無戸籍の日本人

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 233
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087815955

作品紹介・あらすじ

全国に1万人以上いると推計される「成年無戸籍者」たち。過去13年にわたり1000人以上の無戸籍者を支援してきた著者だから描けるリアルな実態と、彼らが生まれ続ける背景を深く掘り下げた問題作。

感想・レビュー・書評

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  • ノンフィクション

  • 2018年7月19日読了

  •  
    ── 井戸 まさえ《無戸籍の日本人 20160104 集英社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4087815951
     
    ♀Ido, Masae 衆院議員(1)19651213 仙台 /民主党兵庫県議会議員(2)
    /籍=井戸 正枝/旧姓=小形、勝又/筆名=井戸 まさえ
     
    https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180311-00054765-gendaibiz-bus_all&p=1
     東日本大震災で流された大量の「戸籍」が鳴らす警鐘 20180311 現代ビジネス
    https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180311-00054765-gendaibiz-bus_all&p=5
     
    ── 井戸 まさえ《日本の無戸籍者 20171021 岩波新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004316804
     
    (20180312)
     

  • 本屋に並んでいたタイトルに引き込まれた。国籍がない日本人なんているのか??国籍が無いことの想像すらしたことが無かったので、この本を読んで驚愕した。国籍取得のために申請をしようとする人だけで年間3000人。届け出ない人を含めると数万人という単位で日本人(そうなってくると日本人と言っていいのかわからないが)で国籍が無い人がいるらしい。離婚してから300日以内に生まれた子どもは前夫が父となるらしいのだが、DVなどが理由で逃げ出していたりして、法的には結婚したままにいるため、出生届を出せずにいるらしい。戸籍が無いということは、当然小学校にも行ったことがなく、字がかけない人もいるらしい。免許もないし保険証もない。国として存在が認められていない人々。日本の暗部を見せてくれる良著。

  • 法は常に正義の味方とは限らないし、行政サービスは人道支援ではない。戸籍制度で守られてきた“家”を、金にも票にもならない声なき民のために自ら取り壊そうとする政治家は多くない。



    筆者は、民法772条〔嫡出推定〕の問題で、再婚の折に予期せず「無国籍児の母」になり、NPO設立によって数千人の“当事者”たちと問題解決に係りながら、それまで黙殺されてきた「なかった問題」を「ある問題」へと変えていく社会化のプロセスを学び、その後代議士として政策決定の場へと進出したソーシャルワーカーである。

    当事者の叫び、現場で相談を受ける側の立場、実際に政治を動かそうと奮闘してきたこれまでの経験を凝縮している。それゆえ一般の読者が知らなかった(知りたかった)無戸籍者のルポルタージュ要素と、筆者の活動記の側面が同時進行に行き来するため、幾許かの読みづらさや情調な部分を感じることはある。



    “「義務を果たさない・果たせない親に懲罰を」と言っている限り、子どもの問題はなくならない。子どもたちは救われない。”〔p253〕



    ワーキングプア、DV、児童虐待、心身障害、シングルマザーなど社会の歪みとされる問題には、多くのマターが輻輳的に横たわっている。

    ほとんどの人が空気のように当たり前に享受している権利がある一方で、その空気を奪われたままの人がいる。
    周囲の想像力不足が招く無意識の偏見、偏狭な<常識>からの逸脱を許さない風潮は、当事者が救いを求めることさえ許さない。この本にも2000年代以降の今日的な社会の閉塞感が漂っている。



    “法律が実現しようとしている「正義」と、今この法律を運用する中で退けられている人々がいるという「現実」との差を「努力」して埋めていかなければ、真の意味での「平等」は実現しない。そのためには、支配者が変わらなければ、被支配者は変わらない、いや、変われないと語りかけているのだ。”〔p298〕



    この「努力」について、私には憲法12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」の文言が思い出された。判例も社会情勢を加味して覆ることもある。他人事としてではなく、自分や大切な人が当事者になりうるかもしれない問題としてコミットを続けていかなければならないと感じた。

  • 日本に戸籍の無い人がいることと、その問題点、戸籍がない人々の苦労が分かる。

    これまで知らなかった問題について知る事が出来た。

    問題解決のため自分に出来ることは少ないが、問題が解決されることを祈り、また興味を持って行きたいと思った。

  • 乳幼児健診が受けられない。就学年齢になっても小学校に通えない。
    成人しても選挙権がない。運転免許証が取得できない。勿論、パス
    ポートも。結婚したい人と出会っても婚姻届けが受理されない。

