、探検することそのものに囚われる、それに尽きるのだろうな…。
    冒険家の冒険家たる所以でしょう。

    それにしても…恐るべし、早稲田の探検部。

  • ★時間軸で深みをつくる北極圏探検記★160年前の英国人隊が探り壊滅した北西航路を2人でたどり、追体験する探検記。未踏の地がほぼなくなった現在、ただの探検記は成立しない。あえて苦境の中に身を置くことで、歴史書だけでは分からない当時の人々の思いを探る。縦軸の歴史と、横軸の探検記をかけ合わせた。

    食料を調達するために鳥を撃つのは抵抗はなく、卵を奪ったり魚を釣ったりするのは問題ない。ただ、牛を撃つのは大きな躊躇を感じる。体の大きさ、相手の抵抗が生命の実感を生むのか。銃を使う時点で差はないのかと思っていた。善悪の差ではないのは著者も十分に分かっているが、極限の地でもその感覚が生じるのか。

    現代でも、こうした探検を成し遂げる体力と知力と精神力、そして準備は素晴らしいとしか言いようがない。氷の中の生活や食事といった迫力のある描写はわくわくする。せっかくなのでもう少し写真も見たかった。しかし、極地で暮らしている人にとっては、生活圏をスノーモービルも使わずにわざわざ徒歩で数十日も探検する外国人はどのような存在なのだろうか。

    探検のなかでGPSを使う葛藤が興味深い。白一面の北極圏のなかでその日の目的地に辿り着いたかどうかの判断は表示される座標だけ。目的地に達した視覚的な実感はまったくないというジレンマを抱えている。それがなかった当時の探検の過酷さは比ではない。

    隊が確認されている氷と雪の中の行程という前半だけかと思ったら、湿地帯を進む後半の二段構えになっている。そのことは最初に記さず、ただ冒頭の地図では全体像が示されているので、違和感があった。書物の構成はなかなか難しい。

  • ほわー!ホントにこんなとこしてる人いるんだなーっとただただ驚嘆!
    思えばこーゆー探検ドキュメントみたいなの読んだのって初めてかも。
    北極かあ。
    つーか10度以下になった時点で冷える~っと悲鳴をあげている私には絶対無理。
    が、そーゆーありえない状況が、日常になると、それがあたりまえでなんとも思わなくなる、とゆーのが印象的だった。
    なるほど、どーゆー状況でも人間は慣れるものなんだな、と。
    こう町の影がみえてきて、そこへ向かっていくうちに、
    人のいる世界が日常へと変わっていく、とゆー感覚が、すごいなーっと。
    にしても、ほんと、どんだけ過酷なんだっ。
    血がつららになる、とか。もうありえない。痛すぎるぞ。

    実際の様子とフランクリン隊についての諸々の記述が交互に書かれてあるので、こうテンポよく読めるとゆーか。文章も読みやすく、
    この人のは他のも読んでみたいなあっと思わせた。

    やっぱイチバン鮮烈だったのは麝香牛を喰うとこでしょうか。
    いやーでも自分でさばけるとかスゴイ。
    食べることが生きることに直結する。そのなんとゆうか圧倒的ななにか。
    自然に囚われる、かあ。
    きっとこの人も同じなんだろうなあ。
    私だったら二度と行きたくない、と思うだろうケド。
    いや、その前に生き残れないと思うが。
    しっかしなんなんだろう。
    こんなとこで生きれるわけないだろっとゆーようなところへ
    何度も何度も行こうとした、する、人たち。
    それほどのものが、きっとあるんだろうなあ。
    そして、そーゆーひとたちになんとなく憧れを抱いちゃうんだな、なぜか。




    検索3度目の正直にして。
    そろそろエラー、どうにかして欲しいなあ。
    ちょっとイラッとする。
    他の検索使うとか、できないのかしら??

