最後に、絵を語る。 奇想の美術史家の特別講義

  • 集英社 (2024年8月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784087817553

作品紹介・あらすじ

日本美術の「奇想」の発見者が語った、
「正統派」の絵画史の流れと、愛してやまない絵のこと。


「ちょっと薬が効きすぎたか」

自著『奇想の系譜』をきっかけにした昨今の「奇想」の日本美術ブームに対し、そんな思いを抱いていた美術史家の辻惟雄氏が、改めて「正統派」の絵画史について語ったインタビュー集。

岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白ら奇想派の作品を見る上でも知っておきたい、江戸時代初期までの「やまと絵」と「狩野派」の流れ、そして若冲・蕭白の同時代人である円山応挙の画業について、じっくり解説しています。応挙の章では、弟子の長沢芦雪も登場。

さらに、辻氏が愛する室町時代のユニークな絵入り本『かるかや』と昭和の国民的画家・東山魁夷の作品についても詳しく紹介し、最後は、東京大学時代の教え子・山下裕二氏(明治学院大学教授)との「師弟対談」にて締めくくり。

収録した図版は「四大絵巻」などの国宝からマニアックな作品まで100点超、そのうち70点をカラーで掲載しています。「正統派」と「奇想派」、その両方の魅力を知る辻氏ならではの、ディープで楽しい日本美術の本です。


【著者略歴】辻惟雄 (つじ・のぶお)
美術史家、東京大学・多摩美術大学名誉教授。1932年、愛知県生まれ。1961年、東京大学大学院博士課程中退。1970年刊行の『奇想の系譜』(美術出版社)で、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲らを「奇想の画家」として紹介し、その再評価の先鞭をつけた。また、「かざり」「あそび」「アニミズム」をキーワードに日本美術を幅広く論じている。『奇想の図譜』(平凡社)『日本美術の歴史』(東京大学出版会)、『辻惟雄集』(岩波書店)、『奇想の発見―ある美術史家の回想』(新潮社)など著書多数。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

日本の絵画史を深く掘り下げる本書は、正統派の美術の魅力を再評価し、特にやまと絵や狩野派、江戸時代の巨匠・円山応挙について詳しく解説しています。著者は、奇想派と正統派の両者の美しさを引き立てる視点を持ち...

感想・レビュー・書評

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  • 美術史の本に高精密の図版があるのがいい。最後、かるかやが来るのがすごい。って、正統の話していて刈萱に行くんかい。

  • やまと絵と呼ばれる四大絵巻から始まり、狩野派から応挙と、室町〜江戸の代表的な日本画をほぼ総なめ出来る(著者の好きな絵の話で東山魁夷も出てきますが)。辻氏の豊富な知見をうまく引き出すような対話形式で書かれており、中身は相当に濃密。西洋画の解説書に比べて日本画の書籍は写真が少ないものが多い印象なのだが、本書はカラーも豊富な写真が100点以上も掲載されており、これだけでかなりの満足感がある。

    日本画は屏風や襖などに描かれたものも多く、それ故に図版単品で語るよりもそれが配された空間全体で鑑賞することに醍醐味がある。辻氏の解説はさすがで、この辺りのことも丁寧に語られており、単に一つ一つのカタログ的作品の解説だけに留めてない点も本書の優れた点。

  • 個人(ひとりで)書き上げたのではなく、対談形式で語っていることが、とてもわかりやすく面白い。専門家ではなくただの美術好きとしてはこの方が理解がしやすい!また、以前の意見感想との違いを素直に表現されていることもモノの見方の多様性が感じられる。一方で源頼朝像は劣勢をなっても意見を変えないのも素敵!どうしても単眼でモノを見てしまうのだが、複眼で考えることの大切さを実感できました。

  • <目次>
    第1章  やまと絵~日本絵画のおもしろさ、ここにあり
    第2章  狩野派~戦国画壇、成り上がりと生き残りの物語
    第3章  応挙と芦雪~泰平の都が生んだ巨匠と弟子
    第4章  私の好きな絵~『かるかや』と東山魁夷
    第5章  師弟対談(辻惟雄vs山下裕二)

