凍りついた瞳 (コミックス)

  • 集英社
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本棚登録 : 188
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087850222

感想・レビュー・書評

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  •  児童虐待を漫画で描いています。漫画で描かれているので、視覚的に虐待がどのようなものなのかがわかります。
     また、登場人物に医療ケースワーカーや福祉事務所のケースワーカー、児童相談所や児童福祉の施設、保健婦、小児科医、小児精神科医等がでてきます。それらの人々がどのように関わっているのかや、虐待を受ける児童の問題や、家族の問題などについても描かれています。

  • この漫画家さんも、24年組に含まれるんですね。

    児童虐待について掘り下げた深いマンガです。

    独身のときに繰り返し読みましたが、子ども産んだらもう読めません。

    児童虐待のニュースさえも、耳をふさいでいるのに‥。

    たぶん、心のどこかで他人事じゃないと思っているんだと思います。

    子育て中はあまりにリアルな現実より、ジャニーズとか宝塚に走ったほうが精神的に健康になれるのかもしれない。

  •  椎名篤子のノンフィクション『親になるほど難しいことはない』を原作にしたドキュメンタリー・コミック。1994~95年の作品で、児童虐待を題材にしたマンガの先駆である。

     作中、現場の若手医師が「ネグレクトって…?」と言う場面が出てくる。いまや知らない人はごく少ないであろう「ネグレクト」という言葉が、医師の間ですら一般的でなかった時期の作品なのだ。
     だからこそ、児童虐待の実態について随所でていねいな説明がなされており、コミックの形をとった児童虐待問題入門としても読める。

     タイトルの『凍りついた瞳』とは、被虐待児特有の、子どもらしい表情を失った冷たい目を指す医学用語「凍りついた凝視」(Frozen watchfulness)のこと。

     一話完結(一部は前・後編に分かれている)で、保健婦・児童相談所所長・医師・ケースワーカーなど、児童虐待問題にかかわる者たちの目から見た一つの事件が描かれる。
     ベテラン・マンガ家であるささやななえ(現在は「ささやななえこ」に改名)は、過度に刺激的な描写を避け、巧みな構成と落ちついた絵柄で、ていねいにマンガ化している。

     特徴的なのは、虐待する親を「人の心を持たない鬼」として描くのではなく、一人の弱い人間として描き、虐待に至った心の軌跡にまで分け入っている点(むろん、どんな背景があろうと虐待が許されるはずもないが)。
     たとえば、私が最も強烈な印象を受けた第2話「あの子はいらない」では、虐待が「すれちがってしまった親子愛」の悲劇として描かれる。

    《佐藤量子のケースは、鬼のような母親とかわいそうで弱い子ども――という虐待につきまとうありがちな設定を、根底から突き崩すものだった。こんな子どもはいらないと言いながらも施設に足を運んでなつかない娘に会い続けた母親と、母親を慕いながらも怒りを買う行動しかとれなかった子どもが迎えた破局。河西はこの母親と量子のすれちがってしまった親子愛のことを思いだす度にやるせなくなる。
    (中略)
     虐待をうけた子どもたちは、成人しても、老人になっても、家族を思うたびに心から血が吹きだすだろう。(句読点は引用者補足)》

     全10話のうち、前半5話では解決の糸口すら見つからなかった虐待ケースが描かれる。逆に後半5話では、関係各所の尽力で親たちが変わり、壊れた親子関係の再構築が始まったケースが描かれる。
     したがって、後半のほうが希望を感じさせて、読後感はよい。が、読者に問いを突きつけるような前半5話にも、強いインパクトがある。いずれにせよ、全編、児童虐待問題についての理解を深める内容だ。

     児童虐待防止法制定(2000年)以前の作品だから、本作で描かれる関係機関の対応などは、現状とは異なる面もあるだろう。それでも、虐待が深刻化の一途をたどるいまこそ、広く読まれるべき秀作である。

     なお、児童虐待防止法制定には、本作も少なからず影響を与えたという)。

  • 漫画であるが故の伝わりやすさを活かした作品。映像の方が求心力は強いかもだけど、瞬間を逃したらもうそれまでだし、かといって活字だとハードル高く受け取られる可能性が高い。知っている人にとっちゃ、目新しいことはひとつもないけど、知らない人に対する訴えかけって意味では成功していると思える。そんな作品。

