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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784087880830
作品紹介・あらすじ
東京に来なかったほうが幸せだった?
Twitterで凄まじい反響を呼んだ、虚無と諦念のショートストーリー集。
「3年4組のみんな、高校卒業おめでとう。最後に先生から話をします。大型チェーン店と閉塞感のほかに何もない国道沿いのこの街を捨てて東京に出て、早稲田大学の教育学部からメーカーに入って、僻地の工場勤務でうつになって、かつて唾を吐きかけたこの街に逃げるように戻ってきた先生の、あまりに惨めな人生の話をします。」(「3年4組のみんなへ」より)
「『30までお互い独身だったら結婚しよw』。三田のさくら水産での何てことのない飲み会で彼が言ったその言葉は、勢いで入れたタトゥーみたいに、恥ずかしいことに今でも私の心にへばりついています。今日は、彼と、彼の奥さんと、二人の3歳の娘の新居である流山おおたかの森に向かっています。」(「30まで独身だったら結婚しよ」より)
「私、カッパ見たことあるんですよ。それも二回。本当ですよ。桃を持って橋を渡ると出るんです。地元で一回、あと麻布十番で。本当ですよ。川面から、顔をニュッと目のところまで突き出して、その目で、東京にしがみつくために嘘をつき、人を騙す私を、何も言わず、でも責めるようにじっと見るんですよ。」(「カッパを見たことがあるんです」より)
14万イイネに達したツイートの改題「3年4組のみんなへ」をはじめ、書き下ろしを含む20の「Twitter文学」を収録。
【推薦コメント】
面白すぎて嫉妬した。俺には絶対に書けない。
――新庄耕さん(作家,『狭小邸宅』『地面師たち』)
【著者略歴】
麻布競馬場(あざぶけいばじょう)
1991年生まれ。
感想・レビュー・書評
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Twitter文学の先駆け!
くり出される「今年で30歳になります。」のパンチライン! 彼らの失望の、その先は。
Twitter(現X)、noteにアップした文章を集めた、20作の超短編集。
各話にそれぞれつながりはなく、主人公は性別も経歴も違う。
しかし彼らの『ペルソナ』はまったく「同じ」だ。しつこいくらいに。
地方出身。努力して有名私大に入学、またはそれなりに有望な会社に就職するも、つねに拭いきれない劣等感を持ち、他人と比較して満たされず、鬱鬱としているアラサー。
メンタル病みすぎやって….。
形はそれぞれでも、その承認欲求が満たされることはなく、自己肯定感、自己効力感もない。
あるのは死にたくなるほどの劣等感。地元にも東京にも居場所のない疎外感。
とにかく鬱屈として、上か下の価値観しかない世界観。。
個人的には、自分との「属性」の近さゆえに、同族嫌悪的な感情を抱いた。
実体験と、描写される空気感や情景がリンクし、心をかき乱された(クスっと笑わせられる部分もあったが)。
・・・自分と向き合うのって、苦痛だよな。
そう思いつつ、大江戸線の地下を、深く深く潜っていくワタシ。
たどり着く部屋からも東京タワーは永遠に見えない。なんてね。 -
短編集なのだが、「30までお互い独身だったら結婚しよ。三田のさくら水産での何てことのない飲み会で彼が言ったその言葉は、勢いで入れたタトゥーみたいに、恥ずかしいことに今でも私の心にへばりついています。今日は、彼と、彼の奥さんと、二人の3歳の娘の新居である流山おおたかの森に向かっています。」という、Twitterだったかで有名になったあの話が収録されているという事で、全文を読んでみたくて。
