空をゆく巨人

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 243
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087816716

作品紹介・あらすじ

第16回開高健ノンフィクション賞受賞作!
現代美術のスーパースター蔡國強と、いわきの“すごいおっちゃん"志賀忠重がアートで起こした奇跡!
ふたりの30年に及ぶ類い稀なる友情と作品づくりを辿り、芸術が生み出した希望を描く感動作。

●著者プロフィール
川内有緒(かわうち・ありお)
1972年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、米国ジョージタウン大学で修士号を取得。
米国企業、日本のシンクタンク、仏の国連機関などに勤務後、フリーのライターとして評伝、旅行記、エッセイなどを執筆。その傍ら小さなギャラリーも運営。
『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』(幻冬舎)で、第33回新田次郎文学賞を受賞。著書に『パリでメシを食う。』(幻冬舎)、『晴れたら空に骨まいて』(ポプラ社)など。

感想・レビュー・書評

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  • 川内有緒さんのこれまでの著作はどれも面白くて、大好きな書き手の一人。ただ今回は、読み通すのにちょっと苦労した。丁寧に取材してあるし、いつも通り読みやすい文章なんだけど…。題材にあまり興味をひかれなかったのと、著者自身のことがほとんど出てこなかったせいだと思う。

  • 二人の人物をおいながら、自然と二人がつながっていく流れがお見事です。知り合いの紹介で読んだのですが、読みやすく引き込まれました。
    知らなかった人の生きてきた過程を知ることができてよかったです。

  • 中国人の現代美術家蔡國強氏と福島いわき市との繋がり、特に志賀氏との個人的な繋がりを描いたノンフィクション作品。
    東北大震災、原発問題もテーマの柱としてストーリーが進んでいく。
    中国と日本との繋がり、911と震災との繋がりと、ドットが結びつく過程をモチーフとしてうまく取り上げている。
    個人的には蔡氏も志賀氏も、いわき回廊美術館のことも知らなかったので、この本を通じて自らが知らない領域に導かれる心地よさを感じながら読み進めることができた。
    そして人生を大きく、太く生きている人の人生観は興味深い。

    ノンフィクションの場合、テーマ選びがとても重要だと思うのだが、著者が海外で生活し、勤務した経験があるからこそ、今回のモチーフがレイダーに入ってきたのだと思う。

    いつか、いわき回廊美術館を訪れてみたい。

  • 東2法経図・6F開架:702.22A/C12k//K

  • "アートは自由でないといけない。「正しいこと」をやろうとしてはいけない"

  • 「こういうノンフィクションもあるのか」
    というのが読後の率直な感想です。

    一方は著名な芸術家であるものの、主題は
    その芸術家が作り出す作品に関わる市井の
    一人の人間が織り成す生き様です。

    自分以外の「他者」のために常に生きていると、
    こういう素敵な人間関係を築くことができるのか、
    と今さらながら学ぶことができる一冊です。

  • 中国人の現代芸術家・蔡国強と福島県いわき市の志賀忠重を始めとした市民との
    深い繋がりを綴ったレポ。
    世界的に有名な蔡国強が登場人物のメインでありながら、
    実はこの物語の主人公は一市民である志賀忠重。

    蔡との出会いから、何度も蔡にお願いされて
    友達としてチームを作り
    世界各地の美術館での展示を手伝ったり、
    北極圏を徒歩で制覇した大場満郎の
    カナダでの補給サポートなど、
    躊躇のないフットワークと決断力に驚かされる。

    いわきは東日本大震災で原子力発電所の事故の
    被災地になるのだが、
    その体験から今度は自治体や政府の支援を受けない
    自分なりの復興のための活動を今も続けている。

    それが、「いわき万本桜プロジェクト」


    どのエピソードでも一貫しているのは
    「楽しくやる事」
    「やりたいと思ったらとりあえずやる事」
    「やり続けるための方法を模索する事」
    であると思う。

    別のこの著者の記事だが、
    いわきの美術館を訪れたとある女性が
    この活動が続いて欲しい、と言ったことに対する彼の言葉で
    「続いて欲しい、じゃダメなんだよ。
    そう思うなら自分もそこに参加しないと。」
    という言葉がジーンと来た。


    志賀の活動ばかりが心を掴まれるかというとそうではなく。
    蔡の作品の作成の描写や作成する過程などを読んでも
    まるでその場で見ているかのような感動を呼ぶ。

    いつか、このコロナの問題が治ったら
    見に行きたいなぁ。

  • 現代美術は好きだけど、蔡さんについて初めて知った。いわきとの繋がりを知り、いわきチームとの作成で作品が出来上がるくだりが、私も信じられる。

  • スケールの大きい人たちの話だった。空間も時間も人間関係もお金も大きく広く捉えている。
    著者の川内さんも私は大きい人と思っているので、このお二人への取材はピッタリだった。
    最後の方は原発に話がいかないわけにはいかず、気持ちもそちらに引きずられた。


    "「一歩を踏み出したら、それが冒険なんでねえの?川内さんはもう冒険をしてんだよ」 " 12ページ

    "学芸員の平野は、そんな蔡の仕事の進め方をこう評している。

    蔡のプロジェクトは様々な矛盾と混乱を内部に保留
    したまま進行していく。それは一つ一つ整然と筋道
    に従い物事を積み上げていくスタイルとはまるで程
    遠いもので、様々な異分子さえもプロジェクトを成
    立させるに必要な要素として扱われる。蔡において
    矛盾は矛盾として肯定され、混乱が生み出す無秩序
    でさえそれは世界にとっての必然となりえる。
    (『蔡國強ー環太平洋よりー』)

    (略)この世界は混沌としており、コントロールなどできないことを蔡は受け入れ、むしろ喜んで混沌に身を委ねていた。"
    130ページ

    "蔡のプロジェクトのちゅうしやしっぱいは、他にも枚挙にいとまがない。しかし、うまくいかなかったからといって、蔡はくやくよしたりしないし、次回はもった堅実な作品をつくろうとも思わない。
    「花火を打ち上げる側にとっては、成功も失敗も注いだ苦労としては同じこと。それに、うまくいっても所詮は偶然のおかげです」
    アーティストにとっては、失敗すらも作品の一部なのである。" 183ページ

    "「だって、これは自分の精神を穏やかにするものであって、お客さんに来てもらうためではないんだ。"怒り"を鎮めていくものなんだ」
    怒り・・・。
    しかし、と志賀は、穏やかに続けた。

    誰かが小さな苗木を植えるたびに、怒りが鎮まっていく気がするんだよ・・・。" 337ページ

  • 夢と希望って当たり前で使い古された、口にするのも恥ずかしかったかもしれない言葉が、実はなによりも大切なのかもしれない。
    thundercat/drunk

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著者プロフィール

川内 有緒/ノンフィクション作家。1972年、東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業後、米国ジョージタウン大学で修士号を取得。米国企業、日本のシンクタンク、仏の国連機関などに勤務後、ライターに転身。『空をゆく巨人』(集英社)で第16回開高健ノンフィクション賞を受賞。著書に『パリでメシを食う。』(幻冬舎)、『パリの国連で夢を食う。』(同)、『晴れたら空に骨まいて』(ポプラ社/講談社文庫)など。https://www.ariokawauchi.com

「2020年 『バウルを探して〈完全版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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