ヤマザキマリ対談集 ディアロゴス Dialogos

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087816891

作品紹介・あらすじ

私たちが「善く生きる」ための道を
賢者たちとの対話(ディアロゴス)で示す。
ヤマザキマリ初の対談集。

養老孟司、竹内まりや、中野信子、釈徹宗、棚橋弘至、パトリック・ハーラン、中村勘九郎、平田オリザ、萩尾望都、内田樹、兼高かおる

漫画のみならず、TVコメンテイター、文筆活動など縦横無尽に活躍するヤマザキマリ。世界各国を渡り歩いて得た知見は、歴史、文化、スポーツ、科学、政治、経済、宗教などありとあらゆる分野に及ぶ。その彼女が多彩な識者との連続対談に挑んだ。
コロナ禍に世界が翻弄される中、私たちはどうすれば「善く生きる」ことができるのか。養老孟司、竹内まりや、中野信子、釈徹宗、棚橋弘至、パトリック・ハーラン、中村勘九郎、平田オリザ、萩尾望都、内田樹、兼高かおる、という多様な識者との「対話」によって、寄る辺なき世界の行方を示す、ヤマザキマリ初の対談集。

●目次
はじめに
第1回 養老孟司 世界は予測不能、だからおもしろい
第2回 竹内まりや 私たち表現者はアスリートである
第3回 中野信子 脳科学が解き明かす運動と人間の秘密
第4回 釈徹宗 過剰な欲望をコントロールする身体のスキルとは
第5回 棚橋弘至 「善く生きる」ためにプロレスを観よう
第6回 パトリック・ハーラン なぜ人間はハイになることが必要なのか
第7回 中村勘九郎 生身の感動がもたらす爽快感
第8回 平田オリザ アフターオリンピックの日本が向かう先は
第9回 萩尾望都 今、この世界を鎮めるために
第10回 内田樹 成熟しなければ生き延びられない
特別編 兼高かおる 旅は地球とのランデブー
おわりに

●著者プロフィール
ヤマザキマリ
漫画家・文筆家。東京造形大学客員教授。1967年東京都生まれ。1984年にイタリアに渡り、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻。エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカを経て現在はイタリアと日本に拠点を置く。1997年漫画家デビュー。2008年連載開始の『テルマエ・ロマエ』が空前の大ヒットとなり、2010年第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。漫画作品では他に『オリンピア・キュクロス』『プリニウス』(とり・みきと共著)など。評論・エッセイでは『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』『国境のない生き方』『ヴィオラ母さん』『パスタぎらい』『たちどまって考える』などがある。

感想・レビュー・書評

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  • マリさんと様々なジャンルを専門とする11人の対談。
    対談の軸は運動にあるので、運動や、開催前だった東京オリンピック2020について語られる。
    そして運動の話から、これからの世界のあり方や、日本人の成熟が必要なこと、多様性についてなど、どんどん話が広がっていく。

    どの対談相手も知識と教養が高く、読んでいてほうーと思うことばかり。
    そしてわりとマリさんと似たような考え方をする人が多かった。
    毎日ジムで鍛えてますとか、スポーツに人生捧げてます、オリンピック夢中で応援します!開催は絶対必要です!のような人がいなかった。
    そういう人とマリさんが対談するのも読んでみたい。

    平田オリザさんが紹介していた小津安二郎さんの言葉が自分の中に残っている。
    「どうでもいいことは流行に従う。大事なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う。」

  • 5年前の兼高かおるさん
    及び2019年7月~2020年6月
    10回にわたり連載された
    「ヤマザキマリのオリンピック放談」のために行われた
    対談をもとに再構成したもの。


    オリンピック目指して連載されたのでしょうが
    第8回でコロナウィルスが広まり
    第9回は延期決定後、コロナ禍自粛でメール対談
    第10回はオンライン対談になっています。

    どうなるんでしょうね?オリンピック。
    第8回平田オリザさんの話にこんなのがありました。

    〈小津安二郎さんの言葉に「どうでもいいことは流行に従う。大事なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う」という有名な言葉があって、オリンピックは私にとってどうでもいいことなので「流行に従う」ですね〉

    私もそうかも。
    開催が決まったときは「えっ。そんな暑い時に?!」と、どちらかといえば反対でした。
    今はそれを目指して頑張っている人たち(選手やスタッフ)がたくさんいるだろうから、「無事できたらいいね。うまくいくといいね」と思っています。

    第8回萩尾望都さんとの対談のときのマリさんの話。
    マリさんは2020年東京オリンピック開催を前提として
    『オリンピア・キュクロス』連載を始めたそうです。
    その中に1964東京で銅メダルをとり、
    その後自死した円谷幸吉さんを登場させています。

    〈円谷さんの不幸はまさに「時代」だったと思います。
    第二次世界大戦が終わって20年も経っていない中で、
    日本は行動成長の波に乗りつつも、
    自分たちの国の威厳を取り戻したい、という風潮が強く、
    社会にもまだ軍国的な気配が漂っていた。
    そうしたプレッシャーがあの頃の運動選手に
    のしかかってしまったという気がします。
    円谷さんは時代の犠牲者だったとも言えるんじゃないでしょうか。
    でも、あの漫画で円谷さんのことを描けて、本当によかったです。
    漫画が出た後、福島の円谷さんのお兄さんから
    「幸吉が生き返って本当にしゃべってるみたいだった」
    と、担当編集者にお電話があったそうです。
    それを聞いて、嬉しくもあり、切なくもあり〉

