続 失踪願望。 さらば友よ編 (失踪願望。)

  • 集英社 (2024年5月9日発売)
3.33
  • (4)
  • (15)
  • (26)
  • (1)
  • (3)
本棚登録 : 147
感想 : 29
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784087817515

作品紹介・あらすじ

「おい、シーナ、逃げるなよ」

急逝した親友・目黒考二がシーナに伝えた
最期の“檄(ゲキ)”の真意とは?
老いてゆくこと、喪失を抱えて生きること――
哀しみも淋しさもそのままに(ときにビールとともに)
愛するものたちへの思いを静かに差し出す
79歳の日録は共感必至。

「WEB MAGAZINE集英社学芸の森」で好評連載中の
「失踪願望。」日録に加え、書き下ろし「さらば友よ!」を収録。
若き頃の“失踪”と“ヰタ・セクスアリス”の告白、
青春の別れと悔恨をつづって
新たな人生の世界線をひらく作家・椎名誠の新境地!

2022年7月から2023年6月の1年間の日録は
白内障の手術からスタート。
異常な猛暑にへたりこみながら仲間とのビールで乗り切る日々。
取材や講演で旅することも増えてきた。
そんな矢先、盟友・メグロが短い闘病の末、逝ってしまう――。
深い悲しみと混乱、喪失感に動けなくなってしまうシーナ。
そんな彼を支えたのは、かつてメグロから言われた
「作家・椎名誠への叱咤の言葉」だった……!

『失踪願望。 コロナふらふら格闘編』から2年弱、待望の続編刊行!

(日記の見出しより)
銃撃、休場、個人の感想
下駄ばき、ケトばし、広い空
メロディー、旅人、蛍の光
どぶろく、島酒、アイスバイン
お月見、門出、オフサイド
花巻、断腸、象が来る
初夢、訃報、オムマニペメフム
闇黒、ズタボロ、閉鎖月間
アルバム、ブンガク、高みをゆく者
奔流、フルサト、目黒がいない
アルマジロ、東京観光、伊達眼鏡
芦ノ湖、コロッケ、誕生日

【著者プロフィール】
椎名誠(しいな まこと)
1944年、東京生まれ、千葉育ち。1979年『さらば国分寺書店のオババ』刊行。89年『犬の系譜』で第10回吉川英治文学新人賞、90年『アド・バード』で第11回日本SF大賞を受賞。
『岳物語』『大きな約束』『家族のあしあと』等の私小説、『武装島田倉庫』『水域』等のSF小説、『わしらはあやしい探検隊』を原点とする釣りキャンプ焚き火エッセイ、『出てこい海のオバケたち』等の写真エッセイまで著書多数。ジャンル無用の執筆生活を続けている。
「失踪願望。」シリーズは、「WEB MAGAZINE集英社学芸の森」で好評連載中!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 椎名誠の日記形式のエッセイ。
    日記と合わせて、日本の近日の出来事が記されてあり、椎名さんの日記だけでなく自分のあの頃とも重なる。

    椎名誠と言えば旅だと思うけれど、失踪という旅もありその前には大変な交通事故もあったと知る。
    帯には逃げるなとあり、食いついていく椎名誠の姿勢が伺えるものだ。
    とは言え椎名誠も80歳になる、自身の身体だけでなく周囲の人々も変化していくことが何よりも寂しいようだ。
    その情景が浮かんでこちらまで物悲しくなってしまう。

  • 目黒孝二さんが亡くなってしまった。
    令和になって次々に昭和を彩ってきた人が亡くなっていき、それが世の理だと判っていても、でも目黒さんをまだ連れていかなくてもいいじゃないか、と思わずにはいられない。
    長年の同志を亡くしてしまった椎名さんの喪失感はいかばかりだったのか。
    日常を送りながら、友の影をそこかしこに見出だしながらも、それでも時は過ぎていく。思い出を風化させながら時は流れる。そうして大切な人の死をどうにかやり過ごしていくものなのだ、そうしなければ自分が壊れてしまうから。死を受け入れるとはそういうことなのかもしれないと思った。

