六十路通過道中

  • 集英社 (2024年5月24日発売)
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本 ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784087881035

作品紹介・あらすじ

「おばさん」から「おばあさん」へ――。穏やかなひとり暮らしを送る群ようこ氏も、本格的な高齢期である古稀が目前となった。
住空間をこれまでの2/3に減らした27年ぶりの引っ越しにともなう断捨離は、今後の生き方をあらためて考える機会に。
迫りくる〈おばあさん問題〉は気になりつつも、今日も一日が無事に過ぎていく……ささやかだけれど豊かな日常を綴るエッセイ集。
以下、内容一部。
・愛猫を見送って以来、猫に接する機会のない中、外ネコの訪問に大興奮 (「外ネコ探しとテラスの足跡」)
・納得できる美容院にたどり着くまでのトライ&エラー (「美容院探しとヘアスタイル」)
・際限なく流されるスマホ記事に覚える怒り (「スマホ記事とおばちゃんレッテル」)
・鏡に映るわが身を見て「見事におばあさんじゃないか」と、目の当たりにする自身の〈おばあさん問題〉 (「鏡の中の老女とおばあさん問題」)
・いつまでも慣れないセルフレジの列にどきどきしながら並ぶ思い (「着物の手入れとセルフレジへの当惑」)
他、全20章。

感想・レビュー・書評

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  • あと少しで古稀を迎えるという群ようこさんのエッセイ。
    着物好きで猫を愛し、編み物や針仕事など何かしらの手作業を楽しくこなしているイメージがある。
    そんな群さんのちょっとした日常にこれは…と思ったもの。

    美容院探しとヘアスタイル〜私の場合もなかなか美容院が定着しない。美容院ではゆっくりと雑誌を読みたいので話しかけて欲しくない派である。
    群さん同様、髪質ではねる癖があるのでおさまるかどうかは、カット次第である。
    髪質なり顔形や頭形を見てバチっと決まるスタイルにしてくれる美容師さんを探すのは大変である。
    たまにはヘアスタイルを変えたいと思うときもあるからその都度、美容院を探し気に入ったと思うとその方は、違う店舗に行ってしまう…だとかが多い。
    数えてみると過去に5回ほどあった。
    最近は、見苦しくない程度にカットしてくれればいいと近所ですませている。


    銀行のお声がけ係と顔の認識〜顔を見て近寄ってきてからの振り込め詐欺の注意喚起に愕然とする。
    これは年寄りってこと⁇騙されるタイプって顔見て判断してるの⁇と思ってしまうが、自分だったら何て言い返すだろう…。

    あとはセルフレジに緊張するってのも、全く初めてのお店だったらちょっと戸惑うかなぁと。
    今ではセルフレジ対応のお店は、かなり多くなっているので覚えていかなければならないのかも。




    年齢とともに変化していく身体と気持ちに戸惑いつつ、なんとかなるだろうと思う私。
    そう…もう今年も折り返し。
    あと半年と言うより、さぁ半年。と言う方が気持ちいいかも。






  • 久々の作家さん。

    猫が好きで、着物を愛し、編み物を楽しみ、
    存分に人生を謳歌されている姿が読んでいて心地いい。

    古希を目前に、庭付きの家に引っ越した。
    徐々に体も動きずらくなりつつあるのに、
    なんでまた?

    草取りや落ち葉掃きの大変さが書かれているが、
    ヤブカラシには自分も閉口しているので、頷きながら笑いながら読んだ。

    ATMでの声掛けや、セルフレジ、土偶のところが
    特に印象深かった。

    佐藤愛子さんのような辛口でないけど、
    群さんらしい感性で、ずっと年を重ねても書き続けてほしい。

  • 群ようこさんは、本当に日々の生活をご丁寧に過ごしておられるなって感じます。
    豊かで緩やかでお上品な感じ。
    私も見習おうっと。

    それにしても、楽しいことが何もない人がいるなんて信じられない…
    性格のもんだいよね。

    あーよかった。
    あたしは幸せだ‼️

  • <又>

    群ようこさんの本にはいくつかのシリーズが多分あるのだろう。「れんげ荘」とか「無印なんちゃら」とか「うちの猫様と奴隷な私」など。で,本書はどれかのシリーズに属するのだろうか。一つ言えることはこの本の内容はおそらく群さんの実生活を綴った私小説なのだろうと云う事。「精神的には35歳くらいのつもり」なんて記述は絶対に群さんご本人のあからさまな心情を描き表していると思う。以下いつものように揶揄する内容が多いですが,凄く面白い作品なので皆さん すぐに本屋さんに走って行って買いましょう(笑)。

