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本 ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784087880960
作品紹介・あらすじ
人生のどこかの瞬間と響き合う、個人的なゲームたち――
異能のアニメーション作家による唯一無二のエッセイ集。
戦火のウクライナ発の奇怪な経営シミュレーション、セラピストと絵文字だけで会話するゲーム、認知症患者となりその混乱や不安を体験……
「数多くの個人的なゲームたちと確かに交流したのだという幸福な錯覚は、自分と世界との距離を見つめ直そうとする私に流れる孤独な時間を、今も静かに支え続けてくれている」(本文より)
【目次】
▼はじめに
▼まるでボトルレターのように
▼オーダーメイドゲーム作家
▼祖母を見舞う
▼アルツハイマー病患者の苦悩と孤独
▼トイレットシミュレーターの世界
▼自家製マリオワールド
▼常識はずれのゲーム達2021
▼語られたがった布団の中の物語
▼戦火の中でリリースされたゲーム
▼誤解の中で呼吸するヒロイン
▼老後も遊べるゲーム
▼本から広がる言葉の宇宙
▼誰とでも共作できる美術館
▼暗い橋の上から
▼人間臭いゲームたち
▼正解の無い会話
▼めくるめく無慈悲な肯定
▼終わらせなければ、終わらない
【著者プロフィール】
アニメーション作家。映像制作チーム「ふりふり組織」のメンバーとして活動するほか、シールの日記の制作なども行う。共著に『ゲーマーが本気で薦めるインディーゲーム200選』。
感想・レビュー・書評
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アトロクブックフェア2024で紹介されていたので購入。
自分も時々インディーゲームはするものの、まったく耳にしたことのないタイトルばかりが取り上げられていて、本当に著者はインディーゲーム界隈を楽しんでいる(もしくはいた)のだなと感じた。
あとがきで、働き始めたためにゲームに割く時間はかつてほどないといった記述があり、労働とゲームの両立の難しさに思いをはせた。 -
ひとつひとつの章が長すぎず、とても読みやすい。
著者がゲーム制作者とコンタクトを取ってくれたおかげで、遊ぶだけでは知り得ない、ゲームを作るに至った経緯などの裏側を知れる点が良かったです。
どのゲームもやってみたくなりました。
イラストも素朴でとても可愛らしく、ゲームをイメージする上での良いヒント・アクセントになっていました。 -
どこか胸がきゅっとするような、切なさというか、哀愁というか、語彙力がなくて表現しきれないけれど、そういうゲームについてのエッセイが多かった。「めくるめく無慈悲な肯定」の127ページがすごく好き。
インディーゲームって、ちょっとおバカでふざけた内容のものというイメージがあったけど、確かに、そういうゲームだけってこともないか。トイレシミュレーションみたいなものが、まさに私が今までイメージしていたインディーゲーム。アルツハイマー病患者を題材にしたものや、病気の祖母を見舞ったり、誰しもが人生のどこかで経験する陰鬱な時期をゲームに落としこんだりしたものなど、インディーゲームだからこそ作れる世界観や設定の幅広さに興味が沸いた。
私もゲーム好きなので、「壮大なストーリー」に胸焼けするのも、「豊富なキャラメイク」にそこまで魅力を感じないのも、「圧倒的なボリューム」に尻込みするのもよくわかる。正直この3点って、ゲーマーはもう喜ばないと思うんだよなあ。これにワクワクする時期は過ぎた。こういうゲームが出始めた頃はそりゃあ楽しかったけど、今は飽和状態でそこまで珍しくもないし、ただただ時間と体力を蝕まれる、という気持ちの方が強くなる。私が歳を取っただけか?笑
平日にゲームをしている時間と心の余裕はないので(ちゃんとごはんを食べてちゃんと眠りたい)、そうなると土日しか時間は取れないわけで、かといってゲームだけしている訳にもいかないので、実質触るのは週1~2時間になってしまうこともある。仕事が衝撃的な展開をすると、ゲームのストーリーや、先週、先々週の自分がゲームの中で何をしていたかなんて覚えていられないことが増えた。現実はゲームより奇なり。笑 だから、「ストーリーがない」「疲れに合わせて選べるボリューム」これすごく大事。社会人ゲーマーはみんな頷くと思う。笑
最後のエッセイ、「終わらせなければ、終わらない」。希望とも絶望とも取れるこの言葉の持つ深みに、胸がきゅっとした。
あと、やっぱりマリオってすごいんだね。 -
海外インディーゲームの新作をチェックするのを日課にしてきた著者によるエッセイ集。日本では人気も知名度もほとんど無いようなマニアックな作品を扱っているが、そもそもゲームを紹介するのが本旨ではないのが面白い。目次にも作品名が載ってないという潔さ。ゲームの中身だけでなく作り手のバックグラウンドも深掘りし、そして著者個人のエピソードにも繋がっていく。本のレビューを題材とするゲームを扱った『本から広がる言葉の宇宙』が書籍との相性も含めて面白かった。
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単なるゲームの紹介本かと思いきや、インディゲームとは社会的で詩的で、ゲームの定義とは…と考えさせられた。
文章もとてもいい。 -
胸がいっぱい
著者プロフィール
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