    いい話だなあ。
    この本には他にも「読んだ良かった」と思えることが
    たくさん書かれていました。

  • ヤマザキマリさんと10名+1名(特別篇)の多様なジャンルで活躍する方々の対談集。2019年6月から2020年5月に実施。運動(というより、大々的には書かれていないように思うが、オリンピック)が主題。対談を行ったのが、コロナ前後の時期なので、開催予定のオリンピックだったのが、1年延期となっていた。多様な考えを知ることができ、面白かった。個人的には養老孟司先生と兼高かおるさん(特別篇)の回が特に面白かった。
    なぜ日本はニュース番組で必ずスポーツコーナーを長く取るのか、とか、オリンピックでのメダル獲得(勝ち負け)にこだわるのか、とか確かにそうだなと。対談者が文化芸術分野の方が多く、同分野の内容での話も多かった。

  • ヤマザキマリさんと、養老孟司さん・萩尾望都さん・兼高かおるさんら11人との対談集。

    対談は、兼高さんを除き、2019~2020年にかけて行われた。

    内容はいきおい比較文化論的になるんだけど、ライトモチーフとしては「運動」、すなわちオリンピックのあり方だとか、なぜ日本人は金メダル金メダル言うか、という辺りに主な関心があるようだ。

    ほぼコロナ禍は始まった頃合いで、「来年はオリンピック開催はムリでしょうね」という話ではほぼ一致していて、識者ならずともそれが素直な見方というものだろう。

    政府はいつまで経ってものらりくらりだし、ワクチンも頓挫し、感染は当然収まらない中でついに五輪は開催される。それでなくてもいろいろ「呪われた五輪」、空中分解しないことを祈る。

    平田オリザさん、内田樹さんとの話が存外に面白かった。

  • オリンピック発祥の地・古代ギリシャの知識人は〝人間は肉体だけでなく、精神面も鍛え続けなくては真っ当な機能を成さない生き物になってしまう〟ことを知っていた。思索と対話(ディアロゴス)は、精神面の訓練でありエネルギ-を必要とする運動機能を促進する...2020年東京オリンピック開催(コロナ禍で延期)前後での、各界著名人との対談をとおして、現代社会に生きる人間の欲望、葛藤、憂鬱、歓喜、成熟など、寄る辺なき予測不能な世界を語り合った<ヤマザキマリ>と11人の興味煽られる対談集。

  • S図書館
    11人と対談

    興味ある所だけ読んだ
    養老さんと中野信子さんが面白かった
    養老氏
    生きるために体を動かすというのが人間本来の姿
    無理に体を動かすことは不自然
    スポーツは今システム化されている
    背が低い投手はダメという時代になっている
    そんな勝つに決まっているやつしか出てこないなんて面白くない

    中野氏
    脳における「美しい」領域と「かっこいいクール」の領域が違うことが分かってきた
    「かっこいいクール」の領域は頻繁に基準が変わる
    なぜ変わるのかということを考えていくと、実は 善悪の基準も変わる方にあるらしい
    脳が出すいわば暗号のコーティングを変えておかないとハックされる可能性が出てくるので、集団を守るために、善悪や「かっこいいクール」の基準を変えているのではないかという仮説を立てている

  • 中野信子さんとの対談で「善悪と美醜」の話しは面白かった。

  • オリンピック開催前の2019年7月~2020年6月の対談連載が1冊に。もともとオリンピックテーマの対談だったようで、基本的にトークテーマはオリンピックにまつわるあれこれ。

    結果的に、途中からコロナ禍となり、オリンピックは延期となりましたが、もし無事開催されていたとしても、個人的には「それどうしても東京でやらなきゃ駄目?誰が儲かってるの?」と思うことのほうが多かったので、共感できる部分がたくさんありました。

    現在(2022年2月)の時点では、北京の冬季オリンピックが開催中。女子フィギュアスケーターの薬物問題、その他いろいろ小さなトラブル発生も含め、オリンピックの意義について、改めて考えさせられることも多々あり。スポーツがなぜ人を熱狂させるのか、という部分での分析もありそこは興味深かった。

    ※対談相手
    養老孟司/竹内まりや/中野信子/釈徹宗/棚橋弘至/パトリック・ハーラン/中村勘九郎/平田オリザ/萩尾望都/内田樹/兼高かおる

  • コロナ禍に世界が翻弄される中、「善く生きる」には。養老孟司、竹内まりや、中野信子、中村勘九郎、内田樹、兼高かおるら、多彩な識者との「対話」で、寄る辺なき世界の行方を示す。共同通信配信をもとに書籍化。

    興味深い内容だったけど、誘導に感じることもあった。

  • 頭いい人たちの会話。
    勉強不足で咀嚼しきれていない部分がたくさんあると思うので、色んな知識を身につけて考えるようになってから読み返したい。

    「私たちが生き延びるために欠かしてはならないのは、身体を維持するための食糧と、そしてメンタルのための文化的栄養である。」

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著者プロフィール

1967年東京生まれ。漫画家。14歳でドイツとフランスに一人旅へ。17歳でフィレンツェの美術学校入学。1994年、一人息子デルスを出産。1996年、漫画家デビュー。帰国し、北海道大学などイタリア語の講師を務めつつ、北海道の放送局でイタリア料理の紹介や旅行のレポーター、ラジオパーソナリティなどを務める。2002年、14歳下のイタリア人ベッピと結婚。エジプト、シリアと日本を往復しながらの生活が続くが、2004年に日本での仕事を整理し、リスボンに家族三人で住むことになる。主な著書に『テルマエ・ロマエ』『モーレツ! イタリア家族』『世界の果てでも漫画描き』『地球恋愛』『ルミとマヤとその周辺』など多数。現在シカゴ在住。

「2012年 『ヤマザキマリのリスボン日記──テルマエは一日にして成らず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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