  • 極北の地で103日間、約1600キロを歩き続けた記録である。氷点下40度の環境では、毎日5000キロカロリーを摂取しても体内の脂肪が失せていく。作者は疲労から口唇ヘルペスを発症し、腫れあがった唇から膿や血が流れそれはそのままつららになった。強烈な飢餓感から麝香牛を撃ち殺し、その肉を解体し貪り食うシーンは迫力に満ちている。巻中にあるカラー写真も美しい。もっと激しい描写があっても良かったのではないかと想う。それ程の凄い冒険だもの。

  • 再読。
    肉が食いたいからジャコウウシ(母牛)を撃ち殺したあとで、離れない仔牛がいたから殺してやるのが慈悲だよな、と撃ち殺すのが心ある山賊という風情で良い。やはり極地探検にはカス味がなければと思わせられる。
    卵をあまり産まない鳥だから、と5個ある卵のうち過半数の3個をかっぱらったり、別の卵を盗んだけどすでにバロットみたいになっているから食う気がしない(たぶん捨てた)、とか書いてあるのも良かった。

    全体的に楽しいとかぜんぜん書いてなくて、帰ったらこれをしたい、あれをしたい、みたいなことを書いているのがリアル感があって良かった。そうだよな。

  • 探検家である著者が、過去に北極の北西航路発見に出た英国のフランクリン隊の景色を追い旅する小説。

    なんて贅沢な旅なのだろうか。
    自分が気になった探検、しかも過酷な環境に行こうと思える人は、この世の中に数少ないと思いますが、
    著者は友人を伴い、この度へ行くことを決意。

    氷に阻まれながらも、フランクリン隊の足跡をおい、
    時に謎の死を遂げた隊員に想いを馳せながら進んでいく。

    3か月間にもわたる旅の記録の読める自分も贅沢だと思いました。

    フランクリン隊についての知識はまったく持ち合わせていませんでしたが、部分部分にフランクリン隊はどうだったのか?という記載がしてあり、非常に読みやすかった。

    またこの本の好きな部分としては、
    著者の困ったことが恥ずかしげもなく書かれていたところ。

    排泄、性欲、口唇ヘルペスなど、
    過酷な環境での気になる部分がちょっとしたぬきの部分となりよかった。

    個人的に複雑な気持ちになったのは、
    お腹がすいて麝香牛を狩った時の話。

    作品の最後の方にもそれについての記載があったが、
    自分がもしその立場だったら…と非常に考えさせられた。生き物と言うものは、日本の教育のせいか、なぜか愛らしく見えてしまう。実際に麝香牛の写真を検索してみてもモサモサしていて可愛く見えてしまう。

    しかし著者にとっては、過酷な環境において食べられるものは麝香牛しかいなかった。そしてそれを撃ったら、子どももいて、群れからはぐれて自分たちに文句を言いに来た。どうせ死ぬのだからとその子牛も殺されてしまうが、自分だったらどうするだろうか…?

    オオカミや白熊に殺されるのか、
    人間に殺されるのか…
    怖い思いをこの先もすることを考えるのであれば、
    著者と同じことをした方が、牛にとっては良いのかもしれないが、これについては正解や不正解はないように思った。

  • 探検家がどういうことをしているのかが分かる本。
    極限状態を生き抜く生命力に平伏します。
    同行した荻田氏もかなりのもので、思わず笑ってしまう一幕もあります。
    こういう探検家が居ないと、人類は広がらなかったので(ごく少数でも)必要な人種なのだと思います。

  • 北西航路の探検に向かい全滅した部隊とイヌイットの中でアグルーカとして伝わる男の話をベースにしながら、作者自身がそのルートをたどる話。

    全滅した部隊の極限状態における行動と作者自身が北極で行う行動が段々リンクして、当時の人たちの気持ちさえもわかるような気がしてくる。
    探検そのものに魅入られた人たちの話でもある。

  • prime videoでザ・テラーをみてフランクリン隊の悲劇を知ったので読んだ。
    自身の冒険とフランクリン隊の調査をかさねての描写が生々しかった。
    読み終わってもうすこしフランクリン隊のことを知りたくなった。

