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本 ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784087880977
作品紹介・あらすじ
日本ほど、外国料理をありがたがる国はない!
なぜ「現地風の店」が出店すると、これほど日本人は喜ぶのか。
博覧強記の料理人・イナダシュンスケが、中華・フレンチ・イタリアンにタイ・インド料理ほか「異国の味」の魅力に迫るエッセイ。
【目次】
まえがき 日本人と外国料理
chapter1 中華料理
chapter2 ドイツ料理
chapter3 フランス料理
chapter4 タイ料理
chapter5 ロシア料理
chapter6 イタリア料理
chapter7 スペイン料理
chapter8 アメリカ料理
chapter9 インド料理
chapter10 extra edition 東京エスニック
あとがき いつかの誰かの未知の味
【著者プロフィール】
稲田俊輔(イナダシュンスケ)
料理人/飲食店プロデュ―サー/「エリックサウス」総料理長。
鹿児島県生まれ。京都大学卒業後、飲料メーカー勤務を経て円相フードサービスの設立に参加。
2011年、東京駅八重洲地下街に南インド料理店「エリックサウス」を開店。南インド料理とミールスブームの火付け役となる。
X(Twitter): @inadashunsukeで情報を発信し、レシピ本、エッセイ、小説、新書と多岐にわたる執筆活動で知られる。
レシピ本『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分! 本格インドカレー』『ミニマル料理』『インドカレーのきほん、完全レシピ』、エッセイ『おいしいもので できている』『食いしん坊のお悩み相談』、小説『キッチンが呼んでる!』、新書『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』『お客さん物語』など著書多数。
感想・レビュー・書評
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飲食店プロデューサーの著者が各国の料理の蘊蓄を述べている。中華、ドイツ、フランス、タイ、ロシア、イタリア、スペイン、アメリカ、インド。文化は勿論、歴史的な視点もあり面白かった。以前カトリックの国は総じて料理が美味しいと聞いた事があるが、ここにイギリスの章がないのも頷けた。
著者の店も美味しかった記憶があるのでまた行きたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が読む本は小説か仕事関係の本か、ほぼ2択だけど、たまに読んでみるそれ以外の本。それ以外の本は自分の知らない世界が広がっている。
食にこだわりのない私にとって、栄養もカロリーも完璧なサプリが開発されたらそれを摂取して生きたいくらいですが、お寿司が好きだったり、サイゼリヤが好きだったり、近くにある和フレンチのランチが好きだったり、と全く興味がないわけではないなぁと気付かされた。
食べることが好きな人は見ていて気持ちがいい。作者のように食が大好きな人の人生は豊かなのだろうなと感じた。
寒くなってきて、田舎の割に存在してるロシア料理屋のボルシチを食べたくなりました。 -
日本国内における外国料理の変容を、分かりやすく因数分解して説明してくれる本。
中華料理と言っても、日本人の味覚に合わせて発展した日本式中華料理と、中国で食されている味そのままの中国料理の違い。フランス料理は、日本人にとっては「権威」や「格式」だが、人気や美味しさは別と考えていて、実は好きじゃない説。日本で最も成功した外国料理で、現地式も日本式も愛されるイタリアン。ドイツ料理・スペイン料理と謳いながらも、パスタやカルパッチョやポテサラを出さざるを得ない現状。「①黎明期からのレジェンド店、②グローバルスタイルの高級店、③ネパール人経営の庶民的低価格店、④本場ガチ系」に分けられるインド料理…等、「あの時のあの店はこの系統だったか!」と何度も膝を打った。
他にも「90年代型サブカル」の残り香を漂わせるタイ料理や、料理のこだわりよりも陽気な雰囲気が最優先のアメリカ料理、定型や潮流が存在しない独自すぎるロシア料理、という解像具合が面白い。
読むうちに、自分の味覚の傾向や嗜好・思考が浮き彫りになり、どうやら私は「外国の料理はアレンジ一切無しに本場そのままで提供してほしい」と考える「原理主義者」に属することが分かった。
タイ料理と言われながらジャスミンライスでなく日本米が出てきたら、ちゃぶ台をひっくり返したくなるし、南インド料理のミールスと出会って以降は、エッジィな特徴を排除したカレーとナンのセットは受け付けられなくなってしまったことから、いわゆるガチ勢に属する原理主義者だ。
