SISTER“FOOT”EMPATHY

  • 集英社 (2025年6月26日発売)
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本 ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784087881134

作品紹介・あらすじ

シスターフッドがポリティカルになりすぎると、それはシスターたちのあいだに分断や対立をもたらすことにもなりかねない。その一方で、シスターフッドが政治に無関心になりすぎると、互いの涙を拭い合うばかりで、「元気を出して明日からまた同じ日常を頑張ろう」という激励会になり、つらい日常を変えていこうという動きに発展しない。 ーー本書「はじめに」より

2022年にスタートした雑誌『SPUR』の同名連載を新たに加筆修正。コロナ禍以降の社会の動きを鋭く見つめ、これからのわたしたちの生き方を考えた、エンパワメント・エッセイ集。

◎アイスランド発「ウィメンズ・ストライキ」の“共謀”に学ぼう
◎シスターフッドのドレスコードはむしろ「差異万歳!」
◎完璧じゃないわたしたちでいい
◎焼き芋とドーナツ。食べ物から考える女性の労働環境
◎古い定説を覆すママアスリートの存在
……etc.
無駄に分断されず、共に地べたに足をつけてつながる。前に進むための力が湧く39編を収録!


ブレイディみかこ
ライター・コラムニスト。1996年より英国在住。2017年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で第16回新潮ドキュメント賞受賞。19年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で第73回毎日出版文化賞特別賞受賞、第2回本屋大賞ノンフィクション本大賞などを受賞。小説作品に『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』(KADOKAWA)、『両手にトカレフ』(ポプラ社)、『リスペクト――R・E・S・P・E・C・T』(筑摩書房)などがある。近著には『地べたから考える――世界はそこだけじゃないから』(筑摩書房)。

感想・レビュー・書評

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  • ブレイディみかこさんの最新刊。
    とっても楽しみだった!

    ブレイディさんはイギリスに長く住まわれているということで、ヨーロッパ的観点から日本を見ているから、ヨーロッパに15年住んだ私からするとシンパシーを感じる。

    ブレグジットがあり、経済的や政治的にイギリスはヨーロッパではなくなってしまっているけど、やっぱり考え方や文化的な要素は、ヨーロッパに近いものがあり、イギリス人は「ヨーロッパ人」としてのルーツを否めないよな〜と読んでいてつくづく思う。アメリカとは違う。

    そして日本は完全にアメリカに近いんだなーと思う。

    でもそんなことはこの本の大事な部分では全くなく、ただの私にとって感慨深い点ってだけで、メイン要素は

    「全世界のシスター(女性)たち!!貧富の差、学歴の差、外見の差、年齢の差、政治的指向の差、主婦かフルタイムで働いているか、結婚してるかしてないか、子供がいるかいないかとか、そんな様々な『差』なんか関係なく、お互いの靴を履きあって、お互いにエンパシーをもち、結束しようぜ!!!!」

    ってこと。だからシスターフッド(結束)=シスターフット(足)なんだよね。相手の靴を履いてみるから。

    もちろんブレイディさんなので、ただ安直にそんなことをおっしゃっている訳ではなく、それを歴史的実例や、政治、ニュース、時事ネタ、昔から現代に至るまでのドラマや映画、音楽、本、その他研究などを用いて淡々と分かりやすく語ってくれている。

    そしてブレイディさんは多分敢えて触れられていなかったと思うのだけど、「全シスターたち」というのは、本の文脈からしてどうしても生物学的な女性の意味だと思う。

    そこは生物学的な女性であることで虐げられてきた歴史を振り返りながら辿る「シスターフッド」なので、どうしてもしょうがないのかなと。でももちろん男性の靴を履いてエンパシーを持つ大切さも、イギリスのサフラジェット(女性参政権運動家)を例に挙げて伝えてくれている。

    私がモヤモヤする「フェミニズム」や「フェミニスト」に対しても、ブレイディさんが上手く代弁してくださっていて、すっきりした。

    そしてお休みだったとある平日のお昼に夫と2人で行ったロイヤルホストで見た、どこからどうみても「ママさんたちの集まり」のグループの数々が、本当にみんな同じ系統の服を着ていて、自分もママでありながら、「あれ?なんでこういう服装みんなしてるだっけ?」となったので、尚更

    シスターフッドのドレスコードはむしろ「差異万歳!」

    という章で、「私の違和感を解決してくれそう?」と思って読むのが楽しみだった。

    ママのことが直接的に書かれている訳ではないけど、私がこの章からママに当てはめて理解したのは、

    理想とするママたちのシスターフッドは、似た環境のママ(専業主婦かワーママかとか、夫の職業が似ているかとか、シングルなのかとか、家庭の金銭感覚が似ているのかとか、子供の発達に差異があるかとか)だけの集まりではなくて、全く違う環境で子育てをしているママたちが、お互いの靴を履きあいエンパシーを持ち、「お母さんはこういう服装をしているはず」という固定概念を捨て、連帯することなんだろうな〜と。

    体の露出度が高くて、化粧も濃い女性=「外見は良いが知性のない女(通称bimbo)」と言われていたけど、Z世代の左派フェミニストにはいわゆるbimboルックの人もいて、「フェミニストはこういう服装をしているはず」という概念を捨てているとブレイディさんが語ってくれる。バービーもマリリン•モンローもフェミニストとしてウェルカムなのであれば、バービーもマリリン•モンローもママとしてウェルカムだよね。

    気に入ったフレーズは他にも数えきれないほどあったんだけど、最後に書き留めたいのは、「40歳を過ぎると、女は美魔女かババアしかいないのか」というところ(笑)
    「オルタナティブな40代女性の道もある」ということで、「Never Mind the Bollocks(アホらは気にすんな)」!とパンクロックの名盤のタイトル(セックスピストルズ)を思い出すブレイディさんが大好き!

  • この本は人類をエンパワメントする本だ。。。というと書きすぎかもしれないが、古今東西の女性達の社会運動を取り上げ、現代の構造的欠陥に触れ、どうすればこの絶望的な状況を打破できるのか記している。社会派のエッセイストであるブレイディみかこらしい作風となっている。

  • 背ラベル:367.1-ブ

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著者プロフィール

ブレイディみかこ:ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。高校卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。著書に『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)、『他者の靴を履く』(文藝春秋)など多数。近年は、『リスペクト』(筑摩書房)、『両手にトカレフ』(ポプラ社)などの小説作品も手がけている。

「2024年 『地べたから考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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