この文章からもわかるように「さくら水産」「流山おおたかの森」といった固有名詞とそれが持つステイタス、個人が属したり用いたりする「言語設定(パッケージ)」により人物を描く独特の手法。これが実は人間社会に属する個人はそれぞれにこうした固有名詞とその距離感を入れ替えただけの存在である事に気付かされ、読み手の多くの人が、まるで鏡を見るようでイラっとするのではないか。
固有名詞の設定でキャラを変えるというのは、つまり、例えば「タワマン」で言えば、その距離感でタワマンが嘲笑であったり。羨望であったり、後悔であったり、自慢であったり。
そのため、料理、ブランドや学校名、店名、旅行先や居住地が多く登場する小説だ。登場人物の年代で頻出ワードを検索して、それをその人物の言葉や環境設定に付与して、おしゃべりを始めさせれば、一つの短編が出来上がる。社会に対するセンシング機能を固有名詞と登場人物に持たせることで展開される。しかし、実生活でも我々は、こうした権威主義的な他者の価値観を生きているのであり、〝自他にこびりついた固有名詞”に敏感な生き物である。そして、固有名詞をアイデンティティにして、ネットにアップしたり、いいねを求めたりする生物なのである。
ー こうして欲しい、こうあって欲しい。楽したい一心で車を生み出した人類は、楽したい一心で他人にあれこれ期待してしまう。その期待が、あの頃の僕にとってものすごく息苦しかった。孤独の本質的価値は、誰からも何も期待されないことだと思う。大学の同級生とも、前職の同僚とも特に連絡をとっていない。
誰かの価値を生きる。それは、固有名詞との距離の測り方を、他者に合わせる事でもある。そこから解脱するには、少なくとも思考の上では、もっと曖昧な言葉づかいになる必要がある。東大は大学、大学は学校。学校は、「教育機関」。男も女もトランスジェンダーも「人間」、のように。 -
東京を舞台にした短編集。地元や家族から離れたい一心で進学や就職を機に上京し、結局東京でも空回りしてしまう話が多かった。恵まれたように見える他人と自身の境遇を比べ卑屈になったままで終わる話が多く、読後感はあまり良くない。学歴や見た目、住んでいる場所、勤務先など、分かりやすい指標だけで一喜一憂する主人公が痛々しかったし、そうした指標が現実以上に大袈裟に扱われている印象を受けた。
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ブクログさんの「あなたへのおすすめ」で流れ来た1冊。
普段怖い系の話を好んで読んでる私に、何故この本をおすすめする?って不思議だったけど、なんとなく興味を惹かれて読んでみました。
小説なのに詩を読んでる感覚になる…不思議。
心の内が描かれてるから、そう感じたのかな…
淡々とした感じで進むし、今時の固有名詞も頻繁に出てくるから、軽い感じを装ってる、けど結構重苦しい。
Twitterで反響を呼んだって紹介されてるけど、
この本の主人公と同世代の2、30代の人が読まれてたから共感を得られたのか(反響ってあっただけだから、必ずしも共感ばかりじゃないだろうけど)
親御さん世代の私は、正直あんまり共感できなかった…
最近の人はアレかな、SNSで全然知らない他人の様子を簡単に目にする環境にあるからなのかな、そんなに東京、それも限定された地区(だったり大学)にこだわっちゃうの??
