星が人を愛すことなかれ

  • 集英社 (2024年8月26日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784087901740

作品紹介・あらすじ

令和最注目の作家・斜線堂有紀が描く、推し(アイドル)の恋。ウェブ掲載の作品に書き下ろしを加えて書籍化!!

解散寸前だった地下アイドル「東京グレーテル」を、ひとりのカリスマ―赤羽瑠璃―が躍進させた。
人気グループとなり輝きだした「東グレ」。しかし光の中のアイドルたちも、ステージを降りれば人生が待っている。
推される側の”恋”と”生”の物語。

「見ててね。私が最高の人生、使い切るところ――」

『ミニカーを捨てよ、春を呪え』
冬美は結婚を意識している恋人・渓介がいる。けれど、恋人は赤羽瑠璃というアイドルを推しており、全てにおいて彼女を優先する。推しと恋人、本当に愛されているのはどっち?

『星が人を愛すことなかれ』
「東京グレーテル」の元メンバー・雪里は、Vtuberとして活動している。生活時間のすべてを配信のために捧げる彼女は、いまや百万人に愛される人気Vのひとりだ。その代わり、雪里は次第に恋人との時間すらとれなくなっていく。

『枯れ木の花は燃えるか』
「東京グレーテル」のメンバー・希美は地下メンズアイドル・ルイと付き合っている。ある日、ファンとのベッド写真が流出してルイのSNSが炎上。希美は復讐の為にルイと関係を持ったファンと会い、炎上を加速させてルイを叩き潰そうとするが──。

『星の一生』
「東京グレーテル」のカリスマ・赤羽瑠璃。かつて自分のファンである渓介に恋をし、ストーキングのあげく部屋まで侵入した女。それでも渓介を諦められない瑠璃は、彼のSNSアカウントを監視し続けてしまう。そしてある日瑠璃は、渓介が恋人と結婚式を挙げることを知る――。

感想・レビュー・書評

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  •  皆さま、本当に書物は大切なものでございますねぇ。
    まひろ様も、「米や水のように書物も人になくてはならないものですわ。」とおっしゃられておられました。

     さて、この書物は、バーチャルYou Tuber、つまり、Vtuberのお話を書いた書物でございます。

     羊星めいめい(ひつじぼし めいめい)こと、Vtuber長谷川雪里(はせがわ せつり)は、日本のバーチャルYou Tuber。所属事務所は、きだプロ。そして、羊星めいめいは、頭部に羊の角を持つ。十二支をモチーフにした守り神ユニット・トゥエルヴァクロスターズの一人であり、未年の神です。天然でドジだが何もかもに一生懸命なキャラクターなのです。

     雪里は、『みなさ~ん! こんにちめいめい、天然かわいいあなたの守り神。羊星めいめいでーす!』と今日も明るく配信を続けています。200万人のチャンネル登録者がいて、配信には2万人がくる人気Vtuberです。

     雪里はかつて、東京グレーテルという地下アイドルグループに一期生として所属していました。イメージカラーは緑で、パッとしない役回りだったのですが、26歳の時、一期生は全員卒業となり、雪里はアイドルをクビになってしまいます。

     そんな中、東京グレーテルは、赤羽瑠璃(あかばね るり)をカリスマセンターに配し、ブレークします。一期生で、元は冴えないピンクの衣装を着ていた瑠璃は、黒い衣装に変わり、カリスマとなっていたのです。同じ一期生の雪里は、自分同様にパッとしていなかった瑠璃に親近感を持っていましたし、ブレイク後も好感を持ち続け、理想のアイドルだと思っています。その後、雪里は29歳の時、木田社長からのスカウトを受け、すすんで羊星めいめいになったのでした。

     雪里には、細谷龍人(ほそや たつと)という5年付き合ったカレシがいましたが、雪里は龍人と別れました。でも、雪里は龍人を失い寂しい思いが消せません。けど、雪里は、羊星めいめいの配信で日常生活がほとんど無くなっていましたし、めいめいに一生をかけるつもりでしたから、別れは仕方ない決断だったのです。スターは恋などしてはいけないと思っているのでした。

     めいめいをやってから3年。ある日、木田社長が、雪里に瑠璃とのコラボ対談企画を持って来ました。さあ、この企画は、どうなるでしょうか? 瑠璃には、ある秘密があるようですが。。。 詳しくは、この書物をお読みください。

     さて、みなさんが雪里の立場だったら、どうしたでしょうか? 恋人と別れたでしょうか? Vtuberアイドルに一生をかける気持ちになったでしょうか? 毎日、一日のほとんどをめいめいの配信維持のために費やしていく決断をするでしょうか?

