環と周 (マーガレットコミックス)

  • 集英社 (2023年10月23日発売)
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本 ・マンガ (224ページ) / ISBN・EAN: 9784088448398

作品紹介・あらすじ

家族、恋、友情……さまざまな関係性で綴られる“好きのかたち”。
──現代編 中学生の一人娘が同級生の女の子とキスをしているのを目撃して動揺する妻。実は夫にも、かつて同級生の男の子を好きになったことがあった。
──明治時代編 大切な“お友達”になった女学生の環と周。周の縁談が決まり二人は離れ離れに……。
──70年代編 病気で余命わずかと知った環は、同じアパートに住む少年と出会い交流が始まる。
──戦後編 復員兵の周は元上官の環と再会し、闇市で一緒に店を始めるが、環には秘密があった。
──江戸時代編 周の夫を斬った相手は、幼馴染みの環だった。仇討ちのため再会したことから、二人の運命が変わり始める。

感想・レビュー・書評

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  • 「このマンガがすごい2025」オンナ編第1位の作品。作者は、よしながふみさんです。

     1巻完結で、5つのお話とエピローグに分かれています。
     どのお話にも、「環(たまき)」という人と「周(あまね)」という人が出てきます。片方が男の人でもう片方が女の人だったり、どちらも男の人だったり、どちらも女の人だったりします。時代背景も異なります。

     第1話は、現代が舞台で、環さんは奥さんで。周さんは旦那さんです。ふたりには中学三年生の朱里(あかり)ちゃんという娘ちゃんがいます。娘ちゃんの成長にともなう家族内のトラブルが起こる中で、夫婦や親子の関係が語られます。

     第2話は、明治時代が舞台で、環さんも周さんも女学生です。それぞれが、結婚して離れ離れになって、別々の人生を歩んでいく中での友だち関係が語られます。

     第3話は、1970年代が舞台です。環さんは30代の独身女性で、周くんは近所のアパートに住む5歳くらいの男の子です。環さんがいろいろと周くんのお世話をする稀有な絆の関係が語られます。

     第4話は、終戦直後が舞台です。環さんも周さんも復員兵、男の人です。軍隊で環さんが班長、周さんが部下でした。環さんは、部下たちの家を一軒ずつ訪ねて様子を見に行くような優しい上官で、周さんの所を訪ねた際に起こった関係が語られます。

     第5話、最終話は、江戸時代が舞台です。環さんは武士、男の人です。周さんは隣の家の幼なじみだった女の人です。ある事件から環さんは、周さんにとっての仇になってしまいます。理不尽な運命に翻弄される美男美女の関係が語られます。

     そして、エピローグでは。。。

     人は、どんな時代でも、どんな境遇でも、人との繋がりの中で懸命に生きてきました。そして、今日も生きています。そんないろいろな繋がりを「環さん」と「周さん」という、同じ名前の人たちを通して見せてくれます。教えてくれます。

     人というのは、切なくて、悲しいほど愛おしい存在ですね。

  • いろんな時代に、出会っては別れて……というそれぞれの「環」と「周」の物語。
    性別も、関係性も、様々な環と周。
    たとえ悲しい別れになったとしても、出会わなければ良かった二人なんていない。
    『このマンガがすごい!2025 オンナ編』の大賞、『マンガ大賞』ノミネート、『CREA夜ふかしマンガ大賞2024』3位。
    絵もストーリーも、さすがのよしながふみ。読んでよかった。

  • いろんな時代の環と周。
    とても胸が締め付けられるお話ばかりだった

  • 最後の話で、環と周の宿命かわかるという粋な構成。
    どの話も捻りが効いてて、さすがよしながふみ。

  • 大好きなよしながふみさんの作品!
    時代も性別も立場も超え何度でも出会い
    そこには愛がある
    よかった!

  • 短編集と見せかけて全部繋がってた。江戸時代編の「環と周」以降に友人、上官と部下、ご近所さん、性別も年齢も様々な「環と周」が出会っては別れてを繰り返して、最終の現代で、思春期の娘にとまどうような普通の夫婦になってることに、たまらなく感動してしまった。
    全ての章の環と周にグッと来て、ちょっと泣いてしまう感じ。特に終戦直後の関係よかった、、、。
    ご本人の美食家ぶりが全力で出ている食べ物描写が何より好きな漫画家さんですが、考えつく人間関係というか人間交差点がすごすぎて、長編でも短編でも、毎回よしながワールドに引き込まれます。

  • いろんな時代に、環と周が、違った関係性で縁を持つ。前世の因縁というと、ちょっと怖いイメージあったけど、現代の、「なぜかよく会うね」から夫婦になった話は、ほっこりして素敵だった。

    戦前の女学生の友人同士の環と周、
    昭和の余命宣告された女性である環と近所の少年の周、この2つは号泣だった。

  • 「環と周」タイトル通り時代を超えて何度も巡り会う二人の物語。と、こう書くと思い浮かべるものとはちょっと違うところが、さすがよしながふみさん。環と周は、年齢や性別、立場を変えながら、出会い、互いを思い合う。悲しい結末になることが多いが、二人の間に通う真情に胸を打たれる。

    五話(+エピローグ)にわかれたお話は、江戸時代から現代にまで及ぶ。それぞれその時代を映しつつ、女性の生きる姿、特にままならない人生を懸命に生きる姿が、共感を持って描かれていて、そこにぐっとくる。現代に生きる自分たちにも、もちろん困難は多々あるけれど、それでも前進したものはあるのだと励まされる気がした。

    一番好きなのは第2話。女学生の環と周がけなげでいじらしく、泣けてくる。

  • 世の中の環さんと周さんの話

    みんなそれぞれの時代を生きる人たち
    環境も、仕事も、時代も全然違う人たちの人生を切り取っている短編集

    この漫画がすごい!に受賞される漫画はいつも
    個性に溢れていて賛否のある漫画が多い

    わたし的には普通だった

  • 様々な時代の環と周。
    出会いと別れ巡り合う魂。
    様々な想いとその形。
    5話。

    現代編-夫婦/
    明治時代編-友人/
    70年代編-ご近所さん/
    戦後編-上官と部下/
    江戸時代編-幼馴染で仇討の相手。

    よしながさん話作るの上手いね(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾ゥンゥン


    「また会ったね」






    先月から私の中で再読祭り。
    目に付いたこの本もついでに再読、笑。
    感想はやはり前と同じで
    江戸から現代まで様々な時代を
    輪廻転生しながら出会う環と周の連作短編。
    関係性も出逢いも別れも様々。
    そんな2人がようやく現代で一緒に…


     「また会ったね」

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著者プロフィール

漫画家。「月とサンダル」で商業デビュー。
主な作品に『1限めはやる気の民法』『こどもの体温』『西洋骨董洋菓子店』『フラワー・オブ・ライフ』などがある。
2004年から2020年まで連載された『大奥』で、第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞や第42回日本SF大賞など多数の賞に輝く。ドラマ化、映画化された『きのう何食べた?』を現在連載中。

「2022年 『仕事でも、仕事じゃなくても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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