生きづらいね。
もっと目線を切り替えられるといいのに…
って、いらんお節介だし、多分的外れな言葉(笑) -
世代的に、、身につまされるような、一線を引いているところから眺めているような、内容たちだった。
ふふってなっちゃうような、たまに読んでて苦しくなっちゃうような、前時代的な何かをぶち壊したかった、ぶち壊せつつあった平成後期という時代の黒歴史。令和になった今となってはたぶんこれも前時代的というかこんな時代もあったんだなってことになっていくんだろうな。
タワマン文学??ジャンル分けってナンセンスかもしれませんが、個人的にはタワマン文学と呼ばれはじめたこんな分野も好きです。時代を物語っている気もして興味深いです。この斜めに構えてるかんじクスッとしちゃいます。
“ルッキズムがルッキズムと名付けられてすらいない透明な悪意だった時代”
“地元の街で吸い込んで育ったルッキズムや前時代な価値観が肺に染み込んで離れない”
「東京クソ街図鑑」クソ笑いました、クソ面白かったです(笑)←
私もド田舎でそこそこ大事に育てられて東京に出てきた30代女ですww
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東京、特に港区への憧憬と諦念を、30才を中心に同世代の人々へのヒエラルキーと共に描いている。時にホラーの様な怖さもある短編集ですぐ読める。好きなのもチラホラあるが、「東京クソ街図鑑」はお笑いの井口さんのネタかと思った。
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短編集。
似たような話や、これ他の話に出てきた人かな?と思うような繋がりがあるような気もした。
地方出身で頭が良くて東京の良い大学を出て、麻布十番あたりに住んでいる人の話が多い。
東京は地方出身者の街という感じがした。 -
どこかの地方から夢を抱いて東京にでてきた若者らが独白体で語る、その後のストーリー。
栞のようにはさまれる「今年で30歳になります。」の一文がしんどい。
こうして読んでいると、人生というのは案外"その後"のほうが長いよなぁなんて思う。
しかも山月記を読み返したばかりだからか、自分は特別だと思い込み周りを見下げる独りよがりな彼らが、ほとんど李徴と重なって感じられる。
ここに書かれているのは、東京という都市で虎になってしまった者たちの咆哮。他人からはみえない血を未だに垂れ流し続けるふさがらない傷口の痛み。
いやぁ〜この人間の惨めさ&滑稽さがTwitter文学の妙味、侘び寂びですよ。刺さる人には刺さる。これ読んで嘲笑って本当は心の中で泣いて、また斜に構えながらみんなで傷を舐め合っていこ。
東京って、本当しがみついてないと振り落とされそうだなと感じることが未だにある。私にとってもやっぱり特別な場所。
東京で何かを渇望することはもうほとんど失くなって、ここに来て何をしたかったのかさえ忘れてしまったけれど、こうして東京タワーが部屋から見えたって今もただ永遠にぼんやりと眺め続けている。 -
地方出で慶応とマッチングアプリと惨めな自分というのがよく出てくる短編集。
何を読まされているのだろうという感覚だったが、「大阪へ」と「大阪から」はちょっと面白かった。 -
タワマンに住むような人にも悩みはある。金銭的に余裕はあっても孤独だったり。幸せは人と比べてはいけないんだよなーとわかってはいるけど、ついつい比べて落ち込んでしまうよね。
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「閉鎖的な田舎と開放的な都会」、ネットで散々ネタにされていて、もはや神話として語られているレベルであるが、実際には、進学、就職を機に東京に移り、一生を終える人生も珍しくなくなってきた。私は大学進学を機に東京に出て、就職で故郷とは別の地方都市に移り住んでいるが、東京に住んでいたとき、「東京にはたくさんの人が移り住んでくるが、彼らは果たして幸せなのか?」という疑問が常に頭の中にあった。東京で暮らした時期は、私にとって大変豊かな時間であったのは確かだが、その一方で、常に周囲との競争がついて回り、とても苦しかったような記憶がある。こうした思いもあって、「タワマン文学」の源流である本作を私はとても楽しみにしていた。
しかし、いざ本書を読んでみると、地方出身者の葛藤的なところはかなりリアルに描かれているのだが、東京での暮らしに生きづらさを感じているであろう各ストーリーの主人公は、私よりも遥かに高スペック、高年収で、ストーリーに共感できるところが少なかった。個人的には、「これは十分満足できる状態なのでは...?」と思ってしまった。素直にエンタメとして楽しむためのステータスが自分には備わっていなかった、と自覚することで、読者は本作で描かれる「地獄」を追体験する。なかなか、面白い構図である。時折、「もう一度、東京に住んでみたい」という思いが湧き上がるが、そんな時はこの本を読んで、「向こうには向こうの地獄があったな」と、自分をクールダウンしてみようか。 -
