かくかくしかじか 1 (愛蔵版コミックス)

著者 :
  • 集英社
4.23
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本棚登録 : 2891
感想 : 280
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087824575

作品紹介・あらすじ

これまで決して描かれなかった、東村アキコの半生がいよいよベールを脱ぐ…!少女まんが家を目指していたあの頃を、強烈なキャラとエピソードで描き出す、笑えて泣けるコミックエッセイ!

感想・レビュー・書評

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  • 『海月姫』、『東京タラレバ娘』などで知られる漫画家、東村アキコの自伝的エッセイコミック。

    主人公・林明子(*ちなみに東村の本当の本名は「森明子」らしい)は宮崎の高校3年生。少女漫画が大好きである。
    自分は絵がうまいと本気でうぬぼれていた。投稿すれば大きな賞を取れ、超大型新人としてデビューすると思い込んでいた。
    夢の人生プランは、美術大学に入る→在学中に漫画家デビュー→学費は漫画の原稿料で払う→漫画の実写化ドラマに出演した俳優と結婚→漫画を時々描いて幸せな一生を送る、と、相当な脳内お花畑。
    大学受験なんて楽勝とも思っていたが、クラスメート(やはり美大進学志望)に、美大を受けるなら絵画教室に通わなければダメだと言われ、彼女が通っている教室に通うことにする。
    ・・・この先生、日高がすごかった。ジャージ姿に竹刀を持ち、超が付くスパルタ先生。口も悪けりゃ手も早い。今なら保護者から苦情がいきそうなほどだが、通ってくる老若男女の生徒たちは皆、先生に従順だった。
    明子は石膏デッサンを1枚12時間以内で受験までに100枚描け、と無茶苦茶な指示を出される。明子だけではない。延々と来る日も来る日もティッシュの箱を描かされている老人、魚の骨を描かされている幼い姉弟、厳しすぎる指導に耐えかねて泣き出す女学生。阿鼻叫喚である。

    日高先生自身は実は、美大を出ていないことが後にわかる。
    それでも先生のデッサン力はずば抜けていた。また、厳しいながらも情に厚い、面倒見のよい先生であることも徐々にわかる。授業料は格安で、徹底的に1人1人の生徒と向き合っていた。

    明子は勉強が苦手だった。推薦入試を受ければ学科試験は不要と高をくくっていたが、何だかんだでセンター試験(現在の大学入学共通テスト)を受けなければならなくなる。そこで先生から出た指令は「9割」取ること。定期テストで一桁台を取ることもあるほど勉強ができない明子には到底無理な目標だった。
    そこで明子はどうしたか。
    何とヤマカンでセンター試験を「攻略」する本を買って実践し、実際、模試でそこそこの点を取ってしまうのである。
    ・・・そんな力技ありか!?

    そんなこんなの受験生生活を綴る1巻。
    全体に抱腹絶倒なのだが、一話の終わりごとに、現在の明子=アキコが先生に語り掛ける一言・二言がじんわり沁みる。
    日高先生のモデルとなった人物は、病気のため、早逝している。
    そう、これは今は亡き人に向ける言葉なのだ。
    だから、ドタバタコメディ風でありつつ、どこか深い郷愁も漂う。

  • 東村さんの自伝漫画。

    漫画力、すさまじいです。
    ☆5つを強調表現したいくらい。

    リズムが良く、すばらしくエンターテイメント。
    笑えて、泣けて、感動できる。そのバランスも絶妙。
    完成度が高い漫画で、物語にぐいぐい惹きこまれます。

    センセイやアキコの間抜けなところ、かわいらしいところをよく描き、笑ってしまう。いわゆる筆者のツッコミ力のなせる技。いろんな人を客観的に観察してるからこそ、このツッコミの切れ味があるのだろう。

    そして、この漫画には涙がでるグッとくるシーンも多い。

    それは、主人公のアキコと絵のセンセイとの交流。
    指導は非常に厳しく、スパルタ。だけど素朴な、生徒のことをすごく思ってくれる先生に対して、アキコはあっけらかんと鈍感に先生によっかかっている。
    親の心子知らず。のような関係。
    子どもはのびのびと親に保護されていることも知らずに育っていく。親はいつでも子供が心配。そして心の底から愛している。

    そのような関係が師弟関係として成立している。
    現実の厳しさの前に、センセイの愛をさりげなく感じるときに感動する。

    美大を受験するということ、絵を極める世界の厳しも、ひしひしと伝わる。

    東村さんプロフェッショナルなんだなーと思わせるような、厳しい道をなんだかんだ勝ち抜いてきた選ばれし人なんだなーと、しみじみ思う。

    あっけらかんと、時に打算的に考えるような若さもありつつ、真剣に絵に向き合う、高校生の主人公に、青春の美しさを感じる。

  • 美大を受験するまでの絵画教室での先生との話を中心に
    マンガ家さんになるまでの東村さんの自伝マンガ。

    「ひまわりっ」では事実の基づきつつのフィクションだから
    自伝となる今回とはまた違った話になってて別物な部分もあるけど、
    ひまわりと少しリンクしつつ実際の様子が見れてうれしい。