     真面目な真面目なVtuberアイドルのお話です。お読みいただいて、この年末年始に、ご自身のワークライフバランスや、生きがいについて、ご一考なさる機会にすると良いかもしれません。

     は~い♪ お届けしたのは、みのみのでしたぁ♡

  • ★5 美しくも恐ろしい情愛、溢れ出る妬み嫉み!完成度が高すぎな恋愛短編集 #星が人を愛すことなかれ

    ■きっと読みたくなるレビュー
    斜線堂先生の恋愛をテーマにした短編集。これまでも読んできましたが、先生の恋愛感情は鬼気迫っていて大好きなんですよね~ 今回も楽しみにしてました。

    ★5 完成度高すぎじゃないですか、ちょっと極まった領域まで来ましたね。

    話の筋だったり人間関係がメインではなく、また芸術性でもなく、エンタメで読ませるんですよ。恋をしているその人の心情やセリフだけで強く読者をひっぱっていく。プロットひとつひとつの引力が強く、それだけでめっちゃおもろいんですよね。

    恋愛小説っていうと駆け引きとか関係性だけじゃねぇの?と思いがちなんですが、これが様々な種類の感情の揺れを表現されてるんすよ。恋愛小説でこんなにも熱くなれるとは思いませんでした。

    ちなみに私は相応の年齢を重ねている男で結婚も家庭も持ってます。すっかり恋愛なんて縁遠く、好きだの嫌いだのなんてとっくに卒業してます。それでも惹きつけられちゃう恋愛小説ってエグくないすか。ターゲットドンピシャ世代の皆さんにとっては、もっと楽しめるんだろうなぁと羨ましい限り。

    今回はアイドルの恋愛というテーマ。過去作『愛じゃないならこれは何』の「ミニカーだって一生推してろ」が関連作ですね。こちらも破天荒な設定と狂った展開が大好きだったので、できればこちらもあわせてどうぞ。

    ■各作品のレビュー
    ●ミニカーを捨てよ、春を呪え
    アイドル推しの彼氏をもつ女性の物語。アイドルに愛情を注ぐ彼氏を持った彼女は何を思うか…

    ガチ恋ファンのめるすけ登場ですよ。ガチ恋勢って若干のキモさを感じちゃうんですが、天使や妖精を偶像崇拝するような感覚は確かにわかる。推しが自分の活力に帰ってくるんすよね。

    しかし私は主人公冬美を応援したい、嫉妬心のカタマリって感じがパワーいっぱいで好きだわー。ただ彼女を幸せにする自信はないです…

    ●星が人を愛すことなかれ
    Vtuberと彼氏の物語。Vtuberアイドルとしての仕事の価値と彼氏… どっちが大事?

    「私と仕事、どっちが大事なの!」って、昭和時代は男は言われたもんですが、令和時代では立場は真逆ですね。腹の底にある情熱と葛藤をめっちゃ豊潤に描いてて、ズバズバ胸に刺さるのよ。これまで何もなしえなかった自分への希望が眩しすぎる感覚、わかるわー。

    もちろん仕事と恋愛は別の領域ではあるんだけど、自分の信じた道をいく主人公の選択は正しいと思う。

    ●枯れ木の花は燃えるか
    地下アイドル同志の恋愛、彼氏の浮気が炎上し…

    これが噂のマウントの取り合いですか! ここまで露骨な罵詈雑言はむしろ気持ちがいいですね。これまで同担OK/NGって、何故こんなすみ分けがあるのかさっぱり理解できなかったのですが、なるほど腹に落ちました。しかし愛情がひっくり返ると、如何に恐ろしいことになるかというホラーですね。この力強い妬み嫉みは必読ですよ!

