- 本 ・マンガ (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088430300
作品紹介・あらすじ
おばけが視える“ニケ”と“ネモ”。非日常浮遊感ラブコメディ!
霊が視える…高校1年生のニケにとってそれはずいぶん前から当たり前の日常。ある日プリントを届けるために最近学校に来ていない同級生・ネモの家を訪れると、そこはあまりにも元気な霊たちであふれていた…! 不意の再会から、運命の物語がはじまる──。
【収録作品】見たい・みたい
感想・レビュー・書評
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何でも視えすぎるけど全然気にしないどころか積極的に関わっていく女子高生と、同じく視えるがなるべくアンタッチャブルで済ませたい男子高生との恋愛のはじまり物語。面白い。主人公の前向きパワーにあやかりたい。
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めっちゃ面白い。
野暮で余計な表現がない。
漫画に対して変な言い方ですが行間を読む感覚が小説を読んでるみたいでした。 -
いっぱい驚いた。
今後がめっちゃ楽しみ! -
メイン2人がどちらも魅力的なキャラクターで読むのが楽しい。読者を驚かせる構成力もさすが。
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みえてるものは同じでも、なんかズレてる一人と独り。
「幽霊はいる」、「見える人と見えない人がいる」。
これらふたつのルールだけでこれだけ新しい物語が作れるんだ……ってなりました。
現状はじまったばかりで未知数ですが『君に届け』に負けない名作に育つポテンシャルはあると感じます。
かくいう私自身、物語の印象をひっくり返す大仕掛けにさっそくやられた口だったりしますし。
そこは実際読んだ方の特権なので現時点では詳細は伏せますが、読み返すときちんと整合性の取れる描写になっているのがテクニカルなのです。文章だと伝えるのが難しいのでまず読んでと言わざるを得ません。
ただ、マンガとしては幽霊が見える人の視点と見えない人の視点、ふたつのレイヤー(階層)が重なり合って雑居している印象も受けました。人によっては混乱させられて低評価を付ける方もいるかもしれません。
まあ、その辺は人によって異なるでしょう。受け容れられなかった方の視点に立ってレビューを進めることは私にはできません。ここはひとつ、しっかり楽しめた私の視点に立って話を進めていくことにしますね。
主人公が男女ふたり体制で、それぞれ幽霊に向ける観点がかなりズレてるのも面白いポイントです。
すなわち、浮世離れしてるけど器の広い女子の「ニケ(二家光)」と見た目はヘンだけど極めて善人な良識人男子「ネモ(根元久楽)」のコンビです。焦点が当たるのは少女漫画らしくニケの方ですけどね。
幽霊と生身の人間の区別がついていないニケの危うさに対し、幽霊に対して警戒心丸出しなネモはおせっかいをかける。だけど当の幽霊たちはのん気だったり弾けてたりでネモの奮闘は空回り? って感じでした。
その辺のすれ違いとままならなさが面白いわけですよ。
もっとも、生者と幽霊の間には一線を引くべきだというネモの考えもシビアながら的を射ていました。
事実、気を許してはいけない幽霊も存在します。
「死」も「死」として厳然として突き付けられます。なのにあまり悲壮感が感じられないのは不思議でした。その辺のあやふやさは、本作の魅力としてさっそく取り上げられそうですね。
現状の雰囲気的としてはラブコメの枠にしっかり収まっているので特に問題はななさそうですが。
それと、主人公をペアにしたのは価値観のズレから世界観の奥行きを演出して、認識のズレから意外性という名の演出を引き出すためでもあるのかもしれません。適宜ネモが軌道修正を図ることによって、ニケが浮世(≒現世)離れし過ぎて、読者についていけない境地に辿り着くことを防止してくれる。
だけど、ニケ視点が読者を新たな世界へ連れて行ってくれることも確かで――。要は持ちつ持たれつです。
そう考えると、なかなか考えられた男女主人公ペアだなーって思うなどしました。
双方、とにかく顔がいいので見てて眼福だなーってのん気な感想も抱けますし。
ニケからは目力がはっきりしていますが、同時にどこを向いているかわからない猫っぽい印象を受けました。なにより自由っぷりとしたたかさにやられましたね。こういう子をカリスマというのでしょう。
対する相方のネモからはちょっとズレた言葉選びがツボに入りました。つきまとうギャル幽霊たちとのかけ合いも強い。日除けのデバフ装備もあって顔の良さがなかなかお披露目できないギャップも好きです。
以上。
主人公が幽霊が見えるという特性、あとJKのノリもあってビミョーにヘンテコなノリで展開してるなー、でも全体を見れば深淵とも軽薄ともつかない謎の空気に包まれてて中毒性高いなってのが全体の感想です。
超常現象は現実の地続きに存在してるけど、あくまで青春の日常の一部として受け入れることができてるってバランスにも心惹かれます。今までになかなか目にしたことがないタイプの作品かもしれません。
いや、探せばいくらでも類似作品はあるのでしょうけど、データとかじゃなくてなんか実感として。
続刊については冒頭で述べた通りです。視点により見えるものが違う画面作りを考えればかなり物語作りの難度は高そうです。ハマった読者にとってはこれ以上に楽しいストーリーはないと思うんですけどね。
ただ、やたら楽しく見えても生きる世界が違っていることは事実です。もう同じ時間を共有できない怖さも見え隠れしています。シリアスとしても一筋縄じゃいかなさそうのも確かです。導入もなんか不穏ですし。
帯からするとまずは主人公ペアにその友人・クラスメートの男女ふたりを加えた計四人がキーパーソンっぽいですが、さて今後はどうなることでしょう? 続刊ではニケとネモのふたりだけの世界を共有できる第三者が現れてくるのか。それとも、ふたりだけの世界の住人が増えていくのか、大変に気になるところです。
それか、作品の空気をコントロールした上で続いていけば、外野から面白い視点が提供されるかも。
と。なんにせよ一巻時点で本作には、続刊に持ち越しなこと確定な匂わせ、伏線が多々ある風です。
読み返す楽しみを享受している私自身、把握しきれてないのでほかの方の反応も気になるところ。
まぁ、細かいところ抜きにしても直感でだいたい理解できると思うんですけどね。
大仕掛けを見て「あっ!?」ってなった方はぜひとも一回は読み直してみて「そういうことか!」って納得してもらいたいところです。
大成すれば相当な名作に化けそうなので(幽霊なだけに!?)今後の推移を見守りたいところですね。
補足しておくと、巻末の18P短編『見たい・みたい』は区切りが控えめなので本編の一部と錯覚してしまいそうになりますが独立した作品ですので切り離して読んでください。
内容について軽く触れてみると、コロナ禍まっただ中な時期(2022年9月)に発表されたためか、マスクによって隔てられた初々しい男女のおはなしでした。これもまた見え方についてのおはなしでしたか。
顔の半分以上を覆うマスクがあるからこそ生まれる自信がある。
だけど、そんなマスクという名の仮面を取り去って君と向き合いたい勇気も欲しい。
よって短いながら、ほっこりとして考えさせられる話でまとまっててなかなか良かったですよ。
椎名軽穂の作品





