- 集英社 (2020年11月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784087816969
作品紹介・あらすじ
近くて遠い、台湾の本当の姿を求めて
歴史と人に寄り添う台湾紀行
台湾各地を歩いて歴史を紐解き、さまざまな人と出会いながら、旅の途上で湧き上がる心情を綴っていく。前作『美麗島紀行』から5年、台湾への興味と愛は尽きることなく、著者自身が撮影した数々の写真とともに、台湾の多彩な側面に迫る。
美術家・奈良美智さんも絶賛!「ガイドブックだけじゃつまらない!いろんな扉を開けてくれるお話の数々。台湾好きになったら次に読むのはこれでしょ!」
【本文より】
台湾に行ったとき機会さえあれば、私は必ず老人たちと話をする。短くても、すれ違いざまでも言葉を交わす。というよりも、あちらから「日本人ですか」と声をかけてくることが多い。時に懐かしげに日本語で語るその人たちは、時代の生き証人だ。だが、日本統治時代から遠く離れて、出会いの機会はますます貴重になっている。
【もくじ】
カバランからバックスキンへ
台湾最南端で台風に遭う
「日本語世代」それぞれの思い
映画の中の日本家屋
台北MRTに生かされる日本の技術
アクシデント
パイワン族・陳媽媽のしなやかさ
清き水が湧き、歴史が降り積もる町
端午節の一日・ドラゴンと猫
暑く、熱く、篤い街・高雄
ピンク色に引きずられた日
食器にこらずに縁起を担ぐ
祝日の過ごし方・お墓参りとバーベキュー
日本と縁の深い村に、再び立った新たな鳥居
客家の町で乃木希典の足跡を見つける 苗栗・南庄郷
外省人・二度と故郷へ戻れない老人の話
台北の新名所「呼吸する隠れ家」を実現した日本の技術
台南の冬・韓石泉氏ゆかりの場所で空襲の話を聞く
「魚」と「野菜」の一騎打ち・台湾総統選挙
鬼の月・今も大切にされている「七夕」の一日
八十代女性が七十年以上も心に抱いてきた疑問
あらゆる要素が融け合っている台湾の住宅
「布袋戯」──驚異的進化と大きな課題
【著者プロフィール】
乃南アサ(のなみ・あさ)
1960年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部中退後、広告代理店勤務を経て、1988年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞の優秀作に選ばれ、作家デビュー。1996年『凍える牙』で直木賞を、2011年『地のはてから』で中央公論文芸賞を、2016年に『水曜日の凱歌』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。主な著著に『花盗人』『団欒』『旅の闇に』『六月の雪』『美麗島紀行』『チーム・オベリベリ』など多数。
みんなの感想まとめ
歴史と人々の交流を通じて、台湾の多様な姿を描く本書は、著者の深い洞察と体験が詰まった紀行文です。前作では日本統治時代の痕跡が中心でしたが、今回は現代の台湾の暮らしや文化にも焦点を当てています。特に、戦...
感想・レビュー・書評
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作家、乃南アサさんの台湾紀行第二弾。
第一弾の『美麗島紀行』では、乃南さんが台湾の歴史を学んでいく過程だったこともあり、主として日本統治時代の痕跡が残る場所について紹介されていたが、今回はそれに加えて、現代の台湾の暮らしが垣間見えるエピソードも含まれている。
本書の中で一番印象に残ったのは、戦後、大陸から台湾に渡ってきた「外省人」である老人のくだりだ。
貧しい農家の生活から抜け出すために志願兵となり、「小鬼子(シャオクイズ)※日本人に対する中国での最大の蔑称」をたくさん殺した、と殺意を含んだ目で語る老人。彼の言葉に、乃南さんだけでなく読んでいる私も背筋が凍る思いがした。
「日本人」として暮らした台湾の人々のきちんとした生活ぶりを目の当たりにしたことや、自分を貧しさから救ってくれたきっかけをもらった、という気持ちから、日本に対して矛盾した感情を持つ、という老人は、台湾で70年以上暮らしながらも、中国共産党を支持し、中国に帰ることを望んでいるという。
戦後、国民党を率いる蒋介石が、毛沢東の人民解放軍との内戦に敗れ、台湾に撤退した際に、国民党関係者など、100万人近くの外省人が台湾に移り住んだ。日本人が台湾から引き上げ、空き家になった日本家屋には、彼らが大勢住み込んだという。築き上げたものすべてを置いていかなければいけなかった日本人の無念もさることながら、故郷に戻ることを願いつつ異国様式の住居で暮らすしかなかった外省人たちもやるせなさでいっぱいだったに違いない。
