本を読んだら散歩に行こう

  • 集英社 (2022年6月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784087880786

作品紹介・あらすじ

実兄の突然死をめぐる『兄の終い』、認知症の義母を描く『全員悪人』、壊れてしまった実家の家族について触れた『家族』。大反響のエッセイを連発する、人気翻訳家の村井理子さん。認知症が進行する義母の介護、双子の息子たちの高校受験、積み重なりゆく仕事、長引くコロナ禍……ハプニング続きの日々のなかで、愛犬のラブラドール、ハリーを横に開くのは。読書家としても知られる著者の読書案内を兼ねた濃厚エピソード満載のエッセイ集。

「本は私が必要とするその時まで、じっと動かず、静かにそこで待っていてくれる。人間は信用できない。信用できるのは、本、それから犬だけだ」(本書「はじめに」より一部抜粋)

以下、目次一部。
突然死した兄の汚部屋の饒舌さ/本とともにやってきたはじめての本気の恋/お弁当時間、女子中学生の憂鬱/金色の目をした黒猫の残像/母の葬儀は、本人希望のレディースセット/十回目の三月十一日に愛犬の横で流す涙/焼酎4リットルパックが伝える兄の最期のメッセージ/実家から去っていった大切なペットたち/中学三年受験生の悩める母の夏/夫の両親に贈った大型テレビの行く末/仕事のやる気スイッチを押した最恐物件/四十代とは違う五十代の本当の恐ろしさ/流れの速い川を進む兄と、母の叫び声/認知症進行中の義母の舌に残る菓子の味/実兄よりも兄として慕った音信不通のままの男性/義両親と過ごす修行を経て戻った大好きな正月……他、全40章。

感想・レビュー・書評

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  • ブクログで話題の村井理子さんをやっと読んでみた。『静かなる変革者たち』『大丈夫マン』『父のなくしもの』など読みたくなった。書評の前の枕となる話も面白い。ほぼ同世代で頷ける話も多い。家族についてのエッセイも読んでみたい。

  • タイトルと表紙の黒い犬が気になって図書館で借りてみた。
    翻訳家のエッセイ本で家族のこと、病気のこと、著者の過去のエピソードについて書かれたお話。
    それだけでなく、各エピソードの最後に著者おすすめの本を紹介してくれてそこが読んでいて
    「こういう本もあるのね」や「この本読みたいな」と
    思いました。

    あと著者の少しやさぐれた感じの性格が個人的に好きです。

    本のことをとても信用していて著者は本は静かで
    本を読むときは、本をめくる自分たちが主人公に
    なれるという言葉がとても素敵。


    ◉本の中で出てきた気になる本メモ

    ・ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語
    ・イン・マイ・ライフ 吉本由美
    ・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記
    三五館シンシャ

  • 村井理子さんの本は、とても読みやすくてしかも心に残るという印象がある。

    「兄の終い」や「家族」など濃い内容でガツンときた記憶があるのだ。

    今作品は、帯にも「私と本は常に近い場所にいた」とあるように自分のエピソードを絡めてこの本がお勧めだ、また繰り返し読むのはこの本だ、これはこういう気分の時には最高の本だと次々と尽きることなく紹介している。

    すでに読んだ本もあって、また思い出したりするのだが…。
    これは読みたいというのもどんどん増えてきて困ってしまう。
    買うか、図書館で探すか、たくさんありすぎて付箋だらけになってしまった。

  • 私が読む著者の作品の3冊目。
    著者は私より年下だが、またも共感と尊敬だ。
    そして私は多分彼女(著者)のことを好きなんだと思う。

    本書は「本を紹介する」類のエッセイではあるが、紹介されている書籍に関しては1冊しか興味を持てなかった。
    その1冊は図書館に蔵書があるので今度借りてみよう。

    そんなことよりも村井さんの書いていることに激しく首肯してしまう。
    義両親(姑と舅)が元気だった頃に嫁の立場で経験したことに対して『私も山ほど経験したけれど、心に負った傷はなかなか癒えるものではなく、癒えるというよりは怨念化するとさえ思う。』(225ページ)だとか、
    お子さん達が全然本を読まないことに関して『育児書などで「親が本を読む姿を見せることで、子どもも本を読むようになります」と書かれていたりすると、それはどうでしょうかという気分になる。』(226ページ)だとか。

    後者なんて、そういう説に対して「嘘ばっかり!」と、ひとりで憤っていたクチなので。

  • 【『本屋という仕事』刊行記念イベント】 村井理子×三砂慶明「読書の力 本屋の楽しみ方」 | イベント | 梅田 蔦屋書店 | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
    https://store.tsite.jp/umeda/event/shop/26812-1533590524.html

    村井理子「犬と本とごはんがあれば 湖畔の読書時間」 | よみタイ
    https://yomitai.jp/series/dogbookfood/

    izumi_shiokawa(@izumishiokawa) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/izumishiokawa/

    本を読んだら散歩に行こう | 村井理子 | よみタイ
    https://yomitai.jp/book/honsanpo/

    本を読んだら散歩に行こう/村井 理子 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-788078-6