    ●星の一生
    トップアイドルが自身のガチ恋ファンに片思い?! さらに彼が結婚すると知って…

    純粋な愛情をたっぷり表現した作品。人を思う気持ちは美しいんだけど、バランスのなさに怖さがある。どんな立場であっても、悩み多きひとりの人間。自己規律を全うするために、寄り添える何かが必要ですよね。かつて独身な貧乏時代、好きな子に告白することを目標にして、ひたすら働いてたことを思い出しちゃいました。

    ■ぜっさん推しポイント
    恋する女性のパワフルさってカッコイイですね、優男なんて簡単に凌駕しちゃいます。彼女たちの半ば狂った感情を見てると、なんとなくこれまで自分がモテなかった理由が見えてくるんですよね。

    何でも夢中になる、必死になることで、その人の価値や性質が確立されていく。結果それが魅力になって、周囲の人が惹かれていくんすよね。生きる学びになるなぁ、できればもっと若いときに知りたかったです。

  • Xか何かで表紙をよく見かけたので、読んでみました。
    キラキラした世界の住人の“闇”を描いた短編集。
    ……性格が悪いせいか、こういうストーリー、けっこう好きなんです。笑

    光を放っているからといって、その人のすべてが輝いているとは限らない。
    むしろ、光が強ければ強いほど、その裏にある“影”は濃く深くなっていく気がします。

    最近だと某女優さんの逮捕劇がありましたが、彼女にも同じような闇を感じてしまいました。
    隠していた部分が表に出るとき、それはもう本人の意思では抑えきれないのかもしれません。
    この小説を読みながら、そんなことをぼんやりと考えていました。

    私はアイドルになろうと思ったこともなければ、推し活をした経験もありません。
    だからこの世界のことはよく知らないのですが、
    “ちやほやされていいなぁ”と、どこか遠目から見ていた気がします。

    でも、実際はそんな簡単な話じゃないんですね。
    アイドルになったらなったで、見えない制限やプレッシャー、そして何より“飽きられない努力”をずっと続けなければならない。

    最も衝撃だったのは、一度ついたファンを引き留め続けることの難しさ。
    承認欲求が原動力になっている分、ファンが増える喜び以上に、“去っていく痛み”の方が大きいのでは……と思ってしまいました。

    時間という、誰にも抗えないものが最大の敵になるんですね。
    ファンも一人の人間。人生があり、年齢とともに興味が移ろうこともある。
    それを個人の努力だけでどうにかしようとするのは、あまりに過酷です。
    本当に、水物商売。
    自分ではどうにもできないことが増えていくほど、
    心の奥底に抱える闇も、きっと深くなっていくのでしょう。

    この小説を読んでから、アイドルを見る目がちょっと変わってしまいました。
    どこか痛々しく見えてしまって――。
    あの輝きの裏にあるものを、想像してしまいます。。。

  • めっっっっっっっっちゃ!良かった!語彙力無くなるような尊い愛が沢山詰まってた。世にいう尊さとは違うんだろうけど私にとってはご褒美に食べるデザートみたいな尊さだった。
    個人的には「愛じゃないならこれは何」も最高だったけど超えてくれた作品。うーん。純粋にどタイプな作品なんだな。これから先も斜線堂先生の作品を追い続けようと心に決めた。
    ばねるり…( ; ; )