    辿りつく結末に悲しいことがあることは分かってるから
    切ないけれど…、でも厳しくてあったかい先生の話と
    美術を学ぶということの断片が見れて楽しい。

    東村さんの高校生当時に思ってた「人生設計」。
    大学卒業とともに豊川悦司と結婚して、仕事は
    時々読み切りを描く程度にして家庭を一番に考えた
    幸せな生活って………、先生どれだけ連載抱えてんですか!
    な今の現状との差がパンパない[笑]

    切なさの中にもちゃんとしっかり笑いを入れてくれる
    東村さんが大好き!もし子供が生まれたら絶対読ませてあげたい。

  • 爆笑箇所がたくさん!最後は泣いた。いい先生だな〜。

  • 東村アキコ先生の自伝コミックエッセイ!自分は絵がうまい!と思っていた高3時代。美大受験を目指し、友人の紹介で通い始めた絵画教室。そこは竹刀を持った日高先生が教えるスパルタ絵画教室だった!

    楽しく絵を描いていた美術部の活動から一転、竹刀を振り回す絵画戦国時代へと突入!日高先生の強烈なキャラはすごい!ぼくだったら見学してすぐ辞める(笑) 東村先生のユーモアセンスもあって、厳しい中にも日高先生のあたたかみが感じられる内容になっていると思う。走って追ってくるシーンは爆笑してしまった。

    日高先生に連れていかれた居酒屋のシーンや、現在の東村先生が自分のためにお茶を淹れるシーンはほろ苦くて好き。このタイミングで過去を振り返って描くことが東村先生にとって必要だったんだなって伝わってくる。受験生とのやり取りも自分の当時を思い出して胸がギュッとなる。それにしても、学科試験対策でマークシート攻略とダウジングを使って8割とれるとかもはや超能力の領域(笑)

  • 書店にあった試し読みペーパーにハマり、即購入。自伝ものコミックってどうかなと思っていたけれど、予想以上の面白さに正直びっくり。ハイテンションで笑えて泣けて…やっぱ東村さんすげ~よ、と改めて思った。
    私自身も田舎生まれなので、田舎の中高生時代の勘違い自信家っぷりって、身に覚えがあるためわかりすぎて恥ずかしい(笑)
    そんな勘違いを瞬殺してくれた、美術教室の日高先生。美術を教えるのに竹刀って…アイアンクローとか、スパルタっぷりが激しくて、読み始めはかなりビビった。
    でも、先生のそのストレートさが読み進めるほどに胸に響くんだなぁ。なんだかんだ言いつつも、美大受験に向けて熱心にその教室に通い始める明子。
    東村さんとは年が近いから、読んでいて自分の高校生時代を色々思い出してしまったよ。センター試験とか。
    明子の受験時のエピソードも、ちょっとビターで、切なくなりました。
    勘違いした田舎の女子高生が様々な挫折を経験し、どう成長していくのか。そして、日高先生は続刊でどんなエピソードが飛び出すのか。楽しみでしょうがない。
    ところで「ダウジング」ってすごいよね。自分、センターは大玉砕したので、これで点数取れるなんてまさに奇跡だよなと素直に感心してしまった。
    ストーリーだけ追っていけば青春切ない系なのかもしれないけど、全体的にキャラが濃いので(笑)激しく笑ったり急に涙したり、とにかく忙しいマンガです。いろんな意味で、前向きになれるよ!

  • 【あらすじ】
    これまで決して描かれなかった、東村アキコの半生がいよいよベールを脱ぐ…!少女まんが家を目指していたあの頃を、強烈なキャラとエピソードで描き出す、笑えて泣けるコミックエッセイ!

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    感想は最終巻にまとめて記載予定です。

  • このマンガ東村アキコさんの
    高校時代からの話が書いています。

    面白いのでお勧めします。

    続きが、気になりますね。

  • もう1話目からグッときてしまった。
    東村先生が、これだけ赤裸々に自分の過去をさらけ出して伝えたかったもの。基本的には笑える話なのに、なんだか切なくなる。それはきっと、この漫画が東村先生の日高先生への想いで溢れているから。
    一見すると怖くてめちゃくちゃな先生だけど、読み進むうちに、きっとこの人はものすごく不器用でまっすぐな人なんだっていうのがわかる。
    自分の人生を真剣に考えてくれた先生への尊敬や感謝。それから、そんな先生の気持ちに応え切れなかった後悔の念。そんなものがひしひしと伝わってくる。

    東村先生は伝えたいことを的確に、かつ面白く読ませることに長けてる。これを読んでても、「アキコ」は自分を客観視できてるし、度胸がある。(お調子者だけど)運を自分で掴みに行ってる感じ。東村先生の作品は『東京タラレバ娘』しか読んだことないけど、考えてみればあんな作品を描くのもなかなか度胸のいることだと思う。

    先生とアキコがこの先どうなるのか、続きが気になる。

  • マンガ大賞2015の受賞作品と言うことで、1~4巻まで読んでみた。
    作者の自伝らしい。
    愛する先生へのリスペクトにあふれる作品です。
    面白くはある。
    しかし、これが大賞なの?と、ちょっと疑問・・・

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著者プロフィール

日本一筆が速い漫画家。その活躍分野は少女マンガから青年漫画まで、恋愛マンガからギャグ漫画まで多岐にわたる。

「2017年 『東村アキコ完全プロデュース 超速!! 漫画ポーズ集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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