「日本人」として生きることを強要された「本省人」と、かりそめの生活と思いながら台湾で暮らす「外省人」。かつては敵同士だった者たちが、九州と同じくらいだという小さな島で一緒に暮らさざるを得ないという台湾の複雑な事情を改めて感じたエピソードだった。
本書の中で紹介されていた、1960年代初頭の台北が舞台の『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)という映画は一度観てみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
乃南アサ『美麗島プリズム紀行』刊行記念インタビュー 「近くて遠い、台湾の本当の姿を求めて」 | インタビュー | Book Bang -ブックバン-
https://www.bookbang.jp/review/article/652071
美麗島プリズム紀行/乃南 アサ | 集英社の本 公式
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-781696-9 -
日本統治時代も含め、難しい歴史を持つ台湾。
もちろん親日ばかりではないとは思っていたが、そうでない方のリアルな声や心情は本書から知ることができた。
コロナ前までは毎年数回は出張していたことが懐かしい。あまり観光もできないままであったが、次はゆっくりと日本統治時代の名残りを散策したい。 -
乃南アサさんの台湾紀行は、現地の方達と深く交流し、特に年配の方々から日本統治時代のお話を伺い痛みと辛さときちんと向き合っていらっしゃり、私もいろいろな方の思いを知ることができとても学びが多いです。
今台湾の先生から中国語で台湾文化について勉強しています。
そこで知った台湾文化、行事などもたくさん出てきて、勉強したことがこうして生の体験として出てくるのが嬉しいです。 -
乃南アサの台湾の歴史に触れる主に建物探訪旅行記。
・カバランからバックスキンへ
・台湾最南端で台風に遭う
・「日本語世代」それぞれの思い
・映画の中の日本家屋
・台北MRTに生かされる日本の技術
・アクシデント
・パイワン族・陳媽媽のしなやかさ
・清き水が湧き、歴史が降り積もる町
・端午節の一日・ドラゴンと猫
・暑く、熱く、篤い街・高雄
・ピンク色に引きずられた日
・食器にこらずに縁起を担ぐ
・祝日の過ごし方・お墓参りとバーベキュー
・日本と縁の深い村に、再び立った新たな鳥居
・客家の町で乃木希典の足跡を見つける 苗栗・南庄郷
・外省人・二度と故郷へ戻れない老人の話
・台北の新名所「呼吸する隠れ家」を実現した日本の技術
・台南の冬・韓石泉氏ゆかりの場所で空襲の話を聞く
・「魚」と「野菜」の一騎打ち・台湾総統選挙
・鬼の月・今も大切にされている「七夕」の一日
・八十代女性が七十年以上も心に抱いてきた疑問
・あらゆる要素が融け合っている台湾の住宅
・「布袋戯」ー驚異的進化と大きな課題
・あとがき
日本統治時代に、日本の合理的な思考によって発展した台湾のインフラや文化。
日本の敗戦により統治が終わり、台湾は中国に接収され、毛沢東と蒋介石の覇権争いの末、蒋介石の国民党の支配下に置かれる台湾は、さらに政治文化を塗り替えられていく。
もともとの原住民の文化に、日本人や中国人の文化が融合し、日々の発展的を遂げていく台湾人は、おおらかで、開放的で、かつ、情熱的でもある。
台湾史を知らなかった自分としては、なぜ台湾が人気があるのか分かった気がする。
ぜひ訪れてみたい国の一つになった。 -
2020年1月の総統選を取材している。最近の台湾情勢がよく分かる。ローカル情報も多彩に面白く分かる。
この本は二回目の登場だ、忘れてた。 -
コロナで好きな旅行も出来ず、何気にに手にした本。やはり歴史を知らないと、わからない事ばかりと痛感する。早くコロナが落ち着いて、もう一度台湾に行きたいと思うばかりである。
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「美麗島紀行」続編。
複雑な歴史を持ち、様々な出自の人々が共棲する台湾独特の雰囲気が、日本人共通の後ろめたさをもつ著者によって、的確に描かれる。
外省人の老人の昔語りなど、典型的だ。
この島とともに生きられる未来があることを願う。 -
台湾好きな人は読んだらいいと思います!
著者プロフィール
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