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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784087900712
作品紹介・あらすじ
敗戦の焦土から立ち上がれ。混沌の時代を生き抜いた男たちの、反骨と絆の物語。
太平洋戦争に敗れ、大陸からの引揚船で、中学生の阪上群青は母とはぐれ、直後に何かが海に落下する音を聞いた。
その場に居合わせたのは、赤城壮一郎という男。さらに謎の男が現れ、「赤城が君の母親を突き落とした」と告げられる。
母の失踪に赤城が関係しているのか。疑惑がぬぐえないまま、行く当てのない群青は、赤城と共に焼野原を生きることに。
戦後の混乱期、上野の闇市で商売をするうちに、人々が衣食の次に必要なのは「清潔」だと気づき、二人は仲間たちと石鹸会社を立ち上げた。
ともに困難に立ち向かう日々の中、群青にとって赤城がかけがえのない存在となっていく。
だがそんな時、引揚船の男が再び現れ、衝撃の事実を群青に伝えた。
果たして二人の行きつく未来は……。
感想・レビュー・書評
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戦後日本を舞台にした企業小説であり、主人公少年の成長譚でもある、少年を取り巻く人々・社会を描いたドラマチックな物語。
作中で何度か繰り返される「強く生きていく」が本作のテーマ。
大陸からの引揚船で出逢った二人の男が、何ら後ろ楯の無い状態から徐々に仲間を増やし、絆を結び、
「夢」(p275)を育むというある種典型的な胸熱くする筋なのだが、本作には’義兄と慕う男が母親の仇かも知れない’という疑惑が付き纏う一筋縄ではいかない設定があり、事ある毎に不穏の気配が漂う。
更には軍部機関の影までチラつき出す始末。
普通ここまでごった煮だと色々中途半端になるのでは?と勘繰りたくなるが300ページにきっちりストンと収まっているのは凄すぎるな(リョウの事とか桜桃石鹸との対決とかは続きに持ち越しだけど、それでも凄いと思う)。
企業小説パートにおける石鹸製作の理念とか製法への拘りの説得力がめちゃくちゃ熱い。
テシさんみたいな職人キャラ好きだ。
過酷な時代設定だが悲惨・凄惨な描写は抑えられており、読後感は心地良い。
生温く感じる向きもあるかもしれないが、私の好みにはピッタリ。
続きが待ち遠しいです。
1刷
2022.3.12詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「見知らぬ祖国へ」
ドボンと暗い海に消えた。
行き先もなければ帰る場所もないという状況は、どれだけ気丈に振る舞っていたとしても心を折るには十分な材料だろう。
「アメンボとしゃぼん玉」
孤児たちの過酷な環境に。
変わるために協力してあげることは出来るだろうが、今まで築き上げた繋がりは仲間意識からだったことも考えるべきだな。
「ありあけの船出」
使ったらかぶれる粗悪品。
被害にはあったかもしれないが、命に関わるような体験をすることもなく戦地の本当の姿を知らないからこそ言えるのだろ。
「荒野から来た男」
変わってしまった母国に。
洗脳されたような思想を持っていると感じるのは、敗戦国の人間として変化せざる得なかった状況と違ったからではないか。
「赤と青」
二人から語られた真相は。
どちらの話を信じるか迷った瞬間もあっただろうが、騙されていたとしても共に過ごした日々の偉大さは越えれないだろう。 -
久しぶりに読んだ戦争の絡んだ立志伝。読み応えがあった。今また、軍備拡大の声が大きくなってることに、大きな危機感を感じる。この物語には続編があるのだろうか?ぜひ読みたいものだと思う。
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敗戦後、大陸からの引揚げ船で母と生き別れた少年、群青。
そんな彼は赤城という謎の男と出会う。
行くあてのない群青は、赤城に導かれ生活を共にする。
母を殺したのは赤城かもしれない。
そんな疑念を懐きつつも赤城に惹かれていく群青…。
魅力的な仲間と出会い闇市から石鹸会社を建設するまでに至る。
とにかく赤城壮一郎が魅力的。
続きが待ち遠しい作品。
著者プロフィール
桑原水菜の作品
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