  • <養>
    とにかく本前半の部分はすっ飛ばして後半の「さらば友よ!」から読む。もちろん亡き目黒さんに充てて書き下ろしたものだが,シーナ兄ぃがあえて今まで書かなかった事が赤裸々に描かれていた。色々あるが シーナ兄ぃが作家になった一番最初のきっかけは,二十歳の時の例の友人が運転する自動車事故からの回復安静時に自宅で本(なんと純文学)を沢山読み始めた事だったんだ!と分かった。なんかちょっと複雑な事情と心境だなぁ。【以下 今回少しネタバレ有ります。すまぬ】

    そして現在 本の雑誌 に連載中の 「哀愁の町に何が降ると言うんだ」 にて語られたものの,僕はこれホントか? と 思っていた 例の人妻志乃さん との爛(ただ)れた関係がまぎれもなく真実だった事がこの シーナ逃げるな! で判明するのだった。いやはや良かったよかった。え,何が良かったんだw。

    僕はシーナ兄ぃにはサイン会等で何度かお目に掛かって 少しだけお話して握手してもらった事があるけど,それはもう10年近く前の事だったなぁ。先日新宿三丁目の池林坊に初めて呑みに行った時 たまたま店にいた オ-ナーの太田篤哉さんと少しお話しが出来て その時に いやぁ 僕シーナ兄ぃの大ファンでして,と言ったら気のいいトクヤさん は「それならシーナさんが来てる時にまたおいでよ」みたいな事をおっしゃってくれた。え!と思ったが 一体いつ来るんだシーナ兄ぃ はw。僕は愛知県からの出張旅なんだからな!と思った。

    前作『コロナふらふら格闘編 』も同じだったけど 本ページの下1/3程にはその上段本文のシーナ兄ぃの日記に沿って当時起きた出来事についてボソボソと書かれている。何をそこに書くかは編集者が選んだのだろうけど,そうだったなぁ~ と嬉しく思い出す事もあれば,なんだそれ 大事なページ面使ってそんな どーでもいい事書くなよ,という場合もあった。けれど時々シーナ兄ぃが その欄に★印を付けて自らのイケンを述べているところは大変に良かった。

    その 下段1/3には 出来事 だけではなくて上段でシーナ兄ぃが言及した一部の人物についても解説してある。例えば35ページには4人を超えるミュージシャンのプロフが書かれていたりする。加山雄三 と 井上陽水 と 忌野清志郎 って,おいおいそんな有名な人達のプロフなら誰でも知ってるぞ。おめー いったいどういうつもりで書いてんだ,え 編集者さんよ。ま,いいけどさ。 しかしそれにも増して 誰それが亡くなりました という記事解説がやたらと多いのには参ったなぁ。編集者よ いいよもう書かなくてよぉ~。

    シーナ兄いの孫,つまり岳くんの息子も登場する。彼は名前を 風太 というらしい。なに 風太! 風太 というと 僕は 福岡風太 というご老人を知っていて その人は 毎年春に北大阪の服部緑地公園で 春一番コンサート という野外音楽会を開催している。60年代後半から70年代初めに掛けて流行ったアングラ的フォークソングのミュージシャン達を主な出演者とするコンサートだ。大塚まさじさんや,いとうたかおさん。そして亡古は加川良さんや高田渡るさんだ。あ,すまぬ 全然関係ない所へ話がいってしまってた。

    余談だけど,表紙カバーの写真。濃い緑をバックになにやら深考するように遠くを見ながら でも実は少し笑って立っているシーナ兄ぃは 相変わらずおしゃれでカッコよくナイスなのだ!