  • 仕事関係。
    出版が約20年も前のものなので、
    施設や法整備など今はもっと配慮されているとは思うのだけれど、
    それにしたって虐待の現実はなにも変わっていないんだろうな。

  • 児童虐待のコミック本

    読者からの手紙をベースに作者の取材などによる経験値で再現されていた

    児童虐待や老人虐待等の心理を知りたくて
    色々と読んでみたりしているが
    文字で見るよりも壮絶な雰囲気が伝わってきた(´•ω•̥`)

    施設名称や職種など
    どういった施設なのか職業なのか分からない部分か多いが、その部分も理解しやすかった

  • 絵やストーリーに遊びはなく、ずっとシリアス。虐待している親の視点への感情移入度は低い作品。難しい世界だ。

  • 信じられないし、信じたくはないけれども、おそらくはこういうことはある。外からは見えないところで起きていることゆえに、周りはどうキャッチしていったら良いのか。そういう意味でこの1冊は警鐘として受け止めたい。

  • 自分の子供を虐待する親の姿はいろんなものの中に書かれている(描かれている)。いつも思うのは、大人ではない子供の肉体が長期間虐待に耐える肉体を持っている事の凄さだ。大人に比べ、あんなに弱弱しく、頼りないのに、大人の容赦ない暴力に耐える期間があると言う恐怖。どこまでやれば人間の体は壊れないか、など、机上の空論としか思えないほど、子供の肉体は虐待に対抗して生きている。
    子供を持とうなんて生まれてこの方考えた事ないし、この先もない、恐らく心のどこかが壊れているんだと思っている。母性で読んでいるのでもない。だけど、子供の寂しい気持ちだけは痛いほど解る。私もきっと子供のままなんだろう。子供の不遇に同情するのは簡単だが、この悲しみの前に何もできなくなってしまう人間の方が多いだろう。手を差し伸べて悲しみを受け止められるだろうか、寄り添えるだろうか、この子供のたった一つのよりどころになる勇気が出るだろうか、って考えてしまう。子供が欲しい、育てたいなど思った事のない私の様な人間の為に、こう言う書物があり、読まねばならないのだ、と言う気がする。

  • 表紙に子ども虐待ドキュメンタリーとあるので全て実話なのだと思います。
    子どもの虐待を描いたマンガ、10話が収録されています。

    このマンガの事はかなり昔から知っていました。
    そして、内容は表紙から子供の虐待を描いたものだと薄々気づいていて、興味はあるけれど読むのにずっとためらいがありました。
    多分、読み終わった後、どよーんと暗い気持ちになって数日立ち直れないくらいになるだろうと思っていて・・・。

    今日、実際読んでみて、思ったほどは読後感は悪くないものでした。
    それは多分、子供が暴力を受けたりしている最中の虐待の様子がほとんど描かれてないからだと思います。
    特に性的虐待の様子が克明に描かれていたとしたらものすごくイヤーな気持ちになってこのマンガ自体に嫌悪感をもったと思いますが、描かれているのは虐待された後の子供の姿で、もっとヘビーな内容を想像した私にとっては読めるレベルのものでした。

    このマンガに描かれているのは子供に対する身体的暴力や育児放棄、性的虐待。
    そして、そこから見えてくる家族の形。
    子供に虐待をする親は自分も親に虐待された経験があるというのはよく聞く事ですが、それでも絶対にそんな事をするヤツらは許せない!と思ってきました。
    今もそう思ってますが、これを読んで少しはそういうヤツらの気持ちも理解できたのが良かったと思います。
    そして、私のようにただ否定するだけでは何も変わらず、そういう親たちを頭から否定しない、心の傷を癒す事が家族を再生し、本当の虐待をなくしていく事につながるのだとも分かりました。

    だけど、その道のりは果てしなく長い。
    たった1つの家族を再生するだけでもどれだけの人員と時間を要することか。
    そんな事が丁寧に描かれています。
    だけど、そんな地道ですぐには結果が出ない事こそが子供の大切な命を救う事になる。

    この本には一人の相談員だけでなく、お話毎に相談員、医師と人物を変えて個別の虐待について描かれています。
    絵を描かれたささやななえさんは以前ホラーマンガを読んだ事がありますが、凄みのある絵を描く人で、それだけに伝わってくるものがあります。

    ただ、ショッキングなだけでなく、結果として良い方向にいったという話もあるので、私のように内容を分かっていて避けていた人にもオススメできるマンガだと思います。

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