文明開化は長崎から (下)

  • 集英社 (2014年11月26日発売)
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本 ・本 (472ページ) / ISBN・EAN: 9784087890037

作品紹介・あらすじ

黒船来航よりも前に、日本は「開国」していた! 動乱の果てに徳川幕府は倒れ、日本は近代化する。だが、果たしてそれは、名高い維新の志士たちの功績なのか? 長崎経由で文明の花を咲かせた、知られざる先駆者たちの群像!

感想・レビュー・書評

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  • 帯文:
    ”黒船来航よりも前に、日本は「開国」していた!” ”動乱の果てに徳川幕府は倒れ、日本は「近代化」する。だが、果たしてそれは、名高い維新の武士たちの功績なのか?長崎経由で文明の花を咲かせた、知られざる先駆者たちの群像!”

    目次:第七章 異国船の到来と波乱の時代, 第八章 高島秋帆の西洋砲術と佐賀藩の製鉄業の誕生, 第九章 ペリー来航と全土の激動, 第一〇章 化学と写真術・印刷術・電信機の誕生, 第一一章 造船技術と蒸気機関および種痘と最新西洋医学の普及, 第一二章 開国を進めた功労者と蘭癖大名, あとがき, 人名INDEX

  • ようやく「下」を読み終わった。読み応えは十分、読んで良かった、が、疲れた。再読しないと内容を自分の物にはできそうにないが、再読する元気はしばらく出ないな。戦国時代から幕末・明治にかけて、日本における科学・技術史を中心に日本に文明開化をもたらした真の偉人達の系譜に迫るところが、実に理系の広瀬隆らしい。本書(下)は江戸時代終盤、主に1800年頃から明治維新前後までを扱っている。江戸時代、唯一の外国への扉だった長崎からどのように外国文明が導入されてきたのか。一般に、幕末史は明治維新に向かう武士、特に明治政府へと繋がる尊皇攘夷の志士たちの物語ばかりに焦点が当てられるが、いかにそれが勝者(薩長土肥)が後から作り出した歴史であるか。戊辰戦争という暴力クーデターによって徳川幕府を追い落とした暴力集団の明治政府に対する広瀬隆の怒りが随所に鏤められているところは反体制・広瀬隆節は下巻でも健在。医術、科学や技術などに取り組み、外国語と外国文明を学んで日本へ導入し、明治維新よりもはるかに早く日本に文明開化をもたらしてきた真の偉人達の歴史にスポットを当てるだけでなく、佐久間象山だとか勝海舟だとか福沢諭吉などの法螺吹き偽物偉人達を痛快に貶めているているところなど実に痛快。本書を執筆するために歴史の闇に隠れた人々とその繋がりを紐解いていく作業で感じた著者の喜びを追体験できるだろう。

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著者プロフィール

京都府生まれ。1986年、京都府立大学文学部卒業。
1991年、大阪市立大学大学院臨床心理学分野後期博士課程(単位取得退学)。2006年、ISAP (International School of Analytical Psychology), Zurich修了、ユング派分析家。
現在、帝塚山学院大学人間科学部心理学科教授、北大阪こころのスペース代表、臨床心理士、公認心理師。

共著書に『キーワードコレクション カウンセリング心理学』、『現代社会と臨床心理学』、『心理療法ハンドブック』、『心理臨床大事典』ほか。共訳書に『ユングの世界』。

「2021年 『セラピーと心の変化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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