- 集英社 (2022年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (290ページ) / ISBN・EAN: 9784087817140
作品紹介・あらすじ
『極夜行』後、再び旅する一人と一匹に、いったい何が起こったか。
GPSのない暗黒世界の探検で、日本のノンフィクション界に衝撃を与えた著者の新たなる挑戦!
探検家はなぜ過酷な漂泊行にのぞんだのか。未来予測のない世界を通じ、人間性の始原に迫る新シリーズの第一作です。
「この旅で、私は本当に変わってしまった。覚醒し、物の見方が一変し、私の人格は焼き焦がれるように変状した」
―――本文より
<目次>
四十三歳の落とし穴
裸の山
狩りを前提とした旅
オールドルート
いい土地の発見
見えない一線
最後の獲物
新しい旅のはじまり
*巻末付録 私の地図
著者プロフィール
角幡唯介(かくはた ゆうすけ)
一九七六年北海道芦別市生まれ。早稲田大卒。探検家・作家。チベット奥地のツアンポー峡谷を単独で二度探検し、二〇一〇年『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』(集英社)で第八回開高健ノンフィクション賞、一一年同作品で第四二回大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞。
その後、探検の地を北極に移し、一一年、カナダ北極圏一六〇〇キロを踏破、一三年『アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』(集英社)で第三五回講談社ノンフィクション賞。一六〜一七年、太陽が昇らない冬の北極圏を八十日間にわたり探検し、一八年『極夜行』(文藝春秋)で第一回Yahoo! ニュース 本屋大賞ノンフィクション本大賞、第四五回大佛次郎賞。ほか受賞歴多数。
一九年から犬橇での旅を開始、毎年グリーンランド北部で二カ月近くの長期狩猟漂泊行を継続している。近著に『狩りの思考法』(清水弘文堂書房)。
感想・レビュー・書評
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なぜか、第2部から読み始めて、この第1部にたどり着くという、まあ、知らない人との出会いという時にありがちな展開なのでしたが、だから、第1部で二人、じゃなくて、一頭と一人で橇を引いて歩く相方のエスキモー犬、ウヤミリックくんのことはすでに知っていたりするわけですが、だからこそかもしれません、道ばた、ウーン、そんな場所がグーンランドの果てにあるのかどうか(笑)、でころがっているジャコウウシの死体に、二人で、いや、一頭と一人で、欣喜雀躍して、あまりの臭いに食べられない一人が、平気で食べて、デカいうんこをする一頭に嫉妬する様子なんて、サイコーですね(笑)
あれこれは、ブログに書きました。そっちも、覗いてくださいね(笑)。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202310140000/ -
いわゆる冒険家としてはかなりの冊数を出しているので、ほぼ作家と言ってもよいのではないか。文章も非常に達者でユーモアにあふれているのでとても読みやすい。いずれ冒険から離れても面白いものを書くんじゃないかと思っています。
さて、極地探検ものをかなり連続して書いているので、新味は正直なくどちらかというと今後の決意表明みたいな本に感じました。
そりで氷の壁を超えるってどういう状況なんだろう。ジャコウウシってどんな味なんだろう、臭いなんだろうと想像働かせて読みますがなかなか頭に像を結ばないです。経験したことがないからサンプルが無いんですね。そう考えると本当にすごい体験しているなあ。
彼が今後やろうとしている漂泊の狩猟者としてその土地に深く根ざしていくのはとても面白いし、狩猟主体の冒険譚とても読みたいです。という期待も込めてここでは☆3。 -
相変わらず面白かった
グリーンランド(たぶん行かないけど)行きたくなる
橇で冒険したくなる
角幡さん人間くさい書き方が好き
冒険とは最終到達点に向かうこと
漂泊は狩猟民族のごとく食糧を調達しながら行けるところまで行くということの
大きな違い(普通の人からは何が違うのかわからなかったけど)、漂泊の面白さが存分にわかった
やらないけど -
未来予期せずにという漂泊旅の目的は面白い
最後の方、時間感覚が狂っていったのも興味深かった。
極限状態など体験したことがないし、したくもないが、こういうリアルに生と死を感じる体験に誘われてしまう人もいるんだなあと、疑似体験させてくれてありがとうと思う。
文章は全体的には拙速な感じというか
荒々しい感じがした。
そして、なんとなく探検家ってゲームをクリアしていく感覚でやってるのかな?と思った。
でもそれがまた探検家っぽくて
角幡さんの人柄が表れているのだと思い面白く感じた。
以前、星野道夫さんの本を読んだとき
探検家というよりは写真家だからか
土地のこと、動物のことを深く知ろうという意志を感じて、そしてすごく静かな感じがした。