    銀行口座が作れない。家を借りることが出来ない。仕事をしようにも
    低賃金の条件の悪い職場でしか働けない。携帯電話の契約が出来
    ない。

    そうして、自分が自分であることを証明できない。

    戸籍がない。すべては無戸籍であることが原因だ。ここ数年、メディアで
    取り上げられるまで知らなかった。私たちが当たり前だと思っていること
    が、簡単に出来ることが出来ない人たちがいる。

    本書の著者は民法772条の300日規定によって、自身の子供が1年間
    無戸籍であったことから無戸籍児・無戸籍者の支援を始めた。

    本書では著者が戸籍取得の為の支援をした何人かのケースが紹介されて
    いる他、民主党議員時代に取り組んだ民法改正がいかにして潰されたか
    の顛末が詳細に綴られている。

    無戸籍者が生まれる理由は様々だ。離婚が成立しないうちに別の男性の
    子供を身ごもる。これは前夫のDVが原因の場合が多そうだ。出産費用
    が支払えず、産院が出生証明書を借金のカタにして渡してもらえない。
    そして、単なる無責任な親もいる。

    背景は多種多様だが、それを生まれた子供に背負わせていいのか。
    実際、著者が離婚後に生まれた子供の出生届を提出した時、市役所
    の職員は300日ルールを説明した後にこう言った。

    「それは離婚のペナルティです」

    シングルマザーも、離婚も、再婚も、珍しい時代ではなくなった。それでも
    こんなお役所はこんな感覚なんだと呆然とする。幸いにして著者は政治家
    へのパイプもあったことから本人訴訟を起こして子供の戸籍を得た。

    だが、著者のようなパイプや法律の知識のない一般の人はどうだろう。
    何をどうしていいのか、まったく分からないのではないだろうか。役所で
    「戸籍も住民票も作れない」と言われたらそこで引き下がってしまうので
    はないだろうか。目には見えない高い壁があるんだ。

    だから、著者たちが築いた支援のネットワークが重要な役割を担うのだろう。
    しかし、本来であればそれは民間の人たちが支援をするのではなく、国が
    自ら解決に動くべきことだろう。

    著者たちの活動やメディアに取り上げられることで、行政にも動きは出て
    来ている。それでも、自治体によっては差があるようだ。

    日本国憲法は保障する。すべての国民が健康で文化的な生活を。だが、
    確実にそこから零れ落ちている人々がいる。

    13年間で著者が支援に係わった無戸籍者は1000人以上にのぼるという。
    行政も正確な無戸籍者の人数は把握出来ておらず、その数は1万人以上
    とも言われている。

    この世に生まれ、生きて生活をしている。それでも存在しない存在となって
    しまう。そういう人たちすべてが戸籍が取得できる日は来るんだろうか。
    今日もどこかで、戸籍のない子供が誕生しているかもしれないと思うと
    切なくなる。

  • 「それは離婚のペナルティーです」という役人の言葉が衝撃的。
    離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する。古い古い民法に縛られた日本にいる無戸籍の人は一万人以上だという。
    他にも様々なケースが取り上げられていて、就籍への道のりで出会う役人や政治家たちの対応は冷酷ではあるが善意(無知)に基づいてる人も多く、問題の根深さに目の前が暗くなる思い。当事者の辛さは想像を超えるんだろう。かわいそうだと他人事のように正直思ったけど、彼らの背景を知ると、誰でもそうなりかねない身近な怖さがある。

  • 戸籍という日本特有の制度。日本人であれば、生まれればあたりまえに与えられる戸籍。しかし、世の中には無戸籍の人がいる。どう生まれ、どう生活し、どう生きてきているのか。同じ日本人として深刻に考えることであり、知っておくことではないのか。

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著者プロフィール

井戸 まさえ(イド マサエ)
政治家、元民主党議員
1965年、仙台市生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。松下政経塾9期生。5児の母。
東洋経済新報社勤務を経て、経済ジャーナリストとして独立。2005年より兵庫県議会議員を2期務め、2009年、衆議院議員に初当選。無戸籍問題をはじめ「法の狭間」で苦しむ人々の支援を行う。民主党東京第4区総支部総支部長。
「戸籍のない日本人」で第13回開高健ノンフィクション賞最終候補作品に残る(『無戸籍の日本人』と改題して2016年1月刊行予定)。「『クローズアップ現代』“戸籍のない子どもたち”など無戸籍者に関する一連の報道」で2015年貧困ジャーナリズム賞受賞。
佐藤優氏との共著に『子どもの教養の育て方』がある。

「2015年 『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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