    各章のお題目が『外猫探しとテラスの足跡』『賢く可愛い猫と愚かな犬』・・・と云う具合に「と」で二つの文章を繋いだものになっている。群さんらしい安易な行為である。ちなみにふたつの文章にはあまり関係性が無い場合の方が多い。いやだからどうした,という文句は今のところ僕には無いが,まあなんとなく安易だなぁ と思ったので感想に書く事にした。 尚今回も 【ネタバレだらけ】 のオモシロ愚感想文ですので読者諸兄姉のみなさま ご注意ください。

    物忘れが激しいことについて触れた下りでこういう記述が有る。「・・・レンズが透明のサングラスを既にかけているのに,サングラスはどこだと外出先であせってみたり・・・」 レンズが透明なのはサングラスとは言わないのではないか。なんだか別の事を書き表したかったのだと思うなぁ。「薄い色のサングラス」と云いたかったのかなぁ。でもどうやら年齢を経て一番激しくなって来てるいのは物忘れ現象 などではなくて 仕事=作品の質低下なのではないですかぁー 群さん(笑)。

    また,暑い中比較的涼しい午前中に庭の草取りをしている時の場面描写にこういうのが有る。「前に草取りをしたときに,三十センチくらいの太い茎の草を抜こうとしたら,あまりに根が深くて抜けなかった。」 さてみなさん 茎の太さが30cmある草って想像できますか? 既に木ですよね。しかもかなり太い木だ。そりゃあ抜けないわな(笑)。 やはり 低下してるのは あなたの作品の質ですな 群さん(笑)

    こういうのもある。 ヤブガラシというとても生命力が強くてしつこい蔓を巻く雑草をけなす表現で「・・・その蔓の形状の雰囲気が,若い女性にしつこくからむおやじの指先のようで気持ちが悪い。」 これは まるで自分が過去そういう被害に会ったことが有る様な書き方だと感じた。「若い女性にからむおやじの指先」って 只そばで見てただけでは普通分からないでしょうに。それとも群さん最近のそういう若い娘の出来事に遭遇した時に顔を近づけてその「おやじの指先」をつぶさに観察したのだろうか(笑)。

    本書はここニ三年の出来事をベースに書かれている模様。なのに今更六十路 とか言う題名なのもなんだかしらける。群さんはたぶんもうすぐに70歳になると思う。いやどうだか詳しくはわからんが僕より絶対年上なので四捨五入すれば絶対70歳である。アラセブである。アラサー,アラフォー,アラフィフ,アラシク?,アラセブ・・・合ってるよな(笑)。 (あ,ググると すぐに現在(2024.07月) 69歳だということが分かった。群さん 世間に年齢を隠さないところはアッパレだ(笑))

    最近の群さん作品の読後感想文で僕は毎回指摘しているのだが,今作でもいまだに自分の事を「おばさん/おばちゃん」と云っている下りが本文中に沢山ある(例えば70ページの,隣家が庭の大きな木を切り倒してしまったので群さんのパンツが外に干せなくなってしまった下り,とか)。年齢的には絶対に おばあさん/おばあちゃん なのだけれど女性はなかなか自分のことをおばあさん とは言わないみたいだな。ましてや子供がいなくて もちろんお孫さんもいない群さんの場合はもっとその傾向が強いのだろうなぁ。

    ところが或る章では 「私は おばさんよりも,早く おばあさん になりたかったので,加齢によるおばさん化にも抵抗せずに・・・」と堂々と書いている。おい ホントかそれ。群さんが自分の呼び方を おばあさんと書いたのを僕はここで初めて見た。あなたもう絶対 おばあさん でしょ,とずっと思いながら最近の作品を僕は読んでいたのでそういうことにスバヤク気づくのであった。

    群さん いろんな話題について書いている。大概は面白いのだけど僕にとって大変苦手なモノがある。それは編み物と和服(キモノ)だ。この二つの話題で出来ている章はすまんが気づいた瞬間に読まずに飛ばす。だって出て来る語句や動作/所作類の意味が全く分からないのだもの。読んでても3分でねちゃうよ(笑)。

    ネットに載せる記事を書くライターさん達について大いに苦言を吐いている。やれ,どうでもいい上辺だけの記事を書くとか。有名人の悪口を書いてくれ,と依頼されてその通りに書く とか。ともかく依頼人(発注者)の言いなりで自分の意志や意見が無い記事ばかりだ,とけなしている。 もちろんお金の為にやっているのだろうけどそれにしてもひどいよ,という言い方である。自分の意見をちゃんと書くという部分が群さんにはしっかりと有るが,出来上がっている文章にはそう大差は無い と僕は思うがなぁー(笑)。

    このネット記事ライター達 の書き方に対する対極的な話もしている。昔群さんは大手出版社(高名な女性誌らしいw)の編集者から「貴方自身のご意見はともかく,語り口が面白いので(意に添わなくても)書いてくれませんか」という 依頼がきた事があるらしい。もちろん断ったのだが,今のネット系ライター達には,その手の仕事を断る選択肢がないのだろうなぁ,というご意見。(僕はビックリしたが1話題=1記事 ¥500とかの極低報酬で引き受ける様な仕事もあるらしい!)

