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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784087880144
作品紹介・あらすじ
特異な存在感で、タレントに留まらない異彩を放つ壇蜜氏。
足かけ6年をかけて、ネパール、メキシコ、タイを訪れ、
ヒンドゥー教、キリスト教、仏教と宗教的背景の異なる各地の死生観をめぐった記録です。
エンバーマー(遺体衛生保全士)の資格を持つ壇蜜氏が、生と死のはざまに思いを馳せながら、
多数の写真、旅の途上で綴る直筆の文章やイラストなどで構成され、
表裏一体の「死とエロス」を掘り下げていきます。
NHK BSプレミアムで放映され好評だった番組の書籍化。
<第1章> ネパール
聖なる都・カトマンズ。
血を望むカーリー女神、ヒンドゥー教の寺院、かつての王宮での女神・クマリ、
歓喜仏・ヤブユムの寺院で乞う性愛をこえた悟りの教え、占星術チノ他。
<第2章> メキシコ
太陽と情熱の国・メキシコ。
「死者」の祭り、アステカの神殿の上に立つ大聖堂、
「生贄」の風習、性別を超えた"ムシェ“の存在、風を操るシャーマン、褐色のマリア他。
<第3章> タイ
生と死の端境・バンコク。
地獄を具現化したテーマパーク、葬儀で出会う男女、
暮らしに溶け込む性的マイノリティーの人々、エイズ患者を無償で受け入れる施設他。
【著者プロフィール/壇蜜(だん みつ)】
本名 齋藤支靜加。1980年秋田県生まれ。東京都出身。
様々な職場を経て、2010年にグラビアアイドルとしてデビュー。
女優として多数のテレビや映画に出演し、13年、映画『甘い鞭』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
著書に『壇蜜ダイアリー』(文藝春秋)『たべたいの』(新潮新書)『男と女の理不尽な愉しみ』(集英社新書)など。
日本舞踊師範、遺体衛生保全士の資格、調理師、大型自動二輪の免許所持者。
感想・レビュー・書評
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借りたもの。
NHKの番組を文章化したもの。
アジア・南米で、宗教の原風景が残っている……血と死と神々が生者に寄り添う世界を垣間見る。また、メキシコの性的マイノリティを肯定するキリスト教など、厳格化・戒律化・様式化していない宗教の懐の深さに、一種の情景を感じ得ない。
死を隠さず、エロスを否定せず、戒律に反しているから、マイノリティだからと排除しないのが、本来の神の姿ではないか…?
死後の世界も幸福を願う思いも苦しみを受けてもらうものも全て神(の国)という存在に繋がっている。
己と周りの人々も含め幸福を願い、自然(神)に生かされていることを感謝し、喜ぶ……
死という超えられない運命(時に痛み、苦しみ、それゆえの恐怖を伴うものもあるだろうが)と喪失の悲しみも、その先に幸福があると信じる人間らしさ……
エロティシズムを匂わせる壇蜜さんが、遺体衛生保全士(エンバーマー)の資格を有していると初めて知った。壇蜜さんの死生観……大切な人の死から関心を持つようになったという。
死(タナトス)とエロス…それは生への慟哭への喚起/歓喜に連なるものと私は考えている。
壇蜜さん、死とエロスの旅に相応しい旅人……もっと好きになってしまった。
巻末の壇蜜さん手書き旅ノートが素敵。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
壇蜜さんが、ネパール、メキシコ、タイを訪れる。
どれも「学校授業の世界史」からははずれた場所。
ああ、でも、こんなに重くて深いんだなあ。
壇蜜さんは遺体衛生保全士の資格を取得。
その後解剖の仕事にも携わる。
たぶん…、だから、いろいろなことに淡々と接する人になったのかな。
壇蜜さんは20代前半に大切な人を亡くしました。
その影響がとても大きいのだと思いました。
行ってみたいとは思いませんでしたが
とても面白い旅の記録でした。 -
【托鉢】たくはつ
仏教やジャイナ教を含む古代インド宗教の出家者の修行形態の1つで、信者の家々を巡り、生活に必要な最低限の食糧などを乞う(門付け)街を歩きながら(連行)、または街の辻に立つ(辻立ち)により、信者に功徳を積ませる修行。乞食行、頭陀行、行乞とも。
【ヤブユム】
インド、ブータン、ネパール、チベットの仏教美術においてよく見られる、男性尊格が配偶者と性的に結合した状を描いたシンボルである。男女両尊、父母仏、男女合体尊。歓喜仏とも呼ばれているが、名称や像容の似る歓喜天(聖天)としばしば混同される。
【付喪神】つくもがみ
『付喪神絵巻』に記された物語は次のようなものである。器物は百年経つと精霊を宿し付喪神となるため、人々は「煤払い」と称して毎年立春前に古道具を路地に捨てていた。廃棄された器物たちが腹を立てて節分の夜に妖怪となり一揆を起こすが、人間や護法童子に懲らしめられ、最終的には仏教に帰依をする。物語のなかで語られている「百年で妖怪になる」などの表現は厳密に数字として受け止める必要はなく、人間も草木、動物、道具でさえも古くなるにつれて霊性を獲得し、自ら変化する能力を獲得するに至るということを示しているのであろうと解釈できる。 -
壇蜜さんを通して世界の信仰に触れるような内容で、非常に面白く読み終えました。
時に血生臭い現場、死を感じる場面にもフラットに向き合う感性が読んでいて心地よく
信仰は何のためにあるんだろう?ということが無性に気になっていた時期に読み、その一端を垣間見ることができた気がしました。読んで良かった本です。 -
檀蜜さんでエロスと書いてあると電車で読んでいて少し気恥ずかしかったのだけど。
読み応えありでした。
生きるってなんだろう。
死は今の私にとって見えないもの(見ないふりをしているもの)だけれど、必ずやってくる。
毎年、年が明けて、季節がめぐるのは当たり前ではないのだ。 -
壇蜜さんはある時期一世を風靡し、その後彼女自身望んだのか最近はそこまでテレビには出られていない。
彼女の20代の色々な折り合いがつかない思い、大切な人の死。死に対する興味と考察。
彼女自身、人の何倍も死について考えていて遺体衛生保全士なる仕事もしていたようだ。何と変わった人なのか。
そういったものが彼女の醸し出すエロスに結びついているのだろうか。
ネパール・・日本は執着する対象が多過ぎる。ネパール人は死に対し寛容で死ぬ事が側にある。
メキシコ・・土葬なので骸骨が死者の象徴。
タイ・・輪廻転生、徳をつむ(施し返す)
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死というものから離れてしまっているなぁ、と認識。それは幸せなことかもしれないが、いつか目の前に現れるものであることには間違い。その準備を少しずつでもしなければいけないと認識。 壇蜜さんのあとがきが、よく出来てて、凄く納得できました。
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神に生け贄を捧げる・・・、鶏や山羊、なんとも言えない気がします。鶏や山羊でなく、人間が神の生け贄だったことも。今の日本では考えられないことです。壇蜜さんがネパール、メキシコ、タイと数年の歳月をかけ、生と死が隣り合わせの国を訪れ、体験し、レポートしました。「死とエロスの旅」(2019.6)とありますが、「死と生の旅」という印象です。動物の血にまみれた地に足を踏み入れた取材、スタッフが躊躇するも、壇蜜さん「真冬の水着の撮影に比べれば大したことないです」と。
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