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      怒涛の出来事、なのに楽しげ——東えりかさんが読む『本を読んだら散歩に行こう』 | 特集 | よみタイ
      https://yomitai.jp/...
      怒涛の出来事、なのに楽しげ——東えりかさんが読む『本を読んだら散歩に行こう』 | 特集 | よみタイ
      https://yomitai.jp/special/honsanpo-azuma/
      2022/07/17
  • 『本を読んだら散歩に行こう』
    春風駘蕩なタイトルに惹かれて読みました。

    読んでみると、のんびりとした穏やかな印象とは全然異なり、筆者の壮絶な人生が描かれていました。
    急死した兄の汚部屋の片付けをした話。
    昔飼っていたサムというワンちゃんを母親に捨てられた話。
    認知症の義母の介護の話。
    人それぞれ色んな人生があるなと思いながら読みました。

    印象に残った言葉は
    「私にとって、書くことが生きること」です。
    自分の想いをこの世に遺すぞという、
    信念を感じました。

  • またしても、新しいエッセイスト発見。村井理子さん。昔の少女時代を振り替えながら、そして今の親の介護と何気ない日々の生活を語りながら最後に一冊の「本」を紹介。
    その本が決してメジャーではなくどちらかと言えばマイナーっぽい本ばかり。エッセイ好きの私でも読んだことのある本は一冊だけ。興味ある本ばかりが続いて、思わずメモ致しました。


    ・おべんとうの時間がきらいだった・阿部直美
    ・なんとめでたいご臨終・小笠原文雄
    ・三行で撃つ・近藤康太郎
    ・大丈夫マン・藤岡拓太郎作品集・藤岡拓太郎」
    ・日本の住まいで楽しむ北欧インテリアのベーシック・森百合子」
    ・イン・マイ・ライフ・吉本由美
    ・アントロポセンの犬泥棒・川勝徳重
    ・母・青木さやか
    ・家族の味・平野レミ


    まあ、本を読んだら散歩に行こう・・・でおます。

  • 村井理子さん、本の紹介を含むエッセイ。
    私はこの中から読みたくなった本を一冊予約しました。

    このちょっと前に、村井さんが書かれた
    『実母と義母』『義父母の介護』を読みました。
    この本はその二冊より先に書かれたもの。

    新しいもののほうが、より辛辣になっています。
    こちらはオブラートに包んでいるような感じです。
    でもとても面白かったです。

  • 時折、エッセイの内容と紹介されている本のギャップがあり、そこが「読書」を好む人の絶妙なバランスだなと感じた。恐らく、こんな時に聞きたい一曲と同じで、その人なりのバランスの取り方があるのだろう。

  • 自身の来し方のアレコレとそれに結びつく本の紹介を含めたエッセイ。初めての作家さん。軽く読めたが、年齢的に高めな内容。

  • 流れるように綺麗なのにどことなく寂しさを感じさせる文章だった。

    村井理子さんの作品は(翻訳を除けば)一冊目だったので、著者自身のバックグラウンドなどがあまりわからなかったのが残念。もっと著者自身のことを知った状態で読み始めればよかった。そうすれば、一層寄り添いながら読めたと思う。
    家族間の心理描写が絶妙で(著者が作ったご飯があまり自分の好みじゃないが、作ってくれたことに感謝する子供の姿に腹が立つ描写など)、よく人間を見ていて、そしてそれを的確な言葉で表現する方なんだなと感じた。他のエッセイなどもぜひ読んでみたい。

    「迷路を彷徨する赤いハイヒール」
    結局、どうしても辿り着けなかったのはなんだったのか気になる。

    「自分の言葉で書き残すことへの執着」
    著者自身のバックグラウンドを知らないまま読んでいたので、著者自身の死生観が軸としてあり、日々生きて書いているからこそ、文章が暗くある種の諦めを感じる文章なのだな、とわかった。
    もちろん、暗さ、諦めを感じさせるのが良くない、ということでは決してなく、普段の対話ではわからないような、心のすごく深いところに触れた気になれてとても新鮮でよかった。

  • 人生のピークは遅いほうがいい

    ヨシタケシンスケさんの言葉を村井さんが引用したものだ。
    そうだよね?やっぱりそうだと思ったんだーと心の中で拍手をする。

    村井さんファンになって浅い私も2冊目を読み、益々読んでいて心強さを感じるほどのファンとなっている。

    何か一つ、これというものを心に持っているのっていいですよ!
    自分を見失わない私の暗示はきっと“英語”だと思う。
    好きがこんなに長く続いているのはもはや呪文だ。

    そんな村井さんが安心と心地よさを感じ、コーヒー片手にゆったりとソファに座って隅々まで楽しみたい柘植文さんの本(をはじめ、積読増加!)。
    楽しく年齢を重ねる人は、1人で動くのが上手だと言う。それなら任せて!と言う気持ちだ。