    恋愛中の中高年の容姿的特徴として「薄毛と三段腹」「加齢臭とたるみ」が恋人関係にあったりする。 というふうに群さんは書いている。はて どっちが男でどっちが女の特徴だろう,と僕は考えた。読み進めるとどうやら薄毛は男で加齢臭が女の様だ。ええ群さんには中高年男女はそういうふうに見えるんんだ!と僕はビックリした。まあご自分がちっとも恋愛出来なかった事への愚痴ではあろうが変わっている。このくらいでないと面白い語り口の文章は書けやしないのだ!

    最終章には群さんの「潜在的欲求」を自ら暴くような話題が臆面無く書かれている。前出の中高年の恋愛の件からも通じて来る内容なのだ。肝心な事,例えば人の顔と名前がちっとも覚えられなくなった,と云う話題から。どうでもいいのにとっても印象に残ってインプットされ覚えてしまったことが二つある。ひとつは習い事で通う駅の裏手の飲み屋街にある小さな風俗店へ,若い男性が昼の12時半頃から入っていくのをまともに見てしまった事。見た瞬間思わず「ひゃっ」と声が出てこの男性の人相風体を覚えてしまって忘れられないのだそうだ。

    更にもう一つ。これまた昼間人通りの激しい場所にあるラブホテルへ全く人目を気にせずドア開けて堂々と入っていくカップルを間近に視て,またも「わわっ」と声が出て,同じく顔はもとよりホテルの名前から何からみんな覚えてしまった事。 はい,何が群さんの「潜在的欲求」なのかもう皆様もお分かりですよねー。気付いてないのは群さん本人だけなのか。それとも群さんも全部分かった上で書いているのか。いやーもし分かってたら ちょっと書けんわな。笑う!古稀になってもずっと書き続けて下さいませ 群ようこさん。

  • 1954年生まれの群さん。
    12月にはついに70歳との事。
    まさに光陰矢の如し。

    本作は20のエッセイが収録。
    群さんが愛してやまないネコの話から、この年代ならではの悲喜こもごもが軽快なタッチで綴られる。

    面白かったのは「美容院探しとヘアスタイル」
    私も大勢のスタッフがいる美容室が苦手、こじんまりとした所が好きで一時は美容院迷子になっていたので甚く共感した。

    「着物の手入れとセルフレジへの当惑」
    群さんが苦手とするセルフレジだが私は大好き。

    「パンツを穿いた土偶とDNA」
    自分は『土偶』にならない様に気をつけようと心する。

  • 久しぶりに群ようこのエッセイを読んだ。
    とても読みやすく庭の手入れやセルフレジが苦手な事など、身近な話題が楽しく書かれていた。

  • 今回は家族の毒も消えて、可もなく不可もなく。

    おばさんからおばあさんへと帯。
    なんだか切ない気もしたが、なんとなく内容に納得したりして(笑)

  • この年末に70歳になる群ようこさんのエッセイ。
    編み物に熱中し和服を装う優雅な女性。

    しかし女性ひとりで生きていくには、そんなことより
    体調管理、セルフレジ、庭の手入れなど
    優雅とは別のやらなければならないことがたくさんあります。

    ATMに行くと「老人が特殊詐欺被害に遭わないよう声をかける仕事の人」にたびたび話しかけられるそうです。

    〈自分では目前に古稀が迫っているのをわかっているが、
    他人からも見た目で同じように感じ取られているとわかると、
    少なからずショックである。
    それを考えると、実はこの年齢になったことを、
    本当は受け入れていないのではと、
    自分を疑っている〉

    〈他人から見ると、しっかり実年齢どおりに見えるのに、
    本人のほうは、まだまだ若く見えると
    勘違いしている人がいるが、
    私もそのなかに入ってしまったのかと反省した。
    他人から見たら、十分高齢者であり、
    特殊詐欺にひっかかりそうな、あぶないおばちゃん、
    おばあちゃんなのかもしれない〉

    街で老人扱いした人がそんなふうに思っているかも
    と知りました。

    そんなあれこれに気付かされる本です。

  • 編み物や着物の話は興味がないので、読んでいてもなかなか理解できないし、健康関係の話も、体質は人それぞれなので、詳しく語られてもあまり面白くない。
    若い頃の群ようこのエッセイはもっと楽しめた気がするけど。
    セルフレジと銀行の話は面白かった。銀行側も、もうちょっと配慮が必要かも。
    また、表紙と挿絵の版画は好きだった。

  • 2025 2/20

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著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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