開高健のパリ

  • 集英社 (2019年9月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (128ページ) / ISBN・EAN: 9784087816778

作品紹介・あらすじ

パリは作家開高健にとって、20代の終わりに初めて訪れて以来何度も足を運んだ特別な場所。そのパリについて書かれたエッセイを選りすぐって編み直し、またほとんど知られていないユトリロについての評論と絵の解説を25点の絵とともに掲載した、開高健初めての「大人の絵本」です。

「はじめてパリへいったときは信じられなかった。歓喜が噴水のようにこみあげてきて、ホテルでおとなしく寝ていられたものではなかった。足の向くまま徹夜で歩きまわり、くたくたに疲れて夜明け頃、パンの香りや霧といっしょにホテルにもどった。壮大な石の森のような夜のパリを靴音たててさまよい歩き、暗がりから浮かびあがる紺地の町名板を読んで、これはどの本にでてきた町だ、あれは誰かが住んでいた町だと記憶をまさぐるのは愉しみだった。そして、一にも信じられず、二にも信じられず、三にも信じられなかった。」(本書「靴を投げて」より)

「数年前、パリにいたとき、某夜、知人のマダムにつれられて第16区のお屋敷町へでかけたことがあった。夜食をとるための小さな集りということだったが、知人のマダムは私に
“昔の金持ち"の家を見せてあげるわヨ、といった。
夜ふけに自動車でつれこまれたそのお屋敷はさながら苔むす屍であった。薔薇模様の鍛鉄の鉄門をギィとおして入ると、“中央参道"といいたくなるような白い砂利道があって、邸内には原生林にありそうな頑強、古怪な栗の木が幾本となく聳え、枯葉と苔の匂いがしめやかに漂っている。」(本書「ドアと文学」より)

2019年の没後30年から2020年の生誕90年にかけての1年間は「開高健TheYear」。開高健の豊穣なる文章の世界に触れてみませんか。解説は作家角田光代。

【本書の内容】
開高健とパリ――解説にかえて 角田光代
開高健・ユトリロ 関連地図
年譜 開高健とパリの旅
「モーリス・ユトリロ」
「タケシのパリ」
パリ断章1)「靴を投げて」
パリ断章2)「お酢とぶどう酒」
パリ断章3)「季節の上に死ぬな」
パリ断章4)「ドアと文学」
パリ断章5)「革命はセーヌに流れた」
パリ断章6)「続・思いだす」
「声の狩人」

感想・レビュー・書評

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  • 開高健にとって特に思い入れが深いとされるパリに関する内容で期待していたが、、
    ひたすら暗い。

    横山やすしのような小気味の良いテンポはなりを潜め、小難しい感じで、まるで陰気なフランス映画を観てる感じだった。
    1章読んだかどうかでリタイア。

    そういう時期もあるだろうし、そういう作家なんだろうけど、私はまだこれを許容できるレベルに達していなかった。
    光と影ということなんかな。

  • たまたま入った武蔵小杉の無印良品の店で購入した。たまたま開高健のエッセイを久方ぶりに読み直していたのと、自分の好きな作家である角田さんが紹介文を書いていたので、衝動買いした形になる。

  • 2024/4/18
    カイコウタケシ。

  • 角田光代の解説が面白かった。
    戦後そう時を経ていない60年代に、貧困ど真ん中の日本から脱出すべく海外を夢見た著者。
    現代人の自分たちが訪れるパリと、当時の日本人が見たパリとでは印象が全く違うだろう…。
    そう考えると今は海外のどこに行っても少し味気ない。
    クロワッサンと思われるパンを著者は「三日月パン!」と好んだ。今となっては、さして珍しくもないクロワッサンも当時の日本人からしてみたら摩訶不思議な食べ物だったに違いない。

    肝心のユトリロの絵については、自分に知識・関心がなさすぎて、さらりと流してしまった。
    読み手によっては、また全然違う印象を与える1冊だろうと思う。

    開高健、うん、彼の小説をぜひとも読んでみたい。

  • ふむ

  • 絵画評は読んだことがなかったので新鮮。

  • ユトリロの絵を通して知ったパリに、作家は1960年と61年に訪問している。
    パリは、アルジェリア独立を巡っての大混乱の中にあった。
    「自由、平等、友愛」の最高級のの文化を世界に輸出し、国内では最低の野蛮さを作り出している。

  • 開高健は、リアルで読むがいい。
    この歳で読むときついかな。

  • 昭和36年出版の「現代美術15 ユトリロ」を
    再編集して発行したもの。

    開高氏の文章力についていくのが精いっぱいの読書でした。

    「開高健とパリ――解説にかえて 角田光代」から
    始まり、開高氏のパリに関するエッセイとユトリロ
    の絵の解説、という濃密な一冊…じっくり読みましたが、
    なかなか頭に内容が定着しなかったです。
    アルジェリア独立闘争については開高氏自身が
    パーフェクトに理解できていないところが文章に
    されているので、さらに難解…なため雰囲気を味わって
    さらっと読了しました(^^;)

  • 若きの日に旅をせずば、老いての日に何をか語る。

    旅をするということへの猛烈な憧憬を感じた。実際のパリを正確に描くというよりは開高さんの目を通じたパリを知ることができ、そうだ、旅というのはそういうことかと思った。情報を知ることはいくらでもできるけど、主観を通じたたった一つの世界を得るのが旅。歳をとって振り返る思い出はきっといろんな思いが重ね塗られて事実とは違うかもしれないけど、それこそが本当のことになるって素敵だと思った。

  • 自分の文章体とは全く真逆と思われるユトリロの絵に魅せられて何度もパリを訪れた作家・開高健。彼のパリに関係したエッセイを抜き出して本にまとめたもの。そのエッセイを引き立てるように絵が散りばめられている。

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著者プロフィール

開高 健(かいこう・たけし):1930年、大阪生まれ。大阪市立大学を卒業後、壽屋宣伝部(現サントリー)にてコピーライターとして活躍。同時に創作を続け、57年『パニック』でデビュー。58年『裸の王様』で芥川賞、ベトナム戦争現地へ赴いた経験に基づく『輝ける闇』で68年に毎日出版文化賞、79年『玉、砕ける』で川端康成文学賞、81年に一連のルポルタージュ文学について菊池寛賞を受賞。ほか『日本三文オペラ』『ロビンソンの末裔』『オーパ!』『最後の晩餐』など、代表作・受賞歴多数。89年逝去。

「2024年 『新しい天体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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