読んでいる途中でTwitterなどで書かれたものと知り、納得。
その形が一番合っている。
話が変わってもトーンがずっと同じなので、間を置いてバラバラに読む方がいい。
何度も今年で30、という言葉が出ていて、その前後の読者が共感できる作品だろうと思う。
今の私には、肥大化した自意識を持て余しているこの感じ、面倒くさいけどちょっと可愛くすらある。
面倒くさいけど。
「大阪へ」と「大阪から」が良かった。 -
タイトル買・借、した本ですが、苦手な短編…。
数センテンスごとに、一行空けて書かれているなど、そういった意味では工夫が見られて読み易かったのですが、やはりタイトルとのギャップが埋まりませんでした。 -
最初の作品「3年4組のみんなへ」をチラ見して、「これはおもしろい。素晴らしい」と思って読み始めたけど、その後の話はぜーんぶ同じで、同じ顔をした人間が、同じような愚かな価値観のもとに行動して失敗し、自分も含めた周囲の人間全員を蔑みながら生きる、という話で、ウンザリを通り越して、よくまあこんなにも同じ話ばっかり同じスタイルでエンドレスに同じ種類の毒をまきちらし続けることができるものだな、とそのしつこさ、粘性に驚愕してしまった。
東京、港区、高卒の母、慶応ワセダ、A判定だったのに、などなど、全話通して登場する繰り返しワードにかなりゲンナリ。
たまには違う人間の違う話を書いてみたいとか思わないあたり、まさかこの人、本気でこんな価値観で生きてきたんだろうか。ほかの種類の人間が目に入らないくらいに。
そんなことないよね? 違うよね? と信じたい。 -
自己肯定感が低そうな主人公ばかりの短編集
学歴、ブランド、東京の街などコンプレックスを刺激する単語がたくさん
地方住みで若者ではない私からするとわからない言葉も多々ある
もっと気楽に生きられたらいいのにね -
慶応大同期に言われた言葉「30までお互い独身だったら結婚しよw」が忘れられない電通社員で独身の「私」 東京都港区在住でマッチングアプリに望みを託す北陸出身の「僕」 Z世代の不安や虚無感を描きあぶり出す短編集
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何も考えず、軽い読書がしたいときに
一気に読めちゃう本です。
幸せそうに見える人も他人には理解できない葛藤を抱えている
というのが、一貫したテーマだった。
たしかに東京には、自分よりも知性、キャリア、見た目、財力、運を持った人たちがたくさんいて、
上と比べようと思えばキリがない。
身の回りにも、幸せな生活を送ってるはずなのにいつも満たされてない人っているなぁと
思いながら読みました。
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東京という街が持つ魔力に引き寄せられ、他人と自分、東京と地方を比べ、劣等感や鬱屈感を抱え生きる若者を描いた短編集
山月記の李徴を思いだす
彼らの20年後を描いた小説を書いてほしい
虎になってるのかそうじゃないのか -
所謂、"タワマン文学"を図書館で借りて読了。
今の若者が置かれてる承認を巡るキツさは分かる、言いたい事も伝わらないでもないけれど、僕には刺さりませんでした。
ある程度同じ学歴と境遇、そして実際に住んでる身からすると、東京って住んでるだけでは幸せにはなれないし、むしろその場に人間関係があるかどうかでしょう。
"Wakkatteをクローズします"が1番面白かったかな。 -
【自分の特別な価値を証明してくれる、特別な場所。それが東京。】
こんなはずじゃなかった。高学歴を手に入れ、就職も決まり、憧れの東京に住んで、自分は彼らより特別なはずなのにどうしてこんなにも虚しいのだろう。都会の象徴ともいえる東カレアプリ・東京カレンダー・ロブションなどの絶妙な固有名詞の登場も相まって、設定があまりにリアルであるが故に、ノンフィクションを読んでいるような気分。「もしかしたら、高学歴で大企業に勤めるあの人もこの作品の主人公の一人なのかもしれない」と錯覚してしまうほどに。
麻布競馬場の作品
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感想 :

この本、早く読みたいんだけど、図書館でなかなか順番が回ってこないんですよ…。
この本、早く読みたいんだけど、図書館でなかなか順番が回ってこないんですよ…。
この本、けっこう人気あるんですね(^^)
この本、けっこう人気あるんですね(^^)
待ち人あと一人笑。
待ち人あと一人笑。