聖なるズー

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087816839

作品紹介・あらすじ

2019年 第17回 開高健ノンフィクション賞受賞作

犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。
性暴力に苦しんだ経験を持つ著者は、彼らと寝食をともにしながら、
人間にとって愛とは何か、暴力とは何か、考察を重ねる。
そして、戸惑いつつ、希望のかけらを見出していく──。

【選考委員、驚愕!】
・「秘境」ともいうべき動物との性愛を通じて、暴力なきコミュニケーションの可能性を追い求めようとする著者の真摯な熱情には脱帽せざるをえなかった。――姜尚中氏
・この作品を読み始めたとき、私はまず「おぞましさ」で逃げ出したくなる思いだった。しかし読み進めるにしたがって、その反応こそがダイバーシティの対極にある「偏見、差別」であることに気づいた。――田中優子氏
・ドイツの「ズー」=動物性愛者たちに出会い、驚き、惑いながらも、次第に癒やされていく過程を描いたノンフィクションは、衝撃でもあり、また禁忌を破壊するひとつの文学でもある。――藤沢周氏
・人によっては「#Me Too」の「先」の世界の感性があると受け取るのではないか。この作品を世間がどのように受容するのか、楽しみである。――茂木健一郎氏
・多くのファクトに翻弄された。こんな読書体験は久しぶりだ。――森達也氏
(選評より・五十音順)

【目次】
プロローグ
第一章 人間と動物のアンモラル
第二章 ズーたちの日々
第三章 動物からの誘い
第四章 禁じられた欲望
第五章 わかち合われる秘密
第六章 ロマンティックなズーたち
エピローグ
あとがき


【著者プロフィール】濱野ちひろ はまの・ちひろ
ノンフィクションライター。1977年、広島県生まれ。2000年、早稲田大学第一文学部卒業後、雑誌などに寄稿を始める。
インタビュー記事やエッセイ、映画評、旅行、アートなどに関する記事を執筆。
2018年、京都大学大学院修士課程修了。現在、同大学大学院博士課程に在籍し、文化人類学におけるセクシュアリティ研究に取り組む。

感想・レビュー・書評

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  • なかなかに言葉にするのが難しい。
    読み始める時も読んでいる時もそして読み終わったすぐも、しばらく時間の経った今も、自分の中で全く消化できていない。

    動物との性愛。
    頭ではわかる。昔から日本ではよくある話だ。誰もが知っている妻が鶴だったり、夫が犬だったり。小さい時から親しんできた物語の中では全く違和感もなく受け入れられてきたと言うのに、なぜだろう。
    動物との愛。ならわかる。うちにも長い間白い小さな犬がいたから。いつも一緒にいるその犬は当然のように家族であり、幼い私にとってはかけがえのない姉妹のようなものだった。
    でも、そこに性の入る隙間はあるのだろうか。
    自分とは違う「種」の生き物に「性」を伴う愛を感じられるのだろうか。
    違和感の塊を抱えながら読み始めた。

    動物と共に暮らす中で相手と心を通じ合い、意志を尊重し、そしてセックスをする。
    けれど、そこに本当の意味での意志の疎通はあるのか。
    動物が発情しヒトに対してなんらかの行動をとることはあるだろう。けれど、それを受け入れる、あるいは逆にヒトの発情を相手に受け入れさせることに、無理はないのか。

    どうしてもそこに違和感を感じざるを得なかった。セックスはなくてもいいんじゃないか。
    現にズーの中にはパートナーと性的関係を持たずにいる人もいる。物理的に不可能な場合もあるし、必要と感じない場合もあるだろう。ならば、その関係と、私たちが「家族同様」に暮らしている動物との関係とどこが違うというのか。

    誰が誰を愛し、誰をパートナーとして選び、誰と性的関係を持ちたいと思ったとして、それを理解や共感はできなくてもお互いの合意のあるものであればその関係を否定しない、というスタンスでいるつもりだけれど、まだ、このズーと呼ばれる人たちと動物との愛は受け入れられないでいる。

    動物がそばにいてくれること、共に過ごすことで救われたり癒されたりするのはわかる。そこに性的関係が必要なのか。
    あぁ、でも動物の種を超えた交配はどうなのか。ライオンとトラ、ヒョウとチーター、ロバとシマウマ。その交配と同じじゃないのか。うーん、わからない。

    いろんなことを考えている。考えているけれど、まだまったく理解も消化もできていない。
    ただ、「愛することって何なんだ」という問いだけが深く心に刺さっている。

  • セクシュアリティはそれぞれと思っていても
    相手が動物??
    どこまで同等の立場であるのか
    相手を思いやる事が愛なのか
    消化しきれないけれど
    読んでよかった
    世の中にはイロイロな人がいてイロイロな幸せがあるんだと再確認

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