  • 「ミニカーを捨てよ、春を呪え」
    彼氏が推しにハマっていたら。アイドルだって女性で、その女性のためにグッズを買ったり、ライブに行ったり、お金と時間を使っているのは事実。私にもし彼氏がいて、アイドルにぞっこんになっていたら、少し嫌な気持ちになるかもしれない。相手の好きなことは制限したくないし、好きなことはとことんして欲しいが、何故だろう。自分と同じ性別の、自分より可愛い女の子にときめいていると思うと複雑な気持ちと、劣等感に苛まれる。推し活が好きな人は、好きな人同士でしか分かり合えないのかなとも感じた。冬美は、渓介から離れ、もっとアンテナを張ればいくらでも自分を一番に愛してくれる人と出会えたのかもしれない。相手の嫌なところを許すことも大切だが、許すことで自分が傷つくのなら、相手の笑顔が煩わしく感じるのなら。それはもう、関係が破綻し始めているのかもしれない。
    「星が人を愛すことなかれ」
    東京グレーテル時代では、瑠璃の引き立て役の存在だった雪里は、VTuberになった途端、東京グレーテルというかつての名を利用し、瞬く間に人気になった。羊星メイメイでいる間は世界中の人から愛され、承認欲求が満たされているが、現実世界では、瑠璃には叶わないという劣等感と、自分の過去を恥じている。愛されることで、膨れ上がった承認欲求はもっともっと膨れ上がり、爆発するまで自分では分からない。恋人や友達との時間より、目に見えない人との関係を大切にしてしまう。私もそうだが、Instagramは最高の承認欲求が満たされる場だ。そこに逃げ込むしか承認欲求を満たすところがないなんて少し寂しい生き方をしているな、と自分で思った。だけど、辞められない。麻薬みたいなもの。
    「枯れ木の花は燃えるか」
    「東京グレーテル」のメンバーの希望はメンズ地下アイドルのルイと付き合っている。ルイから何回も好きだと言われていたのに、ルイには他にも関係を持っている女性がいた。自分にくれた言葉は嘘なのか、SNSに流出したスキャンダル写真を晒しあげ、彼をとことん地獄に突き落とすのか、しかし、彼と過ごした時間と思い出が邪魔をし、とことん突き落とすことができない。私だったら同じ言葉を他の人にも言っていたのかと思うと、一緒に過ごした時間を無駄にされた感じがして許せないが、晒して地獄まで陥れようとするなんて多分、できないと思う。
    「星の一生」
    「東京グレーテル」の1番星である瑠璃は、渓介のSNSの言葉でアイドルを続けられていた。推しにガチ恋するとは聞いたことあるけれど、アイドルがファンに恋をするなんて聞いたことがない。アイドルという人間ではない存在だと思うから、崇めたり、推したりするのだと思うけれど、アイドルだって所詮、人間である。恋もするし、誰かを愛することもある。それが顔も見たことがないファンの言葉に惹かれていたとしたら、渓介の言葉は瑠璃の人生に影響を与えていた。この人の言葉に救われた、この人の言葉が好きだ、と思うほど内面に惹かれていくが、惹かれた先に恋人がいて、しかも結婚すると分かると、一気に崩壊する。アイドルの私がファンに告白すれば絶対成功するだろうという自負が逆に自分を締め付けていた。

  • 全4話からなる連作短編集。
    アイドルグループ「東京グレーテル」に所属する「ばねるり」こと赤羽瑠璃。地下アイドルからトップアイドルに登りつめたカリスマだ。
    ばねるりを推すドルオタの恋人、Vtuberに転身した元“東グレ”メンバー、メンズ地下アイドルと付き合う“東グレ”メンバーの視点でそれぞれの“推し活”や恋愛事情が赤裸々に語られ、最後にばねるり視点で完結する構成。
    第一話「ミニカーを捨てよ、春を呪え」と最終話「星の一生」のコントラストがエグい。

    アイドルといえばキョンキョンな私(古っ!)。ジェネレーションギャップがありすぎて、登場人物らに共感することは一切なかった。一方、メンズ地下アイドル推しの“ぱふぇぱふぇぱーふぇくと”なる人物のしゃべりが今風?でへんちくりんで笑った。

    本書が初読の作家•斜線堂有紀。ペンネームは島田荘司『斜め屋敷の犯罪』が由来とのことなので本格ミステリを期待していたが、上記の通り恋愛小説だったので肩透かし。「東京グレーテル」関連本は本書が3冊目の模様。ばねるりが初登場する「愛じゃないならこれは何」を先に読んでおいた方が良かったのかもしれない。

