- 本 ・マンガ (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088482552
感想・レビュー・書評
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10代の頃、楠本まきさんが好きで、この「Kの葬列」も何度も読みました。
当時は、繊細な絵のタッチ、不思議な住人たち、日本でありながら中世ヨーロッパのような雰囲気の世界観、そして何より主人公とKの関係性に魅力を感じ、ただひたすら、その美しさに魅入られていました。
20年が経過して読み返してみると、文学的な表現のみならず住人たちの奇抜な設定自体が当時も今も漫画として斬新(もはや漫画という表現媒体を超越している)という点はやはり魅力的に感じます。それだけでなく、少しずつあばかれていく住人たちの個性が事件解決にうまく絡んでいて、本編と併録されている(2巻)物語でも謎解きがなされるという構成にセンスの良さが表れているなぁとあらためて感心しました。
しかし極めつけはラストの一ページ、少女の言葉ですね。正直、10代で読んだ時は私が幼かったせいもあり、ラストページの意味がよくわからなかったのですが。今読み返してみると、うまい皮肉というか風刺というか、物語の締めに効果的だなぁと思ったりしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ビアズリーに呪われていた
描線パラノイア時代の楠本さん。
モルクワァラはぷにぷにしてそう。
Kを殺す=著者の自殺でもあるとかなんとかほにゃららら。 -
恐らく『夜想』等の美術雑誌で楠本まきさんの何となくの作風や、端麗な作品は体験しているのですが、ここに来て始めてキチンと楠本まきさんの作品というものに触れました。初めて購入した楠本まきさんの漫画です。
いやはやしかし、ググッと惹き込まれました! 贅沢にページを使って、その1ページ1ページもまた絵画のように緻密で流麗なタッチで、自然とうっとりしてしまいます(実際にビアズリーとかをモチーフにしたページもあって個人的にすごくしっくりきました)。楠本まきさんの漫画はストーリーらしさがない、みたいなことを聞きましたが、『Kの葬列』は全体的にミステリアスかつドラマチックな展開が結構あって、思っていたより全然面白かったし好きでした。 -
住民たちによる隠蔽工作。
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全2巻の1巻目
トーンがほとんど無くて
白と黒で表現されていて
その線がまた美しい。
冒頭のモルクァラ回収の話では赤も含めた三色。
Kの葬列から話は始まる。
同じアパートの住人が参列するが空の棺。
遺体はないのに住人たちはKが死んだのを知っている。
Kの部屋の新たな住人ミカヤ。
モルクァラ回収人といつもバスタブに入っている魚住が修理の終わったエレベーターの上に遺体があるのを発見する。 -
再読。可視化されるのは日常からわずかにずれた異空間。洗練された画面構成。繊細で神経質ともいえる線によってかたちづくられる人々。それに加えて、彼らの台詞、目線、仕種には嘆息の連続しかない。
"A very untidy man" 私が唯一、原文で諳んじられるマザー・グースの歌。
遺体がないまま執り行われる葬儀。虚言癖のある少女。人形を作る妖しい女。華美な装飾の肉屋。用途不明のモルクワァラを回収する男。アパートの住人たちは誰もが謎めいていて奇妙な魅力を持っている。
〈螺旋階段をゆっくり落ちていく くだらない君をあたしは眺めてる〉
空を切る音が聞こえない。
まばたき。
落ちる。
まばたき。
落ちる。
永遠に地上に到達しないという錯覚。秒針の切っ先を胸に突き刺された私はここから動けなくなる。
選集よりもこちらのワイド版の装丁が好き。金に黒が映える。
《2013.10.19》 -
もう何回読んだか解らないけど、
しばらく開いてなかった。
何となく今日波長があって再読。
この頃の絵が一番好き。
背景とか、物語の運び方とか、ひとつひとつの絵、描き方が美しいと思う。
Kって何者?
(購入) -
Kという男が死んだ部屋に越してきたミカヤ。しかしKの屍体はまだ見つかっていない・・・ミステリー仕立てだけれど耽美アイテム満載で、個人的に「KISS」は別枠としたら、これが楠本まきの最高傑作だと思う。
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ゴスロリなんて言葉が流行るずっとずっと前からのオサレ漫画だお。「オ・カ・マ」を解読できたあのじっちゃんの読唇術はハイレベルすぎんべって思うおね
著者プロフィール
楠本まきの作品





