星が人を愛すことなかれ

著者 :
  • 集英社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087901740

感想・レビュー・書評

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  • 短編集「愛じゃないならこれは何」に収録されている「ミニカーだって一生推してろ」というアイドルがファンに恋をするお話の続編。続編からでも楽しめますは小説の常套句だけれど、この小説に限ってはきちんと赤羽瑠璃と名城渓介の双方一方的なだけの歴史を読んだ上で、読んでほしい。

    なお、「愛じゃないならこれは何」の2話目に出てくるサンドリオンのファッションデザイナー妃楽姫も、彼女自身は出てこないけれど、彼女の名前とブランドは度々本作にも「憧れの存在」として出てきます。自分の恋のために夢から醒めることを選んだ妃楽姫と、アイドルとして夢を見せ続ける道を選んだ瑠璃。

    タイトルからハッピーエンドにならないことは察していたのに
    でも、赤羽瑠璃は名城渓介と結ばれてほしかった
    あれほど瑠璃が愛する渓介が、あんな適当な女と結婚してほしくなかった

    一途に応援しつづけるめるすけも、Vtubeの道を選んだ元アイドルを献身的に支えてくれる龍人も、ファンを喰いまくりまがら自分にだけは本当の愛を向けてくれるレンも、これが令和のおとぎ話の王子様のような存在を、結果的に手放す道を歩むお姫さまたちのお話。
    斜線堂先生にしか描けない、この切なくて儚くて幸せになれないと見えているのに執着してしまう関係が好きです(でもたまにハッピーエンドがお出しされるので淡く期待してみたんですけど今回はだめでした…)

    小ネタですが「好きなばねるり発表ドラゴン」とか、先生いつ執筆したんですかってくらい最近のネタが入っていたのにびっくり。

  • 全短編全てがズシンと重い呪いのようで読んでいて苦しいが、面白い。恋愛小説だけどアイドルがメインテーマなのでかなりフィクション味を感じて、それでいてどこかで起きているのかもしれないなという微妙なバランスが良い。オタクだって何かの責任を負うべきなのかもしれないとすら思わせる鋭い書き口が染みた。赤羽瑠璃に関しては前日譚が別の本にあるらしく、一冊のストーリーとしてのまとまりに欠けていてそれがちょっと残念。

  • ドルオタ、Vtuberの中の人、アイドルと様々な立場にいる人たちの物語。
    『星が人を愛すことなかれ』のVtuberの中の人の心情はあまりにもリアルでしたし、『星の一生』のアイドルの心情もまた…。
    こんなことあり得ない、でももしかしたらこんなこともあるかもしれないというバランスが絶妙すぎます。
    今の時代だからこその物語であり、共感したり、少しでも思いあたったり、そんなこと起きるわけないと思ったり…読む人それぞれの受け止め方がある作品だと思います。
    とても面白かったです!

  • 斜線堂さんの本を読んだあと心が重くなる感じが本当に大好き。

    主人公それぞれただひとつが欲しくてひたむきなだけなのに一般的には歪んでいると称される生き方の選択をしていて読んでいてずっと苦しかった。
    純粋に抱く思いや感情がアイドルとしてだと汚点になってしまうの辛すぎるし、他人の見えない部分を憶測で判断して勝手に苦しくなるのあまりにも現代の女の子でずっと救われない...と思いながら読んでいたらいつの間にか終わっていた。本当に大好きです

  • 脇役でも主人公と言われたら主人公。
    相手の事を考えてるようで、
    結局自分の事しか考えてないお話。
    気持ちは分からなくもない。

    続きが気になって一気読みしました。
    何だかんだ最後は理性が勝ってしまう。
    欲を言うと、もっと全員狂っててもよかったかも。

  • 感想
    人を愛してはいけない。たくさんの人に愛されているから、愛すべき1人がいるから。手が届かないから美しい。手が届くと気付かれてはいけない。

  • 読みやすさ★★★★☆
    誰かにあげたくなる★★★☆☆
    満足度★★★★★

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    ドルオタ彼氏を持つ女性、元アイドルのVTuber、アイドルの恋人が炎上した現役アイドル、自分を推してくれるオタクに恋するトップアイドル……多種多様の『アイドル』に纏わる短編集でした。

    最初から最後まで重く苦しく、心の奥底にあるなにかがズタズタに切り裂かれていくような痛みさえ感じるような呪いの話。
    でも、そんな痛みもなんだか癖になってしまうような気がしてしまうから不思議でした。

    同じ作者さんの『愛じゃないならこれは何』と同じ世界線のお話だと、読んでいる途中で知ったのでらその作品も絶対に読もうと思います。

  • 星として生きるアイドルなどの姿が描かれている。
    「人が星の燃える由縁を知ることはない。」という一文が物凄く印象に残った。
    個人的には2話目と4話目の東京グレーテルの2人の話が特に面白かった。
    サクッと読める。

  • 「愛じゃないならこれは何」で描かれていた世界線のその後の物語。めるすけと赤羽瑠璃のその後、そして、前作で描かれなかった冬美の物語まで描かれており、まさに「愛じゃないならこれは何」にふさわしいラスト。

  • 今人気のvtuberやアイドルたちの恋の物語なので若者たちが読みやすい内容になっていると思います。
    本をあまり読まない妹に勧めしてみます☺️

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著者プロフィール

2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビュー。楽園とは探偵の不在なり』『恋に至る病』『コールミー・バイ・ノーネーム』ほか著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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