  • アグルーカと呼ばれた男たちは、一人ではなかった。そのことが、さまざまな憶測と伝聞を生み、真実が靄の中に包まれていく。
    最後まで息も吐かせない冒険の数々とミステリー。
    角幡さんの極地行の初期作品なので、珍しく同行者がいるのも面白い。そして、後の『極夜行』につながる、GPSや衛星電話への疑問なども盛り込まれていて、読み応え満点。
    あと、ツンドラの夏は蚊が酷い、と亡くなった祖父(遺骨収集のためにシベリアに行ったことがある)が言っていたのを思い出した。極地は季節を問わず、人を寄せ付けない所らしい。

  • 2012年発行、集英社の単行本。1840年代の北西航路を発見するための冒険で全滅したフランクリン隊と、その伝説に沿って冒険したノンフィクション。フランクリン隊はどのような軌跡をたどってなぜ全滅したのか。私の認識だと同時代の探検ではかなり悲惨な部類にはいるのではないか。それだけに興味があって読んでみた。内容はノンフィクション部分が多かったが、定説の全滅した地点より南に向かっていた生き残りの伝説を追っていて、作者は現地の状況からありうるものとして書いている。証拠はもう見つからないだろうが、興味深い。

  • ◆読書記録1冊目
    ◆No.041

  • 2020/07/12

  • アグルーカとは「大股で歩く者」というイヌイットの言葉。約160年前に129人全員が死亡したという英国の探検隊のルートをたどる著者たち2人の冒険行が、過去と重ねつつ語られるところが、この本の面白いところ。イヌイットの中に語り継がれるフランクリン隊の生き残り3名のリーダーだったというアグルーカが実は誰だったのか。隊は本当にこの段階で、全滅していたのか?北極海を行くということが、陸を行く以上に乱氷、そして温度上昇による足元の氷解の恐れとの闘い。北極クマ、そして飢餓との闘い。飢餓の中で出会った麝香牛の一群。その中の一頭を撃ち殺したところが、出産直後で小さい子牛が群れから離れて生き残る場面。その子牛が怒りをぶつけるかのように、叫んで突進してくる場面はあまりにも悲惨な印象に残る出来事だった。クマや狼との心の交流も面白い。過去多くの探検家たちが命を落とし、その痕跡をたどりながら、フランクリン隊や他の探検隊の死因が鉛中毒、脚気、飢餓などが分かってくる怖い世界。

  • GWに読了。
    19世紀の北西航路を探す旅で乗組員が全滅したミステリー。その航路を追いながらその謎を追ったけど、結局は「生きる」旅になってた。そして奇しくもそれは、19世紀のフランクリン隊と同じ景色を見つめる旅になったんだろうと思う。スゲー面白かった。生きていく罪悪感と、明確な理由もなき冒険を求める生存感の両立。

  • 極北で、かつて姿を消した大英帝国海軍探検隊の軌跡を追ったルポルタージュ。
    生きていることの意味が生々しく表れる、筆者がジャコウウシを仕留めるシーンは、この本のハイライト。私は思わず一旦キンドルからめをそむけてしまった。

  • 文章がうまいくてぐいぐい引き込まれてしまう。面白かった。

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著者プロフィール

角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)
 1976(昭和51)年北海道生まれ。早稲田大学卒業。同大探検部OB。新聞記者を経て探検家・作家に。
 チベット奥地にあるツアンポー峡谷を探検した記録『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。その後、北極で全滅した英国フランクリン探検隊の足跡を追った『アグルーカの行方』や、行方不明になった沖縄のマグロ漁船を追った『漂流』など、自身の冒険旅行と取材調査を融合した作品を発表する。2018年には、太陽が昇らない北極の極夜を探検した『極夜行』でYahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞を受賞し話題となった。翌年、『極夜行』の準備活動をつづった『極夜行前』を刊行。2019年1月からグリーンランド最北の村シオラパルクで犬橇を開始し、毎年二カ月近くの長期旅行を継続している。

「2021年 『狩りの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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