  • 椎名誠さんの2022年7月から2023年6月までの日記風のエッセイです。
    書き下ろしエッセイもあります。

    さて、本作では、椎名誠さんと一緒に本の雑誌を創刊した目黒考二さん(書評家の北上二郎さんと同一人物です。念のため)が亡くなったときのことが含まれています。
    現代の選書家や小説紹介者のやっていることは、目黒考二さんがやっていたことの後追い的なものだというのは、確かにそうだよなと思いました。

    ところで、書き下ろしエッセイを読むと、「哀愁の街に霧が降るのだ」を再読したくなりました。
    調べてみると、「哀愁の街に〜」の新潮文庫版は絶版になっていて、今は小学館文庫から出ているようです。
    「哀愁の街に霧が降るのだ」のような現代とはジェネレーションギャップがあるような作品は、今はもうあまり読まれないのかなとちょっと寂しくなりました。

  • 前作、失踪願望。では、コロナ騒動で死を彷徨う体験を知ってビックリした。

    そして、本書、続編は令和4年(2022年)7月から令和5年(2023年)6月末までの
    1年間の失踪日記(WEBにて連載)の内容に『さらば友よ』親友、目黒考二の死について書いた内容。

    日記の内容はWEBでたまにチェックしていたので、知っていたが
    最後の『さらば友よ』は涙が流れるほど、親友、目黒考二氏への愛情が
    心に響く内容になっている。
    本書で始めて知った内容は、大学生の頃の話。
    失踪願望があった事を語るエピソードで、友人と家出をして、
    箱根の芦ノ湖周辺の酒屋に住み込みで働いていた。
    その時、偽名を使い『タカハシ』で1ヶ月位働いていたことは初めて知った。

    シーナファンにとって、現在の椎名誠を知る為の1冊になり、
    80歳の現在も元気でいることに安心する本書である。

  • 失踪願望の続編です。
    前作はコロナ罹患で生死をさまよった経験が赤裸々につづられており、回復後の後遺症も大変そうでカラダ大丈夫かなあ・・と心配でした。
    今度の本作では本の雑誌創刊からの盟友、目黒考二さんが亡くなられ、その時の衝撃と悲しみの深さが伝わり、今度は心が壊れそうでまたもや心配に・・・
    ただ一方で、彼との思い出や会話をきっかけに、もう一歩踏み込んで執筆しようという強い意志も感じられました。
    それが今回初めて語られたと思われる、奥様との関係悪化のこと、自動車事故のこと、不倫のことなどではないでしょうか。

    私自身は、ワイワイ楽しく旅をして、お酒を飲んで・・・というシーナさんを見ると安心しますが、こういう執筆が彼の心のリハビリになるのなら、どんどん読んで受け止めようと思います。
    ずっとお元気でいてください。

  •  僕が20歳の頃、あけすけで、体当たりでことにあたる著者が好きだった。
    本の雑誌も好きだったし、こんな大人になれれば良いな、なんて思っていた。

     青年だった僕が60代を迎える今、本書を読むと、どうもがっかり感が激しい。テレビの状況に文句を言うが、テレビづけになっている生活が哀しいし、あちこちでビールを飲む姿も底が浅く見える。飲む機会の周辺の仕事ぶりが見えず、ビールを飲んでいることだけが印象に残るのだ。

     80歳を迎えられる著者に何を期待するのかと怒られそうだが、僕のアイドルだったのだ。表紙も自身のお姿で、相変わらず男前な立ち姿がいっそうがっかりにつながっている。

  • あやしい探検隊でウハウハガハハだった椎名さんの本、大好きでした
    人は歳をとるんですね
    一人ずついなくなりますね
    あのころの「哀愁」と今漂っている哀愁、だいぶ違う気がします
    でもまだまだお元気で

  • あやしい探検隊の初期メンバーも何人か亡くなっており、”釜炊きメグロ”の訃報が届く。。シーナさんも御年80、昔のような海外紀行ものは難しいかもしれないけど、長生きしてほしいものです。

  • 目黒さんが亡くなっていたとこの本で知った。ショックで別冊本の雑誌をポチッてしまった。

  • あの”怪しい探検隊”も齢、今年80歳かぁ。
    一緒に”本の雑誌”を立ち上げた目黒考二が亡くなり、さぞ気落ちしたことは想像に固くない。
    それでも年齢の割りによく飲み、よく仕事を兼ねてよく外出してるようでまだまだお元気そうで嬉しい。