そんな者にとって、外国料理は「おいしいかどうか」よりも「本場と同じかどうか」のほうが重要であり、食べづらくても、味覚が多少合わなくても、文化の違いや背景をあれこれ思い巡らせながら楽しむ姿勢は、やはりどこかしら読書スタイルとも通じているように思う。 -
読みやすい文章だった。
各国料理の日本での変遷、とてもおもしろくて、すいすい読めた。
著者がエリックサウスという南インド料理店をやっているということは知っていたが、今は、なぜインド料理ではなく南インド料理かというのもわかる。
ご自身のことを「原理主義者」とは言うが、料理人に対する深いリスペクトがあり、賛同しない事柄を書いても不快な感じがない。
「弁松」のお弁当、食べてみたい。
エリックサウスも行ってみたい。ミールスあるかな。 -
イタリアンが、タイ料理が、スパニッシュバルが、いかにして日本で受け入れられ、何度かのブームごとに分化し、根付いていったか。的確な分析と個人の体験や思い出が混じった、読んで美味しいスタディ。そうよ、私もパスタって呼ぶ前の日々を覚えてるわよ。
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イタリアン―スパゲッティから始まった、人気すぎるがゆえのジレンマ。タイ―ファーストインパクトで全てを持っていったエスニックの雄。フレンチ―高級なコース料理のイメージが強すぎる!インド―日本のインド料理店は4種類に分けて考えるとわかりやすい。そのほか、中華・ドイツ・ロシア・スペイン・アメリカ・東京の「異国の味」を考察する全10章。博覧強記の料理人イナダシュンスケによる外国料理エッセイ。(e-hon)
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中華料理の区別名が興味深かった。町でよく見る中国人経営者で安くてボリューム満点で脂っこい料理が出る中華料理を「大陸系中華」と命名していた。私もこれからその名称を使っていこうと思った。
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郷に入っては郷に従え、美味しいは正義。私は、現地の人間の味覚に合うように改良され改修される料理について正しいという思想を持っており、だからこそカリフォルニアロールの進化の過程に興味を持ってたりするのですが、この本の筆者は原理主義者で、「外国の料理は現地そのままの再現でなくてはならない」という思想を持っています。 私は、自分とは真逆の思想を持つ人間の自語りこそ最高に面白いと思っているので、凄く刺さりました。外国料理の和食化をまとめる上での参考文献程度に購入したら、予想外の大好物。これだからエッセイ漁りは辞められない。 この本は、様々な外国料理の日本での扱いの話をベースにして、筆者の実体験と感想を記載した本です。事実の部分と感想の部分が読んでて自然と分離されるのが、文章力高いなあ…。と思います。文章力の高さは食事シーンや、過去の時代の風景を描写する際にも遺憾なく発揮されており、読んでる時の没入感も半端ではありません。 中華料理店と中国料理店の旺盛の話や、スペイン料理編の狂騒曲部分なんかも好きなのですが、もっとも好きなのはインド料理編ですね原理主義者の悲喜こもごもが最も出ている場所なので。 インド料理編での、原理主義者の未知を楽しむ気持ちを描いている部分読んでるとき、実用本とかエッセイ読んでる時の自分と一緒だって思えたのも良かったですね。思ってもみないタイミングでの自分自身と筆者のリンクも醍醐味の一つです。 とても面白いエッセイでした!
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私も食べることが大好きで、仕事の関係でこの本で紹介されている料理の全ての国に訪れた経験もあり、時代や経験の面でも共感できる部分が多く、とても楽しく読む事ができました。
飲食業界だけではないと思いますが、日本人はオリジナリティを出すよりも、何かを取り入れて改良する方が上手だと言われてきたと思います。
本書は別にそれが時代遅れとか、オリジナルの追求が正解とかそう言う話ではなく、文化として受け入れられていく過程や失敗例を、ちゃんと自分自身の経験で見極めてきた集大成のような内容です。
他のビジネスでも参考になる視点が多いのではないでしょうか。
エリックサウス、行ってみたいと思います! -
マニアの話、東京エスニックの話が面白かった。「訳がわからないけど美味しい!」を求める食探しは、主観を克己的に鍛えようとしてたのかと再言語化。
著者プロフィール
稲田俊輔の作品





