- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087880946
作品紹介・あらすじ
逃げたいときもあった。妻であることからも、母であることからも。
夫を亡くしたあと癌で逝った実母と、高齢の夫と暮らす認知症急速進行中の義母。「ふたりの母」の生きざまを通して、ままならない家族関係を活写するエッセイ。
婚約者として挨拶した日に、義母から投げかけられた衝撃の言葉(「義母のことが怖かった」)、実母と対面したあとの義母の態度が一気に軟化した理由(「結婚式をめぐる嫁姑の一騎打ち」)、喫茶店を経営し働き通しだった実母の本音(「祖父の代から続くアルコールの歴史」)、出産時期と子どもの人数を義父母に問われ続ける戸惑い(「最大級のトラウマの出産と地獄の産後」)、義母の習い事教室の後継を強いられる苦痛(「兄の遺品は四十五年前に母が描いた油絵」)など全14章で構成。
義父や義母の介護をしながら時折居心地の悪い気持ちになることがある。実母に対して何もしてあげられなかったのに、あれだけ長年私を悩ませた義父母の介護をするなんて、これ以上の皮肉はあるだろうか。
(本書「結婚式をめぐる嫁姑の一騎打ち」より抜粋)
感想・レビュー・書評
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個性的といえば聞こえはいいけど、身内だったら大変すぎるご家族だなあと。。
産前産後邪魔でしかないようなことばかりされたら、恨んで介護しません!となってもおかしくないのに、最後まで面倒を見ようとされている村井さんは立派な方だと思う。
旦那の祖父が先日鬼籍に入られ、旦那はもっと何かできたのかなと後悔していた(癌だったのでおむつ替えなどもしていて私としては十分サポートしていたと思う)のもあり、自分だとどうなんだろうと、当てはめて考えながら読んだ。
とりあえずアルコールは適度に、相続関係は早めに、が教訓かな…
いくら今が大変でも仲違いで会わなくなったりする間に帰らぬ人となって後悔した話などは山のように聞くけど、そうならないように、自分の心の余裕は少しだけでも残さないとと思う。
また、義母は聡明で美人との事だが、大学を諦めたりするような家庭や時代…切なさも感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
気鋭の翻訳家が活写する、癌で亡くなった実母と認知症の義母、昭和を駆け抜けた「二人の母」の人生。
実母も義母も認知症になり、双方の介護をしなければならない、という状況に少なからず恐ろしさを感じる。それと同時に、介護をするにせよされるにせよ、自分の行く先も考えさせられた。 -
実母と義母、ふたりの母の人生を描く。
癌で亡くなった実母と認知症進行中の義母の介護。
凄まじいなぁという思いしかない。
村井さん自身の両親と兄を変人ばかりのメンバーで、というところも確かにクセの強そうな…という感じは受ける。
だが、義母もかなりの個性の持ち主のようで…。
しかしながら冷静に判断し、受け止め、ときには受け流している村井さん自身に強さを感じた。
これだけ細かく見ていることが、相手に対して深い愛情があるからだと思う。
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今後の参考に。結婚当初の義母のセリフがドラマかと言いたくなるくらい強烈。またこれまでの著者の本を通して実母の性格わかっていた気がしたが、様々なエピソードが出てくる度に人はいろんな側面持ってると気がつかされる。柔軟性大事。
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今回の装丁も素敵
見やすいタイトルと明るい色にイラストが入った表紙
村井理子氏の本やブログを読んで家族との関係性はわかっていたつもりだった
しかしこれでもかと言うくらい義母からの呪いが結構しんどかった
衝突して、干渉され、批判されてきた義父母の介護をこなしているリコ氏に「すごいな。なかなかできることではないよな」と頭が下がる
最後の章・今は亡き母へ、今、目の前にいる母へ より
「生きていてほしかった。今だったら、実母にしてあげられることがたくさんある」
「だからこそ、目の前にいるもうひとりの母を、最後まで見つめていこうと考えている」
実母との距離を取っている自分は、こんな気持ちになれる日が来るだろうかと考えて苦しくなってしまった -
図書館に早くから予約しておいたので、早目に借りられた。ありがたい。
私が読む村井理子氏作品の7冊目。
星2つなのは、決してこの作品が悪いのではない。
こんなにも大変な村井さんの状況を読んでいて、「(私の場合)ここまで酷くはなかったな」と思える部分の方が少なくて、逆に実家の両親と「きょうだい」と義父と義母は、村井さん家に負けず劣らず、いやむしろ本書以上に、やっぱり相当酷い部類だな…と、全ての出来事が脳内で蒸し返されて、ひどく憂鬱になってしまうからだ。
(この5名中まだ2名存命)
村井さんのせいではないし、村井さんの作品は好きなのだけれど、自分の精神衛生上、全く良くないので、少なくとも村井さんのこの手のテーマの作品には私はもう触れない方がいいのかもしれない。 -
最近、先に「義父母の介護」や「家族」を読んでいたので重複する内容も多く、そういう意味で☆2にしてしまった。
しかし、こちらの本の方が「義父母の介護」より先に出ていたことに気づく。
はじめてこの本を読む方は評価も変わるかもしれない。
「家族」だったかこの本だったか忘れてしまったが、「もし時代や何かの掛け違いが変わったら原家族と今でも仲良く過ごせたのではないか」といった言葉が書かれていて、
その後悔というか、原家族で向き合いきれなかった悔恨が、強烈ではある義父母であっても正面から向き合い続ける介護の原動力になっているのかなと勝手に思った。
この本を書いて「実母と義母」の整理をした上で、「義父母の介護」の本を間髪入れず出版されたのかと思うと、書くことで昇華させているというか、逆に何度も書かないと昇華できなかったのかとか、それぐらいやはり義母も実母も介護を通して向き合うというのは大変なことなのだろうという思いに至った本だった。
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今までのエッセイや小説でも知っていたけれど、改めて書きがい?のあるお母様だ!
まだまだ続く認知症介護。
現実にいつ自分の身に降りかかるかもしれず・・・
続編にも期待しています。 -
村井理子さんのエッセイは
4年前に、亡くなった兄を描いた『兄の終い』
3年前に、認知症の義母を一人称にした『全員悪人』
を大変楽しく読みました。
近日中に、新刊『義父母の介護』を読むので
その前にこの『実母と義母』を読んでおこうと。
いやー、どちらも凄い。
私なら、どちらとも関わりたくありません。
ただ、実母とは最後にちょっと……
それだけが私にちょっと似ていた。
義母のほうが凄さは上かなー。
驚いているのはご主人(義母の息子)が上手くやっていること。
馬耳東風ということなんだろうけど。
ご主人にはもう一つ、
実の親をこんなこと妻に書かれて
平気なわけですよね。
こんなふうに鈍感に暮らしていけるご主人が
ある意味いちばん凄いかもしれない。
著者プロフィール
村井理子の作品