対照的だなと思う。
次回展望では、土地への関心が高まっていたので、どんなふうに変わるか次回も読んでみたい。 -
「四十三歳の落とし穴」という一章から始まる。旺盛な体力の勢いのまま冒険行を重ね経験値をあげていき、降下し始める体力と、積み上げていくことが可能な経験値が、いつか逆転を起こしてしまう。スポーツであればその帰結先は競技としての「敗北」だが、冒険行においてそれは「死」だ。
本書では実例として河野兵一さんと植村直己さんをあげている。著者はどうだ。ぎりぎりの冒険旅行を生還し、さらに狩猟を通じて価値観が転換する経験をすることにより、これからも大丈夫なようだ。
著者は価値観の転換を、狩猟を通じてと描かれているが、私はまさにその思考こそ四十三歳の転換点だと思う。『狩猟』ではなく、四十三歳という年齢が転換の引金だ。加齢こそが価値観を転換させる原動力だ。
そうであれば、読者である僕も著者のような価値観の転換を経験できるはずだ。ある地点まで移動することが目的ではなく、自身の価値観による視線でその土地を経験する、そういう旅だ。
その人の経験値から思いつくテーマを実行することが、その人らしさを強調していくというからには、より思いつくままに旅してみたいと思う。 -
「極夜行」も読んだので、なじみの土地となじみの犬が出てくる。今度は白夜のなか、狩りを主体とする漂泊行だ。新しい旅のあり方を模索し、極地でそれを見出した角幡さんの挑戦は、たぶん第二部で読めるはず。
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2022/08/07
ギリギリの時のウヤミリックとのやりとりが好きです。ネタバレになるので書けないのですが。 -
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土地とつながることで生きる
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『極夜行』から続く、グリーンランドの旅。全然なじみのない土地なのに、イヌアフィシュアクとかアウンナットとか自分にとってもなじみの場所みたいになっている。
未来予測の無い漂泊行を目指して、角幡さんとウヤミリックの1人+1頭でグリーンランドを旅した記録。
この旅をきっかけに、「探検」「冒険」を求める探検家から、極地旅行家にかわってしまった、という最後の振り返りが印象的だった。
本筋とはちょっと違うけれど、「四十三歳の落とし穴」について自分に落とし込んで興味深く読んだ。経験が広がっていろいろ思いつくこと・目につくことが広がってくる一方で、それに対応する気力・体力がついてこなくなるっていうのは仕事や生活のさまざまな場面で出て来るのだろうなぁと。 -
極地探検家・角幡唯介が新たな旅の視点に気づく2018年の旅とそれにつながるまでの経緯を記した一冊。「狩り」を通じて土地を見ることで、新たな自分だけの地図をつくる旅がここから始まっていく
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文体がくどくていまいち自分の好みではないけど、実体験者にしか書けない圧倒される描写。
偶然アザラシがいた、だから生きられた、獲物を仕留められた。だからもう数日旅を続けられる。
白夜の北極を犬一匹と橇を引いて徒歩。地図も時計もなし。食料は一応あるけど現地で調達。日常とかけ離れすぎですごい。
広末涼子もこんな環境で口ずさまれるとは思ってなかったよな…(麝香牛の解体中)
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作者は、相変わらず過酷な戦いに挑み続けています。凄すぎる。
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極夜行と比べたらゆるいのかと思って読み始めたけど今回もグイグイと引き込まれて一気読みでした。次作が楽しみ
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有り 297.8/カ/22 棚:旅行
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白夜に極地を漂泊することでひとりの人間に芽生えた「思いつき」を辿るようなストーリーとなっていて読後感がよかった。極限状態で食い繋ぐ狩猟が筆者に哲学的な命題を突き付けたかと思いきや、間髪入れず陽気なJPOPの鼻歌に展開する表現力に脱帽した。
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冒険の描写は良いのだが、ポエムが多いのがキツい。みんなは当たり前と思ってるけど、俺は体験して実感したからすごいんだぞと言っているだけでしょう、これ。
素朴に、なぜ大島さんのように永住しないのかも分からない。
同じ実感おじさんや大学生に受けるのは分かる。ホントにただそれだけの内容じゃない?
著者プロフィール
角幡唯介の作品
