潔く柔く 13 (マーガレットコミックス)

著者 :
  • 集英社
4.40
  • (184)
  • (103)
  • (39)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 1089
感想 : 105
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088465746

作品紹介・あらすじ

禄のもとへ走り出したカンナ。長い時間をかけて、ようやく過去と向き合うことができたカンナの辿り着く未来は…? 潔く柔く、感動のフィナーレ!
【収録作品】潔く柔く 番外編 切切と/誰かが私にキスをした

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いくえみ綾、めちゃんこ好きです。もしかしたら、この世で一番大好きな漫画家かもしれない。と言ったら、ちょっと大げさすぎですが。何故これほどまでに、自分にとって、心の底から「しっくりくる」漫画を、描いてくれるのか。しかも、とてつもない数のの作品量で。とんでもねえな。ホンマに凄いですねえ。

    でもまず、俺、40歳の中年のオッサンなのですが、なのですが、それにも関わらず、一応は?少女漫画家、に属すると思われる、いくえみ綾を好き、というのは、ハッキリ言って、ヤバいのではないだろうか。大丈夫なのか。でもまあ、大好きだから、こればっかりは、どうしようも、ないです。いくえみ綾は、少女漫画、少年漫画、青年漫画、とか、あんまそういった分類は、必要ない気がします。「人を描く漫画家」という表現が、一番ピッタリすると思うんですよね。

    そんな、いくえみ綾、超絶多作ですが、一応、彼女の代表作?と言う事ができると思われる作品が、この「清く柔く」ではなかろうか?全13巻の、短編が多い彼女にしてみたら、例外的に超絶珍しいんじゃね?っていう、長編作品。まあ、長編、と言いつつも、基本的にはいくつかの短編が集まって、それらが絡まりあい繋がりあい、長い長い一つの作品を作り上げる、という群像劇的な、短編の集合による長編、みたいな、そんな作品だと思われます。

    基本的には恋愛漫画だと思うのですが、底にあるテーマは、大変に重い、ものではないでしょうか。

    とある人が、自分の不注意で大切な人を死なせることになってしまった(と心の底から思い込んでしまった)場合は、どうしたら、その罪悪感を抱えたままで、生きていかれるのか?

    というね、くう。重い。重すぎる。だがそれを、これほどに、見事に、まあ、描き切っておられる気がするんですよ。いくえみ綾は。語弊のある表現かもしれませんが、きちんと、エンターテインメントとして、このテーマを、取り扱っている、気がするんだなあ。凄いよなあ。

    春田一恵(はるたかずえ)、ニックネームは「ハルタ」。男です。この人物の、不幸にして若くして不慮の事故で亡くなってしまった、という「不在感」こそが、この物語を動かす原動力なのだと思うのですが、「不在」であることの存在感」という、一見矛盾したような言い回し?が、これほどに世界を動かす力を持つとは。「誰かがいない」という事は、圧倒的に、他人に影響を及ぼすのだな。凄いな、この着眼点、この事実は、とかね、思うんですよね。

    なんとなく、映画版の「桐島、部活やめるってよ」と、凄く似たものを感じました。小説版より、映画版の「桐島~」と。あの映画も、桐島の不在感こそが、物語を推し進める原動力になった、気がするのです。

    ちょっと違うなあ、と思うのは、「清く柔く」のハルタは、物語の中の登場人物たちにとっては、既に死亡しているということで、リアルに不在なのに対して、読者に対しては(過去のエピソードなどを含めて)読み返すことで、いつでも実在している存在であること。

    「桐島、部活やめるってよ」での桐島は、物語内の人物にとっては、すぐにいつでも会うことのできる実在の人物で有るのに対して、観客にとっては、一切画面に登場しないホンマに実在しない存在であること。

    というところが、違うなあ、とかね、思いましたね。全然上手く、まとめられないのですが、、、

    まあ、なにしろ、いくえみ綾は、素晴らしいですね。ホンマに面白い作品を、ここまで量産できる才能、おっとろしいですね。

    あ、この作品、集英社の刊行している作品なのに、2009年の第33回講談社漫画賞少女部門を、受賞しているのです。出版社の垣根を超えている。それもなんだか、でえれえな、って思うんですよね。

  • もう…大好き!