    日記よりも巻末の”さらば友よ”が滅法面白かった。
    椎名誠の青春記、20代はじめの生きていたのが奇跡というくらいの自動車事故、著者は助手席でみぞれまじりの雨が降ったあとのアイスバーンみたいな道路を免許取り立ての悪友が時速100キロでとばしてたっていくからよく誰も殺さずっふたりとも瀕死の重体を負いながら生きてたよね。
    これ以外にもバイクで大きな事故を起こしてるみたいだし。
    強運の持ち主といおうか命知らずだね。
    この事故のあと実家で療養してる時に今までにないくらい文学系の本を読み漁ったみたいだからその時に書く素養ができたのかもね。
    おまけに実家では母親が舞踊教室を開いていてそこの生徒さんと不倫してたとは!
    で高橋という偽名を使って芦ノ湖の配達の住み込みバイトをして(一ヶ月くらいで辞めたみたいだけど)ここで知り合った人たちがみないい人でまかないも美味しそうで著者じゃなかったらそのままここで一生暮らすのもありなんじゃと思ったよ。
    昭和の古き良き時代って感じがしたわ。
    あと千葉の昔からの友だち、高橋コロッケくん、なんていい奴なの。家出(芦ノ湖に)の時も理由も聞かず一緒についていてくれたりどんな誘いでも著者の誘いは断らなかったとか。なんであんなこころやさしい男がいたのかと著者も言ってる。
    私もよんでいて感動したよ。高橋コロッケくん(実家が精肉店)も椎名さん同様、達者でいてほしいと願わずにいられない。

  • 大好きなシーナさん。いつになくマジメな事思いながらお酒召されてました。

  • 人生終盤になると懐古録が書きたくなる?
    日記パートの奥様との関係、後段の懐古録を読むとシーナ氏の心情が腑に落ちる。
    後段に懐古録を付けたり、友人との別れの中で過去の出来事を反芻する。
    単なる懐古録でなく、私小説でも日記でも無い。こんな本を作るあたり、生涯現役なんだろう。

  • 自由人だねー

  • 椎名誠の本や文章が好きだが、いっとき、昔のことばかり、同じ話を繰り返し書くのがなんかイヤで避けていた時期があった。でも私自身が年を取り受け入れられるようになった。やはり軽快な文章は若い頃と何も変わらず実に楽しい。

  • 目黒さん 大きな存在だったんですね。
    合掌

  • 椎名誠のエッセイが好きだ

  • 【感想あるいは思ったこと】
     自分自身のことも振り返りつつ日記を読み返すように読む。79歳になり旅にあまりでなくなったが、それでも原稿仕事は相変わらず引きも切らずの状態であることがわかる。お孫さんも大学生ということがわかり私小説とは違う日常の生活がつづられているが、この時期はやはり目黒考二さんが亡くなったことが一番大きなことだったようだ。

     彼が亡くなったことで心神喪失とまで行かずともかなり不安定な中で体調を崩すことも多かったことがわかる。そして作家としての集大成を託された思いなども繰り返し述べられている。
     やはりカバー写真が全てのような気がする。やるせない感じがする。

  • 椎名誠の最新日記本。大したこと書いていないが、椎名誠が書いているので読んでしまう。相変わらずの椎名節の文体がうれしい。
    親友が亡くなった悲しみの深さが刺さりまくった。
    79歳になって飲みすぎ。
    長生きしてぴんぴんコロリしてほしい。

  • 新聞広告で見たのはこちらの本。私個人としては「あの釡炊きメグロが亡くなったのか・・・」という寂しさ。本の雑誌でも盟友だった椎名さんの悲しみはいかばかりか、想像もつかない。そんな中でも椎名さんはできる範囲で旅をして、酒を飲む。本の雑誌の顛末の続編も是非書き上げて欲しい。

全26件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

椎名誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×