  • 著者が翻訳者でもあることを初めて知った。

    年代も近くそうそうと頷けることも多く、なにより本の選定が魅力的。
    挿画の犬もほのぼのさせてくれる。

    私には見つけられない本たちを紹介してくれて、ジャンルが広がった貴重なエッセイでした。

    「兄の終い」、を是非読んでみます。

  • 執筆時点で40代後半にして自分の父母兄を見送り、突然死した兄の身辺整理をしたり、義理両親の介護、自身の病気、双子の子育てと、なかなか過酷な状況を乗り越えてきた方なのだなあと。全体的に明るい内容ではないけれど、
    なんの変哲もない日常が唯一無二であること。本の良いところの一つが静かなところ。共感です。

  • 何かで紹介されてて初読みの作家さん。翻訳家だそうだ。50代になり自身の病気や兄の死や義父母の介護や子どもの受験やいろいろな課題を抱えながらの日々を綴ったエッセイ。最後に本の紹介がある。こういう本を紹介するような本は読みたい本が増えちゃうのでほんとは読みたくないけど、やっぱ読みたい本は増えた。犬にそこまでの愛着はないけど、子どもの頃親にペット達と不条理に離された話は本当に気の毒だった。アルコール依存症のなせることだったのか。兄の死の話は田口ランディを思い出した。介護の話はほんと他人事ではない。この人自身の本も予約したわ。

  • 初めて村井理子さんの本を読みました。
    エッセイ+本の紹介という内容でしたが、読みたくなる本が多かった。エッセイ部分もあらゆるところをさらけ出していて、面白かったし。
    犬好きな方なので犬関連の本の紹介も多かったです。

  • 書評を通じて綺麗事じゃない、著者の人生を垣間見ました。本を読むという行為を自分の中で確認させられました。

  • 翻訳家の村井理子さんの40章からなるエッセイプラス読書案内。エッセイの中には重たい話もあったけど、全体的には読みやすくかったです。
    1番共感したのは、最後に書かれていた村井さんの本に対する思いが、私と一緒で嬉しくなりました。

  • エッセイ集だが、各編の末尾数行が本の紹介になっている。各エッセイにゆるやかに関係する本が選ばれていて、ブックガイドとしても楽しめるという趣向である。
    書評然とはしておらず、「読書エッセイ」という感じ。

    スイスイ読めて、時折笑いを誘う。そんな軽快な文章ながら、随所に心に刺さる必殺のフレーズが用意されている。たとえば――。

    《懐かしいという感情は、強い刺激だ。それは、自分だけが知っている、自分にぴったりのエンタメのようなもの。なにせ一〇〇%、間違いなく自分を感動させることができる》162ページ

    《腹のなかからナタでも飛び出してきそうなほどの強い怒りで、あの当時の母が憎くてたまらなくなる。(中略)母のことを考えるとき、私がどうしてもあと一歩を踏み込むことができないのは、彼女のこの残酷な一面が自分のなかにもあるのを恐れているからなのではないか》144ページ

    私より6歳若い著者を同世代扱いしては失礼だが、随所で同じ50代としての共感を強く覚えた。たとえば――。

    《適当に作る食べものに関しても、最近はちょうどよさを考えるようになってきた。私にとっては、楽で、速く、適量であることがとても大事だ。食べすぎると体力を奪われるのだ。書いていて悲しくなってきた》212ページ

    エッセイとしてすこぶる上質な一冊である。

  • ワンのイラストが良いわ~。
    後ろ姿や覗き見している姿、尻尾の微妙な高さにクスッ。



    よく、茶色のお弁当の話しは聞くけど、私は
    真っ白いお弁当が、ありました。

    お弁当箱の半分にご飯、隣に冷凍食品のエビシュウマイだけが。(チンしただけの)
    せめて梅干しの赤があればなぁ~。


    子供時代の記憶が、あふれているエッセイ


    私は、呪文を持っています!
    「十年たてば、笑い話よ。」




    刺激に耐えられないとき、気持ちを奮い立たせることができないときの文字の優しさ。
    疲れたら閉じて、元気になったときに開くことができる本の懐の深さ。大災害時代に生きている今、様々な記憶に向かい合うことに
    多少疲れてきた私にとって、本は今までと違った意味を持って、人生に存在していると思う。



    そう、本って不思議にそばにいてくれるのよね。


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著者プロフィール

翻訳家・エッセイスト。静岡県生まれ。滋賀県在住。訳書に『ヘンテコピープルUSA』(中央公論新社)、『ゼロからトースターを作ってみた結果』『人間をお休みしてヤギになってみた結果』『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(以上、新潮文庫)、『黄金州の殺人鬼』(亜紀書房)、『エデュケーション』(早川書房)、『PARIS TheMemoir』(双葉社)など。
著書に『ブッシュ妄言録』(二見文庫)、『家族』、『犬(きみ)がいるから』『犬ニモマケズ』『ハリー、大きな幸せ』(以上、亜紀書房)、『全員悪人』、『兄の終い』『いらねえけどありがとう』(以上、CCCメディアハウス)、『村井さんちの生活』(新潮社)、『更年期障害だと思ってたら重病だった話』(中央公論新社)、『本を読んだら散歩に行こう』(集英社)など多数。

「2025年 『ハリウッドのプロデューサー、英国の城をセルフリノベする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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