    人の死はただの悪い思い出じゃない。
    嫌いな所があっても友達。

    人間の心情というものが非常に良く表現されています。いくえみさんは神か…!

  • 好きすぎて何回も読んでる。切切とが一番好きかもしれん…

  • 完結巻。やっとカンナが幸せになれた。なんたって百加の番外編がすごくステキだった!あんなこと私も古屋くんに言われたいわ!(笑)

  • 一気読み!

    青春群像がオムニバス形式で描かれている。
    漫画でその形式読んだこと無かったから新鮮。

    ワードセンスも相まって、小説を読んでいるかのような深みがあって好きでした。

    ただ、登場人物が多過ぎて、途中から
    この人誰だっけ…?と、なった

    この物語の主人公って、一体誰なの?と、前半は読みながら思っていたが
    カンナと、ロクの物語なんだ…!と、読み進めるにつれて理解した。

    カンナ、ロク共に身近な人間の死に直面してり
    恋愛や、人間関係においてどこか楽しめない様子の2人が、最後希望を見出す展開は素敵だと思った。

    だが、最後までなぜかカンナを好きになれなかったなぁ…というので星3つ

    結局カンナは、ハルタのことも、マヤの事も恋愛対象という意味で好きでは無かったんだな

    ハルタは、家族愛(?)に近しい愛情を抱いていて、男性として見ていないし
    マヤは、積極的に自分に好意を向けてくれている事への興味(?)みたいな感情だったのかなと

    それをカンナ自身が気付くのは、ロクの言葉だったんだろうなぁと。
    高校生の時に、カンナ自身の気持ちに気付けていれば、違う未来だったのにね。


    星3つだけど、いくえみ男子は最高です!
    特にフルヤが好きでした

  • ずっとずっとずっと、
    もう信者といっても過言ではない程、
    絶大なる信頼と愛を寄せてきたいくえみ漫画で、
    全巻ちゃんと買い続けて完読したにも関わらず、
    その後手放してしまった作品。うう、今更後悔。
    だって、どうしても、どうっっっしても、
    死、への見解が当時の私と違っていたんだもの。
    あとあまりにも登場人物が多く複雑化していて、
    それぞれみんなに感情移入出来なくなったのと、
    そもそもカンナがあまり好きになれなかったかも。
    でも読み返したらまた色々見方変わってくるかも。
    そこがまたいくえみ漫画の面白いところなんだな。
    なので、やはり手放したこと後悔。また読みたい。

  • 切切よかった
    みんなおさまるところに収まった

  • 数少ない何回も読み返してる漫画のひとつ。恋愛漫画でいっちゃん好き。

  • 完結。



    欲を言えば、一番好きなキャラクタだった、梶間の番外編を読みたかったな。

  • カンナと禄が幸せになってよかった。禄の告白の言葉は、初めて読んだ時は、「なんか、ドキドキしない…。」と思ったんだけど…。今読んでみたら「言われてみたい~。」
    「誰かが私にキスをした」は、正直いまいちでした。マヤと亜依ちゃんの番外編とかだったらよかったのにな~。

全105件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

いくえみ綾(いくえみ りょう)
1964年生まれ、北海道名寄市出身。ペンネームは、くらもちふさこ作品『小さな炎』『白いアイドル』『糸のきらめき』三作、各登場人物の名前に由来する。
1979年、14歳のとき『別冊マーガレット』「マギー」でデビュー。2000年『バラ色の明日』で第46回小学館漫画賞、2009年『潔く柔く』で第33回講談社漫画賞少女部門を受賞。
代表作はのきなみ映画・ドラマ化されている。実写映画化された作品として、2013年に長澤まさみ・岡田将生主演の『潔く柔く』、2018年に小瀧望(ジャニーズWEST)と黒島結菜主演の『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』。テレビドラマ化された作品としては『あなたのことはそれほど』があり、2017年ドラマ化。内容と、主演の波瑠、助演の東出昌大が高い評価を受けた。
愛猫家としても知られ、コミックエッセイ作も描く。『彼の手も声も』における青い水着・白のタンクトップのワンカットが、渡辺満里奈の写真集の衣装をモデルにしていたことで話題になった。

いくえみ綾の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヤマシタ トモコ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×