対岸のヴェネツィア

  • 集英社 (2017年11月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784087816440

作品紹介・あらすじ

ヴェネツィアに移り住んだ著者が出会った、街の素顔と人々の喜怒哀楽。裕福なマダムに仕える元漁師の半生、古い教会でのコンサート体験、古文書の電子化に取り組む人々…。滋味あふれるエッセイ12章。

みんなの感想まとめ

日常と非日常が交錯するヴェネツィアの魅力を、著者が丁寧に描き出したエッセイ集です。ジュデッカ島での生活を通じて、街の華やかな表情だけでなく、その裏に潜む人々の喜怒哀楽や日常の息遣いを繊細に表現していま...

感想・レビュー・書評

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  • 「夜は月に薄められ、建物は墨色の濃淡に染まっている。零時を回って、水路をいくのは私たちだけである。」
    ジャーナリスト兼エッセイストの内田洋子さんが、ヴェネツィアを構成するジュデッカ島に暮らした日々を綴った作品集。

    内田さんは、それ以前の作品でも、イタリア暮らしの中で出会った人々の人生の光と影の部分を再構築し、鈍い光沢を放つ織物のような陰影に富んだ文章を綴ってきた。

    けれど本作は、従来のように、邂逅した個人の人生を取り上げるにとどまらず、生粋のイタリア人ですら憧れる魅惑の古都・ヴェネツィアの、表の華やかな面だけでなく、負の面までも丁寧に取り上げ、全てをひっくるめて慈しむように静かに綴っている。
    まるで、ヴェネツィアという歴史ある都市そのものを「主人公」にして、その「人生」の裏と表を連綿と綴った連作、というつくりになっている。

    このレビューの冒頭で本作の中に登場した印象的な言葉を書き記したけれど、隆盛を誇った華やかさというよりは、まさに、墨絵のような滋味と趣きに満ちている。

    出会った人々との実際のやり取りだけでなく、己の眼で見なかった部分までも取り上げて丁寧に再構築する内田さんの文章は、まるで小説のよう、とよく言われるけれど、構成の緻密さと詩的な表現、そして規模の大きさがますます進歩していて、彼女が小説を書く日も、そう遠くないのかもしれない。

    そう思わされる作品集です。

    最後に、印象に残った言葉を一つ。
    「不要なものの筆頭は物ではなく、馴れ合いになった人間関係だというのもその時に知ったのだった。」

  • 豊かな言葉が世界を広げるのなら、貧しい言葉は囲いを築く。

  • とても情緒のある文章。ヴェネツィアの美しい情景が目に浮かぶ。
    ヴェネツィアに移住することになった筆者のエッセイ?なのだろうか。
    エッセイのような小説のようなとコメントされていた方がいたが、本当にそんな感じ。
    エッセイだとしたら情景が美しすぎるし、だけども観光地としてのヴェネツィアから一歩奥を覗くとそこには日常があってという感じ。
    ヴェネツィアに行ってみたい気持ちが想起される。
    この本が美しすぎて、皆さんのコメントを読んで共感するのがとても楽しすぎる。

    コンサートに誘われて が好きかな。

    読み進めるにつれて、タイトルの対岸のヴェネツィアの意味がわかってくる。
    ジュデッカ島でのケの日常と対岸のヴェネツィアのハレの日。日常と非日常が見え隠れしていて面白い。

  • エッセイなのか?小説なのか?
    エッセイなのに、小説を読んでいるような感覚。自然の描写が素敵で、ヴェネチアが色鮮やかに想像できる。一方で、常に水に浸され、風に吹かれる一面も。明るいようで暗い。日常がよい。

    • moti0314さん
      素敵な感想ですね。
      今、こちらの本を読んでとてもストンと感想に納得しました。
      素敵な感想ですね。
      今、こちらの本を読んでとてもストンと感想に納得しました。
      2022/09/25
  • ヴェネチアのジュディカ島に住んだ内田洋子さん。そこでの人たちとの12篇のエッセイ。素敵な言葉で、引き込まれた。私もヴェネチアの迷路に潜り込んだようた。

  • ヴェネツィアでも、ジュデッカ島に住むというのはなかなかの事。
    住んでみて初めてわかる事が沢山。日常の何気ない出来事がサラリと書かれているのが素敵!

  • 幻都と日常の12章。
    ヴェネツィアに移り住むと決め物件探し。
    ジュデッカ島という、離島で暮らすことになる。
    人懐っこいイタリア人。
    付き合うのには、とてもエネルギーがいる。
    でも、内田さんの本を読むと、すぐにでもイタリアへ行きたくなるから不思議。
    そして、青果店の女店主や、陸に上がった船乗りに会い、楽しくおしゃべりをしたい。
    明るいヴェネツィアだけではなく〈ヴェネツィアには、たくさんの影が潜んでいる〉「セレニッシマ 穏やかな、そして穏やかな」の中の一文。
    「対岸のヴェネツィア」は内田さんのエッセイの中で一番好きな作品になった。

  • ヴェネツィアの美しさ、気候の厳しさ、歴史の深さ、街の様子、そこに住む人たち。美しい観光地のイメージしかなかった街のいろいろな一面を知って、ますます気になる街になった。訪れてみねば。

  • 去年初めて訪れた ベネチアの風景がなんか蘇ってきた。
    文書の語り口がなんだか柔らかくて、ほっとします。。

  • ヴェネツィアに住む人というのはどうもますます厳しいことになっているらしい…。生きづらい現実を描きつつも、基本的には街への憧れや歴史の積み重ねへの敬慕があらわれていた。ゴンドラの話が切ない…。
    いつもの時系列バラバラ短編もいいけど、こうやって連作風になると読みやすくて良い。
    名前出てきてないけどエンツォは妙に存在感があった。

  • 私が見たヴェネツィア
    絵なら谷口ジロー、音楽ならlizzy mcalpine、本ならコレ!やったー!みっけー!

  • 歴史の地層に絡め取られて抜け出せなくなる。

  • ヴェネツィア、35年ぶりに行ってみたくなった。

  • 暇潰しに読む程度。特にどうと言うことなし

  • 気をつけて。過去著作の改題でした。

  • 『読むために生まれてきた』イタリア全土で推進される読書指導計画。生後6カ月の乳児以上就学前の幼児を対象に、読み書かせをしようと言う試み。小児科医連盟と図書館が連携し、計画を立ち上げてから20年。(本文P.152より抜粋)

    「ハレとケ」…年中行事などに非日常と、普段の日の日常。

    〈生きているうちに、このうち何冊を読めるのだろう〉読書に冊数の多少は関係ない、と自分に言い聞かせつつも焦る。未読の本が待っていると喜べばいい。(本文P.191より抜粋)

  • 2018年7月17日読了

  • 水路を隔ててすぐ目の前にヴェネチィア本島が見えるジュデッカ島で暮らすことになった著者の随筆。水路と迷路のように入り組んだ道、何百年の歴史の滓が淀んだような街。そこに住む逞しく生きる人々。気軽に愉しく読めるエッセイ。

  • ウェブ連載単行本化。

    ウェブの時から読んでいたけど、たぶん、最後?の一編、本の行商人の話が抜けている。
    おそらく、次の本のために、一冊にまとめるつもりなのだろう。(愉しみ)

    ヴェネツィアはもちろん地名は知っていても、その潟にうかぶ島々のことは知らないので、まるで旅しているような気分になる。
    野菜の島。・・・・行ってみたい場所がまた増えた。

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著者プロフィール

ジャーナリスト

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田洋子の作品

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