    本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞 受賞

    《東京グレーテル》シリーズ?
    1.愛じゃないならこれは何
    2.君の地球が平らになりますように
    3.星が人を愛すことなかれ

  •  まさか、愛じゃなければ、、、の続編が出るとは!?ばねるりやめるすけのその後が、気になっていたので、嬉しかった。
     二人とも一途で、自分の信念や使命を最後まで貫く姿勢がカッコいい。たとえ報われなくても、頑張れるのはどうしてなのだろう?当事者にしかわからない意義をそこに見出しているのかな、、、

  • S図書館
    『愛じゃないならこれは何』の続編
    短編4編で地下アイドル「東京グレーテル」のメンバーの話
    1話と4話が主人公が違う連作


    話の繋がりが非常に面白かった!

    1話『ミニカーを捨てよ、春を呪え』
    冬美は、大学までに パートナーを見つけなければいけない人間という真理にたどり着いていた(改編)
    『チ』じゃないんだからと笑えた

    冬美は渓介の彼女だ
    男性がアイドルや声優を推していることはよくあること
    その推しにお金を注ぎ込むのは単なる趣味なのかどうか、彼女としては頭をひねってしまう案件だ
    どうみても逸脱しているとか、彼女が好ましくないと感じた時点でアウトだろう
    かといって、この理由で別れ、新しくはじめる恋を始めるのにも躊躇する
    そんなよくありそうな話に、興味深く読んだ

    斜線堂氏は以前、「恋愛はQualityLifeが下がる」「恋愛は身体に悪い」とおっしゃっていた
    この話も、年頃の女性ならではのジレンマと、ご自身を考え方を反映しているだろう
    ズルズルと行った先に仕方がなく結婚があり、こんなはずじゃなかったと思う人は多いのではないか
    そんなことを代弁している内容だった

  • 地下アイドルと推す人々のことはほぼ何も知らない私ですが、知識なんか要らない、(ぱふぇちゃんの言葉ほぼ理解不能の世代)ただ人間の妄執の恐ろしさがズドーンときましたから! 場面的には血が流れるわけでも火に焼かれるわけでもないのに、痛い、怖い、グロい…で、愛おしくて美しくもあって、哀しくて、泣けてしまいます。地獄は死後にあるんじゃなくて、冬美、雪里、希美、瑠璃(ばねるり)の生きる現実そのもの。それをよーく知りつつ生きるつもりなのですね。
    「愛じゃないならこれは何」「君の地球が平らになりますように」が未読の皆さま、ぜひぜひお読みください! エグさが何増倍になりますから!

  • 斜線堂有紀は恋愛小説こそ至高!!!!!!

    『楽園とは名探偵の不在なり』ではミステリ
    『本の背骨が最後に残る』ではファンタジー
    色んなジャンルで活躍している作者さんではあるけど、私は恋愛小説を強く推したい
    とにかく恋愛の地獄、女の心の汚い感情の書き方がうますぎる

    10ページ目、主人公は冬美の先輩が後輩に冬美を紹介するシーン
    「先輩が語る自分の売りが『良い子』であることに、冬美の心が少しだけささくれ立つ」
    わかるわ〜〜〜

    女の子が自分の容姿が優れていない事に気づくのって、「美人」「きれい」っていう形容詞を使われた事がないって気づいた時だと思う
    どんな子?って聞かれたけど、『かわいい子』とは言えない、それに代わる都合のいい言葉が『良い子』なわけだ
    じゃあ何て言やいいんだよ、外見が良くないんだからせめて内面は『良い子』であれよ、って言われたらそうですねスミマセンって納得するしかない、そういう『良い子』

    恋愛を「クソダルい代物」「可処分時間を食い潰す悪魔のようなメジャーコンテンツ」と罵りながらも恋愛に溺れる彼女たちは本当に愛おしくて美しい
    作者が天才、これに尽きる

    読みながら「うわ……」「うわ……」ってなりたい人は必読
    『愛じゃないならこれは何』
    『君の地球が平らになりますように』
    は関連する物語が入ってるので、読んでからの方が100倍楽しめる

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著者プロフィール

2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビュー。楽園とは探偵の不在なり』『恋に至る病』『コールミー・バイ・ノーネーム』ほか著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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