    <内容>
    『奇想の系譜』で伊藤若冲ブームを生んだ辻惟雄。その対極の正統な「やまと絵」を集英社の若手編集者に語り尽くした1冊。カラー図版多数でわかりやすく、最後に師弟対決もあり、面白い。応挙や魁偉を理解できた。狩野派の凄さもわかった。

  • 対談形式で面白く読めます。特に狩野派ってどれが誰⁇と言う私には良かった。

  • テンポよく、要点も分かりやすかった

  • 「奇想の系譜」を書いた辻先生が対談形式で「正統の画家」を語った本。2300円+税なのに図版がかなり多くてお得感満載。
    最終章の山下裕二氏との対談以外は集英社学芸編集部(名が無い)との対話形式。読み進めると、聞き手が意外と前に出てくる。辻先生との絡みで良い点もあるのだけど、少し出過ぎてる感もあり星一つ減。

    頁配分は以下の通り。
    1. やまと絵 pp.10-62
    2. 狩野派 pp.64-102
    3. 応挙と芦雪 応挙pp. 104-137, 芦雪pp. 138-166
    4. 私の好きな絵 かるかや pp. 168-181 東山魁夷 pp.182-196
    5. 対談 pp.198-219

    2019年に出た講談社選書メチエの「十八世紀京都画壇」でも辻先生は応挙を高く評価していました。今回の本も頁的にかなり重きを置いてます。狩野元信が生み出し狩野派が引き継いできた「真行草」の「型」とはまた違う、写生を基礎とした新たな「型」を生み出した。
    やっぱり応挙の存在は大事です。中心にドッシリと正統派の応挙が居ることで、周辺の画家が冴えます。同じことは狩野派への視点でも言えますよね。正統派あってこその奇想。
    かるかやや東山魁夷のところも面白いけど、応挙評価(対となる芦雪評価も)のところが一番面白いかな。

    余談。やまと絵の章で「伝源頼朝像」の年代下げ(12C→14C)に頑なに反対するところも面白かった。まあ絵絹の荒さからの年代推定は技法的年代推定とは別枠だもんなあ。わたしが私淑している佐藤康宏先生も辻先生と共に年代下げに反対との話があり、私の心が揺らぎました(笑)。

  • ・狩野永徳『洛中洛外図屏風(上杉本)』(米沢市上杉博物館蔵)
    ・伊藤若沖『仙人掌群鶏図襖(さぼてんぐんけいずふすま)』(西福寺蔵)
    ・浦上玉堂『山紅於染図(さんこうおせんず)』(愛知県美術館蔵、木村定三コレクション)
    ・狩野山楽『驚鳥図屏風(しちょうずびようぶ)』(個人蔵)
    ・『浜松図屏風(旧里見家本)』(東京国立博物館蔵)
    ・『浜松図屏風(旧小坂家本)』(文化庁蔵)
    ・狩野探幽『大徳寺本坊方丈襖絵』(大徳寺蔵)
    ・狩野山雪『雪汀水禽図屏風(せつていすいきんずびょうぶ」)』(個人蔵)
    ・円山応挙『松に孔雀図模』(大乗寺蔵)
    ・古絵本『かるかや』(サントリー美術館蔵)

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  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/723377

  • 辻先生の「奇想の系譜」は不勉強にてまだきちんと読み通していないのだが、私の大好きな若冲をはじめとした画家を扱っている。対して、この本は奇想に偏った現代の風潮に対する形でバランスを取るべく奇想の系譜の著者である辻先生によって書かれたもの。
    対談形式で、かつ話題に挙げられている絵も見やすい大きさで掲載してくれているところが大変わかりやすく読みやすい。
    改めて、いろいろな発見があり、ちょっと私自身横目で見る感じだった応挙や狩野派、東山魁夷についても、詳しく述べられていて、作品に対する興味が湧いたし、ちゃんと見てみたいと思う動機づけになった。
    やまと絵は、昨年?のトーハクの展覧会の折にハマって興味を持っていたのだが、改めてわかりやすく読めたことはよかった。

    御年92歳ということだが、高階秀爾先生が亡くなられた今、辻先生にはもう少し頑張ってお元気でいていただきたいものだと思う。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授/多摩美術大学名誉教授

「2021年 『日本美術の歴史 補訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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